韓国子会社が上場しているGMBと上場予定のW-SCOPE

韓国子会社が上場しているGMBという超低PBR株の理由や状況を解説し、ダブル・スコープの韓国子会社の上場後の株価について考察したブログです
ダブルスコープの韓国子会社の時価総額に期待している人は、GMBへの投資も検討してもいいかもしれません。

▼目次

【はじめに】

GMB (7214 じーえむびー)  は東証一部に上場している会社です。

 

 


で紹介した現代自動車グループに対する販売の3割強を占める自動車部品メーカーで、

ウォータポンプ(自動車の高温になる部分を冷却水を送るポンプ) 、バルブやベアリングなどを製造、販売しています。
本社は奈良県磯城郡川西町にあり、本社や大阪府八尾市に工場もありますが、主要な製造拠点は韓国で、韓国の子会社としてGMB KOREAという会社があります。
GMB KOREAは、子会社と言っても、韓国の株式市場に上場しており、GMBはGMB KOREAの株式を54.4%保有して、連結子会社としています。

2021年8月31日終値 894円(時価総額47億円) 2021年3月末決算で純資産3801円 PBR(株価純資産倍率 )約0.23倍という異常な低PBR株、超絶バリュー株です。

日本人にとって、現代自動車のイメージが悪く、その現代自動車向の売上が大きいことが、イメージを悪くしているのかも知れません。

直近、悪材料で株価が下落して、低PBRでなく、2019年以降は、平均してPBR0.21倍の異常な低PBR株、超絶バリュー株です。

 

【資産の内容が悪いのか】

通常、極端な低PBRの会社は、(不良)在庫や仕掛品など資産の大半が占めている場合が多いようです。そういった資産は簿価(PBRのBookValue)で換金化するのは難しいので、大幅にディスカウントされる傾向にあります。

GMBの場合、2021年3月末の連結のBS(連結貸借対照表)を見ると、
636億円の総資産のうち、
商品及び製品 67億円 仕掛品 48億円 原材料貯蔵品 27億が合計142億円で、それほど、在庫や仕掛品などが金額は大きくありません。
また、
現金及び預金73億円※、受取手形及び売掛金 144億円、投資有価証券(国債社債の運用額)78億円で合計295億円と現金、現金化できる資産は少なくありません。

キャッシュフロー計算書の現金及現金同等物は62億円である。

「現金及び預金」と「現金及び現金同等物」の違い | ikemo memo

↑のURLも参考に。現金及び預金は、小切手や手形や定期預金(期間が3月~1年以内)が含み、現金及び現金同等物は、小切手や手形や定期預金(期間が3月~1年以内)が含むません。

 

有利子負債が221億円と、543億円の売上、636億円の総資産を考えると少し大きいですが、自己資本比率31.4%と製造業の安全水準と最低ラインが30%と言われますから、問題視される内容でありません。

 

 

GBM KOREAの時価を考えるとさらに割安】

GMBは、GMB KOREAという株式を54.4%保有する子会社があり、韓国の株式市場に上場しています

GMB KOREAの2021年3月末決算では
 売上362億 経常利益 13億円 総資産 338億円といった数字で、売上でいうと連結の66%、総資産でいうと53%がGMB KOREAが占めるます。

連結の経常利益は、4億円の赤字であり、GMG KOREAが、収益の大半を依存する稼ぎ頭といえます。

GMB KOREA の時価総額は、1361億ウォン 129億円(2021年8月31日終値 7140ウォンで計算)
なので、時価70億円のGMB KOREAの株式をGMBは、保有してます。

GMBの時価総額 40億円 と GMB KOREAの時価総額のGMBの持分 70億円
を考えるといかに割安かわかります。

GMB KOREA時価総額のうちGMB持分70億円(保有株式の時価)の57%程度の金額40億円が、GMBの時価総額です。

GMBを株式を100%、40億円で買えば、GMB KOREAの株式も54%分、70億円分もついてくるのです。

57%、0.57という数字をこのブログではGMB係数と呼びます。
後で、W-SCOPEの話をするときにでてくるので、記憶にとどめておいてください。

 

 

GBM 単体で考えるとさらに割安】

GBM 単体の一株当たりの純資産は2234円です。純資産は連結の数字より下がりますが、その質は連結の内容より優良です。

GMBの場合、2021年3月末の単体のBS(貸借対照表)を見ると、
203億円の総資産のうち、
商品及び製品 6億円 仕掛品 3億円 原材料貯蔵品 6億が合計15億円で、それほど、在庫や仕掛品などが金額は連結と比べると少ない。
また、
現金及び預金26億円、受取手形6億 売掛金 28億円、投資有価証券(国債社債の運用額)67億円で合計127億円と現金、現金化できる資産がきわめて多くを占めます。

有利子負債は、有利子負債が55億円億円と、142億円の売上、203億円の総資産を考えると大きい金額でもなく、自己資本比率57.7%と製造業の安全水準と最低ラインが30%を大きく変えています。

