サムスンSDIは三元系オワコン疑惑を払拭できたか

■はじめに

サムスンSDI(ダブルスコープの主要販売先)の2022年1Q決算発表、そのテレカンファレンスによる決算説明会(2022年4月28日実施)は、『これからのリチウムイオン電池の主流はLFP、三元系はオワコン』といった疑惑を払拭する内容と考えています。そんな内容を紹介しているブログ記事です。#6619

 


 

続けてのダブルスコープに関するブログ記事です。

 

 

 

■主流はLFP、三元系はオワコン?

サムスンSDI、ダブルスコープなど韓国企業は三元系(エネルギー密度が高くコンパクトで出力電圧も高いが製造コストは高い、高温低温への耐性など安全性は低い)が主力で得意、中国系がリン酸鉄リチウム(LFP)電池(製造コストは安いが、エネルギー密度が低くコンパクトなものに不向きで出力電圧も低い、安全性は高い)が主力で得意という棲み分けです。

 

最近、テスラがLFP電池を積極的に採用し、コバルトが産地がコンゴ一国に集中し供給リスクがあり希少性から価格が高く、またロシアの主要な産地でもある三元系の主要な材料であるニッケル価格が高騰するなど、リン酸鉄リチウム(LFP)電池が注目され、今後の主流となるような報道があります。

 

↑は、2021年1月25日付のテレビ東京の動画です。LFP電池(リン酸鉄系)がコストだけでも性能でも三元系の電池を優位になるような技術が開発されたことを紹介しています。

 

EV用電池、中国で「リン酸鉄系」が躍進する背景 | 「財新」中国Biz&Tech | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース (toyokeizai.net)

↑は2021年10月28日付の記事ですが、中国企業やテスラを中心にLFP電池の採用が続き、LFP(リン酸鉄系)電池のシェアが拡大していることが報じられています。

 

LiB正極材 省ニッケル課題が急浮上 | 鉄鋼・非鉄金属業界の専門紙「日刊産業新聞」

2022年3月11日付の記事です。

ニッケル相場急騰の影響がリチウムイオン電池(LiB)にも及びそうだ。車載用電池市場ではここ数年、高ニッケル仕様の正極材が主に採用されているが、ウクライナ危機後に約2倍に暴騰したニッケル相場を受け、電池メーカーなどで材料見直しの課題が急浮上。ニッケル不使用のリン酸鉄系へのシフトを後押しする可能性もあり、ニッケル離れが模索されそうだ。

こういった報道に接すると、『これからの主流はLFP、三元系はオワコンか』とも思えます。

 

 

■ダブルスコープは三元系のセパレーターが得意

 

 ↑は2021年12月3Qの決算説明会の内容を文字起こししたものですが、

一方、中国のお客様、まあ、中国ではマーケットがまた少し状況が変わってきておりまして私共の得意とする三元系用のコーティングセパレーターというよりも、自動車案件においてもコスト重視ということでまたリン酸鉄系の電池に回帰をしてきている、そんな状況が伺えるようになってきました。

といった内容の説明がされています。

ダブルスコープは三元系用のセパレーターが主力、得意であることがわかります。

 

サムスンSDI、三元系への自信をしめす

Samsung SDI Developing Cobalt-free Battery to Secure Price Competitiveness - Businesskorea

↑の記事(英語)は2022年4月29日に、決算発表のテレカンファレンスの内容が報道されています。

LFPバッテリーの市場シェアは、バッテリー市場のミッドエンドからローエンドのセグメントで上昇しています」サムスンSDIの関係者は決算のテレカンファレンスで述べました。

「私たちは現在、正極材料に高価なコバルトを使用しないマンガンが豊富な電池を開発しています。コスト競争力に基づいて市場シェアを拡大していきます。」

といった内容があり、LFPサムスンSDIが得意とする三元系が、LFPに対して、充分な対策をとっていること、その自信が感じられる内容です。

 

http://www.thelec.kr/news/articleView.html?idxno=16810

↑の記事(韓国語)も、2022年04月28日付で、決算発表のテレカンファレンスの内容が報道されています。質疑内容も含めた詳しい記事となっています。

 

Q. まずはコバルトフリー開発してプレミアム市場に加え、ボリューム市場までビジネス拡大推進中だと昨年話していただきましたが、現在の開発状況がどうでしょうか。LFPバッテリーに対する競争力はどのように見ているのか。

A. 最近、LFPバッテリーが低いコストをもとに走行距離の短いエントリー市場でシェアを高めていますが、低いエネルギー密度によってボリューム市場までの需要が拡大するには制約があると見ています。当社は、既存の30個の陽極材からコスト負担の大きいコバルトを除き、満感比重を高めるNMXバッテリーを通じてコストは大きく下げながら、走行距離は現在量産中のプレミアムモデルレベルで確保する予定です。

現在、LFPが性能上カバーできない上位市場で対応できるコスト競争力をもとに、新規プロジェクト受注を推進しており、お客様から肯定的なフィードバックを受けています。今後も4年間蓄積された三元系基準自動車電池量産技術を活用し、お客様が求める性能と価格に合った製品を発売し、市場を拡大していきます。

(同じ質問の中で全固体電池の話もありましたが省略しています。)

 

 

サムスンSDIは、LFPにも注力するSK・LGより好決算

自信だけでなく、L三元系に集中するサムスンSDIは、LFPの開発を計画している韓国同業のSKオンやLGエネルギーソリューションよりもいい決算でした。

https://www.upinews.kr/newsView/upi202204290044

↑は『「合格成績表」を受けたK-バッテリービッグ3… 成長戦略は3色』というタイトルの2022年04月29日付の記事(韓国語)です。

 

