W-SCOPEは、継続注記解消で株価が上がるのか。

■はじめに

2022年4月1日付で、Wスコープは継続注記解消の開示していますが、すでに『おりこみ済み』で、特に株価への影響がないようでした。
他の継続注記を解消した企業の株価も参考に、ダブルスコープの今後の株価を考えてみたブログです。

 

W-SCOPEの株価下落理由(欧州関連株の下落) - 令和の未来カエルのブログ (hatenablog.com)

に2022年3月12日のダブルスコープの記事を投稿していますが、約1か月半ぶりのダブルスコープに関するブログ記事になります。

 

ダブルスコープのブログの頻度に下がったのは、継続企業の注記も解消され、そんなに心配しなくてもいいし、応援しなくてもいいかなと思っているからです。

1年の休日は1日だけ!激務のサムスン電子で鍛えられた社長 崔 元根氏が率いるダブル・スコープは第二のサムソン電子になれるのか - 令和の未来カエルのブログ (hatenablog.com)

の2021年6月20日の記事が、初めての私がダブルスコープに関するブログです。

その時は、株価も608円と低迷していて、赤字決算が続いて、まさに継続企業の注記ということで、怪しい会社と誤解されている人も多いのかなと思って、誤解と解く意味でブログ記事にしました。そのころと比べて株価も上昇し、業績も順調なので、応援(勝手に応援しているだけですが)しなくてもいいかなと思っています。

 

■連結では、継続注記解消されていた


2021年度3Q決算発表時点で、連結では継続注記解消(解除)が適当がだ、単体では注記が必要だという状況でした。
▼2021年11月15日付2021年12月期第3四半期決算短信

四半期連結財務諸表に関する注記事項

(継続企業の前提に関する注記)
当社グループは、当社の長期借入金及び連結子会社転換社債型新株予約権付社債の期限の利益に係る財務制限条項等に抵触していたこと等により、前四半期連結会計期間末において継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していましたが、2021年9月に子会社であるW-SCOPE CHUNGJU PLANT CO.,LTD.(以下、WCP)株式の一部売却をした資金で財務制限条項に抵触していた長期借入金を全額返済した結果、当社の長期借入金に係る財務制限条項に抵触している状態は解消されています。
一方で、当社は継続して営業キャッシュ・フローのマイナスを計上しており、債務の支払いの資金繰りに懸念が生じているため、連結子会社を含めた資金繰りを考慮する必要があります。WCPは、韓国証券市場であるKOSDAQコスダック)市場への株式上場準備中であるため、W-SCOPE KOREA CO., LTD.(以下、WSK)から資金調達を実施する必要がありますが、WSKは前連結会計年度に引き続き、当第3四半期連結累計期間においても営業損失を計上しています。
これらの状況から、当第3四半期連結会計期間末において継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しています。


ダブルスコープの投資において、親会社単体は持株会社に近く、単体の決算、業績を見て、投資している人は皆無に近いと思いますので、
実質疑義注記は解消されていたと考えるのが適当でしょう。
2022年4月1日付で、継続注記解消の開示していますが、すでに『おりこみ済み』で、特に株価への影響がないようでした。


▼2022 年4月1 日付けプレスリリース

「継続企業の前提に関する注記」の記載解消に関するお知らせ
会 社 名 ダブル・スコープ株式会社 代表者名 代表取締役社長 崔 元 根

当社は、2022 年3月31 日に提出した有価証券報告書におきまして、これまで記載しておりました「継続企業の前提に関する注記」の記載を解消することといたしましたので、お知らせいたします。なお、詳細については下記の通りです。

当社グループは、当社の長期借入金及び連結子会社転換社債型新株予約権付社債の期限の利益に係る財務制限条項等に抵触していたこと等により、前連結会計年度末において継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していました。
 当社グループはこのような事象又は状況を解消すべく、生産・販売数量の増加と生産効率の改善に努めてきた結果として、前会計年度においては営業損益が黒字転換しております。当社グループは、翌連結会計年度以降も引き続き、長期供給合意を締結している顧客を中心に売上の拡大を図るとともに生産の最適化を実現して、継続的な利益の創出に取り組んでまいります。
その結果、2022 年2月14 日付の決算短信で公表した翌連結会計年度の連結業績予想である売上 38,000 百万円、営業利益 5,000 百万円及び経常利益 4,000 百万円の達成可能性は高いと判断しております。また資金面では、WCP が 2022 年2月に韓国証券市場である KOSDAQコスダック)市場への株式上場を申請しており、WCP から当社に対する直接の貸付が困難であるため、2022 年 3 月 31 日付有価証券報告書 「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項」の(重要な後発事象)に記載のとおり、2022 年2月に金融機関から200 百万円の資金調達を行うこと、また第4四半期連結会計期間より営業損益が黒字転換したWSK の資金を利用しながら、当社の運転資金を賄う計画です。
 以上の当社グループによる対応策の結果、当社の資金繰りは改善し、当面の間の運転資金が充分に賄える状況となったことから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められなくなったと判断し、記載を解消することといたしました。
株主様をはじめとする関係者の皆様にはご心配をおかけいたしましたが、当社グループはさらなる事業基盤の拡大と財務基盤の強化に努めてまいりますので、引続きご支援を賜りますよう宜しくお願いいたします。
以 上

 

 

■そもそも継続企業の注記とは、誰が判断するのか

分かりやすい「会計・監査用語解説集」:継続企業の前提(ゴーイング・コンサーン) | 日本公認会計士協会

継続企業の前提(ゴーイング・コンサーン

会社が将来にわたって継続していく前提を継続企業の前提(ゴーイング・コンサーン)と言う。財務諸表は企業が継続して事業活動を行うことを前提として作られており、例えば建物などの固定資産は、事業活動の継続を前提とすれば減価償却によって費用化されるが、会社の倒産を前提とすると処分価値で評価することになり、場合によってはゼロになってしまうこともある。
そこで、経営者は会社が少なくとも決算日から1年間事業活動が継続することについて重要な問題がある場合、その内容と財務諸表が継続企業の前提で作成されていること(ゴーイング・コンサーン情報)を注記として記載しなければならない。
また公認会計士ゴーイング・コンサーン情報を記載しなくてよいかをまず判断し、記載されている場合には、その旨を監査報告書で追記情報として注意喚起する。破綻して会社の事業が継続できない場合は、売掛金も回収できない可能性もあり、在庫や設備は無価値になる可能性があり、財務諸表で計上された金額は信頼できないことになります。

 

つまり、そんな会社の財務情報は信頼できないから、投資や取引は危険だから、注意して。ということです。誰が、継続企業の注記をするか、どうかは、その会社(の経営者)です。

継続企業の注記、重要事象


会社法上の特別法に該当する規則(経済産業省政令
である会社計算規則に以下の規定があります。

(継続企業の前提に関する注記)

第百条 継続企業の前提に関する注記は、事業年度の末日において、当該株式会社が将来にわたって事業を継続するとの前提(以下この条において「継続企業の前提」という。)に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在する場合であって、当該事象又は状況を解消し、又は改善するための対応をしてもなお継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるとき(当該事業年度の末日後に当該重要な不確実性が認められなくなった場合を除く。)における次に掲げる事項とする。

一 当該事象又は状況が存在する旨及びその内容

二 当該事象又は状況を解消し、又は改善するための対応策

三 当該重要な不確実性が認められる旨及びその理由

四 当該重要な不確実性の影響を計算書類(連結注記表にあっては、連結計算書類)に反映しているか否かの別

 

上記に、「株式会社が」という記載がある通り、注記をする義務があるのは株式会社(の経営者)です。

 

継続企業の前提に関する開示について | 日本公認会計士協会

「継続企業の前提に関する開示について」(日本公認会士協会、掲載日2002年11月06日)。 

一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成する責任は経営者にある。したがって、経営者は、財務諸表の作成に当たり、継続企業の前提が適切であるかどうかを評価することが求められる。 
 また、経営者は、継続企業の前提に関する評価の結果、期末において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在する場合であって、当該事象又は状況を解消し、又は改善するための対応をしてもなお継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるときは、継続企業の前提に関する事項を財務諸表に注記することが必要となる。 

とあります。

上場企業の場合、決算には公認会計士の監査意見書が必要ですから、注記がないと適正な決算と言えず、監査が通らないということで、公認会計士が助言することもあるでしょうし、
実際に監査が通らないこともあるでしょう。

実務では公認会計士と相談して、継続企業の注記を行うか、経営者が判断しているものと思われます。

 

■ 継続企業の注記の解除で、株価は上昇するのか。

継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象を『注記』が解消されても、
継続企業の前提に関する重要事象等の『記載』が必要な場合があります。
つまり、倒産する可能性が高い状態が終わっても、倒産する可能性がまるという状態が続くケースです。

今回調べた企業3社はいずれも、注記解消後、重要事象等の記載はしていません。
この点はダブルスコープと同じです。


中央化学(3月決算) 注記解消開示日 2019年11月11日

直前株価 → 1週間後 → 1か月後  → 1年後
(2019/11/11)→(2019/11/18)→(2019/12/11)→(2020/11/11)
584円 → 556円→ 545円 →636円


曙ブレーキ(3月決算) 注記解消開示日 2019年11月12日
(2019/11/11)→(2009/11/18)→(2019/12/11)→(2020/11/11)
230円 → 272円 →  233円 →  145円

小僧寿し(12月決算) 注記解消開示日 2021 年2月19日

直前株価 → 1週間後 → 1か月後  → 1年後
(2021/2/19)→(2021/2/28)→(2021/3/19)→(2021/2/21)
 62円  →   56円  →56円  →31円

