W-SCOPEは、継続注記解消で株価が上がるのか。

■はじめに

2022年4月1日付で、Wスコープは継続注記解消の開示していますが、すでに『おりこみ済み』で、特に株価への影響がないようでした。
他の継続注記を解消した企業の株価も参考に、ダブルスコープの今後の株価を考えてみたブログです。

 

W-SCOPEの株価下落理由(欧州関連株の下落) - 令和の未来カエルのブログ (hatenablog.com)

に2022年3月12日のダブルスコープの記事を投稿していますが、約1か月半ぶりのダブルスコープに関するブログ記事になります。

 

ダブルスコープのブログの頻度に下がったのは、継続企業の注記も解消され、そんなに心配しなくてもいいし、応援しなくてもいいかなと思っているからです。

1年の休日は1日だけ!激務のサムスン電子で鍛えられた社長 崔 元根氏が率いるダブル・スコープは第二のサムソン電子になれるのか - 令和の未来カエルのブログ (hatenablog.com)

の2021年6月20日の記事が、初めての私がダブルスコープに関するブログです。

その時は、株価も608円と低迷していて、赤字決算が続いて、まさに継続企業の注記ということで、怪しい会社と誤解されている人も多いのかなと思って、誤解と解く意味でブログ記事にしました。そのころと比べて株価も上昇し、業績も順調なので、応援(勝手に応援しているだけですが)しなくてもいいかなと思っています。

 

■連結では、継続注記解消されていた


2021年度3Q決算発表時点で、連結では継続注記解消(解除)が適当がだ、単体では注記が必要だという状況でした。
▼2021年11月15日付2021年12月期第3四半期決算短信

四半期連結財務諸表に関する注記事項

(継続企業の前提に関する注記)
当社グループは、当社の長期借入金及び連結子会社転換社債型新株予約権付社債の期限の利益に係る財務制限条項等に抵触していたこと等により、前四半期連結会計期間末において継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していましたが、2021年9月に子会社であるW-SCOPE CHUNGJU PLANT CO.,LTD.(以下、WCP)株式の一部売却をした資金で財務制限条項に抵触していた長期借入金を全額返済した結果、当社の長期借入金に係る財務制限条項に抵触している状態は解消されています。
一方で、当社は継続して営業キャッシュ・フローのマイナスを計上しており、債務の支払いの資金繰りに懸念が生じているため、連結子会社を含めた資金繰りを考慮する必要があります。WCPは、韓国証券市場であるKOSDAQコスダック)市場への株式上場準備中であるため、W-SCOPE KOREA CO., LTD.(以下、WSK)から資金調達を実施する必要がありますが、WSKは前連結会計年度に引き続き、当第3四半期連結累計期間においても営業損失を計上しています。
これらの状況から、当第3四半期連結会計期間末において継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しています。


ダブルスコープの投資において、親会社単体は持株会社に近く、単体の決算、業績を見て、投資している人は皆無に近いと思いますので、
実質疑義注記は解消されていたと考えるのが適当でしょう。
2022年4月1日付で、継続注記解消の開示していますが、すでに『おりこみ済み』で、特に株価への影響がないようでした。


▼2022 年4月1 日付けプレスリリース

「継続企業の前提に関する注記」の記載解消に関するお知らせ
会 社 名 ダブル・スコープ株式会社 代表者名 代表取締役社長 崔 元 根

当社は、2022 年3月31 日に提出した有価証券報告書におきまして、これまで記載しておりました「継続企業の前提に関する注記」の記載を解消することといたしましたので、お知らせいたします。なお、詳細については下記の通りです。

