W-SCOPEへの興味から現代自動車グループを調べてみた

現代自動車Hyundai Motor ヒョンデモーター)の歴史や将来性などを紹介しているブログ記事です。ダブルスコープへの興味から韓国の四大財閥の一つ現代自動車財閥について調べたみた内容です。

現代自動車は、設立1967年、現代財閥から独立2000年、会長が50歳と非常に若い会社です。

 ▼目次

はじめに

 

 で伝えていましたが、

現代自動車は、グループ化した起亜気動車と合わせるとは、 生産台数で2020年で世界5位719万台の企業です。EV(電気自動車)の2020年生産台数も、起亜自動車と合わせると、15万6千台となり、世界6位となり、リチウムイオンバッテリーの需要を大きくEVにも注力しており、その動向も注目です。

 

現代自動車は起亜自動車の株式33%程度保有しており、日本でいうと日産と三菱自動車の関係が現代自動車と起亜自動車の関係が近いです。

規模的には、現代自動車だけだと、日産自動車と同程度、世界10位クラス、グループの起亜自動車(三菱自動車の倍以上の規模)を加えるとホンダ(本田技研工業)と同程度の規模で、世界5位クラスとなります。
EV生産台数の日本企業のトップは6万2千台で日産が14位である、トヨタが5万5千台で17位です。日本企業がEV進出が遅れているのは生産台数から見ると、事実です。

 

現代自動車は、 韓国経済、世界の自動車業界、EV業界やEV用リチウムイオンバッテリーの行方を知る上で忘れてはいけないキープレーヤだと思いますので、前回のブログについて調べた歴史などを記載しています。

 

韓国の財閥の資産総額の規模では、

韓国財閥ランキング(2019年10月1日付)

韓国公正取引委員会発表資料
1位 サムスン 415兆ウォン
2位 現代自動車 224兆ウォン
3位 SK 218兆ウォン
4位 LG 130兆ウォン
となっていますが、ランキングの順位と関係なく、
今回は最後に現代自動車を説明します。

 創業者でなく、二代目(創業者の次男)、三代目(創業者の孫)の実績について確認し、その歴史と将来性を考察したいと思います。

 

 

 

 

現代財閥の創業者

現代自動車グループは、2000年に現代(ヒュンダイ)グループから分離独立して誕生した財閥です。

 

ヒュンダイ財閥の創設者は、鄭 周永(チョン・ジュヨン、1915年11月25日 – 2001年3月21日)です。鄭 周永(チョン・ジュヨン)は、1915年、江原道通川郡松田面峨山里(現 北朝鮮)の貧しい農家に生まれたそうです。

 

1930年、松田(ソンチョン)小学校を卒業し、これが最終学歴です。
サムスンの創業者が大地主の子で、日本の早稲田大学に留学していており、そういった恵まれた境遇と対比して、貧しい農家出身で小学校卒業の鄭 周永(チョン・ジュヨン)は、国民的人気もあったそうです。
しかし、当時は小学校教育の完全義務化はなく、学校の就学率は約4%(1920年 4% 1935年 20% 1943年 60%)であったため、当時の平均より豊かな農家だったかもしれないし、小学校卒業は誇れる学歴だったのかもしれません。

 

1934年、ソウルの米屋に就職し、1938年に京城の新堂洞で米穀商・京一商会を開業しましたが、翌年米が配給制になったため、米屋を廃業して自動車部品修理業を始めています。

独立後の1946年ソウルで現代自動車工業社(修理業)、翌年、現代土建社(後、現代建設)を開業し、朝鮮戦争時には米軍の建設工事を受注しています。

朴正煕政権下で軍事基地、ダム、京釜高速道路、原子力発電所建設などの大規模プロジェクトを手がけ、1972年には韓国で初めて造船業に進出し、蔚山に現代造船所(後、現代重工業)を建設しています。

財閥の中核になったのは、現代建設で、米軍の軍需工事、韓国の公共工事、中東の建設事業など、公共工事で積極的に安値でも受注して、実績をつくって、会社を大きくしています。なお、1946年ソウルで現代自動車工業社(修理業)は、建設工事の運転資金確保といった目的で1950年代に売却しており、現在、現代自動車と直接のつながりはありません。

1992年には統一国民党を創設して、同年の大統領選挙に出馬しています。この選挙では金泳三(民主自由党)が当選しています。

1998年10月に3度目の訪朝をして金正日と会談し、金正日から直接金剛山観光ツアーの許可を得て、金剛山観光事業も着手しています。

2000年6月の北朝鮮訪問後に鄭周永は体調を崩して長期入院し、2001年3月21日肺炎による急性呼吸不全のためソウル中央病院で死去しました。

 

鄭 周永(チョン・ジュヨン)の実績を見ると、公共工事など国家事業に積極的に関与していたことや晩年の大統領選挙出馬、北朝鮮事業の開始など、愛郷心、公共心や責任感が強かった人のような印象です。

 

 

現代自動車財閥の独立(2代目)

 現代自動車は、1967年に現代財閥現代グループ)創業者の鄭 周永(チョン・ジュヨン)が創業者です。設立直後は米国のフォードの、1970年代は、三菱自動車の技術供与を受けていますが、1980年には海外輸出も開始し、1990年代には独自技術での乗用車の開発も可能になり、アメリカ、インド、中国、ロシアなど海外市場で一定のシェアを確保する会社となりました。

 

