■出る順17位のルーティング
『情報処理教科書 出るとこだけ!応用情報技術者[午後]』によると、
ネットワークの午後問題で出題頻度の高いルーティングは処理の流れと関する機器の役割を理解すること大事なようです。
■ルーティングのポイント
『情報処理教科書 出るとこだけ!応用情報技術者[午後]』
の出る順17位「ルーティング」の内容を参考に、覚えるべきポイントをまとめています。
① APRとはどんなプロトコルか。
ARP(Address Resolution Protocol:アドレス解決プロトコルの略 アープ)とは、
IPアドレスからMACアドレスを取得するためのプロトコルである。
宛先IPアドレスが判明していても、同じネットワーク内で通信で必要なため、
宛先MACアドレスを取得する必要がある。
ARPによるMACアドレス取得の流れは次の通りである。
(1) 宛先MACアドレスが不明の場合、宛先IPアドレスが入ったARPリクエスト(要求)を
ネットワーク内にブロードキャスト通信する。
(2) ARPリクエストを受け取った各機器は、その宛先IPアドレスが自身と同じ場合、ARPリプライ(応答)を返信する。
(3) これにより(1)の機器のMACアドレスとIPアドレスの対応表を更新する。
各機器でMACアドレスとIPアドレスの対応表をそれぞれ作るために、ARPが利用される。
ただし、ARPはブロードキャスト通信のため、ネットワーク内で通信同士の
衝突、ふくそう(ネットワークが混在し、通信できない状態)につながりません。
対策の一つとして、影響を他のネットワークに広げないために、ルーターは各ネットワークの外へはブロードキャスト通信は通さない。
なお、ブロードキャスト通信とは、同じネットワーク内の全ての機器に対して一斉に伝送する通信方式で、単一の機器に対して伝送するユニキャスト通信とは対照的な位置づけである。
② IPアドレスとMACアドレスの違いを説明せよ。
IPアドレスはネットワーク上の住所に該当し、場所と特定するものである。
MACアドレスはいわば氏名に該当して、最終的に誰に(どの機器)に通知されるか表す。MACアドレスは、送信元や宛先を識別するための番号で、48ビット(2進数で48桁)であり、2進数で8桁ごとに、「:」を入れ、16進数に変換して表記する。
MACは、Media Access Controlの略で、区切りは「:」以外に「-」「.」が利用される。
MACアドレス(16進数)のうち、左側6桁はメーカーの番号で、右側の6桁は各メーカーが割り振る製品番号である。
メーカーの番号は、OUI(Oragaizationally Uniqu Identifer)の略である。
00:00:0C:12:AB:DF
というMACアドレスなら、
00:00:0Cの前6桁がメーカー番号で、
12:AB:DFの後6桁が製品番号である。
メーカー番号の例は、次の通りである。
・Cisco System社は、00:00:0C、
・Apple社は、00:03:93、
・Intel社は、00:AA:00である。
③ OSI基本参照モデルの各層のLAN接続装置の名称を挙げよ。
第7層 アプリケーション層、第6層プレゼンテーション層、第6層トランスポート層
第4層 トランスポート層では、ゲートウェイが利用される。
つまり、ゲートウェイは、トランポート層以上において転送する装置である。
第3層ネットワーク層では、L3SW(エルスリースイッチ)とルーターが利用される。
第2層データリンク層では、L2SW(エルツースイッチ)とブリッジが利用される。
第1層物理層では、リピーターが利用される。
④ L3SW、ルーター、L2SW、ブリッジ、リピーターとは。
▼L3SW(エルスリースイッチ)
宛先IPアドレスをもとに最適な経路へと通信を転送する装置である。
複数のL3SWやルーターがバケツリレーのように次から次へと通信を転送することにより、最終的に機器へ到達させることができる。特徴は次の通りです。
・ブロードキャスト通信は転送しない。
・異なるネットワーク同士を接続する用途で利用する。
・ネットワーク層(OSI基本参照モデルの第3層)において転送する装置である。
L3SWは、Layer 3 swithの略で、語源は第3層のネットワーク層で通信を転送する役割に由来する。
▼ルータ
L3SWと同等の機能があり、区別されていないことが多いが、ルータは、WANとの境界で使うことが多いため、
ルーティング(転送)の機能が充実している。
L3SWは、LAN内で使うことが多いため、LANと別のLANとの境界に配置することが多い。そのため、1Gbpsなどの高速通信に対応したり、ルータに比べてポートの数が多い。
▼L2SW(エルスリースイッチ)
宛先MACアドレスに接続しているポートだけに通信を転送する装置で、
スイッチングハブともいう。
すべてのポートに転送するリピーターとは異なり、通信の宛先に接続されたポートだけ転送するため、無駄な通信がされず、通信効率が向上する。
特徴として、
・「どのポートにどの機器が接続しているか?」という対応関係を装置内に記憶する。
・接続された機器の判別は、機器のMACアドレスにより行われる。
・データリンク層(OSI基本参照モデルの第2層)において転送する装置である。
▼ブリッジ
リピーターハブともよばれ、L2SWと同等の機能を持つが、ブリッジはソフトウェアにより通信を転送するので
低速なのに対し、L2SWは、専用のハードウェアにより通信を転送するので高速である。
ルーター・L2SW・ブリッジの構成は以下のようになる。
----ルーター ----------
| |
L2SW--------------- L2SW----------
| | | |
ブリッジ ブリッジ ブリッジ ブリッジ
