W-SCOPEへの強気と弱気の見方-東証上場時の会社説明資料から

■はじめに

ダブルスコープは、2022年8月12日に2022年12月期の中間発表が予定されています。
予習の意味で過去のIR資料を確認しました。


ダブル・スコープの東証マザーズ上場時の会社説明資料(2011年12月発表)を見て、強気、弱気の両方の見方がわかる気がしたので、記事にしてみました。

 

▼目 次

■上場時の会社説明資料

ダブルスコープのIR情報のIRニュースから、2011年12月上場時の会社説明資料は確認できます。

IRニュース | ダブル・スコープ (w-scope.co.jp)

ダブルスコープのIRサイト

▼2011年12月16日付会社説明資料

https://ssl4.eir-parts.net/doc/6619/ir_material_for_fiscal_ym/21858/00.pdf

 

ちなみに、会社説明資料では、セパレータとなっているが、最近の資料ではセパレーターとなっています。なお、旭化成東レ住友化学はセパレータと呼んでいるので、セパレータの呼び方が日本ではメジャーなのかもしれない。いつもどちらが適当か迷います。

2011年12月会社説明資料よりダブルスコープの強みi

2011年会社説明資料セパレーター業界の参入障壁(W-SCOPEの強み)

 

 

■弱気(懐疑派)の見方

『この資料を見てみろ』

2015年にシェア1位ダブルスコープのビジョン(2011年12月資料より)

『2011年12月の上場時の会社説明資料や。』

『2015年シェア1位とよくも大口たたいたな。2022年の今、世界シェア6位だろう。』

『もう、いくら大風呂敷たたいても信用せんからな』

『また、韓国の子会社上場させるために、一時的に好業績をアピールさせて、絵空事の計画で上場ゴールねらってんちゃう。』

『ばればれやん。』

という見方をする人も不思議ではないです。

 

■強気(自信派)の見方

『この資料を見てみろ』

2030年にシェア1位のダブルスコープのビジョン(20211年12月資料より改ざん)

『お前が見せた資料をちょっと改ざんしたけど、計画が10年位遅れただけや。』

『投資や事業というのは長い目で考えろ。』

『令和の未来カエルさんのブログ(↓)も見てや。崔社長も社名の由来を語るときに、100年以上先の未来を見ながら、ビジネスを言っているやん。』

W-SCOPEの社名の由来を語る崔社長 - 令和の未来カエルのブログ

 

■私の見方

弱気(懐疑派)の反論

『令和の未来カエルのブログの宣伝はいい。』

『資料改ざんするな。お前、ダブスコ信者やろ。』

が聞こえてきそうです。

私の見方、ダブルスコープの崔元根社長だったら、こんな言い訳(?)もするだろうと想像した見方を紹介します。

 

●厳しかった2010年代

確かに上場時の計画は甘かった。
言い訳だが、市況があまりにも悪かった。

 

日本では、

2016年にソニー村田製作所リチウムイオン電池事業を売却して撤退、
2017年にNEC中国企業に売却してリチウムイオン電池事業から撤退した。

 

リチウムイオン電池の業界、その素材業界も2015年から2019年ぐらいまで厳しかった。

そして、2020年のコロナショックの影響があった。

2013年から2015年位に強気で増産投資をして、需給が緩くなり、供給側に不利になり、価格低下で苦しんだ。特に政策支援、電気自動車の補助金を狙った中国企業の増産で、世界的に価格低迷し、中国企業も苦しんだ。 

 

電気自動車(EV)向けの電池「リチウムイオンバッテリー(LiB)」シェアで当時世界4位のJ&Rオプティマエナジー(堅瑞沃能、本社・中国陝西省)も上場廃止まで追い込まれ、2019年には、上場子会社の車載電池を手掛ける深セン市沃特瑪電池は実際に破産した。

 

車載電池の沃特瑪が破産、業界の淘汰進む - NNA ASIA・中国・自動車・二輪車

エコノミストリポート:EV大国・中国「質の向上」にシフトチェンジ 地場メーカーに国際競争力求め=湯進 | 週刊エコノミスト Online

 

 

https://m.in-en.com/finance/html/energy-2246817.shtml

↑は中国メディア記事

国际能源网:International Energy Network(http://in-en.com):世界のエネルギー産業のアプリケーションに焦点を当てた中国のメディア、イーコマースサイトの2021年4月25日の記事。

 

据高工锂电数据,2015-2020年,湿法隔膜的价格从5.0元/平方米下滑至1.4元/平方米,行业内尾部企业开始出现亏损。前期巨额的资本开支拖垮了一些企业经营现金流,只能宣布停产或出售股权等来缓解生产经营困难。

二次電池リチウムイオン電池のデータによると、2015年から2020年にかけて、湿式セパレーターの価格は5.0元/平方メートルから1.4元/平方メートルに下落し、業界の下位企業は赤字となった。巨額の設備投資は、一部の企業のキャッシュフローを圧迫し、生産と経営上の問題解決のために、生産停止や株式売却を実施した。

 

2014年から2020年までのセパレーターの価格動向(単位:元/平方メートル)

上記の記事の文章の前段に価格下落の理由も解説していますが、中国のEV補助金政終了の影響と過剰な設備投資による供給が過剰になったためです。

 

 

韓国企業も同じだ。サムスンSDI、LGエナジー(旧LG化学)、SKオン(旧SKイべージョン)も2020年までは赤字の決算もあり、増産投資の負担も大きく、順風ではなかった。

「赤字脱出」Kバッテリー3社、営業利益合計は1兆ウォンを突破 - コリア・エレクトロニクス

 

 

