給与計算実務能力検定1級のサンプル問題とポイント

 

 

【給与与計算実務能力検定1級のサンプル問題】

 

給与計算実務能力検定1級のサンプル問題は、下記のリンクから確認できます。

 

https://jitsumu-up.jp/cms/wp-content/uploads/2016/08/kentei_kakomon_1kyu_20141109.pdf

 

【給与計算実務能力検定1級のポイント】

給与計算実務能力検定1級は、毎年ほぼ同じ問題がでます。そのため、問題から覚えておくべきポイントを理解しておくと効率的に勉強できます。

2020年11月受験用の模擬試験問題を参考に、

自分の学習用に覚えておくべきポイントをまとめました。

せっかくなので、記載するので参考になる方がいたら嬉しいです。

 

問1 労働基準法における賃金に関する規定について

□ 労働者における賃金とは、「その名称の如何を問わず」、労働の対償(労働の対価)として、使用者が労働者に支払う全てのものをいう。

□ 退職手当(退職金)については、労働基準法において、支払は義務付けられていない。

□ 賞与については、労働基準法において、支払は義務付けれていない。

□ 5分の賃金を30分の遅刻として賃金カットする処理は、25分カットについては、労働基準法24条の賃金の全額払いの原則に反する。
なお、そのような取扱いを就業規則に定める減給の制裁として、同法91条の制裁規定の制限の範囲内で行う場合には、賃金の全額払いの原則に違反しない。
このような通達が発せられていて、労働基準法上、当然に認められていない。

 

労働基準法第24条
(賃金の支払)

第24条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。

(制裁規定の制限)

第91条  
就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

 遅刻・早退についてその時間に比例して賃金を減額することは違法ではないが、遅刻・早退の時間に対する賃金額を超える減給は制裁とみなされ、法第91条の適用を受ける
(昭和63.03.14基発(旧労働省労働基準局長名通達)第150号)。

問2 欠勤控除について
□ 欠勤控除の対象とする給与の範囲は自由であり、予め、当該給与規定において、その範囲を定めておけばよい。

 

問3 年次有給休暇について
□ 一週間の所定労働時間が30時間未満である労働者にも、年次有給休暇を与える必要がある。なお、1週間の所定労働時間が4日以下(週以外の期間で所定労働時間が定められている場合には年間の所定労働時間が216日以下)で、かつ、1週間の所定労働時間が30時間未満である労働者については、比例付与の対象となる。

□ 年次有給休暇の付与日数は、繰り越し分を考慮しない場合、最高で年間20日であるが、この付与日数に到達するのは、6年6カ月間継続勤務で達する。

□ 労働基準法の改正により、2019年4月から、中堅・中小企業を含む全ての企業において、各労働者が有する年10日以上の年次有給休暇のうち年5日については、使用者が時季を指定して各労働者に取得させることが義務付けられた。労働者自ら5日以上の休暇を取得している場合は、使用者から時期指定は不要となる。

□ 使用者は、年次有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならず、賞与の算定対象から年次有給休暇の取得した日数を除くことは、年次有給休暇を取得した労働者に対する不利益な取り扱いにあたり、禁止される。

 

問4 時間単位有給について
□  時間単位有給は一の年度において、「5日以内」に限り適用できる制度である。
□  時間単位有給についても、使用者の時季変更権の対象となるが、労働者が時間単位による取得を請求した場合に時間単位に変更することは、
労働者が日単位による取得を請求した場合に時間単位に変更することは、当該時季変更にあたらず、いずれも認められない。

□ 労使協定により時間単位年休を採用した場合、労働者は少なくとも一定の日数分の時間単位の取得する義務はなく、時間単位を取得するか、日単位を取得するかは労働者の意思で決まる。

□ 時間単位年休における1時間当たりの賃金は、「その会社で取り決めした年次有給休暇の期間中の1日当たりの賃金」を、その日の所定労働時間数を用いて、時給換算した額である。
1日当たりの賃金を平均賃金としなければならないルールはない。

 

