■はじめに
2022年2月25日付の大量保有株式変更報告書より、マストアセットがW-SCOPE株を売った価格、株数を調べ、その理由を推測しているブログ記事です。
マストアセットの新しい投資先のランサーズについても紹介しています。
■関連ブログ
マストアセット(Must Asset Management Inc(マスト・アセット マネジメントインク) )については、以下のブログ記事も参考にしてください。
■いつ、どれぐらい、いくらで売っているか
2021年12月03日付報告書と2022年02月25日付報告書から、マストアセットはダブルスコープの株式を売却しているのは事実です。
2021年12月03日付報告書と2022年02月25日付報告書から、マストアセットはダブルスコープの株式を売却しているのは事実です。
報告義務発生日:2021年12月1日→2022年2月17日
保有株式:4,936,700 → 3,910,900
株式保有割合:7.18% → 9.06%
といったように
株式数で1,025,800、全発行株式の1.88%の株式を前回の報告、2021年12月3日以降に売却しています。
ただ、前回の報告以降、一貫して処分(売却)していたわけでなく、取得(購入)も処分(売却)もして、トータルでは処分の株数が多かったという状況です。
報告書の取引履歴から推測すると、私の計算では約11.7億円の株式を売却(純粋な売却でなく、売却分から取得分を差し引いた正味の売却分)しています。
取引推定価格は、(始値+終値)/2という式で計算した始値と終値の中間値((小数点切り上げ)です。取得(処分)価格の推測値として利用しています。
700円台の株価では取得し、800円後半では株価はで処分し、業績上方修正後の2月16日以降の1000円近くの株価で大量に処分していることがわかります。
▼報告書の取引履歴
日付 |
株式数 |
保有割合(%) |
取引 |
推定 |
推定金額 |
||
2021年12月20日 |
35,900 |
0.07 |
取得 |
768 |
752 |
760 |
+27,284,000 |
2021年12月22日 |
8,400 |
0.02 |
取得 |
743 |
744 |
744 |
+6,249,600 |
2021年12月27日 |
6,800 |
0.01 |
取得 |
758 |
737 |
748 |
+5,086,400 |
2022年 1月13日 |
15,100 |
0.03 |
処分 |
948 |
946 |
947 |
-14,299,700 |
2022年 1月14日 |
94,500 |
0.17 |
処分 |
931 |
946 |
939 |
-88,735,500 |
2022年 1月17日 |
33,100 |
0.06 |
処分 |
975 |
946 |
961 |
-31,809,100 |
2022年 1月18日 |
52,700 |
0.1 |
処分 |
956 |
948 |
952 |
-50,170,400 |
2022年 1月28日 |
63,000 |
0.12 |
処分 |
821 |
860 |
841 |
-52,983,000 |
2022年 2月 7日 |
19,900 |
0.04 |
取得 |
800 |
784 |
792 |
+15,760,800 |
2022年 2月 8日 |
6,800 |
0.01 |
取得 |
766 |
767 |
767 |
+5,215,600 |
2022年 2月15日 |
52,700 |
0.1 |
処分 |
833 |
939 |
886 |
-46,692,200 |
2022年 2月16日 |
396,900 |
0.73 |
処分 |
968 |
1,005 |
987 |
-391,740,300 |
2022年 2月17日 |
542,100 |
1 |
処分 |
1,000 |
1,039 |
1020 |
-552,942,000 |
合計 |
-1,169,775,800 |
※推定価格は、(始値+終値)/2という式で計算した始値と終値の中間値((小数点切り上げ)です。取得(処分)価格の推測値として利用しています。推定金額は+が購入金額、−が売却金額です。
参考URL
マスト・アセット・マネジメント・インクの有価証券報告書一覧 - 投資関係がわかる「有報速報」 (kankei.me)
https://toushi.kankei.me/c/25382
■なぜ、売っているか
なぜ、売っているのかについて、2つの私の仮説を紹介します。仮説といっても当たり前の話をしているだけかも、知れません。
●リバランス
リバランスとは、複数のリスク資産に投資する運用(ポートフォリオ)で、一つのリスク資産、特定の株式が値上がりした場合、その株式の保有割合を減らして、値下がりした株式を買い増すような投資先、投資割合の見直しをいいます。
マストアセットのファンドは、W-SCOPEの株式が値上がりし、W-SCOPEの構成割合が高くなり、ポートフォリオのバランスを保つために売却したのかもしれません。
上記の記事は韓国の経済投資情報のサイトの韓国語の記事(2022年02月17日付ですが、
2021年の運用成績で、マストアセットする運営すべての私募ファンドがマイナス(-)の収益率、つまり損失が発生していることが報じられています。
つまり、全体の運用資産がマイナスの状況で、ダブルスコープだけプラスの状況であれば、ダブルスコープ株の構成割合が顕著に増えたことが考えられます。
以下の表はファンド毎の保有株数の変化です。
保有株式数が一番多いThe Second MUST Private Fundが一番多くの株を売却しています。
W-SCOPEの保有株式数が一番少ない直近のファンドは逆に増やしています。
おそらくW-SCOPEの含み益が多いファンドで、投資保有割合が高くなったファンドほど処分しているものと思われます。
保有株数 |
|||
ファンド名 |
12月1日 |
2月17日 |
増減 |
The First MUST Private Fund |
1,091,196 |
1,000,296 |
-90,900 |
The Second MUST Private Fund |
1,231,934 |
834,534 |
-397,400 |
The Third MUST Private Fund |
940,809 |
749,609 |
-191,200 |
The Fourth MUST Private Fund |
821,921 |
575,721 |
-246,200 |
The Fifth MUST Private Fund |
