日経統合報告書アワード(旧 日経アニュアルリポートアウォード)グランプリ企業の投資成績

■はじめに

藤野英人氏の著書を読み、日経統合報告書アワード(旧 日経アニュアルリポートアウォード)に興味を持ちました。
日経統合報告書アワードグランプリ企業へ投資した場合のパフォーマンスについて調べてみたブログ記事です。

 

■アニュアルレポート(統合報告書)の社員の写真があるか。

藤野英人氏著の投資家が「お金」よりも大切にしていること

という本の一部を紹介します。

『利益が成長する会社は株価も上がる。』
『真面目に世の中のために努力している会社しか成長し続けられない。』
『会社が真面目であるためには、お客様だけでなく、従業員のことも真剣に、そして誠実に考えなければならない。』
『「その会社が真面目かどうか」を判断するために、一つの基準としているものがあります。それが「アニュアルレポート」です。』
として、真面目な会社の一つの判断基準として、
アニュアルレポートに、社員の写真が利用されているかという基準があるそうです。

採用向けの資料やサイトには社員の顔は多く、どの企業も載せているが、アニュアルレポート(統合報告書)には社員(の顔)の写真が少なく、相手によって、「顔」を使い分ける二面性にものすごく不真面目さを感じる。
本当に社員を大事にしているなら、どちらにも等しく載せてしかるべきである。
といった主張をされています。

この本の中で、藤野氏も審査員を務めたこともある「日経統合報告書アワード」(旧 日経アニュアルリポートアウォード)について紹介されていまいた。

 

 

■アニュアルレポートと統合報告書のそれぞれの意味

最近ではアニュアルレポート(年次報告書)にかわって、統合報告書が増えているようです。


野村證券の証券用語集から引用です。

アニュアルレポート:
英語表記はAnnual Report。株式を上場している企業が、事業年度終了後に作成する報告書で年次報告書ともいう。

統合報告書:
統合報告書とは、企業の売上や資産など法的に開示が定められた財務情報に加え、企業統治や社会的責任(CSR)、知的財産などの非財務情報をまとめたもの。
欧米を中心とした海外機関投資家が投資の際、企業の社会的責任を重要視し始めたことを契機に、海外の企業で財務情報と非財務情報をまとめて発行するようになった。
日本でも金融庁東証が策定したコーポレートガバナンス・コードにおいて、企業側に対し、非財務情報の開示を主体的に取り組むことを促しており、統合報告書を発行する企業が増加している。

 

投資家向けだったアニュアルレポートが進化して、投資家以外の従業員や取引先など様々な利害関係者(ステークホルダー)を対象に、中長期的視点に立った企業価値をアピールするため報告書が、統合報告書のようです。

両社とも法定の開示情報でなく、法規制などで要件はありません。
企業が、アニュアルレポート(年次報告書)として報告すれば、それはアニュアルレポート(年次報告書)ですし、統合報告書として報告すれば、それは統合報告書になるため、厳密な違いはないようです。


個人情報保護の潮流もあり写真の写真の公開も控える企業も予想され、
社員の写真を載せているから、真面目な会社で成長するとは言えないとは私は思います。
ただ、統合報告書(アニュアルレポート)に力を入れている会社は、
『IR業務のような会社の間接部門にも経費や人を投入する余裕がある会社で、利益率も高く、株主還元にも積極的になる可能性がある』という考え方はできるかなと思います。

 

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 ■日経統合報告書アワード(旧 日経アニュアルリポートアウォード)とは

統合報告書やアニュアルレポートを審査、表彰する「日経統合報告書アワード」(旧 日経アニュアルリポートアウォード)という日本経済新聞社のサービスがあります。

2021年の企画概要 | NIKKEI Annual Report Awards 2020

上記のサイトにて、その内容が紹介されています。
今年から、「日経アニュアルリポートアウォード」を、「日経統合報告書アワード」に改称しています。

本アワードの特長として、
機関投資家監査法人コンサルティング、学識経験者などが議論を尽くします
② 「統合報告書」を評価します。企業そのもの(業績など)の評価ではありません
③ 比較的低コストでの外部評価。450,000円(税別)
④ 高いPR効果(会期中、日本経済新聞日経ヴェリタスほか多様なメディアで複数回、露出します)
とある通り、45万円を払って応募すれば、宣伝、評価してあげるという有償サービスという内容です。


45万円をはらって、日経統合報告書アワードに申し込み、その中でグランプリ(一等賞)を受賞する会社、
『統合報告書やアニュアルレポートに力を入れている会社で、会社の成長を真面目に考えている』
『IR業務のような会社の間接部門にも経費や人を投入する余裕がある会社で、利益率も高く、
株主還元にも積極的になり、株価可能性がある』という考え方はできるといえそうです。