|
---------------
| |
端末 端末
▼リピーター
弱くなった電気信号を増幅させて、ケーブルの利用可能範囲を延長する装置である。
MACアドレスやIPアドレスによる通信の制御を行わず、物理層(OSI基本参照モデルの第1層)において
転送する装置である。ケーブルが長いと電気信号が弱くなり、電気信号を増幅させて、
使用可能範囲を延長する役割を持つ。
▼L3SWとL2SWの違い
L3SW・ルータとL2SW・スイッチングハブの違いは、用途、ブロードキャスト通信の可否、宛先の指定方法がある。
用途としては、L3SW・ルータは異なるネットワークへの通信の転送を実施するが、
L2SW・スイッチングハブは、同じネットワークでの通信の中継がされる。
ブロードキャスト通信の取り扱いとしては、L3SW・ルータはブロードキャスト通信を禁止して、異なるネットワークへの不要な通信を転送しないが、L2SW・スイッチングハブは、宛先以外の機器には通信を転送しない。
ただし、ブロードキャスト通信は宛先がすべての機器であるため、不要な通信を減らせない。
ブリッジは宛先以外も含めて、全ての機器に対して、通信を転送する。
宛先を指定するアドレスとしては、
L3SW・ルータはIPアドレスにより宛先を指定して、異なるネットワークへの通信を転送するが、L2SW・スイッチングハブ・ブリッジはMACアドレスにより宛先を指定して、同じネットワークでの通信を中断する。
⑤ インターネットVPNとIP-VPNとは。
インターネットを経由した仮想の専用回線網で、インターネットは公衆回線であり、また、通信データは暗号化されない場合もあり、盗聴されやすい。
しかし、VPN(Virtual Private Networkの略で仮設私設ネットワークの意味)を使うと、IPsecにより通信データをすべて暗号化することから、第三者には盗聴できず、
あたかも当事者間の専用回線のように通信がされる。主な方式にインターネットVPNとIP-VPNがある。
▼インターネットVPN
インターネットを経由してVPNで、費用が安く済む一方で、通信品質が不安な場合があるが、インターネット環境があればどこでもVPNが利用できる。
▼IP-VPN
通信事業者の専用回線を経由するVPNで、通信品質が安定しているが、専用回線の接続設備がある拠点間でしか利用できない。
⑥ 広域イーサーネットとは。
遠隔地における複数のLANを互いに接続して1つのLANを構築する通信ネットワークで、VPNより、通信がより安定し、コストが高い。
VLANの技術により実現し、盗聴などセキュリティのリスクが低い。
Virtual Local Area Network(バーチャル・ローカル・エリア・ネットワーク、VLAN、仮想LAN)は、LANスイッチ(レイヤ2スイッチ)などのネットワーク機器の機能により、
物理的な接続形態とは別に仮想的にLANセグメントを構成することである。
スイッチの接続ポートやMACアドレス、プロトコルなどに応じて、LANセグメントの分離を実現する。
VPNはネットワーク層(第3層)で通信の制御を行うが、広域イーサーネットはデータリンク層(第2層)で通信の制御を行う。
⑦ ルーティングテーブル、その宛先アドレス欄、ネクストホップ、ホップ数の情報は。
宛先アドレス欄には、ルータへ到着した際のIPアドレスを記載する。経路上のIPアドレスではない。
ルーティングとは通信の宛先を到達するための最適な経路を転送する処理である。
送信元の機器からルータへ転送し、その後、複数のルータがバケツリレーのように、
次から次へと通信を転送し、最終的に目的の機器へ到達される。
ルーティングテーブルは、「どの宛先にはどのルーターに転送するか」という対応関係を表す表で、装置内で記憶される。
ネクストホップとは次に転送する隣接のルータである。
ホップ数とは、宛先まで距離を示す値で、ルータを経由するたびに1ずつ減り、
数が小さいほど近くにあることを示す。
⑧ ルーティングプロトコルのディスタンススぺクタ型とリンクステート型とは。
ルーティングプロトコルとはルーティングテーブルを自動で作成するためのプロトコルである。ディスタンススぺクタ型とリンクステート型の2種類の自動作成方法がある。
▼ディスタンススぺクタ型
Distance Vector(距離と方向)の意味し、 RIP Routing Informain Prtocolとも呼ばれる。
距離と方向だけで経路選択される。
距離とは、宛先までの経路途中で通過するルータ数であり、ルーティングテーブルのホップ数で表す。ホップ数がより少ない経路が優先され、経路選択される。
方向とは、ルータが持つ複数のポートのうち、どのポートを利用して転送するかを示し、ルーティングテーブルのネクストホップ(次の隣接するルータの情報)で表す。
経路選択の方法が、単純で分かりやすい一方で、回線速度、回線の混雑具合などに
応じた経路選択ができない。
▼リンクステート型
回線の速度、混雑状況をなどLink State(接続状態)を重み(コスト)として記憶し、重み(コスト)に応じて、経路選択される。
ルーティングプロトコルの特徴・分類の一つで、
どのルータとどのルータが隣接しているかという接続情報(リンクステート)を交換し合い、この情報の集合に基づいて経路を選択する方式である。
OSPF (Open Shortest Path Firstの略)とも呼ばれる。
回線速度が速い経路があると、ルータは重みを変更して、重み(コスト)が小さいその経路が優先的に利用される。ただし、経路選択の方法が複雑で経路計算の処理が必要で、高性能なルータが求められる。
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