サムスンSDI(W-SCOPEの主要販売先)の2021年度通期決算の紹介

■はじめに

ダブル・スコープの売上の7割から8割を占めるサムスンSDIの2021年度通期決算を日本語に翻訳(画像は原文が韓国語の決算説明資料を翻訳)してみました。サムスンのSDIの堅調な業績が確認できると思います。

 

サムスンSDIサムスンSDIとダブルスコープとの関係は、以下の記事も参考とし読んでいただけると嬉しいです。

 

 

 

 

■決算発表後の株価

サムスンSDI2021年12月末期に通期決算が発表されました。
気になる株価の動きは、サムスンSDIの株価は、2022年1月27日終値 594,000ウォンから 2022年1月28日終値584,000ウオンと決算発表後、1日経過して、マイナス10,000ウォン 1.68%下落しています。

後述するような好業績だったのですが、この程度の業績は、市場は織り込み済みだったようです。

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SAMUSUNG SDIの2021年業績

 

 

■業績の概要

売上、営業利益とも、過去最高で、売上13兆ウォンと営業利益1兆ウォンを超えています。

前年対比売上は2兆2584億ウォン(20.0%)増加し、営業利益は3963億ウォン(59.0%)増加しています。

昨年4四半期との比較の前年同期比、売上げは5646億ウォン(17.4%)増加し、営業利益も195億ウォン(7.9%)増加しています。

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サムスンSDIの2021年4Qと通期業績


ただ、気になるのは直前の四半期対比、売上は3762億ウォン(10.9%)増加していますが、営業利益は1078億ウォン(△28.9%)減少しています。一過性のものかはわかりませんが、こういったことが嫌気されて、株価に若干の下落につながった原因かもしれません。

 

 

■財務内容の概要

さすが、サムスングループのサムスン電子に次ぐ中核企業ということもあり、鉄壁とはいえませんが、安心できる財務内容です。

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サムスンSDIの2021年12月末の財務内容(財務状況)

借入金が7,062億ウォン(671億円)増えていますが、自己資本比率は、前年と比べて62%から58.8%とやや悪くなっていますが、日本の製造業の上場企業の自己資本比率の平均値は45%ぐらいの数字なので、問題のないレベルでしょう。

現金同等物も7,641ウォン(726億円)増えており、流動比率は前年と比べて、113%から115%と比べて若干改善しています。借入金が増えたのは研究開発、製造ともに成長のための投資のためでしょうから、今後の金利上昇は少し心配ですが、悪材料ではないでしょう。

 

 

 

■中大型電池の業績と展望(予測)

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サムスンSDIの中大型電池の事業部別営業業績・展望(2021年末)

気になる車載用などの中大型電池の業績と展望(予測)です。

【'21年第4四半期実績]第4四半期、売上成長と黒字維持】

自動車電池は車両用半導体需給問題にもGen.5中心のEV用供給拡大で売上増加- ESSは家庭用・UPS用高付加価値製品の販売拡大で売上と収益性の向上

 

【'22年第1四半期展望】

第1四半期、販売と収益性を維持

- 自動車電池は主要顧客の新モデル向き中心販売拡大継続- ESSはオフシーズンで売上が減少するが、製品ミックスの改善が継続し、収益性を維持

 

【'22年市場展望】

自動車電池市場 80B$展望(YoY +38%) ソース:IHS、SDI Marketiing

- 燃費規制、補助金など環境にやさしい政策の継続、完成車メーカーの積極的な電動化戦略と新モデル発売増加- 電気自動車走行距離・充電速度改善及び充電インフラの拡大で消費者の好みを高める⇒当社、高エネルギー密度製品販売で見た目の成長・収益性を向上

 

ESS市場 7.5B$ 見通し(YoY +31%) ソース: IHS、BNEF、Woodmackenzie、SDI Marketing

主要国別の再生可能エネルギー政策の強化電力用市場の成長を継続- 自然災害、電力需給不安定対応のためUPS・家庭用需要拡大⇒当社、UPS・家庭用販売比重拡大で収益性を向上

大型電池も車載向けで今後も年38 %市場拡大、ESS向けで年31%と今後も急成長(急拡大)(今後2年間で約2倍、今後5年間で5倍になるような驚異的な成長率です)が続くことがわかります。

 


 

 

「中国企業じゃない」が売り、EV電池のLGエナジー - WSJ

 ワシントンのシンクタンク、韓国経済研究所(KEI)のシニアディレクターを務めるトロイ・スタンガロン氏は、「米国がEV目標を達成できるかどうかは、それに必要なバッテリーを生産する韓国企業の能力に大きくかかっている」と指摘する。

