リチウムイオン電池関連で株価2倍となる企業を90秒で説明できるか

■はじめに

2021年比で2030年は車載用途リチウムイオン電池市場は3倍になると市場拡大が予測されます。

市場拡大の恩恵を受けて、テンバガー(10倍上がる株)は難しくても、株価2倍となる、ピータ・リンチが言う90秒で説明できる企業があるか、考えてみました。

パナソニック田中化学研究所、ダブルスコープのリチウムイオン電池関連事業の売上比率も調べています。

 

 

▼目 次

 

■こんなんテンバガーいける伸び

 

 

 

 

今回のブログの記事は、こんなTwitterの投稿から思いつきました。

 

【初心者向け】知っておいて損はない、リチウムイオン電池の基礎知識 市場動向編|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社 (newswitch.jp)

↑は2021年12月14日付の記事ですが、「こんなんテンバガーいける伸び」のグラフとともに、リチウムイオン電池の需要や需要が急成長する車載用リチウムイオン電池の主な車載電池メーカーが紹介されています。

上記の記事では日本企業ではパナソニック1社のみ紹介されています。

 

パナソニック(日本)

米テスラに高容量電池を供給する。また、20年にトヨタと車載用角形電池の開発・製造などを手がける合弁会社を設立するなど、国内メーカーとの関係を深めている。

 

 

 

■投資する会社を90秒で説明できるか

ピーター・リンチの株の法則---90秒で説明できない会社には手を出すな

には、こんな一節があります。

 

 私がマゼランの運用を始めて少し経ったころ、社内での情報交換が正式に行われるようになった。

オフィスの冷蔵庫のそばで行われていた立ち話が会議室での定期的なミーティングに取って代わられ、アナリストとファンド・マネジャー全員がその週のおすすめ銘柄を披露し合うことになったのだ。

 

 後に私は、小さなキッチンタイマーを片手にこの会合の司会をするようになった。そして、おすすめ銘柄の説明は3分以内で行うというルールを定めた。私はこっそり、この時間を少しずつ短くしていった。最終的には、1分半でブザーが鳴るようにしていた。これはすでに時効であり、発言時間を返せと言われることはもうないので、ここで告白しておく。

 発言者は自分の好きな銘柄のことで頭がいっぱいだから、私が時間をごまかしても気づかなかった。

 

 実際、株の話は90秒もあれば足りる。どこかの株を買うことにしたというのなら、なぜそう決断したのかを小学5年生でも理解できるシンプルな言葉で、そして小学5年生が飽きてしまわないように手早く説明できるようにすべきだ。

 

 

ピータ・リンチ氏は、運用を担当したマゼランファンドという投資信託を13年間で約28倍(2.8倍でない)にした世界的に著名な伝説のファンドマネージャーです。

「テンバガー」はリンチ氏の著書から普及した言葉で、野球用語でバガーは塁打を意味し、一試合で10塁打(テンバガー)を記録するくらいの勢いで株価が急騰し、10倍まで跳ね上がる銘柄をテンバガーと呼びます。

満塁ホームラン株といった意味でしょうか。単打を1、二塁打を2、三塁打を3、本塁打を4として計算するとちょうど10塁打になります。

 

ちなみに私は、10個のハンバーガーといった意味のテンバーガーだと思っていました。

 

テンバーガーの親ともいえるピータ・リンチ氏を見習って、

リチウムイオン電池関連で株価2倍(テンバガーは難しいので)となる会社を

90秒で説明できるか」挑戦したいと思います。

 

パナソニックを90秒で説明できるか

例えば、パナソニックが車載用リチウムイオン電池の世界シェア3位の日本国内ではトップ企業です。

『2030年まであと8年でリチウムイオン電池という電気自動車用の需要は3倍に伸びるんだ。

パナソニックは、このリチウムイオン電池で国内1位、世界でも3位の大手企業だから、売上も利益も、伸びるよ。

今の売上が約7兆で、リチウムイオン電池の売上は、●●%だから、これが3倍になったら』

と説明したいので、●●%を調べてみました。

 