407,245 |
268,245 |
-139,000 |
The Sixth MUST Private Fund |
399,795 |
339,695 |
-60,100 |
The Eighth MUST Private Fund |
43,800 |
142,800 |
+99,000 |
●W-SCOPEが割安でなくなった
割安さに注目したいわゆる逆張り投資がマストアセットは得意です。
企業価値と市場の評価の乖離、割安さに注目することから、W-SCOPEの市場の評価があがり、株価が上がれば、割安さもなくなります。
900円以上の株価だと、買い増しするほど割安さでもなく1000円以上の株価だと、売るタイミングを考えるほど割高だといえるのでしょうか。
http://www.thebell.co.kr/free/content/ArticleView.asp?key=202108311400466560108430&lcode=00
2021年09月02日付の記事ですが、
マストアセット運用はダブルスコープの最大株主に上がった。
日本の材料産業に対する理解は韓国よりも低いため、ダブルスコープの株価は過小評
価されていると判断できる。
といった内容の記載があり、『過小評価』に注目した投資であり、『過小評価』がなくなり、適当な評価に代わり、株価が上昇すれば、投資する理由がないのかもしれません。
http://www.thebell.co.kr/free/content/ArticleView.asp?key=202109021049418640101552&lcode=00
2021年09月06日付の記事で、
SKイノベーションの子会社である分離膜生産会社SKアイテクノロジー(SKIET)には4月上場を控えて歴代最大規模の証拠金が集まった。一方、日本では韓国と比べ素材企業に対する理解度が不足して、ダブルスコープの株価が相対的に低い。
といった内容があります。
SKIETの株価(時価総額)と比べて、ダブルスコープは安いと考えていることも投資した理由のようです。
そのSKIETですが、
上場直後2021年5月11日に、終値で154500KRW(コリアンウォン)の株価をつけ、現在2022年2月26日の終値で120000KRWと約10か月で、22.4%下落しています。
2021年7月23日に終値で上場高値230500KRWをつけてからは、52%下落しています。
下の画像は、2021年5月11日から直近2022年2月26日の株価チャートです。
下の画像は、直近6カ月(2021年8月26日から)の株価のダブルスコープとSKIETのパフォーマンス比較ですが、ダブルスコープが13.93%上昇しているのに対し、SKIETは、43.56%上昇しています。
もし、2021年8月26日時点の株価が企業価値を反映して、その企業価値が今も変わらないとすると仮定します。その仮定だと、ダブルスコープはSKIETに対して、57.49%も割高と考えることもできます。
もし、2021年8月26日時点の株価が企業価値を反映して、その企業価値が今も変わらないとすると仮定します。その仮定だと、ダブルスコープはSKIETに対して、57.49%も割高と考えることもできます。
マスト・アセットのダブルスコープ株の購入価格から株の買い時を考えてみた - 令和の未来カエルのブログ
〇2021年8月27日に市場外で854円、2021年2月18日に市場内で875円(近く)で株式を取得しているので、マストアセットは800円台の株価は高いと考えていない。
〇2021年3月26日に 1.59%相当の大量の株式を726円で取得し、2020年11月19日市場内で625円(近く)で株式を取得している。700円前半ぐらいまで下がったら積極的に買い増してもいいし、625円位が底値かもしれません。
といった考察をしましたが、加えて、
〇2022年2月17日に、1%相当の大量の株式を1020円付近で売却している。1000円を超える株価は割高と考えて、マストアセットは株価が高いと考えている。
と考察をしたいと思います。
マストアセットの投資履歴から推察、考察した情報ですが、ダブルスコープの株価を考えるときの参考にしてください。
■何を買っているか(マストアセットの新しい投資先)
マストアセットは、韓国、日本、米国の株式に投資しています。おそらく、この3つの市場以外でも投資先を探しているでしょう。
そんな世界中で投資先を調査するマストアセットがダブルスコープの代わりに、どんな会社に投資しているか興味があると思います。
なお、日本では、ランサーズ(4484)に投資しています。
ランサーズは、クラウドソーシングのサービスのウェブサイトであるLancersの運営を行う企業。 個人間や個人法人間で請負業務のマッチングサービスを提供しています。
株価は2019年12月20日(終値757円)に上場して、2020年9月4日に1415円の高値を付けた後、株価は1年以上、低迷、下落傾向で、直近2022年2月25日の株価は259円です。
マストアセットはランサーズ株について、
2021年12月08日付大量保有(変更)報告書によると全株式5.13%まで株式を保有し、
2022年 1月12日付大量保有(変更)報告書によると全株式6.29%買い増しています。
2021年 10月22日から購入を開始しています。
マストアセットのランサーズ取得価格平均値は520円。
98万5200株を5億1258万円で購入。(2022/1/12提出大量保有報告書)
2021年 10月22日から購入を開始しています。直近2022年2月25日時点の100日移動平均価格の383円ぐらい株価ですので、ずいぶん高値で買っている印象です。
今は、マストアセットの購入価格より、株価は下がっており、マストアセットの調査力に期待するなら、株価は買い時かもしれません。
ただ、2021年のマストアセットの投資成績を見ると、マストアセットに期待しない方がいいのかもしれません。
■本の紹介
海外の投資ファンド、機関投資家の投資手法、投資先を知って、自分の投資成績を上げたい人のための本をいくつか紹介します。マストアセットが得意な逆張り投資に関する本も紹介ています。
日本人は投資を知らなさすぎる。投資と投機は違う。投資は危険なものではないし、いかがわしいものでもない。資本主義の健全な形態である。投資が盛んになり、優良企業にお金が集まるようになれば、日本の景気もよくなるはずだ。
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以上
ダブル・スコープ (6619) ランサーズ(4484)
以上