W-SCOPEの2021年度通期決算と今後の株価について(速報版)

■はじめに

ダブルスコープ(6619 )の 2021年12月期通期決算と今後の株価について、考えたこと、気になった点を簡単にまとめてみました(速報版)。
結論から言うと『今期4Qは好調だが、来期はやや失速』と思わせるような物足りなさを感じる業績予想のように思えました。

 (決算補足説明資料及び決算説明会内容の入手方法)
当社は、2022年2月16日(水)に機関投資家・アナリスト向けの説明会を開催する予定です。この説明会の動画
及び当日使用する決算説明資料は、開催後速やかに当社ウェブサイトに掲載する予定です

と記載があるので、決算補足説明資料を読んで、また、解説、考察するブログを投稿しようと思います。そういう意味で速報版と考えてください。

 

■関連ブログ

決算前の業績予想の修正について解説しているブログです。

参考になれば幸いです。

 

W-SCOPE 決算前の株価傾向 - 令和の未来カエルのブログ

W-SCOPEの2021年12月期業績予想の修正(2022/2/10付) - 令和の未来カエルのブログ

 

 

 

 ▼目次

 

 

■コンセンサスは超えない来期予想

株式投資での「コンセンサス」は、株式市場全体の期待値です。
カバレッジする証券アナリストの業績予想の平均値を使うことが一般的です。
カバレッジ(投資検討の対象として分析)している証券アナリストがの人数が多いほど、コンセンサスの確からしさは高まります。
その平均が一般的にコンセンサスと言われます。
多くの会社の予測は、実態よりも慎重な計画を公表します
それに対して証券アナリストは、様々なデータや過去の会社の予測の傾向から数字を分析し、予想するので、証券アナリストの数字の方が的確な予想になります。

いい決算とはは、今期業績、来期予想ともに、「コンセンサス」を超えることが大事です。

コンセンサスとしては、SBI証券のアナリスト予想を紹介します。
なお、SBI証券以外は、アナリスト予想はないので、SBI証券のアナリスト予想 イコール マーケットの期待値(コンセンサス)と考えて支障はないと思います。

 

▼2022年12月期-----------------
業績予想  SBI証券  会社
売上高   390億円    380億円
営業利益   80億円    50億円
経常利益   70億円    40億円 
当期純利益  62億円    14億円
1株利益   113.8円     25.7円
配当    2.5円 ⇒    0円

--SBI証券は2021年12月時点の予想------

 

SBI証券当期純利益は、非支配株主に帰属する当期純利益が考慮されてない、つまり、WCPが100%子会社のままの前提です。
そのため、前提が大きく異なることから当期利益の違いは重要でないでしょう。
また、配当はSBI証券の予想でも微々たる金額で、配当期待で購入しいいる投資家もほとんどいないでしょう無視して問題ないでしょう。

今回は売上高・営業利益・経常利益この3つの数字が問題といえそうです。
経常利益は営業利益とそれほど変わらず、連動しているので、
売上高、営業利益が低すぎることが問題だと思います。

決算短信より来期予想

決算短信より来期予想

■業績予想などの将来予想情報に関する説明(2021年12月期決算短信

まず、
業績予想などの将来予想情報に関する説明(2021年12月期決算短信
を転記します。

2021年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)  2022年2月14日開示
(4)連結業績予想などの将来予想情報に関する説明
当社グループの主力事業であるリチウムイオン二次電池向けセパレータ事業においては、引き続きEV市場の中長期的な拡大が見込まれ、民生用途でも特にアプリケーションが広がるパワー系電池需要も増える中で、顧客各社の設備投資も急速に進んでおり需要の伸びは顕著な状況が続きます。このような環境の中で当社グループでも、2021年のWCPにおける設備増設により生産能力を引き上げるとともに、WSKにおいても生産品目の最適化の取り組みを進め生産数量は増加しております。これらの状況から、2022年には販売数量を昨年比約20%伸ばし売上高は38,000百万円となる見通しです。

費用面では、これまで2020年後半から継続した運賃の高騰が営業利益の圧迫要素にはなりますが、本年下期には改善されることを見込み、下期の営業利益率は15%迄回復する見通しであり、通期の営業利益を5,000百万円と計画しております。

また、営業外において、2019/2020年に発行したWCPの転換社債に係わる会計処理の中で、これまでの決算ではWCPの企業価値の上昇等に伴いオプション負債の評価損の計上が続きましたが、2022年1月17日にて、すべての転換社債の株式への転換が完了したことから、今後当該要因による評価性損失の計上はほぼ想定されない状況となりました。

