W-SCOPEの株価の下値(上昇余地)-上場予定のWCPの時価総額から

■はじめに

WCP(W-SCOPEの韓国子会社)の上場後の時価総額から、親の時価総額を超える上場子会社を持つGMB(7214)やパソナグループ(2168)の事例を参考に、W-SCOPE(6619)の下値(上昇余地)を考えたブログ記事です。

 

企業価値(EV)と時価総額は違う話-W-SCOPEの韓国子会社WCP上場のニュースから- - 令和の未来カエルのブログ

の続編にあたる記事となります。

 

 

 

 

■具体的になったWCPの上場時期

ソウル経済新聞は、韓国の代表的な経済専門の新聞で、韓国で1960年に韓国初の経済専門の新聞として創刊された新聞です。
ソウル経済新聞の2022年1月16日の記事で、W-SCOPEの韓国で上場予定の子会社W-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.(WCP)の主幹事証券を担当するKG証券に関する記事のなかでWCPの企業価値、上場審査予定が紹介されていいました。

▼W-SCOPEの韓国で上場予定の子会社WCPの主幹事証券を担当するKG証券に関する記事

https://sedaily.com/NewsView/260VZBPOKU

 

『WCPの上場審査は、今年の実績に基づくと4〜5兆ウォンの企業価値を持っていると分析される電気自動車のバッテリー材料会社として、来月KB証券によって提出されることを確認した。』
といった内容です。

日本では、上場申請から、上場まで2カ月から3カ月間かかるのが通例ですが、韓国でも同程度の期間がかかると考えると、2022年の4月から5月の間に上場されると考えられます。

2021年3月11日付のダブルスコープの開示で、

韓国連結子会社の株式上場準備開始に関するお知らせ

当社100%連結子会社であるW-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.(以下、WCP)は、
このたび証券会社 2 社と主幹事契約を締結し、韓国証券市場である KOSDAQコスダック
市場への株式上場に向けた準備を開始することになりましたのでお知らせ致します。
上場の目的は、更に高まりつつある取引先からの中長期的な需要の大幅な増加に合わせ、
WCP の計画的な生産能力増強を進めるにあたり、資金調達手段の柔軟性を確保するためです。
上場予定時期は、2022 年上半期を想定しております。
今後、WCP の株式上場について、当社グループ業績への影響を含め、開示すべき事由が発生
した際には速やかに開示いたします。
【主幹事証券】
KB 証券株式会社
新韓金融投資株式会社


「上場予定時期は、2022 年上半期を想定しております。」
と報告されており、それ以降上場予定の変更などは開示されていないから、遅くとも上半期中の6月末まで上場される計画のようです。

▼WCP忠州工場の航空写真(2021年3月撮影)

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WCP忠州工場の航空写真

 

 

 

■WCPの時価総額とW-SCOPEの持分

ソウル経済新聞の記事によるとWCPの企業価値は4〜5兆ウォンとされています。
現在の為替ルート1円=0.095円で計算すると、3800億円から4750億円の企業価値です。
 企業価値 = ネット有利子負債 + 株式時価総額
という算式で求められるますが、WCPのネット有利子負債はわかりません。

ネット有利負債は、有利子負債残高から直ちに返済に充てることの出来る現預金を差し引いたものですが、
WCPの有利子負債も現預金もわからないので正確な数字はわかりません。

ただ、

ダブル・スコープの最新の有価証券報告書 2021年12月期 第3四半期報告書(提出日2021年11月15日付)

によると、

株式に転換されたWCPの転換社債を除くと、W-SCOPE連結で有利子負債は186億円で、現預金は123億円ですから、ネット有利子負債は63億円です。
WCP単体の有利子負債は連結の数字63億円を超えるものでないことを考えると、企業価値から考えると非常に少ない金額と考えられます。

 

今回はネット有利子負債は無視して、企業価値イコール時価総額で考えたいと思います。

 

