芝浦機械・日本製鋼所の好業績からW-SCOPEの業績(2021年度3Q決算)を考える

 ▼目次

 

 

■はじめに

アニメ「キン肉マン」で、「牛丼一筋300年 うまいの早いの安いの~」と牛丼屋の歌が昔ブームになりました。

これは、吉野家「早い、うまい、安いの三拍子」ここは吉野家 味の吉野家 牛丼一筋 80年♪」 のCMから来ていると言われています。

李 健煕(イ・ゴンヒ、韓国語:이건희、1942年1月9日 - 2020年10月25日 )は、サムスン電子の元会長も、「同じ製品なら売れるのは安い方だ、価格が同じなら売れるのは、性能がいい方だ、性能、価格が同じなら売れるのは早く出したものだ。」と経営の要諦は、「安く、いいものを、早く」製品を供給することだと発言しています(出典は、ソニー VS.サムスン 作者:張 世進より)。

 

 

 

 

リチウムイオンバッテリーのセパレータは、W-SCOPE、SKアイイーテクノロジー(SKIET)旭化成東レ、上海エナジー※なども各社、積極的な設備投資をして、増産を計画していますが、競争に勝ち残るのためには、「安く」作らなければならず、「安く」作るためには「大量に」作る必要がます。「早く」市場に出荷するためには、早め早めの設備投資が必要です。いい製品を供給するには、たくさん製造した方が、製造技術、ノウハウが蓄積され、優位に立てます。

今、セパレーター業界は、下流リチウムイオンバッテリー業界がそうであるように、生き残りをかけた設備投資、増産投資で、利益が出ない業界(体質)かもしれません。脱落者が増え、世界5社ぐらいで寡占と呼ばれるな市場になるまで、赤字覚悟の増産が必要なのかもしれません。

20年前の半導体DRAM、10年前の液晶などのフラットディスプレイパネルがまさにそんな状況でした。

どの会社が生き残って、寡占業界で残存者利益を得るのかわかりません。また、それがいつ来るのかも、わかりません。ダブル・スコープなどセパレーター業界への投資はハイリスクなのかも知れません。

 

※正式社名は、上海恩捷新材料科技股份有限公司で、日本では 英語名 Shanghai Energy New Materials Technology Co., Ltd.という社名から、上海エナジーと呼ばれることが多い。

 

ダブルスコープ、旭化成東レなどセパレーター業界より、リスクが低く、直近、株価上昇が期待できるのは、セパレーターの製造装置の会社の株価も知れません。

セパレーターの製造装置の会社として、芝浦機械と日本製鋼所について、その好業績とともに紹介します。

 

■芝浦機械の好業績

芝浦機械(旧社名 東芝機械)が2021年11月9日に2022年3月末期の2Qの決算を発表しました。

決算短信有価証券報告書

「押出成形機においては、販売は中国の二次電池向けセパレータフィルム製造装置などが増加しました。受注はEV関連の設備投資需要の拡大に伴い、中国の二次電池向けセパレータフィルム製造装置が大幅に増加したことに加え」

といった記載があり、中国の二次電池向けセパレータフィルム製造装置の増加(これは上海エナジー向けの受注、売上だと思られますが、)のお陰もあり、大幅な会社予想比で増収増益を達成しました。

 

f:id:chanmabo:20211109204735p:plain

2022年3月期第2四半期決算短信より抜粋

 

芝浦機械の22年3月期第2四半期累計(4-9月)の連結経常損益は23.4億円の黒字(前年同期は7億円の赤字)に浮上し、従来予想の3億円の黒字を上回って着地しています。
 また、通期の同利益を従来予想の22億円→38億円(前期は8.7億円)に72.7%上方修正し、増益率が2.5倍→4.4倍に拡大する見通しとしています。。

 直近3ヵ月の実績である7-9月期(2Q)の連結経常損益は19.5億円の黒字(前年同期は6.6億円の赤字)に浮上し、売上営業損益率は前年同期の-1.6%→7.0%に急改善しています。

 

