リアル半沢直樹からリアル中野渡頭取に。西川善文氏が三井住友銀行の初代頭取に。

 


に続けて、

リアル半沢直樹 西川善文<にしかわ・よしふみ>氏の活躍、活躍というより苦闘という表現があっているかも、その苦闘を紹介します。

どんな活躍をしたのか、彼の回顧録

ザ・ラストバンカー 西川善文回顧録

に従って、紹介しています。 

 

今回は、『第四章 不良債権と寝た男』の中の、西川氏が住友銀行さくら銀行の合併を進め、三井住友銀行の誕生させ、三井住友銀行の初代頭取に就任する際の話を紹介します。半沢直樹が中野渡頭取的なポジションにますますなっていく話です。

 

どちらの道を進むべきか

 住友銀行の頭取に就任して2年後の1999年に、西川氏は、さくら銀行の頭取と内々に合併の相談をしているなか
「第一勧銀行、富士、興銀の合併でメガバンク(現みずほ銀行)ができるが、これに次ぐ統合の動きは必ず出てくるだろう。その中で当行は小粒でもピリリと辛い銀行で行くのか、あるいはどこかと統合して規模の拡大によって効率化を進めるのか、どちらの道を歩むべきか」という問題提起を住友銀行内でして、合併への調整、意見集約を進めました。

ドラマの中で中野渡頭取が言いそうなセリフですね。


三井住友銀行の初代頭取に就任

  2001年に三井住友銀行は、さくら銀行住友銀行が合併し、成立しました。
2002年に東京中央銀行半沢直樹の勤務先)は、産業中央銀行と東京第一銀行が合併し成立しました。
なお、さくら銀行の前の銀行名、太陽神戸三井銀行という名前が象徴するように、さくら銀行は以下の系譜のように、多くの銀行が合併しできた銀行でした。

 

三井住友銀行の系譜

三井住友銀行の系譜

 

さくら住友銀行という行名でなく、三井住友銀行という行名にこだわったの、住友銀行側のようです。300年の歴史のある住友のブランドの重さを考えると、さくら住友銀行でなく、三井住友銀行という、国際的なブランドにもなっている三井、住友の二つ名前を冠する銀行名にしたかったようです。
なお、三井住友銀行の英語表記:Sumitomo Mitsui Banking Corporation 略称:SMBC)で、Sumitomoが先にありますが、海外業務では、住友銀行が強く、その影響があったそうです。

さくら銀行より住友銀行の方が経営体力が強く、さくら銀行の救済のための合併とも評される人もいました。
そんな中、西川氏は、住友三井銀行でなく、三井住友銀行と、三井を前にすることは、どうでもいいことだったそうで、こだわりはなかったそうです。

2001年4月にさくら銀行住友銀行は合併し、三井住友銀行が発足し、西川氏(当時63歳)は三井住友銀行の初代頭取となりました。


行内融和より財務体質の強化

 半沢直樹の世界では、取締役初め主要経営陣は、合併前の二つの銀行から続投で採用しており、旧東京第一の経営陣と、旧産業中央の経営陣で派閥を構成し対立し、中野渡頭取の最優先課題は行内融和でした。
 三井住友銀行の西川頭取の場合は、旧住友銀行の主導による支店などの組織の統廃合などのリストラによる収益力の向上、自己資本増強による不良債権処理に耐え得る財務体質の強化だったようです。
 その辺の話を次のブログで取り上げますが、金融担当大臣 竹中平蔵の国有化も辞さない強硬路線との対立し、三井住友銀行を守っていく姿は、さながら、金融庁検査官 黒崎の執拗な検査と戦う半沢直樹の姿のようです。

 

 ちなみに、半沢直樹 1 オレたちバブル入行組 (講談社文庫) もKindleunlimited で無料で見れますので(2020年9月30日現在)、本を買うよりお得かもしれません。

 

本の紹介

ザ・ラストバンカー 西川善文回顧録 西川 善文(著) 2011年10月初版

 

 

 

著者について
西川 善文<にしかわ・よしふみ>
三井住友銀行頭取、前日本郵政社長。1938年奈良県生まれ。1961年大阪大学法学部卒業後、住友銀行に入行。大正区支店、本店調査部、融資第三部長、取締役企画部長、常務企画部長、専務等を経て、1997年に58歳の若さで頭取に就任し8年間務める。2006年1月に民営化された日本郵政の社長に就任するも、政権交代郵政民営化が後退したため2009年に退任。現在は三井住友銀行最高顧問。

 

内容(「BOOK」データベースより)
私は悪役とされることが多かった―。顔が見える最後の頭取=ザ・ラストバンカーと呼ばれた著者が綴った、あまりに率直な肉声!安宅産業処理、平和相銀・イトマン事件、磯田一郎追放、銀行大合併、UFJ争奪戦、小泉・竹中郵政改革。現場にいたのは、いつもこの男だった。密室の出来事すべてを明かす! 

 

逃げたらあかん!
不良債権と寝た男」、死に物狂いの仕事人生

安宅産業処理、平和相銀・イトマン事件、磯田一郎追放劇、銀行大合併、UFJ争奪戦、小泉・竹中郵政改革……。現場にいたのは、いつもこの男・西川善文だった。「最後の頭取」=ザ・ラストバンカーと呼ばれた著者が綴った、あまりに率直な肉声!

マスコミ報道の騒乱の中で失われた金融史のミッシングリングを埋める。

<目次>
◎第一章 バンカー西川の誕生 ◎第二章 宿命の安宅産業 ◎第三章 磯田一郎の時代
◎第四章 不良債権と寝た男 ◎第五章 トップダウンとスピード感 ◎第六章 日本郵政社長の苦闘 ◎第七章 裏切りの郵政民営化

以上です。

 

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ザ・ラストバンカー 西川善文回顧録

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