直前株価 → 1週間後 → 1か月後 
(2022/4/1)→(2022/4/8)→(2022/4/29)
855 → 802 → 958 

いずれも会社でも、継続企業の注記解消が好材料で株価が大きく上昇するということはないようです。
ダブルスコープも同じく少なくも1カ月間は、継続企業の注記解消は『おりこみ済』でそれをもって、株価が上昇することはなかったようです。
むしろ4月12円の終値は、742円と疑義解消開示の直前の株価から約13%大きく下落して、好材料はおりこまれ、材料出尽くしで逆に売られる展開だったかも知れません。

長期的には株価は、その企業の業績、財務状態、収益力を反映して上下すると思いますが、短期的には市場環境や期待値の内容から、材料出尽くしで、好材料でも下がること、例え、悪材料でも投資家、市場の予想より悪くなくければ、悪材料でも、材料出尽くしで、上がることがは念頭においておきたいです。

 

 

 

■本の紹介

株式投資に有益だと思われる本も紹介します。

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 2021年12月に発刊された本で、過去の週刊エコノミストの記事をまとめている本ですが、2022年以降の金利上昇や金、穀物価格の上昇なども的確に予想されています。

今後10年、20年という長期スパンで、経済、投資を考えるのに有用な本といえそうです。貨幣の価値が下がり、モノの価値が上がるのがインフレですが、今後10年、20年はインフレの時代となるかもしれません。

インフレの時代に強いのは、価格が上がる商品を生産、販売する企業、もしくは商品の価格を上げる価格競争力の強い企業でしょう。

ダブルスコープもそういった点で、インフレに強い企業といえるかも知れません。

 

●ジョン・テンプルトンに関する本

「強気相場は、悲観の中に生まれ、懐疑の中に育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」という投資格言を残した20世紀の代表的なバリュー投資家として著名な「ジョン・テンプルトン」に関する著書を紹介します。

 

 

 

 

誤字脱字すいません。この記事は、正確性を保証するものでもなく、投資を推奨、勧誘するものでもなく、筆者の個人的な見解を述べているものです。

 

 

 

 

#ダブルスコープ  #6619

 

悲観で買えたエイチ・アイ・エス、悲観で買えるか日野自動車と阪和興業

■はじめに

補助金不正受給で下げたエイチ・アイ・エスを悲観の中で買えた話と検査不正が報道されている日野自動車デリバティブ取引に対する追加保証金の対応のため1200億円の資金借入を発表した阪和興業などの話もしています。

■2022年12月12日(日)のブログ

 

報道の翌日 2021年12月10日は、株価は暴落という表現が適当か不明ですが、大幅に下落しました。12月9日前日の終値が2104円(時価総額 約1622億円)で、12月10日の終値は、1803円(時価総額 1390億円)と、マイナス301円 マイナス14.31%の下落で、
時価総額でいうと約232億円近く下がりました。

(中略)

エイチ・アイ・エスを、非難する声が大きく信用失墜して、大幅に株価下落していますが、私は株価は下落しすぎだと考えています。まるで、不正に補助金を受給した2社の取引をもって、エイチ・アイ・エス全体を評価かしているように思えます。

と不正行為の開示、報道がされた後の株価が下げすぎだと指摘しました。

 

 

■2022年3月19日のHISの株価

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HISの6カ月間の株価チャート

人の噂も七十五日(ひとのうわさもしちじゅうごにち)というよく知られたことわざがあります。

世間が盛んに噂するのも一時のことで、二、三カ月もすればほとんど忘れられ、話題にしなくなる。という意味です。

エイチ・アイ・エスの株価の場合、どうでしょうか。

2021年12月10日(金)の終値は、1,803円でした。

2022年 3月19日(金)の終値は、2,233円(23.8%上昇、430円上昇)でした。

その間にTOPIXは、1,975円から1,899円(-3.8% 76円下落)に下落していますから、市場平均も大きくアウトパフォームしています。

2022年10月期(今期)も営業利益、経常利益、純利益とも赤字で、3期連続赤字で、業績は、コロカ禍から本格的に回復していません。「GoToトラベル」の再開による旅行需要の回復期待から最近は株価が上昇しているようです。

私は2021年12月10日に、   エイチ・アイ・エス株を1,818 円で100株だけ購入して、

私は買値の20%(2割)ほどの利益がとれればいいと思っていたので、2022年03月16日(水)2,198円(20%、380円の上昇)で売った。3万8千円の売却益でした。

2022年3月18日(金)の終値は、2,233円とその後上昇しており、信用倍率も1倍台とそれほど過熱感がないので、少し売り急いだかもしれません。

また、売却時期を分けられるように400株ぐらい購入しておいたもよかったかと少し後悔しています。

「強気相場は、悲観の中に生まれ、懐疑の中に育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」という投資格言があります。20世紀の代表的なバリュー投資家として著名な「ジョン・テンプルトン」が残したとされる名言です。

悲観の中で買い、懐疑の中で売却しましたが、400株ぐらい購入していれば、

1割の上昇で、100株、2割の上昇で、100株、5割の上昇で100株などもう少し売りを我慢できたような気がします。

今後、HISの強気相場が、楽観の中で成熟していくのかはわからず、あくまで結果論ですが。

■ 悲観で買えるか日野自動車阪和興業

検査不正が報道されている日野自動車デリバティブ取引に対する追加保証金
の対応のため1200億円の資金借入を発表した阪和興業など、今は興味があります。

 

日野自動車の場合、2月18日、日野自動車がエンジンの排出ガスなどについての不正なデータを国に提出していた問題で、国土交通省が不正を認定し、生産に必要な認証を取り消す方針を固めたと報道されており、認証取り消しは出荷ができなくなる行政処分の中で最も重い処分といわれているので、まだ下がるかもしれません。

ちなみに、2月18の深夜のPTS株価で、652円と 取引時間中の終値721円から、-69 (-9.57%)と大きく下げています。信用買いの投げ売りなどで来週、600円ぐらいまで下げれば買いたいと思っています。

 

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日野自動車の株価チャート(6カ月)

 

阪和興業は、開示の内容が事実だとすれば、業績に大きな影響はないこと、また、1200億円の借入がしたということはあらかじめ想定していていた借入であること(1200億円の巨額資金は事前の融資枠などの契約がければ借入できない額です)から、開示の後、下がった3月17日に、3,145円で100株だけ購入しています。現在の株価は3215円とすでに70円ほど上昇していますが、また、下がるようなら買いを検討したいです。

 

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阪和興業の株価チャート(6カ月)

 

 

■本の紹介

●ジョン・テンプルトンに関する本

「強気相場は、悲観の中に生まれ、懐疑の中に育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」という投資格言を残した20世紀の代表的なバリュー投資家として著名な「ジョン・テンプルトン」に関する著書を紹介します。

 

あああああ

 

 

逆張り投資に関する本

H.I.S.やその創業者(現会長)の澤田秀雄さんに関する本

 

 

 

 

誤字脱字すいません。この記事は、正確性を保証するものでもなく、投資を推奨、勧誘するものでもなく、筆者の個人的な見解を述べているものです。

 

 

 

 

#エイチ・アイエス  #日野自動車 #阪和興業 #ジョン・テンプルト

#9603 #7205 #8078

 

第8章 成長への戦略『電池の覇者 EVの命運を決する戦い』を読んで

 

電池の覇者 EVの命運を決する戦い | 佐藤 登 著 を読みました。その要点、所感など紹介したいと思います。今回は「第8章 成長への戦略」についてです。

 

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第7章 品質競争─安全性と信頼性のビジネス-『電池の覇者 EVの命運を決する戦い』を読んで - 令和の未来カエルのブログ

の続きとなるブログ記事です。

 

■全固体電池について


リチウムイオン電池の次世代電池といわれる全固体電池の開発状況もふれている。

全固体電池の実現が意味するところは、電池部材のサプライチェーンを大きく変えることになる。正極系と負極系はともかくとしても、三菱ケミカル宇部興産が事業展開している電解液、そこに電解質を供給する森田化学工業やステラケミファ、さらには旭化成東レ住友化学宇部興産が優良事業として推進しているセパレーターが不要になる。

とは言え、足元でのリチウムイオン電池の需要は高まる一方である。それが証拠に、セパレーター各社は日本や韓国で大々的な投資拡大を図ってきた。すなわち、長期的視点では全固体電池の実現がビジネスリスクとして向き合うことになっている反面、ビジネスチャンスとしての現状の需要拡大は、大きな原動力となっているのも事実だ。


まさに、全固体電池の開発、普及は、電池産業のゲームチェンジとなりそうです。

 

■成果の期待値

 

大学や研究機関、および企業での研究開発に対する成果の期待値は、研究に充てられる時間、研究に充てられる予算、そしてそこに携わる人材の積算値として、次のように表現できると著者は考える。次世代革新電池研究に関しても例外ではなく当てはまる。

成果の期待値= 研究時間 × 研究予算 × 研究人材

といった記述もあります。

 

研究開発という創造性が発揮されるような分野でも、『大軍に兵法なし』、『質より量』ということが当てはまるのかもしれない。

独創的、画期的、進歩的な研究開発の成果は、1時間の研究時間より、100時間の研究時間の方が生まれる確率が高いでしょう。
独創的、画期的、進歩的な研究開発の成果は、100万円の予算より、1億円の予算の方が生まれる確率が高いでしょう。
独創的、画期的、進歩的な研究開発の成果(を生み出す人)は、100人の研究開発者より、1万人の研究開発者の方が生まれる確率が高いでしょう。
そんな話なのかもしれません。