 政府系研究機関の韓国自動車研究院(KATECH)のシニア研究員、リー・ハングー氏は「中国と数量で勝負するのは難しい」としつつ、「だが中国は貿易摩擦を抱えているため、欧米市場への参入で苦戦しており、韓国のバッテリーメーカーはそれに乗じて欧米での生産を独占している」と述べた。

といった記事で、LGエナジー、SKイノベーションサムスンSDIの韓国バッテリーメーカーが、中国企業より優位になって、欧米で成長するような話が記載されています。

 

https://www.kukinews.com/newsView/kuk202201280179

上記は、韓国語の記事(韓国企業に好意的な記事になっている可能性もある)ですが、「バラ色K-バッテリー」というタイトルで、

サムスンSDIは、積極的な投資でバッテリー技術の高度化に集中しつつ取り組んでいく形だ。昨年下半期に発売したジェン5(Gen.5)が電気自動車バッテリー市場で期待より高い人気を得ながら、技術力の高度化が収益性改善には効果的であるという判断に慎重な投資判断を維持している。

 

サムスンSDI関係者は「収益性優位戦略をもとに十分な資金動員力を確保し、今後到来する市場を準備している」とし「今は生産能力拡大など量的拡大よりは品質改善・安全性強化など質的成長により初添を合わせている」と話した。

と記事にあります。サムスンSDIは安全性、品質など高度な技術力を武器に収益性、競争力を強化する戦略のようです。ただ、その戦略は、欧米で製造拠点を新設し、積極的な設備投資をするめるLGエナジーやSKイノベーションと比べてという意味だと思いますが、市場関係者は慎重な見方をしているようです。

 

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■小型電池の事業部別営業業績・展望

小型電池の市場も、年12%と2022年も順調に成長するようです。

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小型電池の事業部別営業業績・展望

【'21年第4四半期実績]第4四半期、原型電池中心の売上増加】

- 円形はEVおよび電動工具用中心売上増加

- ポーチは季節的な影響でフラッグシップスマートフォン用売上小幅削減

 

【'22年第1四半期展望】

第1四半期、販売の増加と収益性の向上

- 円形は電動工具用は販売減少するが、EV用、M-Mobility用は増加見通し- ポーチは新規フラッグシップスマートフォン用の販売増加

 

【'22年市場展望】

小型電池市場 41B$ 展望(YoY +12%)

ソース:Strategy Analytics、Freedònia、Markets&Markets、IHS、SDI Marketingなど

 

[ Non-IT ]- EV用、原型電池採用完成車メーカーが拡大され高成長維持- 電動工具用は建設用・屋外用電動装備など大型工具の需要が拡大し、成長を維持⇒当社、高容量・高出力新製品先行出荷時に市場リーダーシップ強化

 

[ IT ]- スマートフォン需要成長鈍化の中、フォルダブル用比重拡大- ワイヤレスイヤホン(TWS)やスマートウォッチなどWearable機器の需要を拡大⇒当社、新製品の適期発売で主要顧客First-Inを推進

資料「EV用、原型電池採用完成車メーカーが拡大され」とあるので、EVにも大型電池と小型電池があるようです。おそらく、エアコンやカーナビなどの電装品に電気を供給する小型電池(ガソリン自動車の鉛蓄電池式バッテリーに代わる電池)とし大型電池(自動車駆動用の電池)とは別に搭載されることもあるのかと推察します。

 

 

 

電子材料の事業部門の営業業績と展望

電子材料の事業部門の営業業績と展望も紹介(↓)します。

 

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電子材料の事業部別営業業績・展望

季節的な非水期とあるのは、オフシーズン、閑散期といった意味でしょう。

 

■米中冷戦で中国企業の優位に立てるか韓国企業

エコノミスト エミン・ユルマズ氏 は、米中冷戦で、米国は、中国企業に依存しないサプライチェーンマネジメント(供給網)を整備するために、日本での生産拠点、日本企業への投資を重視し、その恩恵を日本企業が受けるであろうと主張しています。
中国企業が主なライバルであるサムスンSDIやダブル・スコープなどの韓国企業、韓国で生産拠点を有する企業も、漁夫の利のような形で、日本企業と同様に恩恵を受けるかもしれません。エミン・ユルマズ氏の著書を2つほど紹介します。

 

 

 

■エミン・ユルマズ氏が推薦する株式投資の必読本

 

といったYouTube動画で、エミン氏が推薦されていた本も紹介します。

動画の内容から、投資初心者にかかわらず、株式投資家には必読書といえそうです。

投資の王道を歩むためにも、また、多くの投資家の裏をかく逆張りの投資をするためにも、多くの人が読むんでいる書籍、特に古典となっているような書籍は読む価値はありそうです。

 

 

 

 

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以上です。