当社グループは、当社の長期借入金及び連結子会社転換社債型新株予約権付社債の期限の利益に係る財務制限条項等に抵触していたこと等により、前連結会計年度末において継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していました。
 当社グループはこのような事象又は状況を解消すべく、生産・販売数量の増加と生産効率の改善に努めてきた結果として、前会計年度においては営業損益が黒字転換しております。当社グループは、翌連結会計年度以降も引き続き、長期供給合意を締結している顧客を中心に売上の拡大を図るとともに生産の最適化を実現して、継続的な利益の創出に取り組んでまいります。
その結果、2022 年2月14 日付の決算短信で公表した翌連結会計年度の連結業績予想である売上 38,000 百万円、営業利益 5,000 百万円及び経常利益 4,000 百万円の達成可能性は高いと判断しております。また資金面では、WCP が 2022 年2月に韓国証券市場である KOSDAQコスダック)市場への株式上場を申請しており、WCP から当社に対する直接の貸付が困難であるため、2022 年 3 月 31 日付有価証券報告書 「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項」の(重要な後発事象)に記載のとおり、2022 年2月に金融機関から200 百万円の資金調達を行うこと、また第4四半期連結会計期間より営業損益が黒字転換したWSK の資金を利用しながら、当社の運転資金を賄う計画です。
 以上の当社グループによる対応策の結果、当社の資金繰りは改善し、当面の間の運転資金が充分に賄える状況となったことから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められなくなったと判断し、記載を解消することといたしました。
株主様をはじめとする関係者の皆様にはご心配をおかけいたしましたが、当社グループはさらなる事業基盤の拡大と財務基盤の強化に努めてまいりますので、引続きご支援を賜りますよう宜しくお願いいたします。
以 上

 

 

■そもそも継続企業の注記とは、誰が判断するのか

分かりやすい「会計・監査用語解説集」:継続企業の前提(ゴーイング・コンサーン) | 日本公認会計士協会

継続企業の前提(ゴーイング・コンサーン

会社が将来にわたって継続していく前提を継続企業の前提(ゴーイング・コンサーン)と言う。財務諸表は企業が継続して事業活動を行うことを前提として作られており、例えば建物などの固定資産は、事業活動の継続を前提とすれば減価償却によって費用化されるが、会社の倒産を前提とすると処分価値で評価することになり、場合によってはゼロになってしまうこともある。
そこで、経営者は会社が少なくとも決算日から1年間事業活動が継続することについて重要な問題がある場合、その内容と財務諸表が継続企業の前提で作成されていること(ゴーイング・コンサーン情報)を注記として記載しなければならない。
また公認会計士ゴーイング・コンサーン情報を記載しなくてよいかをまず判断し、記載されている場合には、その旨を監査報告書で追記情報として注意喚起する。破綻して会社の事業が継続できない場合は、売掛金も回収できない可能性もあり、在庫や設備は無価値になる可能性があり、財務諸表で計上された金額は信頼できないことになります。

 

つまり、そんな会社の財務情報は信頼できないから、投資や取引は危険だから、注意して。ということです。誰が、継続企業の注記をするか、どうかは、その会社(の経営者)です。

継続企業の注記、重要事象


会社法上の特別法に該当する規則(経済産業省政令
である会社計算規則に以下の規定があります。

(継続企業の前提に関する注記)

第百条 継続企業の前提に関する注記は、事業年度の末日において、当該株式会社が将来にわたって事業を継続するとの前提(以下この条において「継続企業の前提」という。)に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在する場合であって、当該事象又は状況を解消し、又は改善するための対応をしてもなお継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるとき(当該事業年度の末日後に当該重要な不確実性が認められなくなった場合を除く。)における次に掲げる事項とする。

一 当該事象又は状況が存在する旨及びその内容

二 当該事象又は状況を解消し、又は改善するための対応策

三 当該重要な不確実性が認められる旨及びその理由

四 当該重要な不確実性の影響を計算書類(連結注記表にあっては、連結計算書類)に反映しているか否かの別

 

上記に、「株式会社が」という記載がある通り、注記をする義務があるのは株式会社(の経営者)です。

 