研究開発は、付加価値向上とコストダウンと、大きく二つの目的があります。
最終的に、全固体電池が全固体電池がリチウムイオン電池の後継となるのかわかりません。
ただ、全固体電池は、安全性など付加価値向上への研究開発が中心で、付加価値向上とコストダウンの両方で研究開発が進み、かつ、
研究時間、研究予算、研究人材の規模が、全固体電池より大きいと思われるリチウムイオン電池を市場を奪うのは難しいような印象です。

 

全固体電池については、以下のブログも参考にしてください。

 

 

『大軍に兵法なし』については、以下のブログも参考にしてください。

 

 

 

 

■佐藤登氏の著書

佐藤 登氏 の著作を、アマゾンのリンクで紹介します。

 

 

 

 

 

■改めて本の紹介

 

 

●佐藤 登氏 の経歴

名古屋大学未来社会創造機構客員教授エスペック上席顧問
1953年秋田県生まれ。1978年横浜国立大学大学院工学研究科修士課程修了。同年本田技研工業入社。自動車の腐食制御技術開発に従事した後,1990年本田技術研究所基礎研究部門へ異動。1991年電気自動車用の電池研究開発部門を築く。チーフエンジニアであった2004年に韓国サムスンSDIに常務として移籍。中央研究所と経営戦略部門で技術経営を担当,2012年退社。2013年より現職。工学博士(東京大学,1988年)。論文,講演,コラム等多数。
主な著書に『危機を生き抜くリーダーシップ(国際文化会館新渡戸国際塾講義録3)』(共著,2013年,アイハウス・プレス),『人材を育てるホンダ 競わせるサムスン』(2014年,日経BP),『リチウムイオン電池の高安全・評価技術の最前線』(共監修,2014年,シーエムシー出版),『車載用リチウムイオン電池の高安全・評価技術』(共監修,2017年,シーエムシー出版)など。

●内容について

製造業の頂上決戦!
巨額投資で市場を席巻する中国、韓国企業。世界をリードしてた日本企業は勝機を見出せるか--。
パナソニックGSユアサ村田製作所、ATL、
サムスンSDI、LG化学、CATL、BYD……。
次世代革新電池を視野に入れた競争の最前線を徹底解説。

1887年に屋井先蔵が世界に先駆けて乾電池を発明して以来、日本の電池産業は長く世界をリードしてきた。とりわけ1960年代以降は隆盛期を迎え、次々と新たな電池を開発、生産を開始した。さらに1983年には旭化成の吉野彰氏らが経済社会を大きく変えることとなるリチウムイオン電池の原型を確立。1991年にソニーが世界初の製品化を実現した。
日本電池産業の輝かしい歴史も、21世紀に入ると様相が変わる。韓国企業が日本勢を追い上げ、2010年にはサムスンSDIがモバイル用リチウムイオン電池で世界シェアトップに立った。近年は、さらに高い性能を要求される自動車搭載用の大型リチウムイオン電池の世界で、中国勢が急速にシェアを伸ばしている。高性能電池の開発、製造の行方は、製造業の頂点に立つ自動車産業の未来をも左右する。世界の環境規制、中国の産業政策などもあいまって、日本の牙城だった電池産業が大きく変貌しようとしている。

 

●目 次

まえがき-まえがき-を読んで - 令和の未来カエルのブログ

 

第1章 日本の牙城

-第1章 日本の牙城-を読んで - 令和の未来カエルのブログ 1

1日本の底力

2 電池の基本的仕組み
3 車載用へと電池の用途広がる
4 日本の強み

 

第2章 モバイル用電池の明暗

第2章 モバイル用電池の明暗-『電池の覇者 EVの命運を決する戦い』を読んで - 令和の未来カエルのブログ

1 電池革命を起こしたリチウムイオン電池
2 戦略の欠如
3 ソニーの電池事業撤退
4 ハイエンド偏重の日本、ローエンドも重視する韓国

 

第3章 EV開発の思惑と電池戦略

第3章 EV開発の思惑と電池戦略-『電池の覇者 EVの命運を決する戦い』を読んで - 令和の未来カエルのブログ (hatenablog.com)


1 環境規制が主導する自動車の電動化
2 トヨタがEVを投入せざるを得ない事情
3 選ばれるEVとは?
4 テスラの巨額投資とリスク
5 急加速のEVシフトに潜む5つの課題
6 元素戦略と資源争奪戦
7 トップブランド参入で競争激化
8 環境対応車における日本のリード

 

第4章 中国市場の変化と欧米、インド

第4章 中国市場の変化と欧米、インド-『電池の覇者 EVの命運を決する戦い』を読んで - 令和の未来カエルのブログ

1 環境改善か下剋上か─EVシフトの先
2 翻弄される日韓企業
3 中国NEV規制への対応
4 驀進する中国EV、電池業界の異変
5 中国のEV政策変化は外資に追い風?
6 EVが減速する中国、加速する欧州
7 2020年、車載電池業界の勢力図が明確に
8 揺れる米国のルール
9 台頭するインドの電動化と矛盾

 

第5章 車載用電池の攻防

第5章 車載用電池の攻防-『電池の覇者 EVの命運を決する戦い』を読んで - 令和の未来カエルのブログ

1 合弁が難しい電池事業--韓国勢はフリーを選ぶ
2 R&D投資でも激突する日中韓
3 戦略は随時見直してこそ生きる

 

第6章 定置型蓄電池の幕開け

第6章 定置型蓄電池の幕開け-『電池の覇者 EVの命運を決する戦い』を読んで - 令和の未来カエルのブログ (hatenablog.com)

1 定置用電池業界に第三勢力参入
2 韓国企業の火災事故
3 2019年からのFIT問題

 

第7章 品質競争─安全性と信頼性のビジネス

第7章 品質競争─安全性と信頼性のビジネス-『電池の覇者 EVの命運を決する戦い』を読んで - 令和の未来カエルのブログ (hatenablog.com)

1 なぜサムスンの最新スマホは爆発したのか?
2 電池の安全性を要求する国連規則
3 中国製リチウム電池が信頼できない理由

 

第8章 成長への戦略
1 加速する次世代電池開発
2 次世代革新電池はいつ実現するか?
3 日本を取り巻く状況
4 日本勢の命運
5 ノーベル化学賞の栄誉

あとがきに代えて
参考文献・資料

 

 

以上

銘柄メモ

三菱ケミカル 宇部興産 ステラケミファ 旭化成 東レ 住友化学 WSCOPE

4188 4208 4109 3407 3402 4005 6619

W-SCOPEの株価下落理由(欧州関連株の下落)

■はじめに

ダブルスコープ(6619)の株価が2022年2月中旬以降に大幅下落している理由や今後の株価の動向について考えてみたブログ記事です。ダブルスコープと欧州関連株といわれるJT、マキタ、日本板硝子DMG森精機の株価の比較などもしています。

 

2022年2月18日の終値1090円(取引時間中の高値1120円)の高値を付けてから、3月11日の終値729円(取引時間中の安値716円)と終値ベースで、マイナス291円、28.5%も下落しています。

 

 

以下の記事に続くダブル・スコープ関連のブログです。

 

 

■下落している理由

日経平均との比較

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W-SCOPEと日経平均サムスンSDIなどとの株価比較

↑の画像は、ダブルスコープ、日経平均サムスンSDI、SK IE Technology、パイロットコーポレーションの直近1カ月の株価のパフォーマンス比較です。

直近1カ月の下落率は、ダブルスコープ15.53%、日経平均7.08%とダブルスコープは日経平均(日本の株式市場全体)と比べても大きく下落しています。
ロシアのウクライナ侵攻による世界経済のリスク(ロシアウクライナ情勢リスク)で、株式市場も下落しましたが、ダブルスコープの下落はそれ以上の下落です。
ロシアウクライナ情勢リスクだけでダブルスコープは下落しているわけでないようです。

サムスンSDIとSKIEとの比較

業績、株価の連動性、相関性があると思われるサムスンSDIは7.17%、SK IE Technologyは4.7%下落と、ダブルスコープの下落率より小さいので、リチウムイオン電池、セパレータ業界の業績、株価が不安に思われてはいないようです。

 

パイロットコーポレーションとの比較

パイロットコーポレーションは、ダブルスコープと同じ12月期決算で、ダブルスコープと同じく2月中旬に通期決算で業績が好調なことで株価を上げましたが、その後も株価は上昇しています。

 

パイロットコーポレーションは、ダブルスコープと同じ12月期決算で、ダブルスコープと同じく2月中旬に通期決算で業績が好調なことで株価を上げましたが、その後も株価は上昇しています。

 

ダブルスコープとの違いは、決算発表後の追加の好材料IRを開示しているかどうかです。
パイロットコーポレーションは、3月9日に、中期経営計画を発表しており、配当性向30%以上を目指す方針としたことから、株主還元への姿勢を評価した買いが入っているようだ。
24年12月期に連結売上高1180億円(21年12月期1030億5700万円)を目指すとし、直近の業績だけでなく、今後の業績への安心感もあったのだと思います。
2月14日の通期決算の後は、中期経営計画や増配、自己株式消却などの株主還元政策など新しい好材料がないことが、業績発表後の上昇した株価が下げた原因かも知れません。