 芝浦機械が、2021年5月19日に発表した経営戦略説明資料では、「2021年度に取り組むこと」の中で、下記の画像のように、セパレータフィルム製造装置の引合、受注が好調で、その増産、設備投資について、ページを割いて、説明しています。

 2021年度中間決算では、「ただし、新収益認識基準では22年度以降の売上」という記述から、まだ、増産、設備投資の効果が売上には貢献していない可能性が高いので、今後も業績の好調は持続しそうです。

 

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芝浦機械_2021年5月19日発表経営戦略説明資料より_2021年度に取り組むこと


芝浦機械の株価は、決算前の価格(11月9日終値2,642円から、決算後(11月10日終値)は2,994 円と+352(+13.32%)と大きく上昇しているので、市場の期待以上の決算だったようです。

 

 

日本製鋼所の好業績

日本製鋼所 <5631> も、セパレータフィルム用装置を主力製品として注力しています。

2021年8月10日に発表した1Q決算では22年3月期第1四半期(4-6月)の連結経常利益は前年同期比3.5倍の41億円に急拡大し、業績は好調でした。通期計画の160億円に対する進捗率は25.7%となり、5年平均の25.8%とほぼ同水準でしたが。直近3ヵ月の実績である4-6月期(1Q)の売上営業利益率は前年同期の2.4%→8.1%に急改善しています。

 

2021年 8月10日 2,943 (決算日の終値、決算前の値)

2021年 8月11日 2,840(決算日翌日の終値、決算後の値)

2021年11月10日 3,315(直近の終値

と1Q決算直後は、上昇しませんでしたが、その後、業績の回復、向上が期待されて、3,315円と1Q決算前から約12.6%、上昇しています。

次の決算は中間決算(2Q決算)で2021年11月15日 に発表される予定ですが、芝浦機械のような好決算を期待する人は多いでしょう。

 

下の画像は、日本製鋼所_2021年5月18日新中期経営計画_セグメント別事業方針の抜粋です。主力の産業機械事業で主力製品ある樹脂製造・加工機械に関する説明で、

JSW日本製鋼所)の成長を牽引」「セパレータフィルム用装置の高品質化対応」

など、セパレータフィルム用装置に競争力を持ち、今後の成長が望めることが推察できます。

 

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日本製鋼所_2021年5月18日新中期経営計画_セグメント別事業方針

 

 

■芝浦機械・日本製鋼所の好業績からW-SCOPEの業績を考える

● セパレーター各社の増産競争

セパレーター各社の増産競争、そのための設備投資が続く状況がわかるニュースを紹介します。

2021年03月17日付記事:旭化成は15日、日向工場(宮崎県日向市)に約300億円を投じ、リチウムイオン電池用湿式セパレーター「ハイポア」の生産能力を年3億5000万平方メートル引き上げると発表した。2023年度上期に商業運転を開始する。同社の湿式セパレーターの生産能力は同13億5000万平方メートルとなる。電気自動車(EV)など向けの需要拡大に対応する。

 

2021年04月12日付記事:韓国のSKイノベーションの子会社SKアイイーテクノロジー(SKIET)は3月28日、ポーランドリチウムイオンバッテリー用セパレータの生産工場を増設すると発表した。投資規模は約1兆1,300億ウォン(約1,130億円、1ウォン=約0.10円)で、同社にとって単一投資額としては過去最大となる。新たに800人の雇用創出を見込む。

 

2021年09月17日付記事:合弁相手はセパレーター世界最大手の上海エナジーで、22年に中国江西省に工場を建てる。上海エナジーが51%、旭化成が49%を出資する。新工場では大型蓄電システム向けに低コストのセパレーターを作る。当初の生産能力は年間1億平方メートルで、28年をめどに年間10億平方メートルまで引き上げる計画だ。

 

2021年11月05日付記事:また、今後の需要拡大に備え、現在のTHU(東レとLG Chemの合弁)敷地内におけるフィルム基材の製膜設備増強ならびに、コーティング加工設備の新規導入を進めていくほか、合弁会社設立から2年半経過後に東レ持分の20%をLG化学に有償譲渡し、以降はLG化学が経営・事業の主体を担うことにも合意したという。