問5 労働時間

□ 最高裁判所判例三菱重工業長崎造船所事件)により、労働基準法第32条の労働時間とは、従業員が会社の指揮命令下に置かれている時間をいう。

労働基準法上の労働時間に該当するか否かは、従業員の行為が会社の指揮命令下に置かれたものと評価できるか否かによって客観的に決定されるものであって、労働契約、就業規則労働協約等の定めによって決定されるものではない。

□ 労働契約締結時の絶対的明示事項、就業規則の絶対的必要記載事項には、始業及び就業の時刻など、労働時間に関する事項が含まれており、当然、定めておく必要がある。

□ 休憩時間は、労働者が労働から離れることを保障されていなければならない。したがって、昼休み中に電話や来客対応を命じた時間を、休憩に含めることはできない。

□ 法定休日として、4時間を通し4日以上の休日を与えようとする場合、「就業規則その他これに準じるもの」において、当該4週間の起算日を明らかにしなければならないが、労使協定を締結する必要はない。

□ 36協定の効力の発生要件は、「締結し、かつ、所轄労働基準監督署長へ届け出ること」である。そのため、届出前に、時間外・休日労働を行わせた場合は、労働基準法32条・35条違反となる。

 

問6 1か月単位の変形労働時間制 
□ 労使協定において8時間を超える時間を定めた日に、
その時間を超えて労働させた場合は、時間外労働とされる。

□ 労使協定において8時間を超える時間を定めた日以外に、
その時間を超えて労働させた場合は、時間外労働とされる。

□ 1週間については、
「労使協定において40時間を超える時間を定めた週に、
その時間を超えて労働させた場合、
それ以外の週は40時間を超えて労働(1日について、時間外労働とされた時間を除く)」が、
時間外労働とされる。

□ 変形期間における法定労働時間の総枠を超えて労働させた時間
(1日または1週間について、時間外労働とされた時間を除く。)は、時間外労働とされる。
なお、最終的に、1日、1週間及び変形期間(全体)で把握した時間外労働となる時間を合計する。


問7 フレックスタイム制及び1年単位の変形労働時間制

フレックスタイム制における変形時間(これを清算期間という)は、3カ月以内の期間としなければならない。

□フレックス制を採用した場合でも、「40時間 × 精算期間における暦日数 ÷7」として、清算期間における法定労働時間の総枠を求め、その総枠を超えた時間は時間外労働となる。

□ 1年単位の変形労働時間制を採用した場合は、「1日及び1時間」の両方に労働時間に限度が設けられている。原則として6日が限度。その範囲内で所定の定めをする必要がある。

□ 1年単位の変形労働時間制を採用した場合、連続して労働させることが出来る日数は限度が設けられている。
連続して労働させることができる日数にも限度が設けられている。原則として6日が限度で、その範囲内で所定の定めをする必要がある。なお、対象期間が3カ月を超える場合には、労働日数にも限度が設けられている。

問8 みなし労働時間制

□ みなし労働時間を採用し、
「1日について8時間労働したものとみなす」こととされた労働者が実際には10時間労働した場合も、
その日の労働時間は8時間ということになる。

□ みなし労働時間の3つの規定、
「事業所外労働に見なし労働時間制」、「専門業務型裁量労働制」、「企画業務型裁量労働制
のいずれも、労働時間の算定(労働時間の長さの算定)に関する規定であり、休憩や休日に関する規定、割増賃金に関する規定などの適用を除外するものでhない。

□ 専門業務型裁量労働制は、労使協定に所定の事項を定めることを要件に採用できる。
みなし労働時間制のうち、労使委員会の設定が要件とされるのは、「企画業務型裁量労働制」のみである。

□ 企画業務型裁量労働制は、
労使委員会で所定の事項について決議することを要件に採用できるものである。

問9 時間外上限規定

□ 単月で上限規制違反となるのは、
1カ月間に、法定時間外労働 + 法定休日労働の時間が100時間以上
となる場合である。

 

問10 代休および振替休日

□ 法定休日に労働させた後に代休を与えた場合でも、
その労働させた日について、3割5分以上の割増率で計算した割増賃金の支払いが必要である。

□ 休日の振替とは、あらかじめ休日と定められた日を労働日とし、
その代わりに他の労働日を休日とすることであり、
振替日を事前に特定できないときは、休日の振替にあたらない。