●欧州関連株との比較

欧州関連株が大幅安、ウクライナ情勢の影響が重しに | 個別株 - 株探ニュース

マキタ<6586>やDMG森精機<6141>、日本板硝子<5202>など欧州関連株が全体波乱相場に連れて大幅安。ウクライナ情勢が一段と混迷の度合いを深めるなか、これに伴う世界経済への影響が懸念されている。なかでも、地理的に近く経済的な結びつきの強い欧州経済への警戒感が強まっており、欧州向け売上高比率が相対的に高い欧州関連株にとっては株価のマイナス要因として重くのしかかっている。

といった記事(2022年03月07日付)があります。

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W-SCOPEと欧州関連株と株価比較

この記事で欧州関連株とされた日本板硝子<5202>、マキタ<6586>、DMG森精機<6141>、やここ1カ月(2月14日以降)で↑の画像の通り、12%か17%程度下がっています。
特にDMG森精機の下落率15.65%は、ダブル・スコープとほぼ同じ下落率です。

ダブルスコープの売上比率は、8割以上がサムスンSDI向けですが、ハンガリーへの工場設立が計画されている通り、欧州向製品(主にEV)の用途が圧倒的に多く、その辺が嫌気されているのかもしれません。

 


ただ、ヨーロッパ、ロシア産エネルギー資源に依存して経済の影響が特に大きいドイツの株価指数の下落率は、9.83%です。

それを超える下落ですので、いずれの会社も特にロシア、ウクライナで売上が大きい会社でないので、下げすぎだと思われます。

 

売上と利益の1割から2割程度をロシア、ウクライナに依存するJT日本たばこ産業)の直近1か月間の下落率は、14.29%です。JTより、W-SCOPE、日本板硝子、マキタ、DMG森精機がロシア、ウクライナへの依存度が低い思われ、JTとの比較でも、下げすぎだと思います。

 

 

■今後の株価動向

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W-SCOPEの2022年1月以来の日足チャート

↑のチャートは2022年1月以来の日足チャートで、青色の線が200日移動平均線、黄色の線が50日移動平均線です。

 

2021年の通期決算発表後も、2021年1月28日の高値終値1225円(取引時間中の高値)を超えることなく、2020年4月のコロナショック以降の740円ぐらいにあるサポートライン(下値支持線)を、3月11日の終値729円で下回っています。

サポートラインを超えて下落すると、見切り売り、損切りの売りも増えるでしょう。

 

5日、25日、50日、75日、100日、200日と短期、中期、長期の移動平均より、3月11日の株価は下がっています。短期的に株価は反発すると、株価は買い時と考えてもいいかもしれません。特に、ウクライナ情勢で下げているとしたら、仮に紛争が長期化しても、第三次世界大戦のようなことにならず、世界経済がそのリスクを受容できるようになれば、株価はいずれ、もどるでしょう。

 

過去の上場以来の株価を見ると、200日移動平均より、50日移動平均が高い時には株価が上昇し、低い時は株価は下落や横ばいという傾向が強いです。

そのため、今後、50日移動平均線のトレンドが下向きになり、200日移動平均線を下回るようだと、前回2021年4月から10月ぐらいまで株価が低迷、調整したように、5カ月間程度は、株価が低迷、調整しそうです、

 

株価に先見性があると考えると、2022年1Qの決算、2022年5月中旬に発表されますが

あまり期待できないかもしれません。

 

ロシアのウクライナ侵攻とW-SCOPEの今後の株価など - 令和の未来カエルのブログ (hatenablog.com)

50日移動平均線(2022年3月4日時点の874円)ぐらいが買い場、50日移動平均線を超えて下がった時が底値だと考えるがいいのかもしれません。

と2022年3月5日のブログ記事で記載しましたが、1Q決算が発表されるまでは、様子見が賢明かもしれません。

 

■関連ブログ

 

 

 

■本の紹介

株式投資に有益だと思われる本も紹介します。

 

 

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今回新たに紹介する↑の本は、今後の世界経済を知るうえで大変示唆に富む内容だと思います。

 

ウクライナ情勢に興味のある方に参考となる本をいくつか紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

 

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銘柄メモ ダブルスコープ,JT,マキタ,日本板硝子,DMG森精機

6619 2914 6586 5202 6141 

以上

ロシアのウクライナ侵攻の停戦時期・条件についてプーチン ロシア大統領演説や冬戦争(ソ連・フィンランド戦争)から考える

■はじめに

ロシアのウクライナ侵攻の停戦時期・条件についてプーチン ロシア大統領演説や冬戦争(ソ連フィンランド戦争)から考えてみたブログ記事です。

 

 

■関連ブログ

 

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冬戦争

戦争論から

プロイセンの軍人カール・フォン・クラウゼヴィッツは、『戦争論』で「戦争は外交(政治)の一手段(継続)である」と論じています。

つまり、戦争には、必ず、政治上、外交上の目的があります。

ロシアは、この目的が達成するまで、戦争は継続するでしょう。

ロシアの戦争目的を開戦(侵攻)直前のプーチン大統領の演説から考えて、ウクライナ侵攻(戦争)の終わりを予想したいと終わります。

 

■ロシアの戦争目的

●なぜ今か

軍事分野に関しては、現代のロシアは、ソビエトが崩壊し、その国力の大半を失った後の今でも、世界で最大の核保有国の1つだ。
そしてさらに、最新鋭兵器においても一定の優位性を有している。
この点で、我が国への直接攻撃は、どんな潜在的な侵略者に対しても、壊滅と悲惨な結果をもたらすであろうことに、疑いの余地はない。

また、防衛技術などのテクノロジーは急速に変化している。
この分野における主導権は、今もこれからも、目まぐるしく変わっていくだろう。

しかし、私たちの国境に隣接する地域での軍事開発を許すならば、それは何十年も先まで、もしかしたら永遠に続くことになるかもしれないし、ロシアにとって増大し続ける、絶対に受け入れられない脅威を作り出すことになるだろう。

と演説にある通り、

核戦力も含めたロシアの軍事力、防衛技術が優勢である「今」で、国境に隣接する地域(つまりウクライナ)が敵対する軍事開発をしようとする「今」が、ウクライナの敵対行動を防ぐ絶好の機会と考えて侵攻していることがわかります。

 

●何が目的か

彼らは(訳注:民族主義者ら)、クリミアとセバストポリの住民が、自由な選択としてロシアとの再統合を選んだことを決して許さないだろう。

当然、彼らはクリミアに潜り込むだろう。
それこそドンバスと同じように。
戦争を仕掛け、殺すために。

大祖国戦争の際、ヒトラーの片棒を担いだウクライナ民族主義一味の虐殺者たちが、無防備な人々を殺したのと同じように。
彼らは公然と、ロシアの他の数々の領土も狙っていると言っている。
全体的な状況の流れや、入ってくる情報の分析の結果が示しているのは、ロシアとこうした勢力との衝突が不可避だということだ。

それはもう時間の問題だ。
彼らは準備を整え、タイミングをうかがっている。
今やさらに、核兵器保有までも求めている。
そんなことは絶対に許さない。

  • クリミア併合、ドンバス地方の独立が認められること
  • ウクライナの非核化
  • NATO非加盟(ロシアに敵対的な同盟の一国とならないこと)

が戦争目的のようです。

 

前にも述べたとおり、ロシアは、ソビエト連邦の崩壊後、新たな地政学的現実を受け入れた。
私たちは、旧ソビエトの空間に新たに誕生したすべての国々を尊重しているし、また今後もそのようにふるまうだろう。
それらの(訳注:旧ソビエト諸国の)主権を尊重しているし、今後も尊重していく。

他国を侵略して、主権の尊重というのは厚かましいように思えますが、ここでいう主権とは、ウクライナという国家の存在という意味でしょう。

ただ、私たちの計画にウクライナ領土の占領は入っていない。
私たちは誰のことも力で押さえつけるつもりはない。

同時に、ソビエト全体主義政権が署名した文書は、それは第二次世界大戦の結果を明記したものだが、もはや履行すべきではないという声を、最近、西側諸国から聞くことが多くなっている。

さて、それにどう答えるべきだろうか。

第二次世界大戦の結果は、ナチズムに対する勝利の祭壇に、我が国民が捧げた犠牲と同じように、神聖なものだ。
しかしそれは、戦後数十年の現実に基づいた、人権と自由という崇高な価値観と矛盾するものではない。
また、国連憲章第1条に明記されている民族自決の権利を取り消すものでもない。

ウクライナ全土の占領やロシアとの併合までは目的としていないことがわかります。

 

ウクライナ侵攻(戦争)はいつ、どう、終わるのか

ロシアの軍事力、防衛技術が優勢でなくなったとき、

ロシアが戦争目的を達成したときにに、ロシアのウクライナ侵攻は止まると考えます。

また、

  • クリミア併合、ドンバス地方の独立が認められること
  • ウクライナの非核化
  • NATO非加盟(ロシアに敵対的な同盟の一国とならないこと)

という戦争目的が達成されたときと言えます。

これがいつになるかは私はわかりませんが、

 

欧米諸国の強力な経済制裁が続けば、ロシアの軍事力、防衛技術の優勢が長くは続かず、かつ、ロシアが侵攻を停止、全面撤退(クリミア、ドンパス地方を除く)する条件で、ウクライナが現状(クリミア併合、ドンパス地方の独立、ウクライナの非核化、NATO非加盟)を追認するのはウクライナもそれほど悪い条件でないように思えます。

 

 

