W-SCOPE インサイダーが買う株を狙え

■はじめに

『インサイダーが買う株を狙え』といったピーター・リンチの投資手法やダブル・スコープ崔社長の新株予約権の発行、行使についての解説し、崔社長が新株予約権の行使で株式取得を急いだ理由(実際には急いでいませんでしたが)、復配の可能性など考察したブログ記事です。

↓のブログに続く、W-SCOPEに関係する記事です。

▼目次

 

 

 

■ピーター・リンチの『インサイダーが買う株を狙え』

「テンバガー(10倍株)」という言葉を世に広めたのは、伝説的な米国のファンドマネジャーのピーター・リンチです。

ピーター・リンチは、米運用大手フィデリティの「マゼランファンド」を1977年から13年間運用。平均で年率29%のリターンを出し、純資産総額を700倍に増やしました。

個人投資家向けに株式投資のノウハウを解説した著書『ピーター・リンチの株で勝つ』などは、世界的なベストセラーになりました。

 

ピーター・リンチは、13項目に及ぶ自らの投資手法、投資哲学を自著などで公開していますが、その12番目に挙げられているのが「インサイダーが買う株を狙え」というものです。

ここでいうインサイダーは主に経営者です。

経営者が自腹で自社株を買う動きを見せるのは、
自社の情報を一番把握しているはずの経営者が、今後の経営による企業の成長と株価上昇に確信をもっているからこそできる行為といえるからです。

■W-SCOPEの究極のインサイダーは崔元根氏

崔元根氏は、創業者で信託銀行の持分を除ければ、筆頭株主です。そして、現在の代表取締役社長でCEO(最高経営責任者)で、W-SCOPEの経営状況な内部情報が一番わかる立場であり、究極のインサイダーといえますが、その崔元根氏が株を買いまいた。

 

2022年6月2日付に提出された株式大量保有 変更報告書によると、
崔元根氏のWSCOPE株式保有比率は9.01%→13.69%に増加させています。

保有株式は4,972,000株→7,972,000株と増え、ちょうど3,000,000株取得しました。

この取得は第三者からの取得、市場での取引でなく、新株予約権の行使により新規発行されたものです。

■訂正 新株予約権は行使されていない

崔社長の保有株式は4,972,000株(うち潜在株705,000株)→7,972,000株(同3,705,000株)で増えたのは潜在株でした。

潜在株式とは、普通株式を取得することができる権利や、普通株式への転換請求権等が付された証券又は契約をいい、新株予約権転換社債型新株予約権付社債転換予約権付株式などをいいます。

つまり、今回報告されたのは、新株予約権が発行されたというだけで行使されていませんでした。

 

 

↓は楽天のリンクです。


 

 


 

 

新株予約権とは

 2022 年5月 12 日付で開示された
『募集新株予約権(株価コミットメント型有償ストック・オプション)』の発行に関するお知らせ』の内容を解説します。

勝手に想像して創作した崔社長とその奥さんの会話風で、解説したいと思います。

会話はもちろんすべてフィクションです。

 

崔社長『今月、会社から新株予約権1個2400円の3万個で買うから。
1個は株式100株分ね。口座から会社の口座に7,200万円振り込んで。』

 

奥さん『なに、その新株予約権って。よくわからないけど、そんなに会社の経営が厳しいの。あまり、無理しないで、そろそろ会社をたためば。会社が倒産しても、私はあなたについていくわ。』

 

崔社長『別に会社にお金がないわけじゃないよ。新株予約権を買って、株を取得したいんだよ。』

 

奥さん『あなた、もうたくさん株を持っているじゃない。でも、100株 2400円で変えるならいいわね。いま、買ったら10万円ぐらいするもの。1個100株ですぐ売っても9万円ぐらいの利益ね。300万株なら、30億円ぐらいの利益。社長ってそんな美味しいことできるのね。今まで頑張ってくれてありがとう!』

 

崔社長『違う。違う。買うのは新株予約権新株予約権は株でなく、あくまで株を買う権利だよ。』

 

奥さん『そうなの。じゃ、普通に市場で買ってもいいじゃない。』

 

崔社長『それは、いろいろ規制があって難しいから。あと、浮動株が少なくなって、流動性も悪くなるし、新株発行してもらったほういいし。』

 

奥さん『当然、安く株価は買えるのよね。』

 

崔社長『新株予約権をもらった日の終値だよ。例えばその終値1000円で、株価が上がって3000円になれば1株2000円の儲けだね。』

 

奥さん『逆に500円に下がっていれば、その時は新株予約権を行使しなければいいのね。市場で500円で変えるのに、1000円で買う馬鹿いないものね。』

 

