WCP転換社債でテンバガー達成したNOH & PARTNERSの投資戦略
■はじめに
W-SCOPEの韓国子会社W-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.(以下、WCP)の転換社債投資でテンバガー達成したNOH & PARTNERSについて調べた内容(NOHの由来や投資戦略など)を紹介するブログ記事です。
- ■はじめに
- ■NOHとは
- ■NOHさん、노광근 (盧光根・ノグァングン)氏の経歴
- ■WCPの投資でテンバーガー達成
- ■漢拏(ハンラ、ハラとも呼ばれる)グループとも提携
- ■NOH & PARTNERSの投資戦略でも大事な参入障壁
■NOHとは
NOH & PARTNERSのNOHは、創業者の名前からとっているようです。
創業者で現CEOの노광근 (盧光根・ノグァングン)氏の苗字 は、盧 NOHです。
盧(ノ)という苗字では、私は、韓国の元大統領(1988年2月– 1993年2月在任)で盧 泰愚(ノ・テウ)氏がいたり、Jリーグのサンフレッチェ広島などで活躍した盧 廷潤(ノ・ジョンユン)氏が思い出します。
韓国では、金、李など程多い苗字ではないですが、珍しくない苗字のようです。
■NOHさん、노광근 (盧光根・ノグァングン)氏の経歴
韓国産業銀行で25年以上在職し、中国の吉林大学に留学経験があります。
韓国産業銀行ではプライベートエクイティ(未公開株式)の投資部門の経験が長ったそうです。
これぐらいの情報しかわかりませんでした。
ただ、盧氏やNOH & PARTNERSの紹介記事では「(韓国)産業銀行出身の盧氏が」といった内容が多く、韓国産業銀行出身というだけで一目置かれるような存在のようです。
韓国産業銀行 (韓: 한국산업은행; 英: Korea Developement Bank) は、「韓国産業銀行法」に基づき韓国政府が100%出資する特殊銀行です。
設立は1954年で、1960年代は電力、鉄鋼、肥料、セメント、炭鉱などの基幹産業、1970年代以降は機械、電子、石油化学などの重化学産業や海外進出する韓国企業
へ長期的資金を融資するのが主な役割をになっています。
日本でいうとみずほ銀行の前身の一つの日本興業銀行や日本政策投資銀行が、韓国産業銀行とイメージが近いかも知れません。
https://www.thebell.co.kr/free/content/ArticleView.asp?key=202004291041053840105371&lcode=00
↑のリンクは「元サンウンマン ノウ&パートナーズ、ラストチャンスをつかむ」
というタイトルの記事 (2020年05月04日付)ですが、
設立からの5年以内投資ファンドしか参加できないルーキーリーグという優秀なファンドを認定、表彰する選考会に参加が認められたという記事です。
このルーキーリーグに参加するための審査を突破することが難しく、参加できるだけでも、その価値が認められることになるそうです。
記事には
〇二次電池分離膜メーカーのWCPに投資を実施した。約2000億ウォン規模だったWCP投資で、ノーアンド・パートナーズは新韓キャピタル、産業銀行などとともにディールを遂行して主導的な役割を果たした。
〇NOH & PARTNERSは特に△電気自動車・二次電池・新エネルギー△環境・バイオ・ヘルスケア△半導体・次世代ディスプレイ△人工知能・ソフトウェア・スマートファクトリーなど「4次産業革命関連中核分野」へ積極的に投資するとアイデンティティ(他との違い)を明らかにしいる。
といった内容も紹介されています。
産業銀行はサノブウネンといった韓国語の発音なので、サンウンマンとあるのは、産業銀行マン、産銀マンといった意味のようです。
http://www.manpower.co.kr/_bbs/user_xml_guide/view.asp?mcd=mj030101&page=46&cmd=view&sid=2071&
↑のリンクに、キム・スジェ韓国産業銀行人事チーム長が、採用応募者向に選考試験情報のような内容の記事があります。
『韓国の経済発展の歴史を一緒に導く人材を待つ。
産業銀行の歴史が我が国の企業金融発展の歴史であり、経済発展の歴史となる。
それだけにキム・スジェチーム長は韓国産業銀行こそ国内最高の人材に成長させることができる所だと自負する。』
と高いプライド(とそれを裏付ける能力)を持つ人が多いのでしょうか。
CEOの盧光根氏が中国の吉林大学に留学経験があるのか経験しているのか中国企業への投資もしているようです。