トルコ出身のエコノミストEmin Yurumazu (エミンユルマズ)氏は、

ソ連フィンランド戦争は今のロシア対ウクライナに極めて似ており、共通点が多いとしています。

ロシアの戦争目的は、

港湾、工業の重要地域であるロシアの第2の都市 サンクトペテルブルクレニングラード)に隣接するフィンランド地域の自国領土化でした。

外交交渉で、ロシアはフィンランド

といった内容を求めていましたが、1939年11月30日、ソ連は宣戦布告なしにフィンランド国境全域で侵攻しました。

国際世論は圧倒的にフィンランドを支持し、フィンランドからの提訴を受けて、12月14日に、国際連盟ソ連を除名しました。英米仏もフィンランドを支援していました。ドイツは、イギリス、フランスと戦争状態で、かつ、ソ連と不可侵条約を締結しており、中立の立場でした。

フィンランドウクライナソ連がロシアだとすると、当時のドイツと近い立場にあるのが、現在の中国でしょうか。

フィンランドは健闘し、4カ月戦いし、ソ連の損害も大きくなり、フィンランドソ連は講和します。4ヶ月間の戦闘で、ソ連軍は12万から20万人の戦死者、フィンランド側は、約2万7千名を戦死者を出しています。

 

1939年11月30日:ソ連フィンランドが侵攻。

1940年12月14日:国際連盟ソ連を除名。

1940年1月8日:スオムッサルミの戦いにフィンランド勝利。フィンランドの戦死者は1000名以下に対し、ソ連の戦死者は少なくとも1万名以上で、フィンランド軍の士気が上がる。

1940年2月1日:ソ連攻勢再開。

1940年2月29日:講和交渉再開・フィンランド第二の都市であり、首都ヘルシンキへの最後の防衛拠点であるヴィープリに対してソ連軍が侵攻。

1940年3月6日:停戦協定成立。

1940年3月12日:モスクワ講和条約フィンランドソ連の要求を受け入れて講和)。

 

フィンランド第二の都市であり、首都ヘルシンキへの最後の防衛拠点であるヴィープリに対してソ連軍が殺到しており、フィンランド政府も講和の選択肢しかなかったようです。

 

オデッサキエフといった主要都市が包囲、陥落直前になれば、ウクライナ政府も講和の選択肢をとるかもしれません。

 

また、ソ連が講和に応じた理由、侵攻を停止した理由として、春の訪れと共にソ連軍は森林地帯がぬかるみとなり、軍事行動が大きな制約を受ける、つまり、防衛側に有利となることもあったようです。

Rasputitsa(ラスプチーサ):雨や雪解けによる泥だらけの状態のために未舗装の道路や国中の旅行が困難になることを示すロシア語です。
ベラルーシ、ロシア、ウクライナの泥だらけの道路状況に適用されます。これは、この地域で見つかった下層の粘土を含んだ土壌の排水が不十分なために発生します

また、

冬将軍のように、泥将軍(どろしょうぐん)という言葉もあるようです。

泥将軍:雪解けや雨期などで地面がぬかるみ泥濘(でいねい)になった戦場。
軍隊に対して、下手な敵軍以上の損害を与える事から「将軍」と比喩される。

具体的には、泥でぬかるんだ土地を通行する事によって全ての陸上兵力に甚大な負担をかける事を指す。この負担は直接的に命を奪うものではないが、戦闘員の疲労兵站維持労力の増加は時に致命的になり得る。

 

気温が0度以上となる3月中旬ぐらいには、雪解けによる泥だらけの状態で、軍隊の移動や補給が難しくなる可能性があります。攻撃側に不利になると思います。

ロシアもそういつ事情もよく知っているでしょうから、3月中には停戦協定、講和条約を締結したいかも知れません。

ウクライナとしてては、オデッサキエフといった主要都市が包囲、陥落直前になる前、

ロシアとしては、経済制裁が続いてロシア経済に深刻な影響が出る前、Rasputitsa(ラスプチーサ)、泥将軍の前に、

つまり、両国とも3月中旬ぐらいに(このブログは3月7日に記載していますが、あと1,2週間後に)に停戦、講和の動きが具体的になるかもしれません。

 

 

■本の紹介

ウクライナ情勢やソ連フィンランド戦争に興味のある方に参考となる本をいくつか紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ウクライナ侵攻直前(2022年2月24日)のプーチン ロシア大統領演説全文

■はじめに

2022年2月24日にロシアがウクライナを侵攻。侵攻直前に、ロシアの国営テレビはプーチン大統領の国民向けの演説を放送しました。その全文をブログに転記しています。

 

【演説全文】ウクライナ侵攻直前 プーチン大統領は何を語った? | ウクライナ情勢 | NHKニュース

に記載されている内容となります。

今後の情勢などで削除される可能性もあるので、このブログに転記したいと思います。

宣戦布告の演説であり、ロシアのウクライナ侵攻の今後、ロシアの戦争目的を考えるために重要な内容となります。

 

 

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プーチン大統領の国民向けの演説(2022年2月24日ウクライナ侵攻直前)


プーチン大統領演説 2022年2月24日

NATOの“東方拡大”への危機感

親愛なるロシア国民の皆さん、親愛なる友人の皆さん。

きょうは、ドンバス(=ウクライナ東部のドネツク州とルガンスク州)で起きている悲劇的な事態、そしてロシアの重要な安全保障問題に、改めて立ち返る必要があると思う。

まずことし2月21日の演説で話したことから始めたい。それは、私たちの特別な懸念や不安を呼び起こすもの、毎年着実に、西側諸国の無責任な政治家たちが我が国に対し、露骨に、無遠慮に作り出している、あの根源的な脅威のことだ。
つまり、NATOの東方拡大、その軍備がロシア国境へ接近していることについてである。

この30年間、私たちが粘り強く忍耐強く、ヨーロッパにおける対等かつ不可分の安全保障の原則について、NATO主要諸国と合意を形成しようと試みてきたことは、広く知られている。
私たちからの提案に対して、私たちが常に直面してきたのは、冷笑的な欺まんと嘘、もしくは圧力や恐喝の試みだった。

その間、NATOは、私たちのあらゆる抗議や懸念にもかかわらず、絶えず拡大している。
軍事機構は動いている。
繰り返すが、それはロシアの国境のすぐ近くまで迫っている。

 

●西側諸国が打ち立てようとした“秩序”は混乱をもたらしてきた

なぜ、このようなことが起きているのか。
自分が優位であり、絶対的に正しく、なんでもしたい放題できるという、その厚かましい態度はどこから来ているのか。
私たちの国益や至極当然な要求に対する、無配慮かつ軽蔑的な態度はどこから来ているのか。

答えは明白。
すべては簡単で明瞭だ。

1980年代末、ソビエト連邦は弱体化し、その後、完全に崩壊した。
当時起きたことの一連の流れは、今でも私たちにとってよい教訓となっている。
それは、権力や意志のまひというものが、完全なる退廃と忘却への第一歩であるということをはっきりと示した。
当時、私たちはしばらく自信を喪失し、あっという間に世界のパワーバランスが崩れたのだ。

これにより、従来の条約や協定には、事実上、効力がないという事態になった。
説得や懇願ではどうにもならない。
覇権、権力者が気に入らないことは、古風で、時代遅れで、必要ないと言われる。

それと反対に、彼らが有益だと思うことはすべて、最後の審判の真実かのように持ち上げられ、どんな代償を払ってでも、粗暴に、あらゆる手を使って押しつけてくる。
賛同しない者は、ひざを折られる。

私が今話しているのは、ロシアに限ったことではないし、懸念を感じているのは私たちだけではない。
これは国際関係のシステム全体、時にアメリカの同盟諸国にまでも関わってくるものだ。
ソビエト連邦の崩壊後、事実上の世界の再分割が始まり、これまで培われてきた国際法の規範が、そのうち最も重要で基本的なものは、第二次世界大戦の結果採択され、その結果を定着させてきたものであるが、それが、みずからを冷戦の勝者であると宣言した者たちにとって邪魔になるようになってきた。

もちろん、実務において、国際関係において、また、それを規定するルールにおいては、世界情勢やパワーバランスそのものの変化も考慮しなければならなかった。
しかしそれは、プロフェッショナルに、よどみなく、忍耐強く、そしてすべての国の国益を考慮し、尊重し、みずからの責任を理解したうえで実行すべきだった。
しかしそうはいかなかった。

あったのは絶対的な優位性と現代版専制主義からくる陶酔状態であり、さらに、一般教養のレベルの低さや、自分にとってだけ有益な解決策を準備し、採択し、押しつけてきた者たちの高慢さが背景にあった。

事態は違う方向へと展開し始めた。

例を挙げるのに遠くさかのぼる必要はない。
まず、国連安保理の承認なしに、ベオグラードに対する流血の軍事作戦を行い、ヨーロッパの中心で戦闘機やミサイルを使った。
数週間にわたり、民間の都市や生活インフラを、絶え間なく爆撃した。

この事実を思い起こさなければならない。
というのも、西側には、あの出来事を思い出したがらない者たちがいるからだ。
私たちがこのことに言及すると、彼らは国際法の規範について指摘するのではなく、そのような必要性があると思われる状況だったのだと指摘したがる。

その後、イラクリビア、シリアの番が回ってきた。

リビアに対して軍事力を不法に使い、リビア問題に関する国連安保理のあらゆる決定を曲解した結果、国家は完全に崩壊し、国際テロリズムの巨大な温床が生まれ、国は人道的大惨事にみまわれ、いまだに止まらない長年にわたる内戦の沼にはまっていった。
リビアだけでなく、この地域全体の数十万人、数百万人もの人々が陥った悲劇は、北アフリカや中東からヨーロッパへ難民の大規模流出を引き起こした。