更に2021年会計期間中に銀行への借入返済を進めた事及びWCPの発行した転換社債の株式への転換が転換社債総発行額の80%以上完了したことから、2021年末のグループ全体での借入が大きく減少し20,412百万円(前年同期は46,791百万円)となり、2021年の支払利息は1,472百万円でしたが今年は約800百万円となり約600百万円減少する計画となっております。一方でWCP転換社債の株式への転換が進んだことにより前期末の当社の持分比率が49.69%となりました。

これらにより経常利益は7,400百万円改善し4,000百万円(前期は経常損失3,411百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,400百万円改善し1,400百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失2,943百万円)となる見通しです。

なお、今後のリスクとして、新型コロナウイルス感染症が再拡大した場合、当社顧客及びエンドユーザーの生産活動にどのような影響を与えるかは不透明な状況であることから、今後も顧客及びエンドユーザーの動向の確認を続ける必要があります。

 

 

■売上高が低すぎ

今期の売上は約300億円(299.6億円)で、対前年比で26.8%増と十分な成長率のように思えますが、2021年4Qの売上は96億円です。
この4Q売上に4倍した数字が384億円ですから、直近4Qと同程度の売上が1年間維持されるという予想です。

リチウムイオン電池のセパレータの市場が毎年20%から30%程度は拡大するのですから、現状のシェアを維持していれば達成できる数字で、少し低すぎる目標に思えました。


ダブルスコープの開示資料
2021 年10 月14 日付「設備投資決定及び欧州法人設立に関するお知らせ」によると
2025 年には、連結売上高で年間約7 億USD を想定しています。
1USD 115円で換算すると805億円です

今期の売上は約300億円です。2022年から2025年の4年間で、
805億円の売上を達成するには、年平均で28%成長する必要があります。

計画を開始する初年度 2022年度で売上成長率26.8%という数字は物足りなさを感じます。、
2025 年には、連結売上高で年間約7 億USDという想定から考えて、控えめな保守的な数字だと思われます。

 

■営業利益も低すぎ

約19億円から163.4%増の50億円という数字ですが、これも低すぎるように思えます。
2021年4Qの約15億円(14.7億円) に4倍した数字が60億円です。

決算短信の中で、

費用面では、これまで2020年後半から継続した運賃の高騰が営業利益の圧迫要素にはなりますが、本年下期には改善されることを見込み、下期の営業利益率は15%迄回復する見通しであり、通期の営業利益を5,000百万円と計画しております。

と説明しています。
運賃の高騰が圧迫要因になっている2021年4Qでも、営業利益率は15%を達成しており、量産化が本格化して、様々な工程が習熟して効率化、設備、材料を効率的、効果的な利用方法が確立されていくことを考えると、2021年4Q同程度の営業利益率は引きすぎると思えます。

SBI証券の予想では、営業利益率20.5%という数字であり、私も20%程度の営業利益率の十分可能と考えています。

なお、営業利益率が20%であれば、保守的と思われる会社予想の売上予想でも76億円です。会社予想営業利益50億の52%増の数字です。
営業利益が76億円であれば、経常利益が営業外の費用が会社の見積もり通り10億円として、経常利益は66億円です。会社予想の90%増の数字です。

■株価の行方

WCPの上場による企業価値の顕在化、2022年1Qの決算による会社予想を上回る業績の確認、継続疑義注記の解消といったことがおこるまで、日本に限らず、米国など世界的に株式市場が軟調なこともあり、株価は1000円を超えて急激に上昇することもないような決算(業績予想)でした。

株価がもともとWCPの時価総額企業価値)を考えると割安な状態ですので、決算予想が物足りない内容でも、大きく下落することもなさそうです。

 

『今期業績も絶好調、来期予想では成長はさらに加速』という決算でなく、急上昇はありませんが、ここ1ヵ月位は820円から900円ぐらいで株価を推移しそうです。

2022年2月14日株価でいうと25日移動平均価格 865円 50日移動平均価格823円です。この25日移動平均線、50日移動平均線ぐらいがサポートラインとなり、徐々に上値が上げていくような展開を予想しています。

 

▼2022年2月14日の株価と移動平均価格

2022年2月14日の株価と移動平均価格

 

 

 

■このブログの記事に興味を持った方へ

ダブル・スコープに興味を持った方が興味がありそうな本や株式投資で自分の投資成績を上げたい人のための本をいくつか紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

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読んで頂き、ありがとうございました。

誤字脱字、乱文雑文、すいません。

 

銘柄メモ ダブル・スコープ6619 

 

タグメモ  ダブル・スコープ ダブルスコープ WSCOPE 崔元W-SCOPE
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以 上です。