●利益を伴う成長の2020年代の土台はできた

そんな状況だったが、5年赤字が続くほどの設備投資を実施した。

市場規模が拡大する中、シェアは5%程度を保ち、世界で6位クラスの地位を保っている。

シェアが大きく下がった旭化成など日本企業と比べてほしい。

 

電池部材「中国がシェア席巻」でも日本が動じない事情 | 特集 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース

セパレーターは、電池の正極と負極を分離しつつ、微細な穴からリチウムイオンを行き来させる重要な部材だ。2010年代半ばまでは旭化成東レといった日本メーカーの総出荷量が世界の過半を占めていたが、今では中国メーカーの総出荷量を下回る。

テクノ・システム・リサーチの調査によると、2020年のセパレーターのメーカー別シェア(出荷量ベース)の1位は上海エナジーの22%で、2位の旭化成のシェア11%の2倍。同社は2018年に旭化成を抜いて以来、3年連続で首位に立つ。

 

さらに、
私たちは量やシェア、売上でなく、質、価格、利益に重点を置く戦略に変えた。サムソンSDIに売上を集中させたのはその戦略だ。


実際に、その戦略は当たっている。サムスンSDIの好業績がその証明だ。

高付加価値のリチウムイオン電池事業がけん引している。

 

 

▼三元系高性能のサムスンSDIの電池が好調という話のブログです。

 

上海エナジーなどの中国企業との価格競争に巻き込まれる心配もない。

また、2025年ぐらいに供給過剰になる心配は今回はなさそうだ。

中国電池CATL「1兆円増資計画」を2割縮小の事情 | 「財新」中国Biz&Tech | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース

中国政府、電池業界の「生産能力過剰」防止へ牽制 | 「財新」中国Biz&Tech | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース

 

各社電池業界、その素材業界は増産投資をしているが、需給が緩むほどの無計画なものでない。中国政府、中国企業も過剰投資を警戒している。

 

長いセパレーター売り手優位の相場が続くとはずだ。

 

リチウムイオン電池業界は、コロナショックで投資を控えていた反動もあり、今は需給がひっ迫して、供給側有利だ。

EV需要も自動車メーカーや電池メーカーも堅調で、想定以上に強い。

供給プレイヤーが限られるセパレーターであればなおさらだ。これから、価格上昇こそ考えられるが、価格下落は考えにくい。

 

今までの10年は私たちは、利益という意味では、確かに厳しく見られるかもしれない。
しかし、利益を伴う成長のための土台はしっかりしている。

これからの10年を見てほしい。

セパレーター業界でシェア1位は目指していないが、生産効率、生産規模などコスト競争力も強く、利益でトップクラスの会社になれる自信がある。

 

●競合他社の時価総額について

 

上海エナジー擁する雲南恩捷新材料Yunnan Energy New Material Co Ltd 1900億元(日本円で3兆7373億円)、SK IE Technology6兆6800億ウォン(日本円で6680億円)という時価総額だが、ダブルスコープの時価総額1075億円(2022年㋇11日1951円で計算)だ。

 

競合他社との比較で株価は割安だが、今後の利益成長で業績が評価されるだろう。

 

今後の株価上昇にも自信がある。

 

▼競合他社の時価総額については、↓のTwitterの投稿のスレッドも参考にしてください。

■EVシフトが本物だと判断できる本

EVに消極的、懐疑的な人も多く、充電設備などインフラ面の整備も遅れ、それが2010年代にEVシフトが進まず、リチウムイオン電池業界苦境の一因となったようです。

ただ、最近のリチウムイオン電池の性能向上や充電設備の整備などで、EVシフトに消極的、懐疑的な人も減っているようです。

EVシフトが本物で、ブームで終わらないと確信できる本を2冊ほど紹介します。

 

↑の本は、EV懐疑派、推進派の両方におすすめの本です。

『(日本において)EV懐疑論は根強い。筆者も思っていた。5年間の取材を通じて得た結論は次の通りだ。EVは普及する。』

『新車販売台数の2011年EVシェア 欧州11% ノルウェー65% ドイツ14% 中国11% 韓国10% 米国 3% 日本0.5% 2022年はいよいよ日本のEV元年になりそうだ。』

といった内容が続きます。

本も読んだ感想ですが、脱炭素、環境関連の政策、補助金などなくても、好き嫌い、利便性、経済合理性でEVを選択する人が増えていて、つまりガソリン車からEVへの流れは止めることは難しいと思いました。

 

 

ガソリン車→EVの流れも理解できる本です。
著者はエネルギー問題の世界的権威、ピューリッツァー賞受賞。
アマゾンの書評や説明だけで読む価値あります。

 

第5部 自動車の地図より抜粋---
(前略)1900年ニューヨーク市ではガソリン車よりはるかに多くの電気自動車が街中を走っていた。しかも当時最大の電気自動車の支持者は偉大な発明家トーマス・エジソン(その後エジソンが敗れた理由など続く)

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自動車、エネルギー問題に興味ある方は楽しめると思います。

ガソリン車に絶対的な優位性が最初からあったわけでなく、政治的な思惑でガソリン車が普及したこともわかります。

「資源」を軸に、現代世界政治をやはり人間のドラマで解説しています。
エネルギーの観点を中心に、現代及び未来の世界を描き出す本です。
宗教、政治、安全保障とエネルギー問題が関係性の深さがよくわります。

 

 

■前回のブログ

読んで頂き、ありがとうございました。

誤字脱字、乱文雑文、すいません。

素人が趣味で書いているブログです。その点を留意して、情報の正確性などご容赦ください。

 

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以 上です。