□ 振替休日はあらかじめ労働者と休日を振り返るものであり、法定休日労働の問題は生じないが、振り替えた結果、法定時間外労働の問題が生じることがある。

□ 振替日は、振り替えられた日以降できるだけ近接している日が望ましいとされており、4週4休の法定休日を確保する必要がある。なお、同一週内としなければならない要件はない。

 

問11 管理監督者の例外
労働基準法の「監督若しくは管理の地位にある者」などの労働基準法41条に該当する者にも、労働基準法年次有給休暇の規定は適用される。

労働基準法の「監督若しくは管理の地位にある者」などの労働基準法41条に該当する者には、休憩、休日、労働時間の規定は
適用されない。

 

問12 平均賃金
□ 法定の休日における労働に関する割増賃金の額は、「通常の賃金 × 休日労働に関する割増率(3割5分以上)」である。
□ 制裁規定の制限の規定における1回あたりの制裁額の限度は、「平均賃金の1日分の半額」である。
□ 解雇予告手当の額は、即時回顧の場合派、「平均賃金×100分の60」
□ 休業手当の額は、1日につき、「平均賃金 × 100分の60」

 

問13 最低賃金
□ 地域別最低賃金は、産業や職種にかかわりなく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に対して適用されるもので、都道府県毎に定められている。
□ 特定(産業別)最低賃金は、特定地域内の特定の産業の基幹的労働者とその使用者に対して適用される。
□ 地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金の両方が同時に適用される場合派には、いずれか高い方の最低賃金が適用される。
□ 特定(産業別)最低賃金の額は、その適用を受ける使用者の事業場の所在地を含む地域の地域別最低賃金の額を上回るものでならないとされ、いずれか高いほうが適用されるので、結果的に特定(産業別)最低賃金の方が適用される。
□ 派遣労働者には、「派遣元」でなく、「派遣先」の会社に適用される最低賃金が適用される。

 

問14 最低賃金
□ 地域別最低賃金を上回るか確認する方法として、通勤手当は除き、役職手当などの手当も含めた月給の学を、1カ月平均所定労働「時間」を用いて、時給換算して、地域別最低賃金と比較する。
□ 地域別最低賃金は時給でのみ定められているので、時給換算する。

問15 健康保険・厚生年金の被保険者

□ 厚生年金保険に加入する事業所に勤務する70歳未満の人は、原則として厚生年金保険の被保険者となります。
□ 健康保険の上限年齢は75歳である。

□ 健康保険・厚生年金の被保険者では、代表取締役など役員も被保険者となる。

□ 労働時間が正規の職員(週40時間)の4分の3(30時間)未満で、
かつ週所定労働時間が20時間未満であれば、健康保険・厚生年金の被保険者とならない。
つまり、20時間から30時間であれば、健康保険・厚生年金の被保険者の短時間の加入者となり、30時間以上であれば、通常の加入者となる。

□ 1週間の所定労働時間および1月間の所定労働日数が、
同一の事業所に使用される通常の労働者の4分の3以上である者を、被保険者として取り扱う。

□ 1週間の所定労働時間または1月間の所定労働日数が通常の労働者の4分の3未満であって次の1~4の要件をすべて満たす者
健康保険・厚生年金の短時間の被保険者で

 1.1週間の所定労働時間が20時間以上であること
 2.同一の事業所に継続して1年以上使用されることが見込まれること
 3.報酬(最低賃金法で賃金に算入しないものに相当するものを除く)の月額が8.8万円以上であること
 4.学生でないこと


問16 随時改定(標準報酬月額の月変)
□ 標準報酬月額の育児休業時終了改定を行うための要件は、
これまでの標準報酬月額と改定後の標準報酬月額との間に「1」等級以上の差が生じ、
休業等終了日の翌日が属する月以後3カ月のうち、少なくとも1か月における報酬支払基礎日数が「17日」以上であることである。

