W-SCOPEの2022年度2Q決算と今後の株価について(速報版)

■はじめに

ダブルスコープの 2022年度2Q決算と今後の株価について、考えたこと、気になったことを簡単にまとめました(速報版)。
結論から言うと『マイルドな決算だが、強気でみていい』と思う決算でした。その根拠など紹介する記事です。

 

(決算補足説明資料及び決算説明会内容の入手方法)
当社は、2022年8月16日(火)に機関投資家・アナリスト向けの説明会を開催する予定です。この説明会の動画及び当日使用する決算説明資料は、開催後速やかに当社ウェブサイトに掲載する予定です。

決算短信に記載があり、説明会の内容を把握して、解説、考察するブログを投稿しようと思います。そういう意味で速報版です。

 

▼目 次

■一言でいうと

「ワイルドな決算だぜぇぇぇぇ」といったTwitterでの投稿も見ましたが、
直近の上方修正とほぼ同じ業績で、想定外の過激さインパクトはなく、
いい意味で落ち着いた決算で「マイルドな決算だぜぇぇぇぇ」といえそうです。

▼2022年2Qダブスコ決算一言で

2022年2Qダブスコ決算一言で

 

決算発表後のPTFの価格も2,025円で始まり、決算前の終値1,987円付近で推移しています。現状の株価に反映されている想定の範囲内の決算であったことを示しています。

ただ、悪い決算か、良い決算かでいうと良い決算と考えて、強気で見てよさそうです。

 

■良い決算の条件

『じっちゃま』という愛称で著名な米国株アナリスト広瀬隆雄氏は、

①今期のEPS(1株当たり利益)がコンセンサス予想を上回る

②今期の売上高がコンセンサス予想を上回る

③来期以降のEPSのガイダンスがコンセンサス予想を上回る

上記①~③の3項目全てを満たす決算だけが「良い決算」だ。

と説明しています。

 

③はEPS以外に売上、営業利益なども見ることもありますが、最も重要なのはEPSなので、このブログではEPSだけ取り上げています。

 

なお、この記事は、

【米国株】「良い決算」の定義と判断に困ったときのヒント|じっちゃまの教え | ほむらのろぐ

の内容を参考にしています。

 

この良い決算の3項目の基準は、米国の機関投資家で常識(米国株の常識)とよべるような基準らしいです。

あだ、売上、EPSなど世界共通利用できる数値を利用しているので、日本でも利用できる普遍的な基準と考えていいと思います。

 

「コンセンサス予想」とはアナリストの企業業績予想の平均値、「ガイダンス」とは企業側が出す来期以降の業績予想を指します。

 

「コンセンサス予想」がアナリストの企業業績予想の平均値といっても、ダブルスコープの場合、私が入手可能なものは、SBI証券のアナリスト予想(他の証券会社より一番強気の予想をしていると思われる)しかありません。

この予想を利用して、いい決算だったのか確認します。

 

ただ、SBI証券アナリスト予想が、2022 年 6 月 30 日付レポート以降更新されず、7月25日付の業績予想上方修正を反映したコンセンサスはわからない状態です。

 

ただ、

業績予想修正が7月25日ですでに6月までの業績はわかっている中での発表ですので、上期の決算は、修正内容と相違はないというのが市場のコンセンサスだと思います。

 

したがって、

①今期のEPS(1株当たり利益)がコンセンサス予想を上回る

②今期の売上高がコンセンサス予想を上回る

コンセンサス予想は、7月25日付業績予想上方修正の数値と考えました。

今期というのは、決算の対象期期間ということで上期(1Qと2Q)と考えます。

 

③来期以降のEPSのガイダンスがコンセンサス予想を上回る

コンセンサス予想については、SBI証券のアナリスト予想(2022 年 6 月 30 日付)を採用します。

業績予想上方修正を考慮していない予想ですが、期初会社予想よりかなり強気な予想だったのこともあり、そのまま採用しました。

ここでいう来期は、次の決算期間という意味で下期(3Qと4Q)と考えます。

 

 

■良い決算の三つの基準に合格するか

●①今期のEPS(1株当たり当期純利益)がコンセンサス予想を上回るか

▼2022年12月期上期EPSの予想・実績の推移

2022/02/14会社期初予想: 8.26円
2022/06/30 SBI証券予想:18.26円 ※
2022/07/25会社修正予想:36.62円    
2022/08/12会社決算実績:37.80円(07/25会社予想比で+1.18円、+3.23%)

