■はじめに
ダブルスコープの株価が、増担保規制解除で上がるか、調べたブログ記事です。
『そもそも増担保規制とは』や『信用取引の意外なメリット』の解説もしています。
▼目次
- ■はじめに
- ■前回のブログ
- ■ダブルスコープの増担保規制の期間
- ■ 増担保規制の対象銘柄を調べるには
- ■ そもそも増担保規制とは
- ■ 増担保規制の具体的な例
- ■ 増担保規制が株価に与える影響
- ■ ダブル・スコープの場合は
- ■ 他の銘柄は
- ■信用取引の利点(本の紹介も・Amazon半額キャンペーン中も)
■前回のブログ
増し担保規制解除やWCPの上場は、9月の株価には大きく影響しないと考えています。
増し担保規制解除で一時的に上がることも多いようですが、2週間もすれば、その影響もなくなるのはないでしょうか。
という点について、深堀りした記事となります。
■ダブルスコープの増担保規制の期間
● 規制開始は
2022年6月28日に、ダブルスコープの増担保規制が通知され、
2022年6月29日の取引分から、増担保規制が開始されました。
● 規制終了は
2022年9月1日に、ダブルスコープの増担保規制解除が通知され、
2022年9月2日の取引分から、増担保規制が解除されました。
つまり、2022年6月29日~2022年9月1日まで増担保規制の期間でした。
■ 増担保規制の対象銘柄を調べるには
増担保規制の対象銘柄は、確認できるサイトを紹介します。
日本取引所グループサイトのトップページ>マーケット情報>株式関連>信用取引に関する規制等>信用取引に関する規制等が公式の情報です。
また、解除の見込みなども確認できるので、私もこのサイトをよく見ています。
東証の判断で実施された信用規制の対象銘柄に特化したページです。
規制の発動・解除にはいくつかのルールがあり、事前に規制の発動・解除ラインを計算しておくことである程度は予測可能ですので、その手助けとなる情報を掲載しています。
増担保規制解除履歴のリンクから、解除の履歴も確認できます。
なお、
ましたん速報! 増担保規制解除ライン&近日増担になるラインを速報します
というサイトも、増担保規制|株式@hayauma.net
も同内容情報が記載されています。
ましたん速報!のサイトは、
ましたん速報 解除ライン&増担入り予報 (@stockprayer) / Twitter
というTwitterのアカウントもあります。
証券会社のサイトでも確認できます。
私の利用しているSBI証券では
といったサイトもありますが、個別銘柄の信用取引画面で、対象銘柄であれば、
取引注意情報のリンクも表示されます。
トップメニューから画面推移はわからないのですが、サイト内検索で、「本日の注意銘柄」と検索できます。
■ そもそも増担保規制とは
「増担保規制とは」でネットで検索すれば、いろいろな解説記事がでています。
一言で言うと、信用取引の担保を増やすことです。
私なりに、わかりやすく、5W1Hの方法で、どんな規制か説明したいと思います。
※5W1Hは、Who(誰が)、Where(どこで)、What(何を)、When(いつ)、Why(何故)、How(どのように)のポイントに沿って、物事を説明する方法です。
● Who:誰が誰にという観点でまとめます。
東京証券取引所(日本証券金融会社)が、信用取引を提供している証券会社に対して、規制します。
実際には、日本証券金融会社の貸株、融資を利用して、証券会社が信用取引を提供しているので、東京証券取引所を日本証券金融会社に置き換えることも可能です。
証券会社は、新規に信用取引をする人に対して、規制します。
あくまで、規制期間に新規に信用買い、信用売りをした人が対象です。規制開始前に信用の売建て、買建てを保有している人は対象外、つまり、増担保だからといって、追加の担保が必要となることはありません。
● Where・What:信用取引が対象です。
『どこで、なにを』という意味ですが、対象の株式、取引は、東京証券取引所に上場している株式の信用取引が対象です。
● When:増担保規制開始して、解除されるまでです。