崔社長『いやそれがさ、違うんだ。

割当日から本新株予約権の行使期間の終期に至るまでの間に金融商品取引所に
おける当社普通株式の普通取引終値が一度でも行使価額に 50%を乗じた価格を
下回った場合、新株予約権者は残存するすべての本新株予約権を行使期間の満期
日までに行使しなければならないものとする。

と開示されてるだろ。』

 

奥さん『どういう意味?』

 

崔社長『500円に下がったら1000円で買わないといけないという意味だよ』

 

奥さん『あなた、さらっというけど、300万株だから、そうなったら15億円の損じゃない。そういえば、令和の未来カエルさんのブログ(↓)

で、そんな話が紹介されていたわよ。

KeyHolderという日本の会社で、秋元康さんは、新株予約権 約2500万株分、これを1株当たり125円で強制行使して、約31億円出資したみたい。行使価格の半分62円以下まで下がった場合、強制行使する契約だったみたい。』

 

奥さん『何のために、そんなことするの?』

 

崔社長『だから、開示にある通り、

中長期的な業績拡大を目指すための大きな転換期を迎えており、当社グループの結束力をさらに高めるためのリーダーシップの発揮及び企業価値増加に対するコミットメント

が目的だよ。』

 

奥さん『株価、企業価値があがったら、あなたが儲かるようにすれば、そして、下がったら損するなら、あなたも頑張るということね。』

 

崔社長『まあ、そんなことだね。株主総会でも株価の下落、低迷について、質問をもらったしね。損している株主も多いから、先ず隗より始めよという感じかな。』

 

奥さん『そこまでして、株価が上げたい理由があるの?』

 

崔社長『コロナも収束していきたから、そろそろ日本に行きたいし。日本は損をしている株主が多いし、知り合いにもいるから、会いずらいじゃん。それに、やはり、株主総会は、晴れの場だから、ドヤ顔でのぞみたいし。ここ数年の株主総会は、株主の顔見るの怖かったぞ。』

 

奥さん『あなたのドヤ顔のために、7,200万円を使って、15億円損するかもしれないなんて。』

 

 

■『もし』すぐに行使された新株予約権

(もし、仮に新株予約権がすぐに行使されたら、たらればの前提での記載です。

私がすぐに行使されたと勘違いして、記載した内容ですが、せっかくなのでそのまま残してしておきます。)

 

2022年5月31日 付で開示された
『募集新株予約権(株価コミットメント型有償ストック・オプション)の発行内容確定に関するお知らせ』や先に紹介した株式大量保有報告書の内容を考察したいと思います。

前の章と同じく、できるだけわかりやすく、イメージできるように
勝手に想像して創作した崔社長とその奥さんの会話で解説しています。

 

奥さん『そういえば、この前の新株予約権の行使価格の株価、昨日5月31日の終値だから1,125円ね。それより、上がったら行使すればいいのね。』

 

崔社長『ごめん、言っていなかったけど、もう行使した。会社に33億円7500万円払ったよ。』

 

奥さん『えー。あなた、馬鹿じゃない。借りたお金だと思うけど、金利だってすごい額だよね。3%の金利でも、1億円よ。仮にへそくりからだしたとしても、それを1%で運用すれば、3300万円毎年収入が増えるのに。最近、金利も上がってるわ。』

 

奥さん『行使期間は、2022年 6 月 1 日から 2032 年 5 月 31 日までだから、急いで行使する必要あったの? しかも、今日6月1日の株価は終値で1140円だから、行使価格より下がっていて損しているわよ。』

 

奥さん『なんで、そんなに急いで行使する必要があったの』

 

崔社長『その理由は。。。』

W-SCOPEの直近1カ月の株価チャート

 

新株予約権をすぐに行使した理由は(実際には行使していない)

(もし、仮に新株予約権がすぐに行使されたら、たらればの前提での記載です。

私がすぐに行使されたと勘違いして、記載した内容ですが、せっかくなのでそのまま残してしておきます。)

 

崔社長が新株予約権を引き受け後、直ちに行使して、株式を取得したのは、なぜでしょうか。


行使期間は、2032年5月31日まであるので、約34億円の資金負担をしてまで、急いで株式を取得(購入)した理由は正直、よくわかりません。

 

W-SCOPEは無配ですし、仮に復配したとても、今期末2022年12月末時点の保有者が対象になると思われるので、急いで買う理由もないでしょう。

 

取得した株式を機動的に売却して、キャピタルゲインを狙うことも考えていたのかもしれませんが、すでに大量の株式を保有しており、株価・株主対策を考えると、株式の売却も考えにくいです。

 

