W-SCOPEの2021年3Q決算は期待できるか
▼目次
■はじめに
2021 年11月11 日(木)の取引時間後に、ダブル・スコープは、2021年度 第3四半期(2021年3Q)の決算を発表します。
この決算発表について、期待していいのか、期待しない方がいいか、考察したブログ記事です。
■あまり期待しないほうがいい理由
結論からいうと、『あまり期待しないほうがいい』と考えています。
理由は次の三つです。
① 最近、株価が上昇しており、調整(下落)しそうなこと。
② 最近、特別利益の計上などいいニュースが多く期待が上がっていること。
③ 過去、期待を上回る決算発表が少ないこと。
① 最近、株価が上昇しており、調整(下落)しそうなこと。
にて、2Q決算発表後の2021年8月16日に、株価が600円台と下落している当時に、
『おそらく710円(2021年4月には、マッコリ―銀行を引受先に公募増資した金額、4月7日の終値株価 750円から5.33%ディスカウントした価格)を超えての下落は一時的で、710円程度で下値を固めて、その後は、2021年11月の3Qの発表を受け、2021年年末ぐらいには、800円ぐらいまでの株価には戻る思っています。』
といった予測をしました。
結果的に『株価の下落は一時的だ』と予測は当たりましたが、その後の株価上昇は予想以上でした。
WCP株式の一部株式売却、特別利益の計上など予想外のこともありましたが、
『800円程度で底値を固めて、2021年11月の3Qの発表までに900円台まで株価が上昇する。』といった内容を予想するのが、結果から見ると、適当でした。
8月12日中間決算発表後の安値と高値のポイントは以下の通りです。
8月16日 安値 604円 8月26日 高値 865円
8月31日 安値 781円 9月14日 高値 1044円
10月5日 安値 797円 10月8日 高値 880円
10月13日 安値 835円 10月27日 高値 977円
10月29日 安値 844円 11月2日 高値 950円※
※11月2日は、高値のポイントかは今後の株価次第ですが、直近の取引日の高値を参考として記載しています。
安値のポイントを徐々に切り上げいますが、
2週間から4週間ぐらいのペースで安値のポイントがきており、次回は860円ぐらいの安値まで下がるような印象のチャートです。
だいたい、安値は75日移動平均の価格+10円から20円となっています。高値75日移動平均を100円程度超えたあたりになっています。75日移動平均線がサポートライン(下値支持線)となっていることがわかります。
11月11日の決算発表は、10月29日から安値から約2週間後です。75日移動平均を10%を超えているような高値を維持しているようであれば、中間決算というイベントが、調整といった意味で、下落のタイミングになる可能性も高いと考えています。
「噂で買って事実で売る」(ウォール街で生まれた「Buy the rumor,sell the fact」の和訳)という相場格言があります。
買い材料が出たら噂レベルであってもその時点で買っておき、事実が明るみになった時点で売っておこうという意味です。
中間決算の内容はわかりませんが、いい内容だとしても、株価が上昇していることは、それだけ期待するレベルも上がっていますか、事実で売られる可能性もあると考えています。
② 最近、特別利益の計上などいいニュースが多く期待が上がっていること。
IR(投資家向広報)の仕事は、会社の業績に過度に期待させたない、過度に不安にさせず、期待値を一定のレベルに保つことです。そのため、悪いニュースがあれば、その前後にいいニュースを、いいニュースにはその前後に悪いニュースをプレスリリースすることが多いようです。
9月30日のプレスリリースで、特別利益の計上、WCP転換社債の株式転換、借入金の返済、ハンラグループとの提携、10月14日のプレスリリースで、設備投資の決定と欧州法人設立など、比較的いい内容、前向きな内容のプレスリリースが続いています。
▼プレスリリースを紹介したブログ記事のリンクです。
また、
サムスンSDI営業益が過去最高 車載電池2期連続の黒字=7~9月期│韓国経済│wowKora(ワウコリア)
11月2日のニュースで、
韓国バッテリー(電池)大手のサムスンSDIが2日発表した2021年7~9月期の連結決算によると、本業のもうけを示す営業利益は前年同期比39.7%増の3735億ウォン(約360億円)、売上高は同11.4%増の3兆4398億ウォンだった。営業利益、売上高ともに四半期として過去最高を記録した。
