W-SCOPE-WCP・WSKと分けると分かること(2022年3Q決算)

■はじめに

ダブルスコープ(WSC)の2022年3Q決算が、2022年11月11日に開示されました。

韓国市場に上場したWCPも、2022年3Q決算から開示されています。

WSC、WCP、WSKと決算を分けて分析して、事業の理解を深める記事となります。

 

#ダブスコ

 

▼目次

■分けることは分かること

『分けることは分かること』と言われます。

整理整頓の大事さにもつながる話ですが、物も情報も、分けることによって、必要、有益なもの、そうでないものが見えてきます。

なお、語源的に「わかる(分かる・判る、解る)」と「わける(分ける)」と同源とされています。 混沌とした物事がきちんと分け離されると、明確になることに由来します。

英語で分かるは「UNDERSTAND」ですが、UNDERは下にという意味でなく、

"between, among(間に)"という意味もあり、UNDERSTANDは、物事の近くに立つ イコール分かる、理解する。という語源が来ているという解説もあります。

日本語と同じ、「間に立つ」、「間をつくる」、「分ける」と言った意味が、語源の可能性もあると私は思っています。

 

 

「うんちく」が長くなりましたが、韓国市場上場の連結子会社WCPも、2022年3Q決算から開示されています。2022年10月31日は日本でいう決算短信監査法人の監査を経ていない暫定版)が、11月15日は、日本でいう四半期報告書が開示されています。

 

■ダブルスコープグループの各社について

 

ダブルスコープ(W-SCOPE Corporation 以下、WSCと略、2005年10月設立)の事業はその主要連結子会社

W-SCOPE KOREA CO.,LTD (以下、WSKと略、2005年10月設立) と

W-SCOPE CHNGJU PLANT CO.,LTD (以下、WCPと略、2016年10月設立)

の2社で構成せれています。

なお、中国深圳市に、W-SCOPE New Energy (Shenzhen) CO.,Limitedと香港にW-SCOPE HONGKONG Limitedがありますが、これはWSKの子会社で、会社の沿革にある通り、駐在事務所から発展した会社であり、両者合わせた人員でも19名のようで、規模的には現在も駐在員事務所に近いようです。

 

2021年度有価証券報告書には、

(当社グループの生産・販売・研究開発体制)
当社グループの製品の製造は、連結子会社W-SCOPE KOREA CO., LTD.と連結子会社W-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD. で行っております。当社グループでは当社にてアジア、米国市場及びグループ全体での営業活動を統括し、連結子会社のW-SCOPE KOREA CO., LTD.からは主に民生向け製品をアジア市場へ、W-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.からは車載向け製品をアジア、欧州市場へ、W-SCOPE KOREA CO., LTD.の連結子会社W-SCOPE HONGKONG CO., LIMITED及びW-SCOPE New Energy (Shenzhen) CO., Limitedにて中国、香港市場へ営業活動を展開しております。また、当社グループの研究開発活動は、W-SCOPE KOREA CO., LTD.及びW-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.の開発部門にて行っており、超薄膜化及び高耐熱セパレータの開発や新規メンブレンフィルムの開発に取組んでおります。
当社グループはリチウムイオン二次電池用セパレータ事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を省略しております

事業の系統図は、次のとおりであります。

WSC 2021年度有価証券報告書 「事業内容」の事業の系統図

とあります。

 

上記の図に「WCP上場より、49.69%⇒35.91%」と説明を加えていますが、ダブルスコープのWCPの出資比率は、2022年9月のWCPのIPOにより、下がっていますが、まだ、実質支配の要件に該当し、連結子会社の範囲としています。

2022年6月にW-SCOPE HUNGARY PLANT Limited(以下、WHP)は、WCPの100%出資子会社として設立されますので、次回の有価証券報告書の図には、WCPの出資先として、WHPが加わるでしょう。

 

■WSKとWCPの売上・人員

WCPの2021年度有価証券報告書の「関係会社の状況」の注記情報には以下の記載があります。

W-SCOPE KOREA CO.,LTD.及びW-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.は、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。
⦅W-SCOPE KOREA CO., LTD.⦆

主要な損益情報等 ①売上高 11,972百万円 ④純資産額 11,477百万円
  ②経常損失(△) △2,009百万円 ⑤総資産額 24,725百万円
  当期純損失(△) △1,031百万円    


⦅W-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.⦆

主要な損益情報等 ①売上高 17,807百万円 ④純資産額 39,99百万円
  ②経常損失(△) △588百万円 ⑤総資産額 61,174百万円
  当期純損失(△) △956百万円  

 

2021年度のWCPの連結の売上高は、299.66億円でした。

WSKの売上 119.72億円 と WCPの売上 178.07億円を合計すると297.79億円ですので、この二社で99.37%(WSK:40.20% ・ WSC:59.79%)を占めます。

 