□ 休業等終了日の翌日が属する月以後3カ月のうち、少なくとも1か月における報酬支払基礎日数が「17日」以上であればよく、
17日未満の月は除いて算定する。

□ 9月にさかのぼって昇給があり、10月に昇給差額が支給された場合の随時改定(標準報酬の月額)には、
10月を変動月として、以後3カ月間の報酬(昇給差額を除く)に基づき、1カ月平均の報酬月額を計算し、著しい変動が生じたか否か判断する。遡って昇給があり昇給差額が支給された場合、実際の昇給月でなく、当該昇給差額が支給された月を変動月として、以後3カ月間の報酬(昇給差額を除く)に基づき1か月平均の報酬月額を計算し、著しい変動が生じたか否かを判断する。


問17 再雇用時の社会保険の資格喪失
□ 60歳定年を迎えた社員をその定年の後1日の空白もなく再雇用した場合におけるその社員の健康保険、厚生年金保険の被保険者資格は喪失することなく、継続するが、再雇用後の報酬が低下する場合は、同日得喪の手続きを、資格取得時決定により
新たな標準報酬月額を決定しても差し支えない。この場合、随時改定を待たずに、資格取得時決定により、再雇用後の最初の月から、低下した報酬に応じた標準報酬月額とすることができる。

□ 厚生年金保険の被保険者資格の喪失年齢は「70歳」であるが、健康保険の被保険者資格の喪失年齢は「75歳」である。
障害者の場合は65歳で後期高齢者医療制度に移行する。従って、社員が70歳になった場合、健康保険の被保険者資格は喪失しないが、厚生年金保険の被保険者資格は喪失する。

 

問18 労働保険の年度更新

□ メリット制とは、労働災害の発生率の違いにより、労災保険料(率)が増減する制度で、
雇用保険料(率)にはそのような制度はない。

□ 労災保険の保険料を計算する際に用いる賃金総額については、年齢にかかわらず、全ての労働者の賃金を算入する。

□ 労災保険の保険料を計算する際に用いる賃金総額には、パート等の賃金も含める。
また、雇用保険料を計算際する際に用いる賃金総額には、雇用保険の適用を受けないパート等(週所定労働時間20時間未満など)
の賃金は除くが、それ以外のパート(雇用保険に加入するパート)などの賃金も含める。

□ 雇用保険の保険料について、申告、納付する額は、被保険者負担分とそれに対応する事業者負担分を合わせた金額である。


問19 給与からの法定控除

□ 健康保険料、厚生年金保険料を当月分を翌月控除することが原則であるが、
月末退職の場合、健康保険料、厚生年金保険料を当月分を当月控除することができる。

□ 健康保険料、厚生年金保険料について、産前産後、育児休業の期間中の免除制度があるが、介護休業の期間中の保険料の免除制度はない。

□ 月給者で「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している場合、月額表の甲欄を使用し、
「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」と「扶養親族等の数」に応じて、源泉所得税を額を決定し、控除する。

□ 住民税の特別徴収については、会社が提出した給与支払報告書に基づいて市区町村が決定した額が通知書により通知され、
その通知に基づき6月から翌年の5月までの給与から控除する。


問20 退職者の賞与の社会保険料
□ 雇用保険加入者に対する退職後の給与からも、雇用保険料を控除し、
雇用保険加入者に対する退職後の賞与からも、雇用保険料を控除する。
□ 退職日の翌日に、健康保険・厚生年金保険の被保険者の資格を喪失するため、退職日の翌日が属する月に支払う賞与からは、健康保険・厚生年金保険の保険料は控除しない。健康保険も介護保険には含む。

□ 賞与支払月に40歳に達する者に支払う賞与から控除する健康保険の保険料は、介護保険の保険料の分も含めた分となる。
なお、毎月の給与の場合は、原則として前月分の保険料を控除するため、40歳に達した月に支払われる給与から介護保険料を控除しない。

 

問21 前月の給与の10倍を超える場合の賞与の所得税計算

□賞与の課税対象額(社会保険料等控除後)が、
前月に支払った給与の課税対象額(社会保険料等控除後)の10倍を超える場合は、
賞与に対する源泉徴収税額の算出表は利用せず、月割り金額を「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」に当てはめて、税額を求めて、6倍する。

□具体的には、以下の計算方法で、前月の給与の課税対象額も加味する。。
① 賞与の課税対象額(社会保険料等控除後の賞与) ÷ 6 を求める。
② ①の金額 + 前月の給与の課税対象額(社会保険料控除後の給与)を求める。
③ ②の金額を「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」に当てはまて、対応する税額を求める。
④ ③の税額 - 前月給与に対する源泉徴収税額 を求める。
⑤ ④の金額 × 6 が、当該賞与から源泉徴収する所得税額となる。