▼記事の表を日本語化したもの

韓国バッテリー3社の2022年1Q業績

 

  • LGエネルギーソリューションの売上は4兆3423億ウォン、営業利益は2589億ウォンだった。売上高は前年同期比2.1%増加し、営業営業利益は24.1%減少した。
  • サムスンSDIは今年第1四半期の売上4兆494億ウォン、営業利益3223億ウォンを記録した。前年同期比売上は36.7%、営業利益は142%増えた。
  • SKオンは売上1兆2599億ウォン、営業損失2743億ウォンを出した。売上は139.3%増えたが、赤字幅は大きくなった。昨年第1四半期の営業損失額は1766億ウォンだった。 

といった内容で、一時的な要因もあり、バッテリー(リチウムイオン電池)以外の事業もあるので、一概にはいえませんが、サムスンSDIが突出したいい数字になっています。

 

市場の関心は中国企業が強みを持った「リン酸鉄電池(LFP)」に集まった。主要完成車メーカーがLFPバッテリーの比重を高めると明らかにしたためだ。LGエネルギーソリューションとSKオンは第1四半期の実績発表カンファレンスコールで「LFPバッテリーを開発している」と明らかにした。

サムスンSDIは状況が異なる。サムスンSDIは「コバルトフリー(NMX)」バッテリーでLFPを置き換えるという。

といった内容もあり、サムスンSDIは、他の2社と違いLFPの開発をせずに、三元系で、コバルトの使用量を減らし、コスト削減を図る計画であることがわかります。

 

 

■リサイクル、中古車の再販価格も考えると

今後のことはわかりませんが、『三元系がオワコン』『LFPがオワコン』といった極端のことはなく、それぞれが性能向上、コスト削減され、用途に応じて、使い分けされ、一定のシェアを確保していくことになりそうです。

実際に、テスラのEV車のバッテリーはまだ、三元系が主流のようで、LFPのものは価格が安いグレードなどに一部に採用されているだけのようです。

 

第3章 EV開発の思惑と電池戦略-『電池の覇者 EVの命運を決する戦い』を読んで - 令和の未来カエルのブログ

上記ブログの抜粋です。

現状、EVのリチウムイオン電池リチウムイオンバッテリー)は、
三元系とリン酸鉄系の2種類が利用されています。前者には正極材にニッケル・コバルト・マンガン酸リチウムが、後者にはリン酸鉄リチウムが使われます。

両者にはそれぞれ一長一短があり、三元系はエネルギー密度が高く、低温時にも比較的安定した出力が得られる半面、希少金属のコバルトを使うためにコストが高いという特徴です。一方、リン酸鉄系はエネルギー密度が三元系よりも低く、低温時には出力が低下しやすい。しかし希少金属を使わないためコスト面では有利です。

ただ、リサイクル技術、静脈産業が発達すれば、素材コストが高い三元系は、その貴重な素材を回収するうえで、リサイクルに有利といえます。

また、リサイクル技術、静脈産業が発達すれば、中古車の販売価格も上がるでしょう。「安い」リン酸鉄系(リサイクルには不向き、リサイクルしてもペイしないといわれる)も注目されますが、主流になるのは、「高い」けど中古車の販売価格も「高い」三元系に回帰していくのではないでしょうか。

 

自動車の取得するときは、中古のリセールバリューも意識されるでしょうから、その意味でもリサイクル(再利用)に向いている三元系が有利になるかもしれません。

 

 

■本の紹介

株式投資に有益だと思われる本も紹介します。

●次はこうなる

 

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 2021年12月に発刊された本で、過去の週刊エコノミストの記事をまとめている本ですが、2022年以降の金利上昇や金、穀物価格の上昇なども的確に予想されています。

今後10年、20年という長期スパンで、経済、投資を考えるのに有用な本といえそうです。貨幣の価値が下がり、モノの価値が上がるのがインフレですが、今後10年、20年はインフレの時代となるかもしれません。

インフレの時代に強いのは、価格が上がる商品を生産、販売する企業、もしくは商品の価格を上げる価格競争力の強い企業でしょう。

ダブルスコープもそういった点で、インフレに強い企業といえるかも知れません。

 

www.youtube.com

『次はこうなる』著者の 相場研究家 市岡繁男さんが出演している動画(2022年3月10日)も紹介しています。この動画の中で金鉱株への投資を紹介していました。

 

↓の画像はアメリカの金鉱株の指数に連動するETF(コード:GDX)のチャートです

3月10日は38ドル台でしたが、4月中旬に40ドルをつけましたが、5月には35ドルまでさがっています。円安ドル高効果で、円建てなら、3月中旬と比べても上昇していると思いますが、今後の金鉱株も楽しみです。

金鉱株ETFのチャート


▼金鉱株に関するブログ

金鉱株に関しては私も前から注目しています。

過去の金鉱株に関するブログも紹介します。

 

 

 

●決算に関する本

決算に関して面白くてためになると思う本をいくつか紹介します。

決算を見るポイントは、たくさんの企業の決算を見ることで、学ぶことが多いと思います。そういった意味で実例がたくさん記載された本がよく、自分が読んで面白かった本を紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

誤字脱字すいません。この記事は、正確性を保証するものでもなく、投資を推奨、勧誘するものでもなく、筆者の個人的な見解を述べているものです。

 

 

 

 

 

 

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