上記の記事にも電気自動車バッテリー必須部品である銅箔(Copper Foil)のワトソンにはSKグループとともに投資した記事があります。
▼はNOH & PARTNERSのサイトです。
http://www.nohnpartners.com/kr/index.html
▼英語版のサイトもあります。
http://www.nohnpartners.com/en/index.html
■WCPの投資でテンバーガー達成
https://www.hankyung.com/finance/article/2021092279981
は「2年で転換社債の価格が10倍以上になったWCP」といったタイトルの記事(2021年09月22日付)です。
『1490億ウォン分のCBを買い入れた2019年、WCPの企業価値は2500億ウォンと評価されていた。しかし、2021年9月にはWCPが企業価値を2兆3000億ウォンと評価された。
NOHは転換社債の10%をDS資産運用、サムスン証券、ハンファ投資証券、漢陽証券、KB証券など計9社の機関投資家と2300億ウォン規模の転換社債(CB)売却契約を最近締結したと9月22日明らかにした。』
といった内容です。
1490億ウォン分のCBの10%を2300億ウォン相当で販売したということは、取得価格の15.4倍で販売し、2年間で9.2倍の利益を上げたそうで、2年でテンバガー以上の収益(10倍になったら、利益は9倍なので9.2倍ということはテンバガー以上です)があったようです。
https://www.hankyung.com/finance/article/2022020269901
↑は『どこまであがるか… 売上0円の会社に投資して驚くべき結果』
というタイトルの記事(2022年02月02日付)ですが、
●売上高0ウォン、営業損失109億ウォンのWCPへの投資が大成功した。
●投資業界では時価総額が5兆ウォンの6兆ウォンになると予想している。
●NOH & PARTNERSの投資戦略は、成長可能性と技術的参入障壁を持つ業界の中核企業を見つけ、早い時期から投資し、それらの企業の価値を最大限に引き上げること。
などが説明されています。
■漢拏(ハンラ、ハラとも呼ばれる)グループとも提携
https://paxnetnews.com/articles/78375
↑は、NOH & PARTNERSが、WCPの株式を10%程取得とした漢拏(ハンラ、ハラとも呼ばれる)グループとも提携し、ハンラグループが出資する投資ファンドの運営するという内容の記事(2021年9月10日付)です。
ハンラグループが、NOHの電気自動車分野の投資実績を評価したのが提携の理由とされています。
https://news.v.daum.net/v/20210916114704866
↑は2021年09月16日付のハンラホールディングスが電気自動車バッテリー分離膜メーカーのダブルコープ(実際にはWCP)に1000億ウォンを投資するという記事です。
漢拏(ハンラ、ハラとも呼ばれる)グループについては、↓のブログも参考にしてください。
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■NOH & PARTNERSの投資戦略でも大事な参入障壁
NOH & PARTNERSの投資戦略は、成長可能性と技術的参入障壁を持つ業界の中核企業を見つけ、早い時期から投資し、それらの企業の価値を最大限に引き上げることです。
とある通り、株式投資には、その企業の事業に強い参入障壁があるかが重要なようです。
なお、これから紹介する本の楽天のリンクは、ブログの中でも記載しています。
参入障壁の大事さは、奥野 一成氏(農林中金バリューインベストメンツ株式会社の常務取締役・最高投資責任者)のの本で力説されていました。
ウォーレン・バフェットが投資先の条件として掲げるのが「経済の堀」(economic moat)とを持っていることですが、
これも高い参入障壁と同じ意味でしょう。
「競争戦略」の理論で著名なマイケル・E・ポーター氏は、参入障壁の要素として
①規模の経済性が必要
②製品の差別化
③巨額投資の必要
④スイッチングコスト(購入先を変更するコスト)が高い
⑤流通チャネルの確保(新規の流通チャンネルの開発がほぼ不可能)
⑥規模と無関係なコストが高い(特許の存在など)
⑦政府の規制で守られている
の7つがあると考察しています。
これから投資先を検討するときに、参入障壁が高いか、考える材料になりそうです。
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