2020年度の日経アニュアルリポートアウォード
132社の応募があり、グランプリ企業となったのは中外製薬でした。
ちなみに、中外製薬には写真の顔写真入りで仕事の内容などの紹介がありました。

過去のグランプリ受賞企業も確認できます。

日経アニュアルリポートアウォード
歴代本賞最高受賞発行体一覧
 第1回 1998年 ソニー
 第2回 1999年 ソニー
 第3回 2000年 大和証券グループ本社
 第4回 2001年 帝人
 第5回 2002年 伊藤忠商事
 第6回 2003年 伊藤忠商事
 第7回 2004年 商船三井
 第8回 2005年 エヌ・ティ・ティ・データ
 第9回 2006年 住友商事
 第10回 2007年 トヨタ自動車
 第11回 2008年 ソフトバンク
 第12回 2009年 ベネッセコーポレーション
 第13回 2010年 三菱商事
 第14回 2011年 国際石油開発帝石
 第15回 2012年 カプコン
 第16回 2013年 伊藤忠商事
 第17回 2014年 三菱重工業
 第18回 2015年 中外製薬
 第19回 2016年 中外製薬
 第20回 2017年 オムロン
 第21回 2018年 MS&AD インシュアランスグループホールディングス
 第22回 2019年 日立製作所
 第23回 2020年 中外製薬

参考URL :https://www.nks.co.jp/wp_nks/wp-content/uploads/2021/03/IR2021_5.pdf

日本を代表する優良企業、大企業が受賞されていますね。

 

 

 

■日経統合報告書アワード(旧 日経アニュアルリポートアウォード)グランプリ企業の投資成績

 

日経統合報告書アワード(旧 日経アニュアルリポートアウォード)のグランプリ企業の株価が上がるか、受賞した年の12月の終値と直近2022年2月4日の終値の騰落率を、TOPIX東証株価指数)との比較で調査してみました。

受賞時の株価は、受賞した年の12月の終値を利用して、最新の株価は2022年2月4日の終値を利用しています。

 

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日経統合報告書アワードグランプリ受賞企業の株価の騰落率とTOPIXとの比較を表した表

黄色で着色した企業が、TOPIXの騰落率を上回っていた企業です。

受賞した企業23社のうち、11社がTOPIXの騰落率を上回った、つまり、市場平均より良好な株価パフォーマンスだったのは48%、約半分しかなかったといことです。

つまり、日経統合報告書アワード(旧 日経アニュアルリポートアウォード)のグランプリを受賞企業だからといって、株価は上がらないということです。


たた、複数回受賞している伊藤忠商事中外製薬(ともに3回)はTOPXの年平均騰落率で10%を超えるケースが6回中5回ありました。

 

会社として株価が低迷してという意識があり、IR、株主還元に注力して、株価を上昇させようと企業は、統合報告書にも注力すると思います。
日経アワードにも応募して、受賞するということであれば、株価が低迷している企業で、日経アワードで受賞した企業は投資対象の判断材料にしてもいいのかもしれません。

日経アワードには、グランプリは1社ですが、準グランプリに3社、特別賞は3社、優秀賞には14社と結構な数の企業が何らかの賞を受賞しいてます。

日立製作所には注目したいです。
2019年 グランプリだった日立製作所は、2022年は準グランプリでした。
日立製作所の2000年からの株価チャート(↓)ですが、2000年時の株価をまだ超えておらず、10年、20年というチャート長期では低迷、横ばいという印象です。

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日立製作所の長期株価チャート


2020年3月のコロナショックの前の2019年12月の高値4626円を超えて、2022年2月4日終値で5910円とここ2年ぐらい上昇基調ですが、今後も期待できるかもしれません。

 

 

■藤野 英人氏の著書

藤野 英人(ふじの ひでと)氏:レオス・キャピタルワークス株式会社代表取締役社長・最高投資責任者は、会社のホームページで、「社長の顔写真」が載っている会社」、「社長による代表挨拶の主語が「当社」「弊社」ではなく、「私」や「私たち」となっている会社」に投資が有望だと、個人投資家でも簡単に調べられる方法で、有望な企業か否か調べる方法をいくつか紹介しています。

 

そんな藤野氏の著書をいくつか紹介します。↑のブログ中で楽天のリンクも記載しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

以上

銘柄メモ

ソニー,大和証券,帝人,伊藤忠商事,商船三井,NTTデータ,住友商事,トヨタ自動車,ソフトバンクG,ベネッセ,三菱商事,INPEX,カプコン,三菱重工業,中外製薬,オムロン,MS&AD,日立製作所
6758,8601,3401,8001,9104,9613,8053,7203,9984,9783,8058,1605,9697,7011,4519,6645,8725,6501