創業者の次男 鄭夢九(チョン・モング、1938年3月19日 – )は、2000年、鄭周永五男の鄭夢憲と現代財閥の後継者をめぐって激しく争います。

王子の乱と言われたこの抗争に敗北し現代財閥の後継者は鄭夢憲となり、鄭夢九は、財閥の中で、アメリカのリコール問題などで経営不振に陥いっていた現代自動車を押し付けれれた格好と言われます。

その後、鄭夢九は現代自動車を率いて現代財閥から独立に成功します。

その後、現代-起亜自動車グループを発展させることに成功し、現代財閥の源流の財閥、企業グループの中でも、現代自動車は、最大規模の財閥、企業グループとなっています。

現代自動車と起亜自動車を世界第5位の自動車メーカーグループに短期間で発展させた経営手腕は高く評価されているようで、米国スタンフォードビジネススクールMBA必須の講義課題として採用されてます。

2012年、ハーバード・ビジネス・レビューはチョン・モンクーを世界のトップ100の最高経営責任者にも選んでいます。

 

現代自動車財閥の承継(3代目)

現代自動車の現在の会長は、鄭 義宣(チョン・ウィソン ・1970年10月18日生まれ・50歳)です。

現代自動車グループ前会長鄭夢九は初代会長で現名誉会長のチョン・モンクーの長男(唯一の男子で、3人の姉がいます。)です。


1999年に現代自動車の常務取締役に就任し、2009年には現代自動車グループの副会長に就任2020年10月14日、父親の後を継いで、49歳で現代自動車グループの会長に就任 しています。

 

日本のトヨタ自動車の社長CEO 豊田 章男(とよだ あきお、1956年5月3日 65歳 )氏と比べると、15歳も若いです。豊田 章男がトヨタ自動車の社長に就任したのが2009年で 豊田 章男が53歳の時ですので、49歳で自動車会社のトップになったのは異例の若さかも知れません。

 

 

現代自動車財閥についての印象(将来性など)


自動車産業が主体の財閥といういことで、日本のトヨタ自動車のような存在かなと思いました。

ただ、設立された年は1967年とうことで、日本のどの自動車メーカーより新しい若い会社です。また、現代財閥から独立したのが2000年で20年しか歴史がないので、そいう意味でも、非常に若い財閥、会社といえます。

そのトップのまだ鄭 義宣(チョン・ウィソン)も若くして、会長に就任しました。

非常に若さあふれる野性味のある会社(1980年ぐらいのホンダのような会社)かもしれません。

豊田自動織機からトヨタ自動車が、富士電機から富士通富士通からファナックが発展したように、現代自動車の今後も楽しみです。

 

電気自動車(EV)にも注力していること、インド、中国、ロシアなど新興国市場で強いこと(以下のリンク記事参考)、製造コストに優れていることから、今後も成長を続ければ、トヨタ自動車を超え、世界1位の自動車メーカーになる可能性もあります。少なくとも、成長余地がある新興市場で強いことから、VWトヨタ自動車と並ぶ世界1位の自動車グループになる可能性は高いと私は考えています。

 

 

 

 

日本では、2度の日本国内での販売が失敗し、撤退するなど、余りイメージがよくないですが、家電やPC、スマホなどIT機器で、韓国や中国企業のブランド製品が多くの日本人に受け入れられたように、電気自動車(EV)の時代になれば、多くの人に受け入れられ、日本国内の主要な輸入車ブランドとなるかもしれません。

 

日本での販売の失敗の原因は、軽自動車という日本国内でしか製造流通されないであろう特殊な規格の存在もあるでしょう。エントリーカー、低価格な乗用車、小型の乗用車として圧倒的に軽自動車が強いので、ヒュンデ(ヒュンダイ)のような低価格を武器にする自動車は、戦いずらいのかと思います。

 

電気自動車時代になって、軽自動車が外国企業も比較的参入したい規格(海外でも同じような規格で販売できる規格)となり、ヒュンデ(ヒュンダイ)もそのような自動車が開発、販売できれれば、日本でも一定のシェアを確保できる可能性が高いと考えています。

 

参考書籍の紹介

このブログで読んでいただいた方が興味を持ちそうな本を紹介します。

 

 

 

アマゾンレビューより:タイトルは挑発的だが、客観的な内容で、新書としては内容が濃い。2012年10月7日付
著者は韓国の大企業だけではなく、サプライヤー、日本の中小企業、サプライヤーなどからのヒアリングも行ったり、実例を挙げて、日韓両国の製造業の競争力を比較している。

特に「その国の製造業の実力は中小企業を見ればわかる」という視点からの考察は全く正しい。

その視点から、サプライヤーや中小企業に視点を当てた調査は興味深い。と言うのも、従来、韓国企業は部品や生産財を日本から輸入しており、それが韓国経済のウィークポイントと言われてきたからである。ところが、日韓の差は縮小してきていると言う現場(日本の中小企業やメーカー)の声をきちんと取り上げており、ビジネスフレンドリーな韓国とそうではない日本の違い(中小企業向けの工業団地の違いなど)をいろいろと挙げている。

一方で、韓国企業礼讃一辺倒ではない。大企業とサプライヤーの中小企業の賃金格差、正規・非正規社員の格差、あるいは激しい競争社会のもたらす弊害にも触れている。
その意味では客観的であり、新書としても内容が濃い。日韓の製造業の比較考察の入門書としてはバランスのとれた本である。

 

 

 

 

 

 

 

銘柄メモ ダブル・スコープ6619 トヨタ自動車7203 日産7201、三菱自動車7211、ホンダ7267

タグメモ  ダブル・スコープ ダブルスコープ WSCOPE 崔元根 W-SCOPE ヒュンダイ 現代自動車 HyundaiMotor