問22 退職所得控除額

□ 退職所得控除額を計算で用いる勤続年数は、長期の欠勤や病気による休職の期間も用いて計算する。

□ 退職所得控除額を計算する際に用いる勤続年数について、
1年に満たない端数があるときは、その端数は1年に切り上げる。

□ 退職所得控除額の計算に用いる計算式は、勤続年数が20年以下か、20年超で異なる。

□ 障害者になったことが直接の原因で退職した者については、
計算した額に100万円を加えた金額が退職所得控除額となる。

 

問23 退職金に関わる所得税

□ 退職金に関する所得税は、その社員から「退職所得の受給に関する申告書」の提出がない場合にも控除する。
この場合は、所得税は、退職金の支給額に20.42パーセントを乗じて計算する。

□ 退職金に係る所得税の額は、その社員(役員でない)から「退職所得の受給に関する申告書」の提出があった場合には、
勤続年数に応じた退職所得の控除額を、「退職所得控除後の計算の表」から求め、退
職金の支給額から、退職所得の控除額を差し引き、
その額を「2分の1」を乗じた金額(課税退職所得金額)を、「退職所得の源泉徴収税額票の速算表」に当てはめて求める。

□ 退職金を支払った場合、その社員に対して、「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」を作成し、交付する。その交付は、原則、退職後1か月以内でしなければならない。

□ 退職金に関わる住民税の額は、
退職金の支給額の10%でなく、課税退職所得金額の10%であり、
市区町村税が6%、都道府県税が4%である。

 

問24(年末調整) 
□ 給与支払報告書は、翌年の1月末日までに提出が必要である。

□ 標準報酬月額の定時決定に係る算定基礎届は、
7月1日現に使用する被保険者については7月10日までに提出する。

□ 通常、12月(年末)に年末調整に行う。

□ 継続事業における労働保険料の申告、納付は、4月から6月までの分は、
6月1日~7月10日(令和2年は8月31日)までに申告・納付する。

 

問25(年末調整の申告)
□年間の給与等の総額が102万円であり、
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している者は、年末調整の対象となる。

□年間の給与等の総額が1001万円であり、
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している者は、年末調整の対象となる。

□年間の給与等の総額が2000万円を超えるものは、その年の年末調整の対象とならない。

□2カ所以上の会社から給与支払をうけても、
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している会社では年末調整ができる。


問26(年末調整の控除)

配偶者控除配偶者特別控除を行うことについては、
「給与所得者の配偶者控除 等 申告書兼基礎控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」が提出されている必要がある。

□保険料控除は「給与所得者の保険料控除申告書」が提出され、保険料支払の証明書の提出も必要になる。

□住宅借入金等特別控除は「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」と申告書に添付する

「住宅取得資金に関わる借入金の年末残高等証明書」が必要になる。

 

問27 年末調整の扶養親族控除

□ 障害者に該当する特別な事情がない場合、
扶養親族のうち、
19歳以上23歳未満の者は特定扶養親族に該当する(控除額は63万円)。
特定扶養親族の場合は、控除額が63万円と特定でない控除額38万円より大きい。

□障害者控除の対象となる障害者には、16歳未満の者も含まれる。

□特別な寡婦控除の額は35万円である。

配偶者特別控除とは、配偶者の収入が201万円以下で、かつ納税者本人(たとえば夫)の収入が
1,220万円以下(所得は1,000万円以下)の人が受けられる控除です。

配偶者控除とは、
合計所得金額が38万円以下(令和2年から48万円以下)で、
納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下の人が受けられる控除です。
配偶者控除は、基本的に配偶者に収入がないことを前提としている控除です。

□ 基礎控除は、その適用を受けることについては給与所得者の基礎控除申告書
(給与所得者の配偶者控除 等 申告書兼基礎控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書)を
提出する必要があり、
社員本人の合計所得金額が2,500万円を超える場合には適用されない。


