『道は開ける』 デール カーネギー (著) をあえて批判する

『道は開ける』 デール カーネギー (著), Dale Carnegie (著), 香山 晶 (著)は、「自分が今まで一番落ち込んだ時に読んだ本」の一つだと思います。

  大学生の時にこの本を初めて読んで、いいことが書いてあるなと思って、座右の書のようにして、20代のころ、何度か読みました。原題は「HOW TO STOP WORRING AND START LIVING」(悩みを止め、人生を一新させる方法)です。

 

 

 

 世界的なベストセラーで誰も批判しない本で、自分もすごいいいことが書いてある本だと思いますが、『健全な批判は客観的な思考につながる。』から、あえて批判もしたいと思いました。本の中で自分が特に好きな記述ついて、『あえて』批判してみました。

 

『今日1日の区切りで生きよ』

 過去と未来を考えすぎて、悩むな、今、今日を大事にしようという趣旨だが、過去の分析、反省から、成功は生まれるし、長期的な計画、目標という意味で、未来は大事である。『今日1日の区切りで生きよ』という言葉を極端にとらえると、過去の分析、未来への展望がなくなります。

 

『私は忙しすぎる。悩んだりする暇はない』 ウィンストン・チャーチル

 不要な悩みを排除するには、忙しい状態に身をおくこと、という趣旨です。大学生のときに、バイトもせず、サークルも入らず、友達もいない、授業もない1年目の夏休みのときに、気分が暗くなり、いろいろ悩んだ。その後、バイトもして、サークル活動もして、多少悩みが消えました。
 社会人になって、「私は忙しすぎる。悩んだりする暇はない」 という状態を言い訳にして、あまり悩まず、考えないようになった。忙しい状態は、悩まない、イコール、考えないことにつながるので、注意したいといけないですね。

 

 『避けられない運命には従え』『神よ、あたえたまえ、変えることができないものを受け入れる心の平静さ、変えられることを変える勇気、それを区別する叡智を』

 何が「避けられない運命か、そうでないか」、「何が変えることができるものか、そうでないか」を判断するのは、非常に難しいです。例えば、視力が悪い人が、それを「変えられない」ものとするか、視力矯正手術を受けて「変えられる」もの」とするかなど。「変えられない」もの、「変えられる」ものかの区分について、具体的な、詳細な助言が欠けていると思います。

 

 『あの体験から学んだ最大の教訓は、飲みたいときに飲める新鮮な水と食べたいときに食べる食料さえあったら、それ以上に文句を言うべきでないということさ。』 21日間太平洋を漂流したエディ・リッケンバッカー
 「不平不満をいうより、恵まれているものに注目しよう」という趣旨だが、ブラック企業で過労死するまで頑張る人の心理につながり危険です。

 

『苦難に苦難を重ね、自分自身の力に限界に達すると、私たちの多くは絶望して神にすがる。「野戦用の塹壕の中には無神論者はいない。」 しかし、なぜ、最後の土壇場まで待つのか。

多くの人間、少なくとも日本人は、苦難を重ねなくても、比較的に簡単に、神にすがります(初詣の祈願など)。
『野戦用の塹壕の中には無神論者はいない。』というが、出所、根拠は不明です。生死がかかった極度の緊張状態であろう『野戦用の塹壕の兵士』は神のことを思う余裕があるのだろうか疑問を持ちました。

マンガも

↓は、とりえあえずマンガ、とっかりはマンガという方へおすすめの本です。

 

 

 

改めて本の紹介

内容紹介
邦訳300万部突破の世界的ベストセラー。
悩みを克服するための方法が具体的で説得力豊かに綴られた不朽の名著。

『人を動かす』と並ぶカーネギーの二大名著。
人が生きていく上で誰もが直面する「悩み」の原因を客観的に自己分析し、
心の持ちようや習慣を改め、心身の疲れを取り除く等の方法で
具体的かつ実践的に解き明かす。
苦悩するすべての人を心の闇から救いだし、行動と自己変革への勇気を与え、
新しい人生を切り開くための座右の書。
1944年の初版刊行以来、時代に合わなくなった部分を修正するなど、
折々に改訂が施されてきた現行の公式版。

〔目次〕
訳者まえがき
序――本書の生いたち
本書から最大の成果を得るための九カ条
◇PART1 悩みに関する基本事項
1 今日、一日の区切りで生きよ
2 悩みを解決するための魔術的公式
3 悩みがもたらす副作用
◇PART2 悩みを分析する基礎技術
4 悩みの分析と解消法
5 仕事の悩みを半減させる方法
◇PART3 悩みの習慣を早期に断つ方法
6 心の中から悩みを追い出すには
7 カブトムシに打ち倒されるな
8 多くの悩みを閉め出すには
9 避けられない運命には調子を合わせる
10 悩みに歯止めをかける
11 おがくずを挽こうとするな
◇PART4 平和と幸福をもたらす精神状態を養う方法
12 生活を転換させる指針
13 仕返しは高くつく
14 恩知らずを気にしない方法
15 百万ドルか、手持ちの財産か
16 自己を知り、自己に徹する
17 レモンを手に入れたらレモネードをつくれ
18 二週間でうつを治すには
◇PART5 悩みを完全に克服する方法
19 私の両親はいかにして悩みを克服したか
◇PART6 批判を気にしない方法
20 死んだ犬を蹴飛ばす者はいない
21 非難に傷つかないためには
22 私の犯した愚かな行為
◇PART7 疲労と悩みを予防し心身を充実させる方法
23 活動時間を一時間増やすには
24 疲れの原因とその対策
25 疲労を忘れ、若さを保つ方法
26 疲労と悩みを予防する四つの習慣
27 疲労や悩みの原因となる倦怠を追い払うには
28 不眠症で悩まないために
◇PART8 私はいかにして悩みを克服したか

内容(「BOOK」データベースより)
悩みの正体を明らかにし、悩みを解決する原則を具体的に明示して、こころの闇に光を与える不朽の名著。

内容(「MARC」データベースより)
「悩みに関する基本事項」「悩みを分析する基礎技術」「批判を気にしない方法」など、悩みの正体を明らかにし、悩みを解決する原則を具体的に明示。こころの闇に光を与える書の新装版。

著者について
1888年、米国ミズーリ州の農家に生まれ州立学芸大学卒業後、雑誌記者、俳優、セールスパーソン等雑多な職業を経て、YMCA弁論術担当となり、やがてD.カーネギー研究所設立。人間関係の先覚者として名声を博す。1955年、66歳で死去。

 

 

 

以上です。