注意点としては、増担保規制の開始、解除が決定、通知された日の翌日の取引から対象になります。
開始(発動)の基準、解除の基準は、
の解説がよくまとまっています。
開始(発動)の基準、解除の基準以外も、私の解説より、このサイトの方がわかりやすく、まとまっているかもしれません。
このサイトを最初から知っていれば、このブログの内容も大きく変わってました。
▼開始(発動)の基準
ポイントは『いずれかの条件に該当』であり、残高基準の信用売りの基準だけでも該当すれば、増担保規制が発動されます。
▼解除の基準
ポイントは、5営業日連続して、残高基準と株価基準の両方を満たす必要があります。
のサイトでは、どの基準で発動され、現代の解除基準の達成状況を確認できます。
● Why:理由は、信用取引が過度だからです。
信用取引の多く株価が急激に上下した、上下する銘柄は、変動が激しく、投資家のリスクが大きくなります。
信用取引で過熱感のある銘柄に増担保規制をかけ、取引を抑制するためです。
信用取引に係る委託保証金の率の引上げ措置等に関するガイドライン
では、
株式会社東京証券取引所(以下「当取引所」という。)は、個別銘柄に係る信用取引の利用が過度であると認める場合には、以下のガイドラインに基づき、当該銘柄の信用取引に係る委託保証金の率の引上げ措置等を実施する。
とあります。
『過度である』というのが『信用取引が多すぎて、株価の変動が激しい』という意味と考えられます。
● How:信用取引の担保を増やします。
通常であれば、委託保証金率30%(現金保証金分は0円でも可)ですが、信用取引がどの程度、過度かによって、第1次措置から始まり、最終的に第4次措置まであります。
第1次措置 委託保証金率50%(うち、現金保証金分20%)
第2次措置 委託保証金率70%(うち、現金保証金分40%)
第3次措置 委託保証金率90%(うち、現金保証金分60%)
第4次措置 新規の信用買い禁止
また、証券会社によっては、増担保規制が発動される銘柄は、過度の信用取引を抑制するために、信用取引委託保証金の代用有価証券の掛け目を80%から50%にする代用掛け目規制も行われるようです。
私が取引しているSBI証券は、
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ダブル・スコープ 6619 売建/買建 制度/一般/日計り 代用掛目規制
・50%(2020/9/30以降)
-----------
と2年近く、ダブルスコープの代用掛け目規制がおこなれています。
通常であれば前日終値(終値が無い場合は気配値)の80%が信用取引委託保証金ですが、ダブルスコープの場合は、これが50%を掛けて信用委託保証金となります。
例えば、1000万円分のダブルスコープの株をもっていても、通常であれば、800万円として評価されるが、500万円しか委託保証金として評価されなくなります。
掛け目の変更は、新規に購入した株式でなく、既に保有分の株式も実施されます。
■ 増担保規制の具体的な例
例えば、ダブルスコープを信用買いする場合、
通常であれば、300万円現物株式があれば、委託保証金は300万円×80%=240万円となります。
信用取引では30%以上の委託保証金が必要ですから、240万円 ÷ 30% = 800万円まで信用取引ができます。
もし、増担保規制で委託保証金率50%(うち、現金保証金分20%)となった場合、
800万円の信用取引するには、400万円の委託保証金が必要です。
240万円の委託保証金(300万円の現物株式)で不足で、
400万円の委託保証金(400万円の現物株式と現金80万円)が必要になります。
現金保証分20%が必要なのもポイントです。
この20%、例でいうと80万円は、委託保証金現金として、証券会社に預入が強制(拘束)されます。
例えば、100万円現金を預け入れていても、20万円しか自由に引き出し、買付できないということです。
増し担保規制が解除されれば、この80万円は委託保証金現金から、通常の預け入れた現金になります。
今日はあきさんみたいな人が多そう。
— 令和の未来カエル (@chanmabou) 2022年9月1日