問28 源泉徴収票

□ 給与所得の源泉徴収票の社員への交付は、
その社員への給与等の支払額にかかわらず交付する必要があり、原則として、
翌年の1月31日までに行う必要がある。

□ 年途中の退職者の源泉徴収票は、退職の日以後1か月以内に交付する必要がある。

□ 給与所得の源泉徴収票は、税務書に提出する必要があるが、
年末調整の対象者でも、給与等の支払額が500万円以下であれば、
提出は不要である。

□ 給与支払報告書は、社員の居住する市区町村に提出する必要があるが、
年末調整の対象者でも、給与等の支払額が500万円以下であれば、
提出は不要である。

問29 源泉徴収票

□ 給与所得の源泉徴収票(受給者交付用)に記入するべき事項は、
支払を受ける者の住所または居所、16歳未満の扶養親族の人数、配偶者(特別)控除の額などである。

□ 給与所得の源泉徴収票(受給者交付用)に個人番号は記入は不要である。
なお、給与所得の源泉徴収票(税務署提出用)には個人番号への記入が必要である。

 

問30 個人番号(マイナンバー)

□「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」への扶養親族等の個人番号の記載は、
法令で義務付けられている。
なお、運用上「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の余白に、
「個人番号は給与支払者に提供済みの番号に相違ありません。」
と社員本人に記載させるなどの要件を満たせば、個人番号を記載しない例外的な取り扱いもある。

□ 社員から、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出を受けることにより、
その社員の扶養親族等の個人番号を取得する際には、会社は、扶養親族等の個人番号については、
本人確認をする必要はない。社員が、家族の本人確認をする前提である。

□ 個人番号カード(本人の写真、氏名、住所、生年月日、性別、個人番号など記載)のみで
個人番号確認と身元確認の両方が可能で本人確認が可能であるが、通知カードだけでは身元確認はできず、
本人確認ができない。

 

【計算問題】

計算問題は、ポイントとうより、問題を解いた時のメモに近いですが、多少は参考になるかと思うので記載しておきます。

 

 

問31 随時改定・算定
□ さかのぼり昇給があった場合、
差額が支払われた月を変動月として、報酬月額を計算するが、
昇給差額分を除いて、修正平均を計算する。

□ 3カ月平均の報酬月額の算出時、1円未満は切り捨てる。

 

問32 育児休業終了時改定
□ 育児休業終了時の改定は、
休業が終了した日の翌日が属する月から3カ月の支払から、
平均を求める。

□ 3カ月のうち、
報酬支払基礎日数が17日未満の月は除いて、除いた月数で平均を算出する。

 

問33 資格取得時決定

<時間単価の計算>
1年間の所定休日数125日を365日から引いた240日と
1日の所定労働時間8時間より、1カ月あたりの平均所定労働時間を求める。

240時間 × 8時間 ÷12カ月 =160時間

割増賃金の計算から除くものは、家族手当と通勤手当

基本給(420,000円) + 役職手当(50,000円) = 470,000円

1時間当たりの賃金額を470,000円と1か月あたりの平均所定労働時間(160時間)から算出する。

470,000円 ÷ 160時間 = 2937.5円 ※50銭以上切り上げ →2,938円

勤怠状況より、時間外・深夜・休日の労働時間数を求め、それぞれの割増賃金を計算する。


<資格取得時決定>
資格取得時の報酬月額の対象となる1か月の支給額を決定する。

通勤手当は6か月分の支給額となるため、1か月当たりの額を算出する。

186,000円 ÷ 6ヶ月 = 31,050円

基本給(420,000円) + 役職手当 (50,000円) + 家族手当(18,000円) 
 + 通勤手当(31,050円) = 519,050円

519,050円を保険料額表に当てはめる。
健康保険標準報酬月額 530,000円
厚生年金標準報酬月額 530,000円

保険料額表に当てはめて、社会保険料を求める。
年齢が40歳未満のため、介護保険料を徴収しない。

健康保険料 → 26,235円
厚生年金保険料 → 48,495円

<割増賃金計算>
出勤簿から勤怠情報を合算し計算する。
8月17日(土)は所定休日に出勤しているが、
あらかじめ16日(金)に振替休日を取得することとして出勤したため、
通常の労働日として計算する。
法定労働時間を超えた部分については時間外労働となるので、
割増手当の支払が必要となる。

