■はじめに
オウケイウェイブ(3808)49億円債権回収不能と株価への影響について解説したブログ記事です。
債権額、債券の弁済率(予想損失額)、時価総額、発行済株式数などから、現在の株価について考察しています。
■関連ブログ
■以前から注目して私も投資していたオウケイウェイブ
関連ブログで紹介している通り、主力事業を売却する以前より注目していました。
初めてのブログで取り上げたのは2020年8月8日 直近終値420円の頃でした。
その後、2021年5月にオウケイウェイブは2売上の9割程度を占める主力事業を売却して、前年度の2021年6月期末決算で、60億円の特別利益、40億円の税引き後の当期最終利益を計上しました。
2021年10月25日に終値で506円の高値を付けています。
しかし、2022年4月に会社から開示があった通り、資金運用を委託したRaging Bull合同会社が自己破産を申し立て、ちょうど前年度2022年の最終利益40億円とほぼ同じ金額39億円が回収不能(おそらく損失)となりそうです。
私も投資していました。結果は以下の通りです。
税抜きで42,300円の利益で、利回りにすると11.9%と投資期間は約1年なので、
特別配当の金額が大きかったこともあり、悪くない成績でした。
▼購入
時期:2020年10月から2021年2月 取得株数 1000株 平均取得単価 353.5円理由:
FAQシステムの事業の価値から考えて、格安に考えたため。
▼売却
時期:2021年10月から2022年1月 取得株数 1000株 平均取得単価 365.8円理由:
FAQシステムの主力事業を売却して得た資金の価値については、あまり反映されていない株価だったこともあり、将来の不透明さを感じたため、売却。
▼投資成績売却益:12,300円 配当:30,000 (2021年6月期末特別配当 1株 30円)
税抜き利益:42,300円(売却益と配当の合計)
英語では「Soon gotten soon spent.(早く儲けた金は早く無くなる)」という慣用句があるそうです。「たやすい稼ぎはすぐ消える」といった意味もあるかと思いますが、オウケイウェブの事件は、株式投資ではM&Aで得たキャッシュを当てにした投資は危険といった教訓になるかもしれません。
■回収不能49億円の株価への影響
本題の回収不能の債権 49億円の株価への影響についての話となります。
投資話で資金を集めていたRaging Bull合同会社が破産へ(帝国データバンク) - Yahoo!ニュース
50億円取立不能のOKWAVE、問題発覚前に元社長が大量の株式を売却 - M&A Online - M&Aをもっと身近に。
といった記事があり、49億円の債権は回収不能となり、ほぼ全額損失となりそうです。
破産の場合、債権の弁済率は、悪い場合は0円の可能性もりますし、良い場合でも20%程度でないかと思われます。
会社の清算が目的の破産ではなく、同じ法的な債務整理で、会社の再建を目的とした会社更生の平均弁済率は11.4% 全体の7割が10%未満 といわれるので、20%でも弁済されればいいほうだと推測できます。
発行済み株式は、1313万株です。
1円の株価の変動で、 0.1313億円
10円の株価の変動で、 1.313億円
100円の株価の変動で、13.13億円の時価総額が変動します。
回収不能債権 49.33億円ですから、この金額を時価総額から引くと約375円の株価が下がる計算です。
開示前の株価は300円付近ですから、株価が0円になってもおかしくありません。
回収不能債権 49.33億円のうち2割が回収できた場合、損失額39.46億円で、この金額を時価総額から引くと約300円の株価が下がる計算です。
2022年4月19日に
債権(39億円)の取立不能または取立遅延のおそれに関するお知らせ
を開示後、株価は、前日の終値278円(時価総額36億円)から終値198円と80円安とストップ安となりました。
その後も株価は下げ続けて、現在5月6日の終値で115円(時価総額約15億円)です。
時価総額で約21億円分、下がった計算になります。
▼オウケイウェブの株価の推移(回収不能債権の開示前後)
債権の2割が回収できたとしても、損失額は39.46億円で、開示前の時価総額36億円を考えると、株価は0円になってもおかしくない水準だと考えています。
■株価は100円でも高い、0円になってもおかしくない
繰り返しとなりますが、回収不能債権 49.33億円ですから、この金額を時価総額から引くと約375円の株価が下がる計算です。開示前の株価は300円付近ですから、株価が0円になってもおかしくありません。
逆にまだ115円の株価、15億円相当の時価総額があるというのが、意外に高く思えます。
運用資金を除いた、オウケイウェブの事業に15億円相当の企業価値があるということでしょうか。
そうであれば、今回の事件以前の300円程度の株価(時価総額 39億円)は、未収債権49.33億円(運用資金)とそれを除いた現在の企業価値15億円の合計 約65億円に対して、40%と大幅に割引(ディスカウント)されていたように思えます。
「株価は100円でも高い、0円になってもおかしくない」というのは回収できないであろう債権の金額(損失)と時価総額との関係からの個人的な意見ですが、仕手株化している株の場合は、損失と時価総額との関係なく、株価は上下するから関係ないかもしれません。
■本の紹介
株式投資に有益だと思われる本も紹介します。
●次はこうなる
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2021年12月に発刊された本で、過去の週刊エコノミストの記事をまとめている本ですが、2022年以降の金利上昇や金、穀物価格の上昇なども的確に予想されています。
今後10年、20年という長期スパンで、経済、投資を考えるのに有用な本といえそうです。貨幣の価値が下がり、モノの価値が上がるのがインフレですが、今後10年、20年はインフレの時代となるかもしれません。
インフレの時代に強いのは、価格が上がる商品を保有、生産、販売する企業、もしくは商品の価格を上げる価格競争力の強い企業でしょう。
現預金や運用資金が多い会社はリスクが逆に高くなるのかもしれません。
『次はこうなる』著者の
↓の画像はアメリカの金鉱株の指数に連動するETF(コード:GDX)のチャートです
3月10日は38ドル台でしたが、4月中旬に40ドルをつけましたが、5月には35ドルまでさがっています。円安ドル高効果で、円建てなら、3月中旬と比べても上昇していると思いますが、今後の金鉱株も楽しみです。
▼金鉱株に関するブログ
金鉱株に関しては私も前から注目しています。
過去の金鉱株に関するブログも紹介します。
●決算に関する本
決算書でどのような資産が保有、管理し、利益を上げている分析できれば、オウケイウェブのリスクも気づいたかもしれません。
結果論かも知れませんが、オウケイウェブの2022年6月期第2四半期決算短信(会計期間2021年6月から12月)に
PL(損益計算書)で、投資有価証券売却益 10億円 投資有価証券売却損 2億円を計上しており、また、BS(貸借対照表)48億円の長期未収金を計上しており、少しリスクを感じるような内容です。
決算に関して面白くてためになると思う本をいくつか紹介します。
決算を見るポイントは、たくさんの企業の決算を見ることで、学ぶことが多いと思います。そういった意味で実例がたくさん記載された本がよく、自分が読んで面白かった本を紹介します。
誤字脱字すいません。この記事は、正確性を保証するものでもなく、投資を推奨、勧誘するものでもなく、筆者の個人的な見解を述べているものです。
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