臨時ボーナスみたいな話ですね。 https://t.co/wjtav1j9lG
増えた現金と信用買い余力で、増し担保規制の対象の株式をさらに現物買いか信用買い問わず、買う人もいると思います。
■ 増担保規制が株価に与える影響
増担保規制が株価に与える影響がわかりやすく解説されています。
3-1.増担保規制にかかったとき
増担保規制がかかると、信用取引に必要な資金が大きくなるので、新しく信用買いする人が減ります。買い圧力が弱くなるので、基本的には株価の上昇が止まったり、株価が下がったりします。
3-2.増担保規制が解除されたとき
増担保規制が解除されるのは、「信用取引による過熱感がなくなった」からです。そのため、増担保規制が解除されたあと、基本的には株価は横ばい、もしくは下がっていきます。
過熱感を押させるため、増担保規制開始したら、株価は上がらない、過熱感がなくなったら、増担保規制も終了し、株価は上がらない(上昇の勢いがなくなる)という話です。
には
一般的に、増担保規制に指定された銘柄は、信用取引に必要な資金が大きくなることで新規の買いが入りづらくなります。そのため、増担保規制をきっかけに株価が値下がりすることは珍しくありません。一方、増担保規制が解除された銘柄には、新規の買いが増え、株価が上昇するケースも見受けられます。もちろん、株価の変動理由は多岐にわたりますので、実際に投資する場合には、様々な角度からの検証が必要です。
といった解説もあります。
増担保規制開始したら株価は上がらない、増担保規制も終了したら株価は上がるかもという見方もできます。
結局、株価を形成する一要因であり、かつ、増担保規制の開始も終了もある程度、予見できるため、その予見も受けて、株価が決定されています。
そのため、増担保規制で開始、解除というイベントで株価が大きく動くこともなさそうです。
■ ダブル・スコープの場合は
2022年5月12日 838円 の時に、
1Q決算、SBI証券との株式先物価格契約、株価コミットメント型ストックオプション発行の開示があり、同じタイミングで、SBI証券が独自で実施していた増担保規制(2年弱実施)を解除しました。
5月13日 988円 ストップ高
5月16日 1,036円
5月17日 1,110円
とその後、株価は大きく上昇し、6月27日終値2,228円と2,2カ月弱で100%以上、1,000円以上、上昇しました。
SBI証券独自の増担保規制解除が株価上昇の主要因でなく、1Q決算の内容やダブルスコープの事業に関する良好な市場環境がその主要因だと思われます。
2022年6月28日に、ダブルスコープの増担保規制が通知され、
2022年6月29日の取引分から、増担保規制が開始されました。
2022年9月1日に、ダブルスコープの増担保規制解除が通知され、
2022年9月2日の取引分から、増担保規制が解除されました。
6月28日 2,197円 ⇒増担保規制開始前日
6月29日 2268円(+71円 +3.23%) ⇒増担保規制開始
7月11日 1,610円(-587円 -26.72%) ⇒7月の終値ベースの安値
7月26日 1,994円(-203円 -9.24%) ⇒7月の終値ベースの高値
8月11日 1,846円(-351円 -15.98%) ⇒8月の終値ベースの安値
8月16日 2,450円(+253円 +11.52%) ⇒8月の終値ベースの高値
9月 1日 2,352円(+155円 +7.06%) ⇒増担保規制解除前日
9月2日 2,479円(+282円 +12.84%) ⇒増担保規制解除初日
()は規制前の6月28日株価と比較です。
増担保規制中に2週間ほど株価は低迷、下落しましたが、2週間ほどで規制前の株価まで戻り、規制前の株価を超えて、大きく上昇しています。
短期的には株価に影響するかもしれませんが、2週間から4週間ぐらいで影響もなくなように思えます。
増担保規制解除初日に9月2日に前日比 +127円 +5.4%と大きく上昇していますが、増担保規制解除がきっかけであれば、それはすでに折込まれた内容といえます。それため、大きく上昇はしないと思います。