<時間外労働手当>
9時間55分 ※30分以上切り上げ →10時間
2938円 × 1.25 × 10時間 =36,275円

<深夜労働時間>
35分 ※ 30分以上切り上げ → 1時間
2,938円 × 0.25 × 1時間 = 734.5円 ※ 50戦以上切り上げ→735円

勤怠状況により8月4日(日)に12時間35分出勤し、代休を8月9日(金)に取得した
割増計算は下記の内容となる。

<代休割増手当>
8月4日(日)に出勤したが、8月9日(金)に代休を取得したので、所定労働時間分については、
法定休日労働の割増分(0.35)のみ計算する。

2,938円 × 0.35 × 8時間 = 8,266.4円 ※ 50銭以上切り上げ→8266円

<法定休日労働手当>
所定労働時間を超えた4時間35分については、通常の法定休日労働の割増率で計算する。
4時間35分 → 5時間
2938円 × 1.35 × 5時間 = 19,831.5円 →19,832円

<割増賃金合計>
36,275円 +735円+ 8,266円+ 19,832円 = 65,518円

<通勤手当>
公共交通機関で通勤しており、6カ月分で186,300円支給しているが、1カ月当たりは31,050円のため、
非課税上限10万円を超えず、全額非課税となる。

<非課税通勤手当>
186,300円


□ 支給項目

<課税支給額>
通勤手当を除いた金額 553,518円

<非課税支給額>
通勤手当 186,300円

<総支給額>
課税支給額と非課税支給額

<健康保険料><厚生年金保険料>

標準報酬月額と年齢(介護保険の可否)から、
健康保険料 → 26,235円
厚生年金保険料 → 48,495円

雇用保険料>(一般の事務)
通勤手当も含む総支給額 に3/1000を乗じて、50銭以下切り捨て。

社会保険料合計>
健康保険+厚生年金保険+雇用保険

<課税対象額>
課税支給額 - 社会保険料合計

所得税額>
月額税額表に476,569円を当てはめ、甲欄の扶養親族等の数2人が交わる所得税額 
16,410円

<控除合計>
社会保険料合計 + 所得税

<差し引き支給額>
総支給額 - 総控除額

 

問34 賞与計算
□ 前月に給与の支払がない場合には、「給与所得の源泉徴収税額表(月額)」を使って、
次の①から③の手順で計算します。

①賞与から社会保険料を引いた金額 × 6分の1 ※
②上記①の給与所得の源泉徴収票(月額表)に当てはめる。
③上記②で求めた税額 × 6 ※ = 賞与算出税額
※賞与の計算の基礎になる期間が6ヶ月を超えるときは、
それぞれ6分の1から12分の1、
×6から ×12に変更になる。

 

問35 退職金

勤続年数の期間に1年に満たない端数があるときは1年に切り上げる。

退職所得控除額を求める。勤続年数が「20年以下」の場合、
40万円×19 = 7,600,000円

課税対象額(退職所得金額)を求める。
<退職金額(11,800,000円) - 退職所得控除額(7,600,000円)>
÷2 = 2,100,000円

源泉所得税
「退職所得税
「退職所得税源泉徴収税額の速算表」に当てはめ、
(課税対象額 ×10% - 97,500) × 102.1% = 114,862.5円
 ※ 1円未満切り捨て → 114,862円

市町村住民税
課税対象額(2,100,000円) × 6% = 126,000円

都道府県住民税
課税対象額(2,100,000円) × 4% =84,000円

 

問36 年末調整の所得控除額
次の条件で計算した、本年分年末調整の
「配偶者(特別)控除額」、
「扶養控除額、基礎控除額及び障害者等の控除額の合計額」を求めなさい。
<条件>
本人49歳:男性 昭和45年5月20日生、会社員、給与収入 7,500,000円
妻44歳:昭和50年2月8日生、会社員、給与収入 1,900,000円
子20歳:平成22年6月19日生、小学生、同居、特別障害者
父72歳:昭和22年1月3日生、別居、無職、老齢厚生年金 1,000,000円