 

SBI証券は上期、下期と期毎のEPSの予想はしていないので、通期予想56.80を会社の期初予想の上期、下期の比率(上期32.14% 下期67.86%)で配分して計算した数字です。
上期の比率は32.14%、

 

上記の通り、
2022/07/25会社修正予想:36.62円を、
2022/08/12会社決算実績:37.80円は+1.18円、+3.23% 上回っており、
①    今期のEPS(1株当たり当期純利益)がコンセンサス予想を上回る

という基準は合格したと考えてよさそうです。

 

●②今期の売上高がコンセンサス予想を上回るか

▼2022年12月期上期売上高の予想・実績の推移

2022/02/14会社期初予想:170.00億円
2022/06/30 SBI証券予想:190.00億円 ※
2022/07/25会社修正予想:200.00億円    
2022/08/12会社決算実績:201.98億円(07/25会社予想比で+1.98億円、+0.99%)

 

SBI証券は上期、下期と期毎の売上の予想はしていないので、通期予想425億円を会社の期初予想の上期、下期の比率(上期44.74% 下期55.26%)で配分して計算した数字です。

 

上記の通り、
2022/07/25会社修正予想:200.00億円を    
2022/08/12会社決算実績:201.98億円は、+1.98億円、+0.99% 上回っており、
②    今期のEPS(1株当たり当期純利益)がコンセンサス予想を上回る
という基準は合格したと考えてよさそうです。

 

●③来期以降のEPSのガイダンスがコンセンサス予想を上回るか

▼2022年12月期下期EPSの予想・実績の推移
2022/02/14会社期初予想:17.44円 (通期25.70-上期8.26で計算)
2022/06/30 SBI証券予想:38.54円 (通期56.80-上期18.26で計算)
2022/07/25会社修正予想:17.78円 (通期54.40-上期36.62で計算)    
2022/08/12会社決算実績:16.60円 (通期54.40-上期37.80で計算、
2022/06/30 SBI証券比で-21.94円、-7%)

 

上記の通り、
2022/06/30 SBI証券予想:38.54円を    
2022/08/12会社決算実績:16.60円は、-21.94円、-56.93% と下回っており、
③    来期以降のEPSのガイダンスがコンセンサス予想を上回るか
という基準は不合格(未達成)だったことになります。

 

結論からいうと
①    今期のEPS(1株当たり利益)がコンセンサス予想を上回る
②    今期の売上高がコンセンサス予想を上回る
③    来期以降のEPSのガイダンスがコンセンサス予想を上回る
の基準すべては、①と②は合格だが、③が不合格で、すべて満たしておらず、
良い決算でなく、悪い決算だったことになります。

 

 

 

■来期のガイダンスはなかったと考えれば良い決算

【米国株】「良い決算」の定義と判断に困ったときのヒント|じっちゃまの教え | ほむらのろぐ

より引用

ガイダンスを出さない = 悪い決算 ではない
「良い決算」の定義の中に「③ガイダンスがコンセンサス予想を上回る」という項目がありますが、中にはガイダンスを示さない企業業もあります。
ガイダンスがないと「良い決算」の3項目全てを満たすことができなくなるため、「悪い決算?鼻くそピーン!?」と心配になるかも
大丈夫です。
企業側がガイダンスを出さないからと言って、決算ミス(悪い決算)とはなりません。
判断するためのデータ不足として、「良い決算」の基準から③のガイダンスを含む項目を除外しましょう。
したがって、ガイダンスがない場合には、それ以外の2項目(①の今期のEPS、②の今期の売上高)で判断してください。

 

ダブルスコープの今回の中間決算(2Q決算)は、

『今回はガイダンス(予想)がなかった』
『直近の業績を反映して予想を変えておらず、今回の予想はなかった』
と考えるのが適当かもしれません。

 

後述する、損益分岐点を超えて利益回収期に入ったことが明確であり、③の基準は除いて考えて、『良い決算で強気』と私は考えています。

 

下期売上の予想も

2022/07/25会社修正予想:240億円 (通期440億-上期200億円で計算)             