 

2021 年10 月14 日に開示されたダブルスコープのプレスリリース「設備投資決定及び欧州法人設立に関するお知らせ」で示された通り、積極的な大規模な設備投資計画を発表しています。

▼2021 年10 月14 日に開示されたダブルスコープのプレスリリース「設備投資決定及び欧州法人設立に関するお知らせ」を解説、考察した記事です。

 

こういった設備投資競争の恩恵を受け、セパレーターの製造装置の会社、芝浦機械と日本製鋼所は好業績も達成しているのでしょう。逆に言うと、セパレーター製造各社は、高い装置を買わないといけない状況が続き、苦境が続くのかも知れません。

 

日本の億万投資家名鑑 日経ホームマガジン

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●  W-SCOPEの業績(2021年度3Q決算)は?

崔 元根社長は

『これからはコスト競争力が重要になるが、サムスンが成功したのもコスト競争力のある世界最大級のラインを持っているため。ダブルスコープも他社よりコスト競争力のある世界最大級のラインを作っていく。』

『ダブルスコープのビジネスコンセプトは、セパレータについては装置産業であり、需要に応えられるよう生産キャパを適切に用意することが重要で、投資タイミングが大事になる。高い生産性を持つ設備に投資して、競争力のある製品を生産し投資の回収を図る。サムスンも市況の悪い時にも適切な投資を続けたので成功した。』

リチウムイオン電池は材料費が60~70%を占めているので、材料費が下がらないとコストがかがらない。1kW/hあたりの価格は現状600$だが、2015年には300$、2020年には200$、2030年には100$となると予測されている。価格を下げて普及させるためには材料費のコストダウンが重要になり、コスト競争力があるかが重要になる。』

と発言しています。

 

▼崔社長の発言について解説したブログ記事です。

こういった発言内容から、現状の世界シェア5%程度、世界5位クラスは、勝者として生き残るためには不安のあるシェアと考えて、設備投資を前倒しで積極的に実施する可能性もあります。

世界シェア1位 上海エナジーと世界シェア2位 旭化成が提携したことは、量が競争優位となるセパレーター業界で、脅威とダブルスコープは感じているかもしれません。そのため、この強者連合から、シェアを奪うために、より早く、より巨額な設備投資を実施する可能性があります。

 

設備投資で利益の下振となれば、それをリスクと考える投資家、大きな利益の期待から、失望に変わる投資家が増え、株価は売られる可能性があります。

そういった観点でも、どのような2021年度3Q決算となるか、2021年11月11日(明日!)の3Q決算となるか、楽しみです。

 

 

 

 

 

■このブログの記事に興味を持った方へ

ダブル・スコープに興味を持った方が興味がありそうな本や株式投資で自分の投資成績を上げたい人のための本をいくつか紹介します。

 

出でよベンチャー! 平成の龍馬!
ソニー執行役員上席常務も務めたソニーのものづくりの第一人者蓑宮武夫(みのみやたけお)氏の著作です。ダブルスコープへの出資したベンチャーキャピタルの会長も務めていました。日本における起業をよく観察していると、多様化と個性化が同時進行している。本書では、実例研究として6社のベンチャー企業を取り上げ、成功の秘訣を具体的に解説する。の企業の一社に、韓国のインフラ優遇措置を活用してグローバルな視点で立ち上げたリチウムイオン二次電池用セパレータ製造の企業として、ダブル・スコープが紹介されています。出でよベンチャー! 平成の龍馬! Amazon
 
 

 

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読んで頂き、ありがとうございました。

誤字脱字、乱文雑文、すいません。

 

銘柄メモ ダブル・スコープ6619  日本製鋼所5631 芝浦機械6104

 

タグメモ  ダブル・スコープ ダブルスコープ WSCOPE 崔元W-SCOPE
W-SCOPE Corporation ダブル・スコープ株式会社 

 

以 上です。