以下の資料を参照し、控除額の合計を計算します。
配偶者控除及び配偶者特別控除額」
「扶養控除等の種類と控除額」
「扶養控除額、基礎控除額及び障害者等の控除額の合計額の早見表」

本人49歳:基礎控除 380,000円

妻44歳:妻の所得は380,000円を超えているが、
本人の所得9,000,000円以下のため、特別控除配偶者となる。
給与収入1,900,000円は、
「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」より所得1,150,000円。

配偶者控除及び配偶者特別控除額」の表から控除額 110,000円

子20歳:所得 100,000円のため控除対象特定扶養親族となる。
アルバイト収入 75万円 - 給与所得控除額 65万円 = 所得10万円

子9歳:16歳未満の控除対象でない扶養親族だが、同居特別障害者に該当するため、
75万円は所得控除の対象となる。

父72歳:年金158万円以下なので、所得は0円となり、老人扶養親族に該当する。
 38万円 + 10万円 = 48万円

基礎控除額は 本人 38万円
扶養控除額は、
子20歳 38万円
父72歳 別居老親(同居老親以外のもの)で 48万円 特定扶養親族分 25万円
で、
障害者等の控除額は
子9際 同居特別障害 75万円
で合計すると
224万円となる。

 

問37 給与所得控除後の給与等金額 
「給与所得控除後の給与等金額」は、2019年1月から12月に支払われた給与が対象となる。
給与のうち、課税対象の通勤手当は含める。
給与等の金額を求めて
「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」に当てはめる。

 

問38 保険料控除
□ 一般の生命保険料
契約日 平成18年4月 1日(旧契約) 年額 86,000円
契約日 平成27年8月24日(新契約) 年額 25,000円
□ 介護医療保険
契約日 平成24年12月 1日年額 32,000円
契約日 平成28年 2月19日 年額 10,000円
□ 個人年金保険
契約日 平成24年8月24日(新契約) 年額 80,000円
契約日 平成21年4月 1日(旧契約) 年額 95,500円


<一般の生命保険料>
86,000円は旧契約に当てはめて、86,000円 × 1/4 + 25,000円 = 46,500円

新契約 25,000円は新契約の式に当てはめて、25,000 × 1/2  + 10,000円 = 22,500円
新契約と旧契約の合計額の上限は40,000円のため、40,000円
計算した控除額で最も大きい金額は 46,500円となる。


<介護医療保険料>
介護医療保険料は新契約のみなので、新契約の計算式に当てはめて
(32,000円 + 10,000円) × 1/4 + 20,000円 = 30,500円

個人年金保険料>
新契約80,500円は80,001円以上のため、一律40,000円
95,500円は旧契約の式にあてはめて、95,500 × 1/4 + 25,000=48,875円

新契約と旧契約の合計額の上限は40,000円のため、40,000円
計算した控除額のうち、最も大きい金額は、48,875円です。

<生命保険料の合計>
46,500円 + 30,500円 + 48,875円 = 125,875円
生命保険料控除額の上限は120,000円のため120,000円となる。

□ 地震保険料控除額
契約日 平成26年3月10日 年額 20,100円

□ 旧長期損害保険料
契約日 平成16年11月20日 年額 16,000円

地震保険料>
50,000円以下のため、支払った保険料の金額 20,100円
<旧長期損害保険料>
計算式に当てはめて、
16,000円 × 1/2 + 5,000円 =13,000円

 


地震保険料控除額>
20,100円 + 13,000円 = 33,100円

社会保険料
本年中に支払った国民年金保険料は全額免除されるので、49,230円
本年中に支払った国民年金保険料は全額免除されるので、27,300円

<社会保険料控除額>
49,230円 + 27,300円 = 76,530円 

□ 国民年金保険料 年額49,320円
□ 国民健康保険料 年額27,300円

 

問39と問40と年末調整の問題がありますが、省略します。 

 

【関連ブログ記事】

 

以下は、給与計算実務能力検定1級と2級の公式テキストのリンクです。

 

 


 

 

 


 


【給与計算などの業務の勉強で自分がわかりやすいと思った本を2冊ほど紹介】

 

給与計算をするならこの1冊 (はじめの一歩) 

 

 

2020年版 まるわかり給与計算の手続きと基本 (まるわかりシリーズ) 

 

 

以上です。