継続企業の前提に関する開示について | 日本公認会計士協会

「継続企業の前提に関する開示について」(日本公認会士協会、掲載日2002年11月06日)。 

一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成する責任は経営者にある。したがって、経営者は、財務諸表の作成に当たり、継続企業の前提が適切であるかどうかを評価することが求められる。 
 また、経営者は、継続企業の前提に関する評価の結果、期末において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在する場合であって、当該事象又は状況を解消し、又は改善するための対応をしてもなお継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるときは、継続企業の前提に関する事項を財務諸表に注記することが必要となる。 

とあります。

上場企業の場合、決算には公認会計士の監査意見書が必要ですから、注記がないと適正な決算と言えず、監査が通らないということで、公認会計士が助言することもあるでしょうし、
実際に監査が通らないこともあるでしょう。

実務では公認会計士と相談して、継続企業の注記を行うか、経営者が判断しているものと思われます。

 

■ 継続企業の注記の解除で、株価は上昇するのか。

継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象を『注記』が解消されても、
継続企業の前提に関する重要事象等の『記載』が必要な場合があります。
つまり、倒産する可能性が高い状態が終わっても、倒産する可能性がまるという状態が続くケースです。

今回調べた企業3社はいずれも、注記解消後、重要事象等の記載はしていません。
この点はダブルスコープと同じです。


中央化学(3月決算) 注記解消開示日 2019年11月11日

直前株価 → 1週間後 → 1か月後  → 1年後
(2019/11/11)→(2019/11/18)→(2019/12/11)→(2020/11/11)
584円 → 556円→ 545円 →636円


曙ブレーキ(3月決算) 注記解消開示日 2019年11月12日
(2019/11/11)→(2009/11/18)→(2019/12/11)→(2020/11/11)
230円 → 272円 →  233円 →  145円

小僧寿し(12月決算) 注記解消開示日 2021 年2月19日

直前株価 → 1週間後 → 1か月後  → 1年後
(2021/2/19)→(2021/2/28)→(2021/3/19)→(2021/2/21)
 62円  →   56円  →56円  →31円

直前株価 → 1週間後 → 1か月後 
(2022/4/1)→(2022/4/8)→(2022/4/29)
855 → 802 → 958 

いずれも会社でも、継続企業の注記解消が好材料で株価が大きく上昇するということはないようです。
ダブルスコープも同じく少なくも1カ月間は、継続企業の注記解消は『おりこみ済』でそれをもって、株価が上昇することはなかったようです。
むしろ4月12円の終値は、742円と疑義解消開示の直前の株価から約13%大きく下落して、好材料はおりこまれ、材料出尽くしで逆に売られる展開だったかも知れません。

長期的には株価は、その企業の業績、財務状態、収益力を反映して上下すると思いますが、短期的には市場環境や期待値の内容から、材料出尽くしで、好材料でも下がること、例え、悪材料でも投資家、市場の予想より悪くなくければ、悪材料でも、材料出尽くしで、上がることがは念頭においておきたいです。

 

 

 

■本の紹介

株式投資に有益だと思われる本も紹介します。

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 2021年12月に発刊された本で、過去の週刊エコノミストの記事をまとめている本ですが、2022年以降の金利上昇や金、穀物価格の上昇なども的確に予想されています。

今後10年、20年という長期スパンで、経済、投資を考えるのに有用な本といえそうです。貨幣の価値が下がり、モノの価値が上がるのがインフレですが、今後10年、20年はインフレの時代となるかもしれません。

インフレの時代に強いのは、価格が上がる商品を生産、販売する企業、もしくは商品の価格を上げる価格競争力の強い企業でしょう。

ダブルスコープもそういった点で、インフレに強い企業といえるかも知れません。

 

●ジョン・テンプルトンに関する本

「強気相場は、悲観の中に生まれ、懐疑の中に育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」という投資格言を残した20世紀の代表的なバリュー投資家として著名な「ジョン・テンプルトン」に関する著書を紹介します。

 

 

 

 

誤字脱字すいません。この記事は、正確性を保証するものでもなく、投資を推奨、勧誘するものでもなく、筆者の個人的な見解を述べているものです。

 

 

 

 

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