単体でみると、キャッシュリッチの優良企業です。

GMB KOREAの株式は、簿価26億円なので、現状の株価で70億円で売却できたら、44億円の利益となります。

売却時にプレミアムがつくか、大幅にディスカウントされるかはわかりません。
一般的に、市場で売却した場合は、需給が悪化し、株価は大幅に下がる、つまり、ディスカウントされる可能性が高いです。

大雑把に言うと、
GMB KOREAの株式を売却し、それ以外の子会社の評価を0円として、
有利子負債負債 55億円を全額返却しても、15億円のおつりがあり、127億円の資産を現金化したら、
有利子負債0円、現預金142億円分という会社にできるということです。
買掛金12億 支払手形7億、未払費用1億円 を全額払った場合でも、現預金は122億円です。

有利子負債0円、買掛金、支払手形、未払費用0円、完全無借金で、現預金122億円保有する会社にできるということです。

それでも、GMBの時価総額は40億円です。

GMM KOREAの株式の簿価 26億円なので、時価 70億 44億円のGMGは、含み益があります。

売上、収益の過半を依存する子会社とはいえ、その子会社の株式の含み益だけで44億円あるのに、GMBの時価総額は40億円です。
いかに割安かわかるでしょう。

仮に売却して44億円の特別利益で税金で4割引かれるとして、26億円が純利益になり、
この場合、GMB KOREAの簿価26億円と純利益26億円計52億円が現金となります。

子会社も含めて会社を清算したら退職金や固定資産の除却などのリストラ費用もかさむでしょうが、

子会社への貸付金は放棄しても、保有する土地を売却するなどして、リストラ費用を捻出したら、現預金122億円とGMB KOREAの売却で増えた現金52億円の合計174億円のうち、100億円ぐらいの現金は残るでしょう。
単体の社員 316名なので、全員に2000万円の退職金を支払っても、63億円です。

 

会社を解散し、この100億円を配当したら、配当利回りは、250%(25%ではない)という計算になります。

どうしてこれほど割安で放置されているかは、いろんな意見があるでしょう。


ただ、上場子会社の時価総額を考えると、株価が非常に割安に放置される親会社があるのは事実です。

長々と書きましたが、GMBがGMB KOREAを売却して、会社自体を清算したら、現状の株価の250%程度の配当を出すことが可能なほど、割安です。

もちろん、そんなことは現実には不可能なので、現在の株価水準なのだと思います。

 

 

【W-SCOPEの韓国子会社の上場に期待できるのか】

私がよく取り上げるW-SCOPEの韓国子会社W-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.(以下、WCP)も、韓国市場で上場予定(2022年1月から6月)があり、その時価総額が2兆ウォン(日本円で1900億円)を超えるかもと韓国内でニュースなどで話題になっているようです。


ただ、子会社の上場には過度に期待しないほうがいいでしょう。

仮にWCPの1900億円の時価総額で、W-SCOPEがWCPの株式の約7割を保有した場合、時価1330億円分の資産を持つことになります。

 

GMBのように子会社の保有株式時価の57%(このブログではGMB係数と勝手に名付けます)程度しか評価されなければ、
1330億円 × 0.57 = 758億円です。

W-SCOPEの株価は876円(2021年9月2日終値)で、時価総額477億円ですから、株価が58%上昇し、1384円まで上昇したら、758億円の時価総額になります。
これを『良くも悪くもないケース』とします。

WCPの時価総額がどの程度なのか、W-SCOPEがWCPのどの程度の株式を保有するのかで上記の計算式は変わります。

『良いケース』です。
時価総額が3兆ウォン(日本円で2850億円)で、W-SCOPEがWCPの株式の約7割を保有した場合、時価1995億円分の資産を持つことになります。

1995億円 × 0.57(GMB係数)  = 1137億円です。

876円で、時価総額477億円ですから、株価が138%上昇し、2088円まで上昇したら、1137億円の時価総額になります。

『悪いケース』です。

時価総額が1.5兆ウォン(日本円で1425億円)で、W-SCOPEがWCPの株式の約6割を保有した場合、
時価885億円分の資産を持つことになります。

855億円 × 0.57(GMB係数)  = 487億円です。

W-SCOPEの株価は876円(2021年9月2日終値)で、時価総額477億円とほぼ同じ水準です。

『悪いケース』なら現状の株価に、子会社の上場も織り込まれていると言えます。

『良くも悪くもないケース』でも、58%の上昇が見込まれていますが、時価総額2兆ウォン、保有比率70%という数字は結構楽観的な数字だと思います。

『良いケース』なら、上場後3兆ウォンの時価総額が現実化したときでも、現状の株価の2倍ぐらいにはなりそうですが、3倍、4倍といった株価になることはなさそうです。

いずれにしても、子会社の上場しても、子会社の時価総額が、そのまま親会社の株価、時価総額に反映しないことはよくあるで、私は過度な期待をしないようにしています。

※8月31日の為替ルートである1ウォン=0.095円で円換算
※なお上記の数字は、億単位の表記は1億円未満はすべて切り捨てた数字です。

【バリュー株、低PBR株に興味のある方へ】

 

 

 

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以 上