中大型電池や小型電池を含むバッテリー事業は営業利益が2018億ウォン、売上高が2兆7409億ウォンだった。
前期の4~6月期に黒字転換を果たした電気自動車(EV)向け電池事業は、車載半導体不足による需要減の影響があったにもかかわらず高付加価値製品を中心に販売が伸び、黒字を維持した。一方、エネルギー貯蔵システム(ESS)向けは主要プロジェクトの供給スケジュールの影響で売上高が減少した。小型電池は売上高、収益性ともに改善した。
と売上を8割程度を占める主要顧客であるサムスンSDIの好業績が報道されています。
▼ダブル・スコープがいかにサムスンSDIに依存しているかを紹介したブログ記事です。
好材料のニュースが続いているので、会社側としては悪材料のニュース(開示)をするのがいいタイミングと考えるかもしれず、そうであれば、中間決算は期待できない内容になるかもしれません。
また、期待した内容であっても、それが投資家の期待値を大きく超えるものでないと、材料出尽くしとなって売られる可能性もあります。
③ 過去、期待を上回る決算発表が少ないこと。
これが一番の理由ですが、確率的に決算発表後、株価が下落しているということです。
にてダブル・スコープの業績予想は信頼できないし(事実)、中間決算は期待しないほうがいいと伝えていますが、決算発表後、株価が下落している割合(確率)が高く、期待を超える決算を出すことは少ないです。
下記に示している表は、ダブル・スコープの決算発表日の終値の株価(つまり決算発表前の株価)と決算発表日の翌取引日の株価の終値(つまり決算発表後の株価)をまとめたものです。
下落している場合が多いこと、判定が〇が上昇、×が下落ですが、×が多いのがわかると思います。
上場後、38回の決算発表が実施され、翌日上昇していることが11回(29% )、翌日下落していることが27回(71%)です。
翌日の株価が下落していることは、決算の数値が投資家の期待を超えなかった考えれば、71%の確率、つまり、10回に7回の確率で投資家の期待を超えていないのです。
2013年の安値160円から2016年に上場来高値3,670円まで上昇した期間も含めて、この割合(確率)です。
ダブル・スコープの崔元根社長、経営陣は、決算で投資家の期待を超えるような数字を達成しようとう意欲が少ない、いい意味で悪い意味でも決算の数字に強いこだわりを持っていないように思えます。
過去の決算の実績を考えても、あまり期待しないほういいのではと思います。
決算発表前の終値と決算発表翌日の終値を比較すると、平均で-2.76%という数値で、約3%下落しています。
10%以上下落していることも、6回あります(約15%の確率です)。なお、10%以上上昇していることも3回あります(約8%の確率です)。
今後の決算発表を予想できる根拠になるか不明ですが、決算発表直後、下落することが多いという過去の経験則・確率は確認できます。
▼ダブル・スコープの決算発表前後の株価推移
※株価は2016年7月に1対2で分割しており、分割前の株価は分割を調整(÷2)しています。
決算 | 決算発表日 | 株価※ | 決算発表翌日 | 株価 | 騰落率 | 判定 |
2012年1Q | 2012年5月10日 | 753.5 | 2012年5月11日 | 771 | 2.32% | 〇 |
2012年2Q | 2012年8月10日 | 319 | 2012年8月13日 | 345 | 8.15% | 〇 |
2012年3Q | 2012年11月9日 | 312.5 | 2012年11月12日 | 262.5 | -16.00% | × |
2012年4Q | 2013年2月12日 | 210 | 2013年2月13日 | 200 | -4.76% | × |
2013年1Q | 2013年5月10日 | 188.5 | 2013年5月13日 | 196.5 | 4.24% | 〇 |
2013年2Q | 2013年8月9日 | 200.5 | 2013年8月12日 | 195 | -2.74% | × |
2013年3Q | 2013年11月11日 | 181.5 | 2013年11月12日 | 198 | 9.09% | 〇 |
2013年4Q | 2014年2月13日 | 343 | 2014年2月14日 | 293 | -14.58% | × |