シリアにもまた、同じような運命が用意されていた。
シリア政府の同意と国連安保理の承認が無いまま、この国で西側の連合が行った軍事活動は、侵略、介入にほかならない。

ただ、中でも特別なのは、もちろん、これもまた何の法的根拠もなく行われたイラク侵攻だ。
その口実とされたのは、イラク大量破壊兵器が存在するという信頼性の高い情報をアメリカが持っているとされていることだった。
それを公の場で証明するために、アメリカの国務長官が、全世界を前にして、白い粉が入った試験管を振って見せ、これこそがイラクで開発されている化学兵器だと断言した。

後になって、それはすべて、デマであり、はったりであることが判明した。
イラク化学兵器など存在しなかったのだ。

信じがたい驚くべきことだが、事実は事実だ。
国家の最上層で、国連の壇上からも、うそをついたのだ。

その結果、大きな犠牲、破壊がもたらされ、テロリズムが一気に広がった。
世界の多くの地域で、西側が自分の秩序を打ち立てようとやってきたところでは、ほとんどどこでも、結果として、流血の癒えない傷と、国際テロリズムと過激主義の温床が残されたという印象がある。

私が話したことはすべて、最もひどい例のいくつかであり、国際法を軽視した例はこのかぎりではない。

 

アメリカは“うその帝国” 

NATOが1インチも東に拡大しないと我が国に約束したこともそうだ。
繰り返すが、だまされたのだ。
俗に言う「見捨てられた」ということだ。

 

確かに、政治とは汚れたものだとよく言われる。
そうかもしれないが、ここまでではない。
ここまで汚くはない。

 

これだけのいかさま行為は、国際関係の原則に反するだけでなく、何よりもまず、一般的に認められている道徳と倫理の規範に反するものだ。
正義と真実はどこにあるのだ?あるのはうそと偽善だけだ。

 

ちなみに、アメリカの政治家、政治学者、ジャーナリストたち自身、ここ数年で、アメリカ国内で真の「うその帝国」ができあがっていると伝え、語っている。

 

これに同意しないわけにはいかない。
まさにそのとおりだ。

 

しかし謙遜する必要はない。
アメリカは依然として偉大な国であり、システムを作り出す大国だ。
その衛星国はすべて、おとなしく従順に言うことを聞き、どんなことにでも同調するだけではない。
それどころか行動をまねし、提示されたルールを熱狂的に受け入れてもいる。
だから、アメリカが自分のイメージどおりに形成した、いわゆる西側陣営全体が、まさに「うその帝国」であると、確信を持って言えるのには、それなりの理由があるのだ。

 

我が国について言えば、ソビエト連邦崩壊後、新生ロシアが先例のないほど胸襟を開き、アメリカや他の西側諸国と誠実に向き合う用意があることを示したにもかかわらず、事実上一方的に軍縮を進めるという条件のもと、彼らは我々を最後の一滴まで搾り切り、とどめを刺し、完全に壊滅させようとした。

 

まさに90年代、2000年代初頭がそうで、いわゆる集団的西側諸国が最も積極的に、ロシア南部の分離主義者や傭兵集団を支援していた時だ。
当時、最終的にコーカサス地方の国際テロリズムを断ち切るまでの間に、私たちはどれだけの犠牲を払い、どれだけの損失を被ったことか。
どれだけの試練を乗り越えなければならなかったか。

 

私たちはそれを覚えているし、決して忘れはしない。
実際のところ、つい最近まで、私たちを自分の利益のために利用しようとする試み、私たちの伝統的な価値観を破壊しようとする試み、私たちロシア国民を内側からむしばむであろう偽りの価値観や、すでに彼らが自分たち側の国々に乱暴に植え付けている志向を私たちに押しつけようとする試みが続いていた。

 

それは、人間の本性そのものに反するゆえ、退廃と退化に直接つながるものだ。
こんなことはありえないし、これまで誰も上手くいった試しがない。
そして今も、成功しないだろう。

 

色々あったものの、2021年12月、私たちは、改めて、アメリカやその同盟諸国と、ヨーロッパの安全保障の原則とNATO不拡大について合意を成立させようと試みた。
すべては無駄だった。
アメリカの立場は変わらない。
彼らは、ロシアにとって極めて重要なこの問題について私たちと合意する必要があるとは考えていない。
自国の目標を追い求め、私たちの国益を無視している。

 

そしてもちろん、こうした状況下では、私たちは疑問を抱くことになる。
「今後どうするべきか。何が起きるだろうか」と。

 

私たちは、1940年から1941年初頭にかけて、ソビエト連邦がなんとか戦争を止めようとしていたこと、少なくとも戦争が始まるのを遅らせようとしていたことを歴史的によく知っている。
そのために、文字どおりギリギリまで潜在的な侵略者を挑発しないよう努め、避けられない攻撃を撃退するための準備に必要な、最も必須で明白な行動を実行に移さない、あるいは先延ばしにした。

 

最後の最後で講じた措置は、すでに壊滅的なまでに時宜を逸したものだった。
その結果、1941年6月22日、宣戦布告なしに我が国を攻撃したナチス・ドイツの侵攻に、十分対応する準備ができていなかった。
敵をくい止め、その後潰すことはできたが、その代償はとてつもなく大きかった。
大祖国戦争を前に、侵略者に取り入ろうとしたことは、国民に大きな犠牲を強いる過ちであった。
最初の数か月の戦闘で、私たちは、戦略的に重要な広大な領土と数百万人の人々を失った。

 

私たちは同じ失敗を2度は繰り返さないし、その権利もない。

 

世界覇権を求める者たちは、公然と、平然と、そしてここを強調したいのだが、何の根拠もなく、私たちロシアを敵国と呼ぶ。
確かに彼らは現在、金融、科学技術、軍事において大きな力を有している。
それを私たちは知っているし、経済分野において常に私たちに対して向けられている脅威を客観的に評価している。
そしてまた、こうした厚かましい恒久的な恐喝に対抗する自国の力についても。

 

繰り返すが、私たちはそうしたことを、幻想を抱くことなく、極めて現実的に見ている。

 

軍事分野に関しては、現代のロシアは、ソビエトが崩壊し、その国力の大半を失った後の今でも、世界で最大の核保有国の1つだ。
そしてさらに、最新鋭兵器においても一定の優位性を有している。
この点で、我が国への直接攻撃は、どんな潜在的な侵略者に対しても、壊滅と悲惨な結果をもたらすであろうことに、疑いの余地はない。

 

また、防衛技術などのテクノロジーは急速に変化している。
この分野における主導権は、今もこれからも、目まぐるしく変わっていくだろう。

 

しかし、私たちの国境に隣接する地域での軍事開発を許すならば、それは何十年も先まで、もしかしたら永遠に続くことになるかもしれないし、ロシアにとって増大し続ける、絶対に受け入れられない脅威を作り出すことになるだろう。

 

NATOによるウクライナ領土の軍事開発は受け入れがたい

すでに今、NATOが東に拡大するにつれ、我が国にとって状況は年を追うごとにどんどん悪化し、危険になってきている。
しかも、ここ数日、NATOの指導部は、みずからの軍備のロシア国境への接近を加速させ促進する必要があると明言している。
言いかえれば、彼らは強硬化している。

起きていることをただ傍観し続けることは、私たちにはもはやできない。

私たちからすれば、それは全く無責任な話だ。
NATOが軍備をさらに拡大し、ウクライナの領土を軍事的に開発し始めることは、私たちにとって受け入れがたいことだ。

もちろん、問題はNATOの組織自体にあるのではない。
それはアメリカの対外政策の道具にすぎない。
問題なのは、私たちと隣接する土地に、言っておくが、それは私たちの歴史的領土だ、そこに、私たちに敵対的な「反ロシア」が作られようとしていることだ。
それは、完全に外からのコントロール下に置かれ、NATO諸国の軍によって強化され、最新の武器が次々と供給されている。

アメリカとその同盟諸国にとって、これはいわゆるロシア封じ込め政策であり、明らかな地政学的配当だ。
一方、我が国にとっては、それは結局のところ、生死を分ける問題であり、民族としての歴史的な未来に関わる問題である。

誇張しているわけではなく、実際そうなのだ。
これは、私たちの国益に対してだけでなく、我が国家の存在、主権そのものに対する現実の脅威だ。

それこそ、何度も言ってきた、レッドラインなのだ。
彼らはそれを超えた。

そんな中、ドンバスの情勢がある。
2014年にウクライナでクーデターを起こした勢力が権力を乗っ取り、お飾りの選挙手続きによってそれを(訳注:権力を)維持し、紛争の平和的解決を完全に拒否したのを、私たちは目にした。
8年間、終わりの見えない長い8年もの間、私たちは、事態が平和的・政治的手段によって解決されるよう、あらゆる手を尽くしてきた。

すべては徒労に帰した。
先の演説でもすでに述べたように、現地で起きていることを同情の念なくして見ることはできない。

今やもう、そんなことは到底無理だ。
この悪夢を、ロシアしか頼る先がなく、私たちにしか希望を託すことのできない数百万人の住民に対するジェノサイド、これを直ちに止める必要があったのだ。
まさに人々のそうした願望、感情、痛みが、ドンバスの人民共和国を承認する決定を下す主要な動機となった。

さらに強調しておくべきことがある。
NATO主要諸国は、みずからの目的を達成するために、ウクライナの極右民族主義者やネオナチをあらゆる面で支援している。
彼らは(訳注:民族主義者ら)、クリミアとセバストポリの住民が、自由な選択としてロシアとの再統合を選んだことを決して許さないだろう。

