『歴史は「べき乗則」で動く』 を読んで 第12章 科学は地続きに「進歩」するのではない

『歴史は「べき乗則」で動く』 は難解な本だったので、一章ずつ、要約や感想を書いています。

 今回は、『科学は地続きに「進歩」するのではない。』というタイトルの章に関する話です。物理、自然、金融市場、都市(人がどこに居住するか)といった、一人一人の個人の自由意志が働らかない世界、働く世界どちらでも、べき乗則が働く。ということでしたが、科学の進歩のも、べき乗則が働くかという話です。

 

第12章 科学は地続きに「進歩」するのではない。

 

 結論から言うと、科学の世界でも、べき乗則が働くということです

 科学の中心的事業は、より学ぶこと、学説のネットワークをより密で完全にすることです。しかし、この学説のネットワークが密で完全になものになればなるほど、複数の優れた学説に矛盾が発生したり、このネットワークに空いた場所、今までの科学でどれだけ努力しても解明できない場所がでてきて、科学にパラダイムシフトと呼ばれるような大きな進歩が起こるという話です。

 科学史家のトーマス・クーンは、学説のネットワークをより密で完全にすることを「通常科学」と呼んでいます。そして、既存の科学にパラダイムシフトと呼ばれるような大きな進歩、変化を与える科学を「通常でない科学」と呼んでいます。

そして、「通常科学」は、形が決まった融通の利かない箱の中に、現象を押し込もうとする試みで、箱に入らない現象は、無視されることが多く、「通常でない科学」が無視された現象に光をあてて、大きな進歩をぽたらす。とクーンは主張しているのです。

 我々が普段、科学、科学的と呼んでいるのは、あくまで「通常科学」であって、「通常科学」では無視されている科学的事象もあるということですね。

 

第13章以降は、次のブログで記載します。

 

本の紹介 

歴史は「べき乗則」で動く――種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ) (日本語) 文庫 – 2009/8/25
マーク・ブキャナン (著), Mark Buchanan (原著), 水谷 淳 (翻訳)

 

chanmabo.hatenablog.com

 

以 上