2014年1Q | 2014年5年9日 | 349 | 2014年5月12日 | 317.5 | -9.03% | × |
2014年2Q | 2014年8年6日 | 420.5 | 2014年8年7日 | 403.5 | -4.04% | × |
2014年3Q | 2014年11年6日 | 342 | 2014年11月7日 | 330 | -3.51% | × |
2014年4Q | 2015年2年12日 | 355 | 2015年2年13日 | 343 | -3.38% | × |
2015年1Q | 2015年5年11日 | 462 | 2015年5年12日 | 455.5 | -1.41% | × |
2015年2Q | 2015年8年5日 | 800 | 2015年8年6日 | 806 | 0.75% | 〇 |
2015年3Q | 2015年11年10日 | 1,242.5 | 2015年11年11日 | 1,370 | 10.26% | 〇 |
2015年4Q | 2016年2年12日 | 1,855 | 2016年2年13日 | 1,652 | -10.94% | × |
2016年1Q | 2016年5月10日 | 2,975 | 2016年5月11日 | 3,120 | 4.87% | 〇 |
2016年2Q | 2016年8月9日 | 1,948 | 2016年8月10日 | 1,686 | -13.45% | × |
2016年3Q | 2016年11月9日 | 1,675 | 2016年11月10日 | 1,606 | -4.12% | × |
2016年4Q | 2017年2月8日 | 1,849 | 2017年2月9日 | 1,819 | -1.62% | × |
2017年1Q | 2017年5月11日 | 1,605 | 2017年5月12日 | 1,482 | -7.66% | × |
2017年2Q | 2017年8月9日 | 1,750 | 2017年8月10日 | 1,956 | 11.77% | 〇 |
2017年3Q | 2017年11月8日 | 2,147 | 2017年11月9日 | 2,110 | -1.72% | × |
2017年4Q | 2018年2月13日 | 1,808 | 2018年2月14日 | 1,689 | -6.58% | × |
2018年1Q | 2018年5月9日 | 1,655 | 2018年5月10日 | 1,629 | -1.57% | × |
2018年2Q | 2018年8月8日 | 1,329 | 2018年8月9日 | 1,284 | -3.39% | × |
2018年3Q | 2018年11月8日 | 1,096 | 2018年11月9日 | 1,082 | -1.28% | × |
2018年4Q | 2019年2月14日 | 1,212 | 2019年2月15日 | 1,150 | -5.12% | × |
2019年1Q | 2019年5月9日 | 1,580 | 2019年5月10日 | 1,750 | 10.76% | 〇 |
2019年2Q | 2019年8月13日 | 1,062 | 2019年8月14日 | 965 | -9.13% | × |
2019年3Q | 2019年11月13日 | 625 | 2019年11月14日 | 609 | -2.56% | × |
2019年4Q | 2020年2月12日 | 787 | 2020年2月13日 | 811 | 3.05% | 〇 |
2020年1Q | 2020年5月14日 | 382 | 2020年5月15日 | 356 | -6.81% | × |
2020年2Q | 2020年8月13日 | 963 | 2020年8月14日 | 962 | -0.10% | × |
2020年3Q | 2020年11月12日 | 742 | 2020年11月13日 | 679 | -8.49% | × |
2020年4Q | 2021年2月15日 | 1,046 | 2021年2月16日 | 873 | -16.54% | × |
2021年1Q | 2021年5月13日 | 616 | 2021年5月14日 | 671 | 8.93% | 〇 |
2021年2Q | 2021年8月12日 | 813 | 2021年8月13日 | 663 | -18.45% | × |
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以 上です。