上記の回答は、3つの目の選択肢、『AはWCP、BはWCP以外(実質WSK)』が正解です。

B(58.31億円)は、WSC連結3Q単独売上(122.46億円)から、WCPの3Q単独売上(64.15億円 1ウォン=0.1円換算※)を引いたものです。

※2022年3Q四半期報告書より「当第3四半期連結累計期間の平均為替ルートにつてきましては、1米ドル 127.97円、1000韓国ウォンが100.9円となりまいた。」と記載があり、1ウォン=0.1円で計算しています。

 

前期より、WSKの売上が40%から48%に増えています。

 

3Q累計で見ると、WCPの3Q累計売上は181.59億円で、前年度通期178.07億円の比率でいうと、101.97%です。つまり、前年度を若干上回る売上を、3Qで達成しています。

WSKの3Q累計は、WSC連結322.44億円 マイナス WCP181.59億円(連結比:56.31%)で、140.85億円(連結比:43.68%)と推計できます。

 

前年度通期のWSKの売上 119.72億円の比率でいうと、117.64%です。つまり、前年度を17%も上回る売上を、3Qだけで達成しています。

前年比で売上は、WCPより、WSKの方が大きく成長しているのです。

 

連結のWSCは、WCPとWSKの主要子会社2社で構成されていると伝えましたが、人員的にも約97%2社で構成されています。

 

上記の正解は、1つ目の選択肢、『A:WSC B:WSK C:WCP D:その他』になります。

従業員数は2021年度有価証券報告書や各社のサイトから確認しています。

 

■WSKとWCPの営業利益(率)

売上は大きくWSKが成長していますが、営業利益についてはどうでしょうか。

正解は、3つ目の選択肢、『AはWCP、BはWCP以外(実質WSK)』です。

 

営業利益の額は、3Q単体で、WCP(18.38億円 全社比 74%)はWSK(6.34億円・26% 連結からWCP分を引いて計算)の2.89倍(プラス189%)の金額です。

3Q累計でもWCPの営業利益36.41億円で、WSKの営業利益15.86億円(連結52.27億円 マイナスWCP分36.41億円)の2.29倍(プラス129%)の金額です。

営業利益、それ以降の経常利益、純利益についても、同様ですが、利益の額は、WCPが圧倒的に多いです。

WSKとWSCともに去年まで赤字だったので、前年度との比較は難しいですが、営業利益率について比較します。

 

正解は、4つ目の選択肢、『A ダブスコ連結・B WCP連結・C WSK単体』です。

なお、WCPはWHP(ハンガリー法人)も含まれるので連結としていますが、まだ、ほとんど単体と変わりません。WSK単体は、WSK連結としてもいいかもしれませんが、主要子会社がないため、単体としています。

3Q単体の営業利益率のWCP :28.65%、WSK:10.87%と大きく違う理由はなぜでしょうか。

3Q累計の営業利益率がでも、WCP:20.05%・WSK:11.26%と、WCPの営業利益率が非常に高くなっています。

■WSKの営業利益率が低い理由は

設立年月日はWSKが2005年10月設立、WCPが2016年10月設立となっており、WSKの方が主要な設備投資を終えて、償却済みの資産も多く、営業利益率は高くなっても不思議ではありません。

上記の回答は、二つ目の選択肢、『 ダブスコ連結・B WCP連結・C WSK単体』

です。

3Q累計売上/有形固定資産・売上/機械装置運搬具

の比率は、WCP:38.84%・69.57% と WSK:84.84%・154.78%となっています。

WSKの方が少ない設備で、売上を大きく上げていることがわかります。

また、販売管理費率は、3Q単体の数字で、WCP4.20%と WSK5.41%とWSKが若干高い数字ですが、営業利益率の差に占める割合はわずかです。

 

3Q単体で、原価率(売上のうち、売上原価が占める比率)がWCP:67.12% とWSK:  83.72%と大きく違います。

WSKもWCPも、設備の償却費など固定費が6割から7割と多くを占める同じセパレーターを製造しています。WSKの方が設備の償却費がすくなく、資産計上額の比で効率的に生産してるのに、なぜ、利益率が出ないかが、不思議ですが、この辺が改善してくれば、WSK・ダブルスコープの評価も高まりそうです。

 

 

WSKの評価が高まれば、上記の投稿でいうB/Aの倍率やB-Aの差の金額が大きくなり、結果、WSC(ダブスコ)の株価も高まるでしょう。

 

改善するか、改善しないかは、その理由はまた別のブログ記事にしたいと思います。

正直にいうと、現時点では、『わからない』『ブログ記事にするほどネタがない』という状況です。

 

■ダブスコクイズ

ダブスコクイズは、大手町のランダムウォーカさんのパクリです。

 

会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方 [実践編]  

はとても良書だと思いますので、皆さまに改めてお勧めします。

 

↓はおすすめポイントを紹介しているブログ記事です。

 

 

 

 

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