もし、大きく上昇することが確実であれば、9月2日はストップ高(+500円)まではいかなくても、もっと上昇していたと思います。
■ 他の銘柄は
今年(2022年)、増担保規制が解除された銘柄の株価の動きを5社ほど見てみました。
今年だけで60社ほど増担保規制解除銘柄がありますが、たまたま、私が社名ぐらい知っている会社を選んだ程度で、サンプルとしてはあまり意味がなく、統計的にも意味はない点は、ご留意ください。
7707 プレシジョン・システム・サイエンス(PSS)
7月29日(解除前日)715円⇒8月1日(解除日)674円⇒9月2日(現在)475円
4169 ENECHANGE
7月22日(解除前日)1,431円⇒7月25日(解除日)1,566円 ⇒ 9月2日(現在) 1,033円
2437 Shinwa Wise Holdings
7月13日(解除前日)972円⇒7月14日(解除日)1,122円 ⇒ 9月2日(現在) 921円
8202 ラオックス
6月23日(解除前日)280円⇒6月24日(解除日)305円 ⇒ 9月2日(現在) 273円
7066 ピアズ
5月9日(解除前日)914円⇒5月10日(解除日)1,064円 ⇒ 9月2日(現在) 811円
解除日に、PSS以外は上昇していますが、5社ともに解除前日より、直近の株価は安くなっています。
過熱感がなくなったら、増担保規制も終了し、株価は上がらない(上昇の勢いがなくなる)
と言えそうです。
■信用取引の利点(本の紹介も・Amazon半額キャンペーン中も)
『新取引ルール対応 信用取引の基本と儲け方ズバリ! | 福永 博之 著| 』のKindle版も、現在、キャンペーン中(9月8日木曜日23時59分まで)でほぼ半額(1,980円⇒899円)です。
信用取引の利点は、
レバレッジ(てこの原理)を利かせて、ハイリスク、ハイリターンが狙える点です。
その他にも、
●証券会社によっては、手数料が現物より安い場合がある。
●株主総会議決権行使書、配当通知などの郵送物がない(開封、処分の手間がない、また、家族に知られたくない人がいればメリットです)。
●買いの場合は金利も発生するので、期限を意識した取引、損切も積極的にできる。
とメリットがあります。
信用売りは、リスクが高いのでおすすできませんが、多少レバレッジで信用で多めに買うのは、一般の個人投資家でも、信用買いは、取引の選択肢として考慮してもいいと思います。
『新取引ルール対応 信用取引の基本と儲け方ズバリ! | 福永 博之 著| 』
は、アマゾンのレビューコメントに
「信用取引は、現物取引と比べても売買そのものの必要スキルは大して変わりません。覚えるべきはその仕組みだと思います。その仕組みを学ぶには本書はかなりの良書と思います。」
「信用取引を始める前には必読だと思う。読めば勝てるようになるコツは載ってないが、読まずに取引するのは危険。」
とあるように、信用取引の仕組み、用語など基本を理解して、リスクを小さくしたい人には、私もおすすめできる良書です。
『2030 中国自動車強国への戦略 世界を席巻するメガEVメーカーの誕生 (日本経済新聞出版)』と『電池の覇者』と『勝ってる投資家はみんな知っているチャート分析』のKindle版も、現在、キャンペーン中(9月8日木曜日23時59分まで)でほぼ半額です。
決算やダブル・スコープに興味を持った方が興味がありそうな本をいくつか紹介します。
著者の佐藤 登氏は、本田技研工業入社、本田技術研究所基礎研究部門で、電気自動車用の電池研究開発部門のチーフエンジニアを経て、2004年に韓国サムスンSDIに常務として移籍。中央研究所と経営戦略部門で技術経営を担当された方です。
ダブルスコープのサムスンSIDへの売上比率は2019年 48%、2020年 77%と上昇しており、ダブルスコープはサムスンSDIのセパレーター部門のようになっています。サムスンSDIの常務を務めた佐藤登氏の著者は示唆に富むことが多いでしょう。
Rakuten-楽天
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