当然、彼らはクリミアに潜り込むだろう。
それこそドンバスと同じように。
戦争を仕掛け、殺すために。

大祖国戦争の際、ヒトラーの片棒を担いだウクライナ民族主義一味の虐殺者たちが、無防備な人々を殺したのと同じように。
彼らは公然と、ロシアの他の数々の領土も狙っていると言っている。
全体的な状況の流れや、入ってくる情報の分析の結果が示しているのは、ロシアとこうした勢力との衝突が不可避だということだ。

それはもう時間の問題だ。
彼らは準備を整え、タイミングをうかがっている。
今やさらに、核兵器保有までも求めている。
そんなことは絶対に許さない。

前にも述べたとおり、ロシアは、ソビエト連邦の崩壊後、新たな地政学的現実を受け入れた。
私たちは、旧ソビエトの空間に新たに誕生したすべての国々を尊重しているし、また今後もそのようにふるまうだろう。
それらの(訳注:旧ソビエト諸国の)主権を尊重しているし、今後も尊重していく。
その例として挙げられるのが、悲劇的な事態、国家としての一体性への挑戦に直面したカザフスタンに対して、私たちが行った支援だ。

しかしロシアは、今のウクライナから常に脅威が発せられる中では、安全だと感じることはできないし、発展することも、存在することもできない。

2000年から2005年にかけ、私たちは、コーカサス地方のテロリストたちに反撃を加え、自国の一体性を守り抜き、ロシアを守ったことを思い出してほしい。
2014年には、クリミアとセバストポリの住民を支援した。
2015年、シリアからロシアにテロリストが入り込んでくるのを確実に防ぐため、軍を使った。

それ以外、私たちにはみずからを守るすべがなかった。

 

 

ウクライナ東部の親ロシア派の武装勢力からの支援要請

今もそれと同じことが起こっている。
きょう、これから使わざるをえない方法の他に、ロシアを、そしてロシアの人々を守る方法は、私たちには1つも残されていない。
この状況下では、断固とした素早い行動が求められている。

ドンバスの人民共和国はロシアに助けを求めてきた。
これを受け、国連憲章第7章51条と、ロシア安全保障会議の承認に基づき、また、本年2月22日に連邦議会が批准した、ドネツク民共和国とルガンスク人民共和国との友好および協力に関する条約を履行するため、特別な軍事作戦を実施する決定を下した。
その目的は、8年間、ウクライナ政府によって虐げられ、ジェノサイドにさらされてきた人々を保護することだ。
そしてそのために、私たちはウクライナの非軍事化と非ナチ化を目指していく。
また、ロシア国民を含む民間人に対し、数多くの血生臭い犯罪を犯してきた者たちを裁判にかけるつもりだ。

ただ、私たちの計画にウクライナ領土の占領は入っていない。
私たちは誰のことも力で押さえつけるつもりはない。

同時に、ソビエト全体主義政権が署名した文書は、それは第二次世界大戦の結果を明記したものだが、もはや履行すべきではないという声を、最近、西側諸国から聞くことが多くなっている。

さて、それにどう答えるべきだろうか。

第二次世界大戦の結果は、ナチズムに対する勝利の祭壇に、我が国民が捧げた犠牲と同じように、神聖なものだ。
しかしそれは、戦後数十年の現実に基づいた、人権と自由という崇高な価値観と矛盾するものではない。
また、国連憲章第1条に明記されている民族自決の権利を取り消すものでもない。

ソビエト連邦が誕生した時も、第二次世界大戦後も、今のウクライナの領土に住んでいた人々に、どのような生活を送っていきたいかと聞いた人など1人もいなかったことを思い出してほしい。

私たちの政治の根底にあるのは、自由、つまり、誰もが自分と自分の子どもたちの未来を自分で決めることのできる選択の自由だ。

そして、今のウクライナの領土に住むすべての人々、希望するすべての人々が、この権利、つまり、選択の権利を行使できるようにすることが重要であると私たちは考えている。

これに関し、ウクライナの人々にも言いたい。
2014年、ロシアは、あなた方自身が「ナチス」と呼ぶ者たちから、クリミアとセバストポリの住民を守らなければならなかった。
クリミアとセバストポリの住民は、自分たちの歴史的な祖国であるロシアと一緒になることを、自分たちで選択した。
そして私たちはそれを支持した。

繰り返すが、そのほかに道はなかった。

 

 

●目的はウクライナの“占領”ではなく、ロシアを守るため

現在起きていることは、ウクライナ国家やウクライナ人の利益を侵害したいという思いによるものではない。
それは、ウクライナを人質にとり、我が国と我が国民に対し利用しようとしている者たちから、ロシア自身を守るためなのだ。

繰り返すが、私たちの行動は、我々に対して作り上げられた脅威、今起きていることよりも大きな災難に対する、自己防衛である。
どんなにつらくとも、これだけは分かってほしい。
そして協力を呼びかけたい。
できるだけ早くこの悲劇のページをめくり、一緒に前へ進むために。

私たちの問題、私たちの関係を誰にも干渉させることなく、自分たちで作り上げ、それによって、あらゆる問題を克服するために必要な条件を生み出し、国境が存在するとしても、私たちが1つとなって内側から強くなれるように。
私は、まさにそれが私たちの未来であると信じている。

ウクライナ軍の軍人たちにも呼びかけなければならない。

親愛なる同志の皆さん。
あなたたちの父、祖父、曽祖父は、今のネオナチがウクライナで権力を掌握するためにナチと戦ったのではないし、私たち共通の祖国を守ったのでもない。
あなた方が忠誠を誓ったのは、ウクライナ国民に対してであり、ウクライナを略奪し国民を虐げている反人民的な集団に対してではない。
その(訳注:反人民的な政権の)犯罪的な命令に従わないでください。
直ちに武器を置き、家に帰るよう、あなた方に呼びかける。

はっきりさせておく。
この要求に応じるウクライナ軍の軍人はすべて、支障なく戦場を離れ、家族の元へ帰ることができる。

もう一度、重ねて強調しておく。
起こりうる流血のすべての責任は、全面的に、完全に、ウクライナの領土を統治する政権の良心にかかっている。

さて、今起きている事態に外から干渉したい思いに駆られているかもしれない者たちに対し、言っておきたい大変重要なことがある。
私たちに干渉しようとする者は誰でも、ましてや我が国と国民に対して脅威を作り出そうとする者は、知っておくべきだ。
ロシアは直ちに対応し、あなた方を、歴史上直面したことのないような事態に陥らせるだろうということを。

私たちは、あらゆる事態の展開に対する準備ができている。
そのために必要な決定はすべて下されている。
私のことばが届くことを願う。

親愛なるロシア国民の皆さん。
国家や国民全体の幸福、存在そのもの、その成功と存続は、常に、文化、価値観、祖先の功績と伝統といった強力で根幹的なシステムを起源とするものだ。
そしてもちろん、絶えず変化する生活環境に素早く順応する能力や、社会の団結力、前へ進むために力を1つに集結する用意ができているかどうかに直接依存するものだ。
力は常に必要だ。
どんな時も。

しかし力と言っても色々な性質のものがある。
冒頭で述べた「うその帝国」の政治の根底にあるのは、何よりもまず、強引で直接的な力だ。

そんな時、ロシアではこう言う。
「力があるなら知性は必要ない」と。

私たちは皆、真の力とは、私たちの側にある正義と真実にこそあるのだということを知っている。
もしそうだとしたら、まさに力および戦う意欲こそが独立と主権の基礎であり、その上にこそ私たちの未来、私たちの家、家族、祖国をしっかりと作り上げていくことができる。
このことに同意しないわけにはいかない。

親愛なる同胞の皆さん。
自国に献身的なロシア軍の兵士および士官は、プロフェッショナルに勇敢にみずからの義務を果たすだろうと確信している。
あらゆるレベルの政府、経済や金融システムや社会分野の安定に携わる専門家、企業のトップ、ロシア財界全体が、足並みをそろえ効果的に動くであろうことに疑いの念はない。
すべての議会政党、社会勢力が団結し愛国的な立場をとることを期待する。

結局のところ、歴史上常にそうであったように、ロシアの運命は、多民族からなる我が国民の信頼できる手に委ねられている。
それはつまり、下された決定が実行され、設定された目標が達成され、我が祖国の安全がしっかりと保証されるということだ。

あなたたちからの支持と、祖国愛がもたらす無敵の力を信じている。

 

 

 

 

■本の紹介

ウクライナ情勢に興味のある方に参考となる本をいくつか紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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旭化成とW-SCOPEの中国の特許裁判

■はじめに

旭化成とダブルスコープ(正確には中国の代理店)との特許裁判について、特許の内容や時系列をまとめて、今後の展開を考えたブログ記事です。

 

 

■特許の内容

まず、裁判の原因になっている旭化成の特許の概要は
『厚さが1μm以上50μm以下、気孔率が30%以上70%以下、膜厚1μmで換算した突刺強度が0.15N/μm以上、長さ方向の引張強度(MD引張強度)と幅方向の引張強度(TD引張強度)が各々30MPa以上であり、65°Cでの幅方向の熱収縮率(TD熱収縮率)が1%以下、65°Cでの長さ方向の熱収縮率と幅方向の熱収縮率との比(MD熱収縮率/TD熱収縮率)が2より大きいポリオレフィン製微多孔膜、及びその製造方法、それを用いた非水電解液二次電池。』
というものです。

韓国の裁判となっている韓国の特許の内容と同じで、いわゆるパラメータ特許です。

 

パラメータ特許については、以下のブログ記事も参考にしてください。

 