 

リチウムイオン電池事業の比率は

リチウムイオン電池事業が成長し、パナソニックが世界シェア3位、国内1位の大手企業だと分かっても、パナソニックリチウムイオン電池事業が占める比率がどの程度かが大事です。

 

例えば、市場が3倍に拡大する製品を持っていても、その事業が現在の全社の売上、利益の1%で、それが市場全体の成長より大きく、仮に10倍になっても、全社に占める比率の10%程度でければ、株価(企業価値時価総額)に与える影響はそれほど大きくないでしょう。

株価(企業価値時価総額)が20%上がればいい方だと思います。

 

 

この答はいずれでしょうか。

 

 

パナソニックエナジーセグメント

2021年度(2022年3月期)有価証券報告書

⑤セグメントの経営成績
 2021年10月1日にそれまでのカンパニー制を廃止し、事業再編を実施したことに伴い、従来のセグメント区分から、「くらし事業」「オートモーティブ」「コネクト」「インダストリー」「エナジー」の5つの報告セグメントと、報告セグメントに含まれないその他の事業に再編しています。2020年度のセグメント情報については、2021年度の形態に合わせて組み替えて算出しています。

 

という記載があります。

2020年までは、リチウムイオン電池は車載用のオートモービル事業と、産業用電子機器を扱うインダストリアル部門に分かれて、リチウムイオン電池の売上も確認できませんでした。

幸いに、セグメント変更が行われ、リチウムイオン電池エナジー部門が独立しましたので、その売上、営業利益も確認することができます。

 

報告セグメントの概要に

 「エナジー」は、車載用円筒形リチウムイオン電池一次電池(乾電池、マイク
ロ電池)、小型二次電池(単品セルとそのシステム商品)等の開発・製造・販売を行っています。

とあります。

 

一次電池(乾電池、マイクロ電池)等の売上も含むので、結局リチウムイオン電池の売上は正確にはわからないが、ほとんどがリチウムイオン電池の売上と思われます。

エナジー部門は、全社比の10.34%で、営業利益の占める比率は全社比で17.98%です。

 

答えはA、10%でした。

 

パナソニック2021年度通期決算説明資料より

パナソニック2021年度通期決算説明資料より
 

仮に、売上が市場と同様に3倍に成長したら、全社比25.07%の売上を占めます。

(他の事業の売上は変わらないと仮定で、分母の全社売上も増加分を加えて計算。)

量産効果でコスト削減ができ、営業利益率が20%程度(現状8・9%)と高い利益が確保できた場合、2兆2932億円の売上で、4586億円近い営業利益を計上できます。

でも、ただ、それだけです。

8兆円近い売上で、3兆円近い時価総額パナソニックにとっては、良くて株価(時価総額)が1.5倍になるぐらいの話かもしれません。

 

また、仮にリチウムイオン電池事業がベストケースで成長した場合でも、他の事業が低迷する可能性があります。

 

そもそも、エナジーより売上が大きい、くらし事業、オートモーティブ、コネクト、インダストリーといった他の4つの部門が何かを説明しただけで、90秒経過しそうです。

90秒では、パナソニックが、リチウムイオン電池で株価2倍(テンバガーは難しいので)となる会社だと、説明することは難しそうです。

 

結論からいうと、リチウムイオン電池関連が有望という考えるなら、パナソニックに投資するより、リチウムイオン電池の比重が高い他の企業に投資する理由を説明した方が簡単だと思います。

 

●『エ. 未公表で不明』が正解かもしれないという話

エナジー部門の売上、利益は公表してますが、正確には、パナソニックリチウムイオン電池(事業)の売上も利益も公表していません。

例えば、車載用リチウムイオン電池の場合、電池パックとして、バッテリーをコントロールするバッテリーECU、バッテリーを冷却するブロアー、バッテリー状態を計測する電流センサー、温度センサーも含めて販売されることもあります。この場合、正確なリチウムイオン電池の売上高も出すのは難しいと思います。どこまでがエナジー部門に属するのかよくわかりません。またリチウムイオン電池以外に使い捨ての乾電池やニッケル水素電池などの製品もあるので、正確なリチウムイオン電池の売上はわかりません。