あえて探すと、税金対策(節税、課税の繰り延べ)の可能性もあります。

No.1543 税制非適格ストック・オプションに係る課税関係について|国税庁

といった国税庁の解説によると、ストックオプションは、新株予約権の権利行使時に
(権利行使時株価 - 権利行使価格) × 株式数 = 所得金額
とみなされ、課税される場合もあります。


仮に1,625円まで株価が上昇して行使すると、
(1,625 - 1,125) × 300万株 = 500 × 300万株 = 15億円の所得とみなされ、課税対象になります。
給与所得となれば、40%程度の実効税率のため、6億円の税金を支払う必要があります。

 

崔社長の居住地は韓国のため、適用されるのは韓国の所得税法ですが、日本と同じような制度だった場合、税金対策(節税、課税の繰り延べ)で、あえて、株価がまだ本格的に上昇する前に、行使価格で株式を取得した可能性があります。

 

実際に、5月31日の新株予約権発行 行使価格1,125円から、わずか半月で6月17日終値1,555円と株価は38%上昇してます。

株価が安いときに行使をしたいという目的なら、行使のタイミングは間違っていなかったようです。

新株予約権の発行、そしてその行使から、2022年5月には、崔社長は、株価上昇に確信に近い強い自信があったのでしょう。

 

なお、オーナー経営者が筆頭株主の会社は、株価の上昇が期待できるといわれます。

そんな話のブログ記事↓です。

■復配も近いかも

(もし、仮に新株予約権がすぐに行使されたら、たらればの前提での記載です。私がすぐに行使されたと勘違いした記載ですが、せっかくなのでそのまま残してしておきます。ただ、新株予約権を行使し、株式取得、保有を続けるのであれば、税金支払も含めて、相当の資金負担が必要で、借入も必要だと思われ、そのための金利負担を考慮して、復配される可能性もあると思います。)

 

新株予約権行使で必要な約34億円は、崔社長は、どこから調達したのか、気になります。

 

創業時もベンチャーキャピタルから出資を受けていますので、崔社長個人のキャピタルゲインもそれほど多くないでしょう。

2021年期の役員報酬は総額1.83億円で、社外取締役を除く取締役は3名です。

崔社長の役員報酬は1億円※なさそうで、株式取得に必要な約34億円と比べると、少なく、役員報酬だけだと明らかに不足しそうです。

※2021年度の有価証券報告書で 連結(グループ)の役員報酬総額だと1.83億円 単体の役員報酬総額だと0.44億円でした。 WCP等から役員報酬があったとても、崔社長の役員報酬は、もらっていても1億円超えないぐらいでしょう。

 

おそらく自己資金でなく、銀行などからの借入で調達したものと思われます。

仮に3%の金利負担だとすると約1億円の金利負担で、現状の役員報酬の中から支払うのは厳しいでしょう。

もしかしたら、この金利の支払に、ダブルスコープの配当を期待しているのかもしれません。

 

2015年12月期には、1株5円(2016年7月に1株から2株への分割を実施しているので、分割前なら1株当たり配当額10円です。1株当たり配当額10円には、創立10周年記念配当5円を含んでいます)の配当を実施しています。

2016年12月から2018年12月までは2.5円の配当も実施しています。

当時の株価で、配当利回りは1%以下で、決して高い配当ではないですが、今後、業績回復、復配、増配も期待できるように思えます。

崔社長のふところ事情からも、復配が期待できるかも知れません。

 

なお、崔社長の持ち株数7,972,000株(新株予約権が行使された場合)で、

1株10円の配当だと、0.79億円

1株15円の配当だと、1.19億円

1株20円の配当だと、1.59億円

1株30円の配当だと、2.39億円

と崔社長の配当収入(税抜き)です。

 

ちなみに、崔社長の持ち株数4,267,000株(新株予約権が行使されない場合)で、

1株10円の配当だと、0.43億円

1株15円の配当だと、0.64億円

1株20円の配当だと、0.85億円

1株30円の配当だと、1.28億円

と崔社長の配当収入(税抜き)です。

 

崔社長の株式取得資金(約34億円)が借入でその金利負担を考えた場合、一株20円ぐらいの配当(復配)も可能性が高いと考えています。

 

 

■本の紹介

ピータリンチ氏の投資手法、投資哲学が解説している本をいくつか紹介します。

アマゾンのレビューや解説(概要)を読むだけでも参考になること、示唆を受けること、勉強になることがあることがあると思います。

 

 

 

 

 

 

 


誤字脱字すいません。この記事は、正確性を保証するものでもなく、投資を推奨、勧誘するものでもなく、筆者の個人的な見解を述べているものです。

以上