「日本の人事を科学する 因果推論に基づくデータ活用」を読んで(なぜ人事データの活用が必要か)

 「日本の人事を科学する 因果推論に基づくデータ活用」という本を読みました。

 

発売日: 2017/06/15。働き方改革の実行や、女性管理職の育成、労働生産性アップ、ストレスチェックなど、人事部門は、様々な課題について現状を正確に把握し、数値目標を立てて改善に取り組まねばならなくなった。本書は、多くの日本企業が抱えるこれらの人事上の課題を、データを使ってどのようなに分析し、活用すればよいのかを解説。女性活躍支援、働き方改革、採用、管理職評価、離職対策、高齢者雇用―問題点と解決策をデータで明らかに。戦略的人事設計の必読書。


本書は経済産業研究所におけるプロジェクトの研究成果、および株式会社ワークスアプリケーションズ(現ワークスヒューマンインテリジェンス)との共同開催した人事情報活用研究会における分析結果の成果を、実務家、学習者向けに、実践的にまとめたものです。

 

著者の大湾 秀雄(おおわん ひでお)氏は、1986年、東京大学理学部数学科卒業、野村総合研究所入所。1999年スタンフォード大学経営大学院博士課程修了(Ph.D.).ワシントン大学ビジネススクール助教授、青山学院大学教授などを経て、東京大学社会科学研究所教授。経済産業研究所ファカルティーフェローという経歴の方です。

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第1章 なぜ人事データの活用が必要か
第2章 統計的センスを身につける
第3章 女性活躍推進施策の効果をどう測ったら良いか。
第4章 働き方改革がなぜ必要か、どのように効果を測ったら良いか
第5章 採用施策は、うまくいっているのか
第6章 優秀な社員の定着率をあげるためには何が必要か
第7章 中間管理職の貢献をどう計測したら良いか
第8章 高齢化に対応した長期的施策を今から考えよう
第9章 人事におけるデータ活用はどう発展するか

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といった目次の構成です。

データの活用、人材の活用、働き方の改善、生産性の向上などは、その組織でも求められることです。ただ、『データの活用をして人材の活用、働き方の改善を図り、生産性をを向上させる。』実現できている組織は少ないように思えます。

 

日本の人事を科学する 因果推論に基づくデータ活用」は、

『データの活用をして人材の活用、働き方の改善を図り、生産性をを向上させる。』ために、実際にどんなことができるのか実践的な事例や示唆に富む内容の本です。

■なぜ人事データの活用が必要か。グーグル(Google)の例

 

第1章は、『なぜ人事データの活用が必要か。』というタイトルです。

人事データの活用の見本として、グーグル(Google)社と紹介してます。
米フォーチュン誌2017年発表では、最も働きやすい企業100社で、グーグルは6年連続の一位で、グーグル(Google)社は、独自の人事政策で、社員が能力を発揮しやすい環境を用意して成長した組織として著名です。 

 

 グーグル(Google)社の人事データ活用の一例として、採用面接の改善例が記載されています。グーグルは人材の採用を重要視して、採用面接は、一時期は、16回から25回も実施されていたそうです。

 しかし、面接者の数と選別の精度、つまり、5人目以降の面接に、採用の予測精度は1%しか影響与えないことが、データの統計的分析から発覚し、最適な面接者の数は4人であることを示され、面接の回数を大幅に減らしました。その結果、採用に費やす時間が短縮され、応募者の評判も大きく改善したそうです。

 

  グーグル(Google)社のデータを多くの社員と共有することで、データを活用しています。公平な昇進が行われているという信頼感を醸成するために、
 〇上司が誰だったか
 〇担当する製品は何だったか。
 〇過去の悪い評価があったかは
 はほとんど昇進に影響を与えないとういデータを社員に共有したそうです。

 

グーグル(Google)社の事例は、Googleの人事トップが著した

『ワーク・ルールズ! ―君の生き方とリーダーシップを変えるといった本で詳しく紹介されています。

 

ワーク・ルールズ! ―君の生き方とリーダーシップを変える

ワーク・ルールズ! ―君の生き方とリーダーシップを変える

  • 作者:ラズロ・ボック
  • 発売日: 2015/07/31

  • Googleはいったいどんな仕組みで動いているのか?誰もが抱くこの疑問に、Googleの人事トップが答えます。21世紀の最強企業をかたちづくる、採用、育成、評価の仕組みをすべて惜しげもなく公開。本書で紹介される哲学と仕組みは、Googleだからできるというものではなく、あらゆる組織に応用できる普遍性を持っています。
    古いやり方で結果を出せと言われて困っているリーダー、古いやり方で評価されてやる気をそがれている若手、もっとクリエイティブに仕事をしたいと思っている人に知ってほしい、未来の働き方とは。いま働いているすべての人、これから働くすべての人に贈る、新しい働き方のバイブルとなる一冊。

 

■具体的にデータを活用するために。

具体的に人事データを活用するために、以下のようなことが求められると著者は述べています。

 ●人事データのデジタル化:システムにデジタル情報として過去の情報が保存されている状態を実現すること。紙の情報であれば、データ活用として、統計的に活用することは難しそうなことは容易に想像できます。
 ●人事データの一元管理:煩雑なデータ集約作業、データを収集することにコストがかかる状態は問題だということです。一つのシステムで全社の人事データを管理するのが望ましいということです。人事データといって幅広く、大きな組織だと、組織、部門ごとに人事データを扱うシステム、データベースが分かれていることがよくあることのようです。

 ●統計リテラシーの高い人間を1人ぐらい人事部に配置すること。著者は、『ハイスペックでなくてもいい。統計を勉強した理系、計量経済学を履修した経済学部出身者など』具体的なスキルを提案しています。

 ●統計ソフト:gretl(グレーテル)という無料のソフトが紹介されていました。
 ●業績指標を増やす努力:業務毎にKPIを考案し、その有効性をチェックすることが大切だそうです。なお、KPI(Key Performance Indicator)は、「ケーピーアイ」と読み、日本語では「重要経営指標」「重要業績指標」などと訳されるもので、人事評価などでも利用さえれる用語、指標です。

 ●問題意識、改善すべき問題点に気づけること。

 

第2章以降の内容などは、気が向いたら、別の機会に紹介したいと思います。

以上です。