そのため、『エ.未公表で不明』でも正解かもしれません。

 

 

■日本企業でリチウムイオン電池関連の事業の比率が高いのは

 

 

これの正解は『イ. 100%』です。

 

▼2022年度2Q決算短信より

2022年度2Q決算短信より

上記は、8月12日に開示された2022年2Q決算短信ですが、リチウムイオン二次電池用セパレーターの売上100%で全社の売上と同じです。

 

ダブルスコープほどリチウムイオン電池関連の事業の比重の高い会社ははないと思います(ダブルスコープの場合100%なので、他に100%の会社は日本の上場企業では私が調べたところありません)。

 

リチウムイオン電池『等』の正極材材料の専業メーカである田中化学研究所という会社があります。ダブルスコープの次にリチウムイオン電池関連の事業の比重が高い会社です。

 

 

正解は、イ. 78%  です。

 

リチウムイオン電池の正極材の売上は、78%です。

 

ニッケル水素電池パナソニックeneloopエネループ)といったブランド名の充電型の乾電池などに利用)の正極材材料の売上も、22%程度占めます。

これは、2022年3月期の数字(↓の2021年度(2022年3月期)決算説明資料より参考)であり、今後、リチウムイオン電池の比率が増えると思われるが、正極材材料の専業メーカーであっても、リチウムイオン電池の正極材材料の専業メーカーではありません。

 

仮に売上が3倍となり、20%程度ほどの高い営業利益率を確保できたとしても、ニッケル水素電池の売上、利益が減る影響もあり、もしかしたら、リチウムイオン電池の事業の利益を帳消しにするような設備除却、人員のリストラなどニッケル水素電池の特別損失などもあるかもしれません。

 

ニッケル水素電池は、どのような製品、市場か、詳しくわかりません。

そのため、

田中化学研究所、ダブルスコープかどちらかで、

リチウムイオン電池関連』で株価2倍となる企業を、90秒で説明する」なら、

ダブルスコープを選ぶ人が多いと思います。

 

▼2021年度(2022年3月期)決算説明資料より(田中化学研究所

2021年度(2022年3月期)決算説明資料より(田中化学研究所

 

■ダブルスコープの株価が2倍となることを90秒で説明する

ダブルスコープの株価が2倍となることを90秒で説明するなら、私ならこんな説明押します。

 

ダブルスコープの株価が2030年までに2倍になるよ。

2021年度の売上が300億円で、2030年には市場と同程度の成長をすれば、3倍の900億円なる。

 

営業利益は30%は確実だ。

2017年から2019年ぐらいの間に売上と同じぐらいの設備投資をして、その償却費で、まだ、それほど利益率は高くないけど、大規模な設備投資前の実上場直後、2011年 売上高33.82億円 営業利益13.09億円 営業利益率 38.7% を計上しているんだ。

社長も、上場する子会社の営業利益率は2025年に30%になるといっている。

車載用途以外のリチウムイオン電池は上場しない100%子会社で製造するが、大規模な設備投資も終わっているので、同じ程度の営業利益率は確保できるだろう。

少なく見積もっても、30%の営業利益率だ。

 

900億円 × 30% = 270億円の営業利益で、必要な資金調達はWCP株の売却で実施ているから、大きな金利負担などもないので、営業利益イコール経常利益と考えていい。

企業の税負担(実効税率)は3割で、7割が当期純利益で189億円だ。 

 

ダブルスコープは、

W-SCOPE KOREA(WSK)という100%子会社と

W-SCOPE CHUNGJU PLANT KOREA(WCP)という40%程度の持分が子会社で事業をしている。

売上は、WSKは、WCPの3分の2程度なので、連結の比重はWSK:WCP=40:60だ。

WCP 40%×1 + WPC 60% × 0.4 =64% を乗じたものが、外部株主分除いた

ダブルスコープの当期純利益となる。

162億円 × 64%で、120億円がダブルスコープの最終的な当期純利益になる。

これを平均的なPER(日経平均のPER)をかけると、16.5倍をかけると想定できる時価総額は、1980億円だね。

 