2022/08/12会社決算実績:238億円 (通期440億-上期202億円で計算)

と中間決算の実績から通期予想を引くと、-2億円、-0.83%という数字になります。

 

2022/07/25から2022/08/12の間で発表されたサムスンSDIの好業績や強い予想を考えると、『予想の売上値が下がることは考えにくいので、単純に予想を変えなかった。』というだけと考えられます。

なお、サムスンSDIは、2022年度1Qから2Q(2022年度上期)でダブルスコープの売上の91.6%を占めます。

 

サムスンSDI、2Qは営業利益初の4000億ウォン突破…過去最大の業績を達成 - コリア・エレクトロニクス

2022年8月10日付の記事
サムスンSDIは今年下半期、中大型電池は高付加価値製品を中心に販売成長を続けるものと判断した。自動車電池はハンガリー第2工場が稼動し、Gen.5バッテリーの販売が本格化し、次世代プラットフォームの受注活動も持続する方針だ。ESS電池は原油高の状況とエコ政策の拡大で、新再生エネルギー需要の増加の影響を受け、電力用ESS新製品の発売で販売が拡大するものと予想した。

小型電池はモビリティ用を中心に販売成長を続ける計画だ。円形電池は電気自動車、電気自転車などモビリティ用の販売が拡大するものと予想した。新規電気自動車プロジェクト対応のための46パイ(直径46mm)ラインも構築している。

 

2022 年 8 月 1 日付SBI証券アナリストレポートでも、
サムスンSDIのEnergy部門(リチウムイオン電池を含む部門)とダブルスコープの業績は連動しているから、
 大型 LiB は、xEV 向けにおいて大手 OEM 用 Gen.5 の電池が拡大
 xEV 向けの下期見通しは、ハンガリー第 2 工場の生産開始で拡販見込む
など、下期の予想も堅調なので、ダブルスコープにポジティブな要素が増えたという記事があります。

 

Samsung SDI 2Q 決算およびダブル・スコープ 2Q 会社計画の比較資料

2022 年 8 月 1 日付SBI証券アナリストレポートより抜粋。QoQは前四半期比、YoYは前年同期比の意味。

Samsung SDI 2Q 決算およびダブル・スコープ 2Q 会社計画の比較資料

 

こういった報道やアナリストレポートの内容を考えても、③の基準は除いて考え、

『良い決算で強気』と私は考えています。

 

損益分岐点を超え完全に利益回収期に

 

今回の2022年2Q決算を見ると、

-----

・売上は前年同期比で+59.2% +75億円(2021年126億⇒2022年201億円)、

前四半期比+26.9% +24億円 (1Q 88億 ⇒2Q 112億円)。

⇒ 売上が年200億円を超える規模でこれだけ成長している会社も珍しい。

 

・営業利益は前年同期比で黒字転換+28億円(2021年-1億 ⇒2022年 27億円)

、前四半期比+427.5% +19億円 (1Q 4億 ⇒2Q 23億円)。

⇒ 損益分岐点を超え、完全に利益回収期に。

----

固定費の高いダブルスコープは、損益分岐点を超えて、売上の成長が続く場合、売上以上に、営業利益率が改善され、営業利益が大きく成長しています。

 

ダブルスコープは、限界利益率(売上から変動費を除いた金額の比率、言い換えると売上のうち固定費と利益がどの程度占めるかを意味する)が60%程度と、固定費が高い会社です。

 

これは、固定費が変わらなければ、損益分岐点を超えた分の売上の営業利益率は60%になることも意味します。

 

例で示すと以下のようなイメージです。
売上 200億円 変動費  80億円 固定費 120億円 営業利益 0円 
損益分岐点は200億円
売上 300億円 変動費 120億円 固定費 120億円 営業利益 60億円
損益分岐点200億円を超えた、売上100億円分の営業利益率は60%!

