『NHKはなぜ金持ちなのか?』

  NHKはなぜ金持ちなのか?

NHKはなぜ金持ちなのか?』 (双葉新書) 新書 – 2014/4/2小田桐 誠 (著)という本を読みました。

なぜ金持ちかというと、受信料積算の根拠は総括原価方式で、原価つまりコストが先に決まり、そのコストは受信料が決まるからというものでした。

 その原価、コストは、高額な制作費、人件費、関連会社への委託費、建設積立金、技術開発支出から成り立ち、どれもNHK内部で勝手に決めており、委託費は関連会社の利益供与のための経費、建設積立金は経費というより貯金に近い性格だからということです。

なお、人件費は、NHKは他の民放より低いと主張していましが、時間外手当や職員厚生費(職員住宅や保養所で利用)を含めるとは低いともいえず、実際のNHK職員の声として、「民間と比べて残業代の制限もなく、手当や年金も含めると民放より恵まれている。」という意見の紹介がありました。

 

事業所契約のNHKの現実的な対応

 事業所契約でNHKは100室のホテルでは、100室分の契約・支払が必要だが、30件、40件支払ってもらうことで、結果的に割引になるケースが多いことに関して、

営業局(計画)担当部長の渡辺吏の証言

『決して割引しているわけではないありません。私たちは100の契約を要求していますが、30件分の契約書しか提出されない場合は、拒否して契約しないのは現実的な対応でないので、契約している』とのことです。

放送法64条※は強行規定で契約で変更できない法律上の義務ですが、事業所契約では、NHKは契約の自由、契約内容決定の自由を認めているということです。

一般の人の世帯契約でも、国民の現実的な対応として、契約の自由、契約内容決定の自由を認めてほしいですね。

NHKは、受信設備設置日については、NHKは契約の自由、契約内容決定の自由を認めているようですが。

 

放送法-------------------------------------------

六十四条  協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。第百二十六条第一項において同じ。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。
2  協会は、あらかじめ、総務大臣の認可を受けた基準によるのでなければ、前項本文の規定により契約を締結した者から徴収する受信料を免除してはならない。

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2009年の数字で、契約率77%、支払率72%という数字が公表されていました。

収納率は主にNHK内部で利用される数字とのことで記載はなかったです。

NHKから国民を守る党の立花孝志氏は、この契約率77%、支払率72%という数字は事業所契約の数字を高くすることで、実際より、高い数字となっていると指摘しています。

著者のNHK改革私案

 著者はNHK改革の私案として、NHK受信料義務化を認め

 ① 受信料の支払留保権:一定期間、NHKの抗議として、支払を留保できる権利

 ② 受信契約者の予算、事業、経営計画への意見表明権

 ③ 経営委員の推薦権、選挙権

を与え、NHK受信契約者が積極的にNHKの放送、経営に参画することで、より国民の支持を得やすい公共放送が実現できると主張していますが、私は反対です。

 

著者の改革私案に反対の理由と自分の改革私案  

NHKは国会、政治家の監視でなく、視聴者が監視できるようにするべし。株式会社と株主総会NHKと視聴者のような関係になるべき。」というの著者の主張で、
NewsBAR橋下というネットTV番組で、2019年8月の放送で橋下徹氏も主張していた。

自分が反対の理由は
 最高裁判所の裁判官の国民審査、生命保険相互会社と契約者の関係のように、NHKは、NHK内部の都度のいい視聴者を代表に選任して、都合のいい経営をする可能性が高いからです。
 なお、NHKスクランブル化反対の人は、『国の監視監督を緩め、視聴者の監視監督を強化する』制度を提案してくると予想するが、これは、NHKが今まで以上に、内部統制、ガバナンスが機能しなくなり、今まで以上に、違法、非倫理的な営業行為、偏向的な放送が多発すると思います(まさに泥棒に追い銭)。
 特に心配なのは、いわゆる反日左翼といった市民活動家と言われる偏向した人が、視聴者の代表としてもぐりこむことで、より偏向が進み、新たな既得権益が生まれる可能性があります。


NHKは、防災、報道、教育に特化した国営に近い必要な最低限な国営に近い公共放送と、広告料、視聴料を原資とした民間放送に分割すべきというのが最近の自分の意見(自分の改革私案)です。

最低限必要な公共放送(国営に近い、防災、報道、教育に特化)は、8000億円近い内部留保、預金や、膨大な不動産、その含み益を運用し、民放化したNHKから設備の貸与料をとれば、それを原資に無料で運営できる。仮にできなければ、税金、公費を支出してもいいと考えます。

 

 

改めて、本の紹介です。

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NHKはなぜ金持ちなのか? (双葉新書) 新書 – 2014/4/2

内容紹介

新会長の問題発言、受信料義務化への動き、政権による国策放送局化……いまNHKが揺れている。
そもそも6000億以上の受信料はいったいどこへ消えているのか。問われ続ける巨大放送局の実態を抉る。

内容(「BOOK」データベースより)

政権の意向によるNHK会長人事、そして直後の問題発言。揺れ動く“国策放送局”は、様々な矛盾を抱えながら受信料義務化へ向かってまっしぐらに進んでいる。そもそも6300億円以上もの受信料は、いったいどこへ消えているのか。そのあまりに巨大な“ブラックボックス”の実態を抉る。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

小田桐/誠
1953年、青森県生まれ。出版社勤務を経てフリージャーナリストに。2004年から4年間、放送専門誌『GALAC』編集長を務め、現在法政大学及び武蔵大学社会学部兼任講師。BPO(放送倫理・番組向上機構)「放送と青少年に関する委員会」委員、NPO法人放送批評懇談会常務理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

以上です。