今の株価1,987円、時価総額1095億円だから、だいたい2倍の株価になる計算だ。

 

ただね、市場と同程度の成長をした場合の過程だからね。

もっと、成長する可能性が高いんだ。

ダブルスコープは、性能もよく、かつ、コストが低く、他の企業から購入を打診されているが、ほぼサムスンSDI一社しか取引していないんだ。

今後、他の会社との取引も増えるから、市場成長以上に、シェア拡大で成長すると思うで、売上は1500億円も十分可能だと思うよ。

そしたら、さっきの計算式でスタートの売上の数字が900億円から1500円に代わるだけで、最終的な当期純利益 120億円から200億円になる。

これを平均的なPER(日経平均のPER)をかけると、16.5倍をかけると想定できる時価総額は、3300億円だね。

 

今の株価1,987円、時価総額1095億円だから、だいたい3倍の株価になる計算だ。

 

と「90秒でリチウムイオン電池関連で株価2倍となる企業として、ダブルスコープを説明する」ことは、少なくとも私には簡単です。

 

小学5年生でも理解できるシンプルな言葉で、そして小学5年生が飽きてしまわないように手早く説明することは全く自信がないですが。。。

 

 

 

なお、限界利益率70%程度になるという崔社長の話が本当なら、大規模な設備投資、減価償却が終わる2030年には、営業利益率は40%ぐらいまで2030年には高まるのではと思っています。今の株価の3倍から5倍の水準が考えられます。

また、PERも16.5倍でなく、高い成長率、利益率を確保でなく、33倍まで評価されるかもしません。だと、すると、今の株価の6倍から10倍の水準が考えられます。

ただ、こういった話は、90秒で説明できる自信、情報がないので、今回は説明していません。

 

▼2022年8月27日追記

「2021年比で2030年は車載用途リチウムイオン電池市場は3倍になる」という当時の予想(2021年当時)より、最近の予想は上振れしているもようです。

Conservative(保守的)な予想でも約3倍、Agressive(楽観的)な予想だと約5倍で、

この中間値だと約4倍程度です。

 

■とりあえずマンガ

私の勉強法ですが、

『とりあえずマンガ』、『とっかかりはマンガ』、『とにかくマンガ』

という形で、何か知識を付けたいときは、マンガを探します。

 

 

ピータ・リンチ氏の投資手法に関する本も最近、マンガも加えている説明している本です。私も読みましたが(書店で立ち読み程度ですいません)、とても、わかりやすかったです。

ピータ・リンチ氏の投資手法に興味を持った方は、この本を買ってみるといいと思います。

 

最初に紹介した本は、ピータ・リンチ本人の著書です。

ピーター・リンチの株の法則---90秒で説明できない会社には手を出すな

は、株式投資の普遍的な話で、特に個人投資家の目線で参考にある話が多いです。

 ピータ・リンチ氏は、株式市場の情報でなく、普段の仕事、生活の中で接した製品やサービスから、投資のヒントがあり、自分の視点で、企業を調査するべきで、アナリストなどプロの専門家の意見はあまり重要でないと言っています。

 注目されていないお宝銘柄は、リンチ氏は消費者としての目線を発見できるかもしれません。実際に投資に至ったタコスチェーンのタコベル株や、ドーナツチェーンのダンキンドーナツ株は、自ら足を運び食べてみておいしかったから目を付けていたとのことです。

 もちろん好みだけで投資するのは危険ですが、利益見通しや財務状況、競争環境などを詳しく調べたうえで注意深く投資判断すれば有望な銘柄を選別できるといいます。

■前回のブログ


 

読んで頂き、ありがとうございました。

誤字脱字、乱文雑文、すいません。

素人が趣味で書いているブログです。その点を留意して、情報の正確性などご容赦ください。

 

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以 上です。

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