 

ダブル・スコープの株価は下がるという人は、おそらく、成長株全般を高いという人だと思います。

こういった人は、固定費の高い会社が損益分岐点を超えて、売上の成長が続く場合、売上以上に、営業利益率が改善され、営業利益が成長することをよくわかっていない可能性があります。

 

私がダブル・スコープに注目した理由の一つが、限界利益率の高さ、言い換えると固定費率の高さでした。この点に着目した記事も紹介します。

 

ダブル・スコープがセパレータ事業で創業した理由-エルピーダメモリのような敗者になるのか- - 令和の未来カエルのブログ

セパレーター事業で創業した理由に「③高い利益率、特に高い限界利益率が確保できること」があります。

「セパレータ事業は限界利益率が7割以上と高いが、こんなビジネスはあまりない。」

という発言に注目です。

 

W-SCOPEの2021年度3Q決算と今後の株価について(速報版) - 令和の未来カエルのブログ

崔社長が強調するように、セパレーター事業は限界利益率(固定費の比率)が高い事業のようで、今後売上が増えれば、それが利益に直結するでしょう。

■説明会の予定や今後の株価

●説明会の予定

少し長くなってしまったので、その他気になった点などは、決算説明資料開示後に、別のブログで紹介しようと思います。

一番気になった点だけ紹介すると、

(決算補足説明資料及び決算説明会内容の入手方法)
当社は、2022年8月16日(火)に機関投資家・アナリスト向けの説明会を開催する予定です。

という記載です。

 

前回の中間(2Q)決算は、2021年8月12日(木)の決算短信開示後、翌日(次取引日)に2021年8月13日(金)に機関投資家・アナリスト向けの説明会を開催していました。

もしかして、8月15日(月)に別の開示がダブルスコープからあり、それを待って、説明会を開催する思惑でもあるのか思ってしまいました。

 

ただ、2022年2月も、決算短信開示から、2取引日後に説明会を開催していたので、
下種の勘繰りのような話かも知れません。

 

2022年8月16日(火)の機関投資家・アナリスト向けの説明会の動画及び当日使用する決算説明資料は、開催後速やかにウェブサイトに掲載される予定です。

●今後の株価

今後の株価の予測、売買は、説明会の内容を確認後に検討するのが、適当だと思います。

ただ、8月15日(月)と8月16日(火)の株価が5日移動平均線と25日移動平均線の中間点に近い位置(1920円から1950円位)にいるようであれば、買い場かもと思っています。

 

2022年7月21日時点で、25日移動平均価格が1823円のため、平均すると、このぐらいの価格で空売りしていると思います。

 

今回の決算で特に悪材料もなかったので、空売り勢も、多少の損失はあっても、このぐらいの価格で買い戻したいのではと推測しています。

 

▼2022/08/12の株価

 

■第2のダブスコはライフネット生命

 

 

良い赤字悪い赤字

最近、読んだ本で決算関連の良本として紹介している。

 

会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方 [実践編]

のChapter4 Theme2 の「良い赤字」の例のライフネット生命の株価が最近、上昇しています。

先日8月12日も+52円 6.48%の大幅上昇でした。

 

ライフネット生命の株価

 

去年までのダブルスコープのイメージと近い会社です。

いい赤字、悪い赤字の事例なども紹介されていました。

 

 

↓の本で、赤字だけど有望な会社、ライフネット生命のような会社、第二のダブルスコープのような会社を探すのも楽しめると思います。

 

 

 

第1巻もありますが、おすすめは、第2巻の[実践編]です。

著者が1冊目(第1巻)の100倍の工数をかけたのもわかる気がします。

1冊目は基礎編という感じでどの本でも記載されているような内容を分かりやすくしているだけの印象でした。

2冊目(第2巻)の実践編は、投資先だけでなく、勤務先(案外、他部署のことなどわかっていない)、就職先、取引先、購入先、知人の勤務先がどんな会社、事業か知るためにに実践で利用できるとても中身が濃い本です。

 

■前回のブログ


読んで頂き、ありがとうございました。

誤字脱字、乱文雑文、すいません。

素人が趣味で書いているブログです。その点を留意して、情報の正確性などご容赦ください。

 

また、

はてなIDをお持ちの方はブログの最後にある「スター★」ボタンで評価し、「Bブックマーク」ボタンでお気に入りとして保存を。

Facebookアカウントをお持ちの方はブログの最後にある

「Ⓕシェアする」ボタンでシェアを。

Twitterアカウントをお持ちの方はブログの最後にある

「ツイートする」ボタンでツイートを。

●「コメントを書く」ボタンでコメントを。

いただけれと励みになります。

 

 

以 上です。

#ダブル・スコープ6619 ライフネット生命7157