また、韓国の特許裁判の時系列については、以下のブログ記事も参考にしてください。

 

■裁判の時系列

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勝訴のイラスト(いやすとやの素材)

まず、旭化成が訴えているのはダブルスコープでなく、その中国の代理店であるる深圳市旭冉電子有限公司及び深圳市旭然電子有限公司という会社です。
ダブルスコープとは資本関係はありません。

 

両社とも、旭化成の旭という文字がつきますが、偶然か、旭化成知名度、ブランドイメージを利用(悪用)した意図的なものなのかはわかりません。旭化成は、セパレーターで世界シェア1位の時代が長く、その知名度、ブランドは圧倒的だったともわれるため、おそらく、後者だと思われます。

 

 

●2018年8月
旭化成が、中国深圳市のリチウムイオン二次電池用セパレータの販売会社である深圳市旭冉電子有限公司及び深圳市旭然電子有限公司(以下、旭冉電子等)を共同被告として特許権侵害訴訟を深圳市中級人民法院にて提起した。
本件訴訟は、当社が所有するリチウムイオン二次電池用セパレータに関する中国特許(特許第ZL200680046997.8号)に基づき、旭冉電子等が販売する『単層W-scope』電池用セパレータ製品の中国における販売差止と損害賠償を求めた。


●2019年7月
W-SCOPE KOREAが旭化成の中国特許を無効請求した審判に対して、中国国家知識産権局は本件特許を有効と決定した。


●2020年4月
深圳市中級人民法院にて、販売差止と損害賠償(合計人民元100万元)も求めが認められれる。旭化成の勝訴となる。
合計人民元100万元(約2000万円)の損害賠償といことで、その金額から、W-SCOPE売り上げ規模から考えると、ごく一部の製品に関する裁判だということがわかります。


●2020年12月
中華人民共和国最高人民法院にて上記製品の販売差止および損害賠償金の支払いを命じる終審判決で、旭化成の勝訴となる。

 

●2022年2月
W-SCOPE KOREAが新たな証拠資料で無効審判を請求し、本特許については進歩性がないという WSK の主張が認められ、本特許の無効が決定した。

 

進歩性とは特許が認めらえる発明の要件です。
「進歩性」とは、いわゆる当業者が公知発明等に基づいて容易に発明することができない程度の困難性をいいます。

新規な発明であっても、従来技術をほんの少し改良しただけの発明のように、その分野の通常の知識を持つ人が容易に考えつく程度の発明は、進歩性がないとして特許を受けることができません。

このような発明に特許を認めると、日常行われる技術改良などに支障をきたすおそれがあり、かえって技術の進歩を妨げるためです。この進歩性の要件は、審査時や紛争時に争点になる頻度の高い非常に重要な要件となるようです。

 

つまり、特許化されていない従来技術からとても優秀であれば、進歩性があり、特許保護にするが、特許化されていない従来技術と大きく変わらければ、進歩性がなく、特許保護に値しないということです。

 

 

■今後の展開

2022 年3月3日
各 位
会 社 名 ダブル・スコープ株式会社
       代表者名 代表取締役社長 崔 元 根(コ ー ド 番 号 6619 東 証 第 一 部 )
        問 合 せ 先 取 締 役 大 内 秀 雄

(経過開示事項)中国での特許無効に関するお知らせ

 

当社子会社のW-SCOPE KOREA CO., LTD.(以下、WSK) は、旭化成株式会社(本社:東京都千代田区、社長:小堀 秀毅)が所有しているが中国特許(特許第 ZL200680046997.8 号、以下「本件特許」)の無効審判を請求しておりましたが、2022 年 2 月 25 日付で中華人民共和国国家知識産権局(CNIPA)から本特許が無効であることが認められましたので、お知らせいたします。

 

本特許は、旭化成株式会社が中国の当社販売代理店に対して販売差止めと損害賠償を求めて提訴した特許であり、これに対して WSK は本特許の特許無効審判を請求しましたが、2021 年 9 月 28日に一度棄却されていました。WSK ではこの結果を受けて、新たな証拠資料を提出して再度特許無効審判を請求し、本特許については進歩性がないという WSK の主張が認められ、本特許の無効が決定したものです。

 

これまでの経緯については、2020 年 2 月 14 日付「特許訴訟に対する当社見解について」及び2021 年2 月1 日付「特許訴訟に関するお知らせ」をご参照ください。
なお、業績への影響はありません。

 


といったダブル・スコープの開示の通り、業績には影響がないようです。

判決の前提となる特許権の内容が変更された場合は、「判決の基礎となった行政処分が後の行政処分により変更された」として、再審事由に該当します。
中国の代理店が旭化成に損害賠償として支払っていた場合、約2000万円を、返還請求も可能になるでしょう。

 

ただ、弁護士費用も含む裁判費用は高額であるため、約2000万円のために裁判を起こすのかはわかりません。


また、差し止めも解除されるでしょうが、ダブルスコープは今回の特許が仮に有効だとしても、特許を侵害するような製品は製造、販売していないため、業績には影響ないそうです。

 

韓国の裁判でも、中国で認められた新規性を否定する新しい証拠に戻づく請求をすれば、無効とされる可能性が高いと考えています。

 

仮にそうなれば、「当社は今後も知的財産を重視し、必要と判断した場合には具体的な措置を積極的に講じて参ります。」という旭化成の知的財産(特許)も侵害していないと認められたことになり、ダブルスコープの技術力を逆に証明することになりそうです。

 

旭化成パテント・トロール※ではないと思いますが、ダブルスコープに対して、競争力が落ちていて、乾坤一擲の機会として、今回の訴訟を提起していたならば、旭化成のセパレーター事業の将来は暗いかもしれません。
旭化成は多数の特許持っていると思いますが、他にもっと有効な特許はなかったのでしょうか。

 

また、旭化成の裁判に対しては、裁判で戦う姿勢が見せて、安易な和解しないことは、旭化成が別の特許の侵害で提訴したとしても、旭化成に対しては手強い相手となりそうです。

 

旭化成は中国の競合であった上海エナジーとESSに適しているとされるのは乾式セパレータで合弁企業を設立すると、2021年9月に発表し、2022年中には2022年上期に中国の江西省高安市に工場を設立し、生産を開始するそうです。


もしかしたら、車載用に適しているとされる湿式セパレータも失地回復のため、どこかの企業と合弁をして、競争力を強化するなんてこともあるかもと思いました。

 

パテント・トロールまたは特許トロール(英: patent troll):
トロールは北欧の伝説に登場する妖精》自身が保有する特許権の権利行使により、大企業などに対して特許権侵害を訴え、巨額な損害賠償金やライセンス料を得ようとする組織または個人。特に、訴訟を目的に第三者から特許権を買い集める者を指す。パテントマフィア、特許マフィアともよばれる。その多くは、自らはその特許を実施していない(特許に基づく製品を製造販売したり、サービスを提供したりしていない)

 

 

■参考URL

https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/cn/ip/pdf/manual_201701.pdf

(中国知財権侵害関連裁判マニュアル2017 年 1 月日本貿易振興機構JETRO) )

萩本英二の知的財産講座

旭化成が「電池材料」で中国大手と組む裏事情 | 素材・機械・重電 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース

【中国】特許訴訟等の第二審を最高人民法院が審理|特許業務法人 三枝国際特許事務所[大阪・東京] SAEGUSA & Partners [Osaka,Tokyo,Japan]

WO2007069560A1 - ポリオレフィン製微多孔膜 - Google Patents

 

 

 

■本の紹介

 特許や知的財産について興味を持った方へ、いくつか関連する本を紹介します。

 

ドラマ化もされた池井戸潤氏の小説、

ルーズヴェルト・ゲーム

下町ロケット では、大手企業から理不尽な特許侵害で訴えらえる主人公の会社が逆転勝利するようなストーリがありますが。
旭化成から訴えられたダブル・スコープは、あたかも青島製作所、佃製作所のように、資金繰りに困るような状況から、大逆転して、業績の急回復ができるのか楽しみです。W-SCOPEは、下町ロケットの小説のような特許紛争で取引停止、業績悪化という状況ではないようで、タイトルの(ダブル・スコープは下町セパレータではない)はそんな意味があります。
 

 

 

 

ちなみに、

 池井戸 潤氏の小説『半沢直樹』が有名ですが、以前、私は三菱UFJ銀行に半沢頭取の誕生を示唆していましたが、それが現実になりました。

 

 

知財戦略の中でも、特に重要なのは新規事業の武器となる特許を取得できる発明です。発明は、競争力のある製品・サービスの実用化・事業化とマネタイズを考える上で欠かせません。「先読み」の知財戦略の考え方、事業創出につなげるための企画の考え方を、具体的な企業の事例を挙げて解説している本です。

「控えめに控えめに言って最高すぎです。オモロい!!!オモロすぎる!」といった恋艇的なアマゾンのレビューが多いです。

 

W-SCOPEのような成長株投資に有益な本も紹介します。
WCPの上場でバリュー株と評価されるかもしれませんが、今後も売上が年10%を超えて拡大し、利益率も年々高くなることを考えると私は成長株投資と考えています。

成長株投資の場合、多少割高に思えて、会社の強い成長が続くまで、成長が鈍化するまで、保有するというのが大事だと思います。
何をもって強い成長とするか、何をもって成長の鈍化とするかは解説されている本をアマゾンのリンクでいくつか紹介します。

 

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楽天のリンクでも紹介しておきます。

 

 

 

 

 

 

 

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以上

ダブル・スコープ (6619) 旭化成(3407)

 

 

 

以上