2022 年1 月20 日付の開示資料で、

子会社転換社債の株式転換に関するお知らせ

当社の子会社である W-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.(以下、WCP という)の転換社債が、
株式転換されましたのでお知らせ致します。
WCP が発行している 2,130 億 KRW の転換社債は、2021 年 9 月 30 日付で 1,765 億 KRW が株式
転換されていますが、これに続き、2022 年 1 月 17 日付で 340 億 KRW 分が株式転換され、発行
済み転換社債の98.81%が行使完了となりました。残りの転換社債1.19%は WCP が保有している
ため償還処理を行っています。これにより、当社の株式保有比率は 46.02%となり、当社子会
社の W-SCOPE KOREA CO., LTD.が出資している FUND を通じて所有している株式と合わせて、
当社グループが保有している WCP の株式保有割合は、46.61%となりましたが、連結子会社は維
持する方針です。
なお、本件による当社連結業績に与える影響等につきましては、現時点では確定しておりま
せん。今後、公表すべき事項が生じた場合には確定次第、速やかにお知らせ致します。

 

と報告され、W-SCOPEのWCP株の持分は、46.61%であることが判明しています。

W-SCOPEのWCP時価総額の持分は、

WCPの時価総額が4兆ウォンの場合は

3800億円(4兆ウォン)× 46.61%=約1771億円

WCPの時価総額が5兆ウォンの場合は

4750億円(5兆ウォン)× 46.61%=約2213億円

となります。2022年1月21日の終値876円で時価総額 477億円なので、W-SCOPEはとても割安な株価と思われます。

ただ、上場している連結子会社時価総額の持分より低い時価総額の親会社も珍しくないので、以前紹介したGMBと私が知る限りで上場している連結子会社時価総額の持分が親会社の時価総額に最も反映されていないと思われるパソナの例を
参考に、WCPの時価総額からW-SCOPEの下値を考えていました。
すべて時価総額は、2021年1月21日終値で計算しています。

 

 

■GMBの例

時価総額40億円のGMB(7214)は、時価総額100億円(1102億ウォン)のGMB Koreaの株式54.4%を保有しています。

GMBの時価総額をGMB Koreaの時価総額のGMB持分で割ると
40億円 ÷ (100億円 × 54.4%) = 40億円 ÷ 54.4億円 =約0.74
といった数字が算出できます。

この0.74(74%)という係数を
W-SCOPEのWCP持分の割引率で利用すると
3800億円(4兆ウォン)× 46.61%×74%=約1310億円→株価でいうと175%上昇が期待できる2405円
4750億円(5兆ウォン)× 46.61%×74%=約1638億円→株価で言うと243%上昇が期待できる3008円
となります。

現状の株価を大幅に上回り、下値という表現が適当でなく、上昇余地という表現が適当だと思います。
WCPが上場して、4兆ウォンから5兆ウォンまでの時価総額となった場合と上昇余地が2405円から3008円ぐらいがと考えたほうがよさそうです。

GMBの割安さについては、下記のブログでも詳しく取り上げています。

 

パソナグループの例


時価総額 1120億円のパソナグループ(2168)は、時価総額6038億円のベネフィット・ワン(2412)の50.7%を保有しています。

パソナグループの時価総額をベネフィットワン時価総額持分で割ると
1120億円 ÷ (6038億円 × 50.7%) = 1120億円 ÷ 3061億円 = 約0.37
といった数字が算出できます。

この0.37(37%)という係数を
W-SCOPEのWCP持分の割引率で利用すると
3800億円(4兆ウォン)× 46.61%×37%=約655億円→株価でいうと37%上昇が期待できる1200円
4750億円(5兆ウォン)× 46.61%×37%=約819億円→株価で言うと71%上昇が期待できる1504円
となります。

パソナグループの例でも、現状の株価を大幅に上回り、下値という表現が適当でなく、上昇余地という表現が適当だと思います。

WCPが上場して、4兆ウォンから5兆ウォンまでの時価総額となった場合と上昇余地が1200円から1504円ぐらいがと考えたほうがよさそうです。

 

保有株式の価値は時価総額とあまり関係ないかも

保有株式の価値は時価総額とあまり関係ないかも場合もありますが、上記の試算で一番低い株価である1200円(WCPの時価総額4兆ウォンでパソナの割引率)でも、現状の株価水準(2022年1月21日の終値876円)は割安に見えます。

子会社の保有株式も含めて、保有株式の価値より時価総額が低い上場会社は珍しくありません。そういった会社を投資対象として積極的に保有する投資家もいます。
個人投資家として著名なかぶ1000さんもそういった投資家です。
また、最近のツイッターでも、保有している株式に着目した投資について、投稿していました。

▼かぶ1000さんのツイッターの投稿

 


 

 

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