『クラッシャー上司 平気で部下を追い詰める人たち』を読んで

 クラッシャー上司 平気で部下を追い詰める人たち (PHP新書)

を読むと『自分もクラッシャー上司にならないように気を付けたい』と自戒したくなりました。上司でもなく、クラッシャーとなることはあるので、クラッシャーの加害者としてなることも誰も注意が必要ですね。

 

また、仮にクラッシャー上司の被害者となったときも、それほど自分を責めない方がいいこと、クラッシャー上司にはそれほど悪意がないことがわかります。

 

クラッシャーの加害者にも、被害者になりえるので、その対策がわかる本です。
クラッシャーは一種の病気、被害者となった場合も、クラッシャーや自分をあまり責めないほうがいいですね。。

 

■クラッシャー対策を!

 クラッシャー対策は、企業のイノベーションに必要で、企業の成長のために、
組織的な対策が必要だと感じました

   ただ、クラッシャーと呼ばれる人は、軽い精神障害の可能性もあり、本人はそれほど深刻に考えれおらず、その対策は、人事的な制度より、医学的治療が必要なのかもしれないと思いました。

 クラッシャー、その被害者の心のケアは、ネガティブな理由の退職者、休職者の抑止、生産性の向上にもつながるので、その意味でも組織的な対策が必要でしょう。

 

 

■要点などを記載します

 有益な本と感じたので、章ごとに要点など記載しますので、参考になる方がいれば嬉しいです。

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はじめに
 著者の経験から、クラッシャー上司は、一部上場企業の役員でも数名いる。
クラッシャー上司は、部下をつぶす上司だが、日本の組織に顕著な事象である。

第一章 いったい彼らはなにものか クラッシャー上司の実態
特徴は、自分が正しい絶対的な自信と他人への共感性の欠落
以下の事例が過去にあった。
 仕事では人の共感性がない人
 褒める力がない
 異常なこだわり、悪い完璧主義
 自信がない。部下が謙虚に支援しても、自分を見くだしていると思う。
理不尽な指導、ハラスメントは、ダメなものはダメ、個人が耐えていたら、会社がよくならない。

第二章 いったい彼らはなにものなのか、クラッシャーの精神構造
 安易な幼児的な、根拠のない万能感、万能感は簡単に言うと自分の思い通りならないと気がすまないこと
歪んだ自己愛、現状を認められない心理で、仕事のモチベーションにもなるが、
目標のために手段を択ばない冷酷さにつながる。
未熟型うつと共通点があるが、未熟型うつは、仕事ができない人に多いが、クラッシャー上司は仕事ができる人に多い。

第三章 クラッシャーを生む日本の会社 滅私奉公時代の終わり
 クラッシャー上司対策に真剣なのは、イノベーションを必要としている組織で、
 クラッシャー上司が部下の芽をつぶすことが、イノベーションがでない理由になるからである。
 雇用スタイルで日本はメンバーシップ型、欧米はジョブ型である。
前者は、組織の構成員であることが重視され、職務内容は不明確、後者は、職務内容が明確で、理不尽な仕事は後者であれば、断りやすい。
また、欧米でクラッシャー上司の被害があったら、部下はその会社を退職して訴える。
メンバーシップ型は、人の仕事に協力する気持ちが強くなるいい面がもある。
マズローのモチベーション理論で
生存⇒安定⇒所属⇒承認
の安定が、日本の会社でなくなり、所属や承認の社員の欲求が減った。

第四章 クラッシャー対策 その暴力から身を守るために
以下が対策で有益である。
GPR:Generalized Resistance Resources  汎用的な抵抗するための資源
チーム編成、予算、福利厚生、顧客の支持、CSR(Coporate Social Resoponsibility)企業の社会的責任
特にCSRは、大事で、従業員、取引先、株主、地域社会など多くの関係者と良好な関係を保つことが、クラッシャー上司を生み出さない公正な企業文化になる。
有意味感:悪いことにも意味があり、心に余裕があること
全体把握感:時系列で、過去、将来をみて、現状に過度に悲観、楽観しないこと
経験的処理可能感:自分の限界を知り、適切な支援を求めること。
クラッシャー対策の具体的なマニュアル対策。例:30分以上個室での雪隠つめの場合は、部下は、適当な理由をつけて、退室するなど。
自分の限界を知って、周りに相談すること
ストレス反応、うつの症状は、億劫感と認知のゆがみです。
億劫感は、出社で家を出るのが億劫、部屋を掃除するのが億劫、人と会うのが億劫という症状、認知のゆがみは、気が短くなる、些細なことで怒りを感じるなどの症状となる。
うつの予防は、休息、睡眠、食事が大事で、休暇を取って、仕事のよくないパターンを崩すことも考える。
おかしいことをおかしい、間違っていることは間違っていると正しい主張を繰り返しても、上が変わらない場合は、組織を見限るタイミングかもしれない。

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■改めて本の紹介です。

クラッシャー上司 平気で部下を追い詰める人たち (PHP新書)

松崎 一葉 (著) 2017年1月初版

 

内容紹介
「俺はね、(部下を)5人潰して役員になったんだよ」。大手某社に精神科産業医である著者が招かれた際、その会社の常務が言い放った言葉である。このように部下を精神的に潰しながらどんどん出世していく人たちのことを、精神科医牛島定信氏と彼の教え子である著者は「クラッシャー上司」と名付けた。彼らには「自分は善である」という確信があり、他人への共感性は決定的に欠如している。精神的に未熟な「デキるやつ」なのだ。
本書では著者が豊富な経験に基づいてクラッシャー上司の具体例を紹介。ネチネチ論理的に責める男、部下が憔悴しきっていることに気づかない鈍感男、家庭まで壊してしまう男……。さらに部下の心を攻撃する本当の理由や、「我が身可愛さで公に尽くさないことは恥である」とする日本人に特徴的な精神構造など、クラッシャー上司を生み出す要因を分析。そして最終章で、会社と部下にとっての最善の対策を提案する。
――本書には「クラッシャー上司」を流行語にしないための本質的なアイディアが詰まっている。(斎藤環[精神科医])

内容(「BOOK」データベースより)
「俺はね、(部下を)5人潰して役員になったんだよ」。大手某社に産業医である著者が招かれた際、その会社の常務が言い放った言葉である。このように部下を精神的に潰しながらどんどん出世していく人たちのことを、精神科医牛島定信氏と彼の教え子である著者は「クラッシャー上司」と名付けた。クラッシャー上司には「自分は善である」という確信があり、他人への共感性が決定的に欠如している。精神的に未熟な「デキるやつ」なのだ。本書では著者が豊富な経験に基づいてクラッシャー上司の具体例を紹介。さらに精神構造、社会背景を分析し、最終章で対策を述べる。

著者について
医学博士、筑波大学医学医療系教授

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
松崎/一葉
筑波大学医学医療系産業精神医学・宇宙医学グループ教授。1960年茨城県生まれ。1989年筑波大学大学院博士課程修了。医学博士。産業精神医学・宇宙航空精神医学が専門。官公庁、上場企業から中小企業まで、数多くの組織で精神科産業医として活躍。またJAXA客員研究員として、宇宙飛行士の資質と長期閉鎖空間でのサポートについても研究している。「クラッシャー上司」の命名者の一人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

 

以 上 です。