W-SCOPE -買いは家まで、売りは命まで-
■はじめに
7月は空売り勢に対して【引き分け】といった印象の株価でした。
ダブルスコープの売り禁規制解除後、三井松島HDの例などを参考に8月以降の株価を予想するブログです。
▼目 次
- ■はじめに
- ■7月9日の予想
- ■売り禁規制について
- ■ダブルスコープの売り禁規制解除後の動き
- ■6月22日から7月21日の売り禁規制解除後は
- ■Integrated Core Strategies (Asia) Pte. Ltd.について
- ■三井松島HDの踏み上げ相場の再来も
- ■買いは家まで、売りは命まで
- ■8月以降の株価の動きについて
- ■ 2023年1月1日追記
- ■ 2023年1月2日追記
- ■本の紹介
- ■このブログの記事に興味を持った方へ
■7月9日の予想
↑は、2022年7月1日の先週の終値2,234円から、7月8日の今週の終値1,673円
と週間で-561円、-25.11%と大きく下落した当時のブログです。
2022年7月:1,600~2,000円
2022年8月:2,000~2,500円
2022年9月:2,500~3,000円
位の株価の推移が期待できるのかもという願望も込めた推測です。
と予測を示しましたが、その後
7月の株価は、
始値 1,704(07/11)、 終値1,870 (07/29) 高値2,054(07/26) 安値1,576(07/12)
とだいたい予測通りの株価に推移しました。
7月の終値は、2000円近くで株価で終わると思っていたので、やや株価は予想より低調でした。
その原因の一つに、売り禁規制解除の後の空売りがあります。
■売り禁規制について
売り禁規制とは、証券金融会社(現在は日本証券金融:日証金のみ現存)が行う信用取引の申込停止措置で、新規の信用売り(カラ売り)および信用買いの現引きが禁止される措置。一般的に、信用買いに対して信用売りが極端に増え、日本証券金融が、株券の調達が困難に陥った場合などに行われます。
売り禁に関する格言に、「売り禁に買いなし」という言葉があります。売り禁になるほど空売りされている株は強い悪材料があり、みんなが値下がりを予想しているからで、買っても値上がりは期待できない、という意味です。
また、売り禁規制中は、売りが減るので、一時的に株価が上がることも多いようです。
一般的には、「売り禁に買いなし」ですが、ダブルスコープの場合はどうですか。
■ダブルスコープの売り禁規制解除後の動き
ダブルスコープは、2020年6月5日から6月30日に売り禁規制になっています。
株価日付 株価 信用残高日付 売り残株数 売り残比率
2020年6月 5日 670円 6月5日 1,899,200 4.18% 売り禁規制開始
2020年6月30日 797円 6月26日 1,101,100 2.42% 売り禁規制終了
2020年7月31日 675円 7月31日 1,456,400 3.20%
2020年9月30日 722円 9月25日 1,194,500 2.63%
2020年10月30日 696円 10月30日 1,086,700 2.39%
2020年11月30日 786円 11月27日 904,500 1.99%
2020年12月30日 940円 12月25日 868,000 1.91%
売り残比率は、発行済株式数 45,456,600を分母に計算(発行済株式数は2020年12月期有価証報告書より)。
上記のデータにように、2020年6月の売り禁規制のときは、売り禁規制後、4カ月間程度株価が下がっています。
●2020年4月の終値は364円(コロナショック時の安値は262円)で、この時も1か月程度で約2倍と急上昇しています。
●株価が670円の時、2020年6月5日に売り禁規制の対象となりました。この時の売り残の比率は4.18%です。
●売り禁規制解除時の2020年6月30日の株価は797円で、売り残の比率は2.42%です。売り禁規制中は株価が上昇しています。売り残の比率は大きく減っています。
●その後、4カ月間程度、株価は下落低迷して、売り禁規制時の株価の水準を超えるのは、売り残が2%以下と減った2020年12月です。
といった状況でした。
6619 ダブル・スコープ(株)|増担保規制|株式@hayauma.net
売り残の数字は、上記のサイトを参考にしています。
■6月22日から7月21日の売り禁規制解除後は
同じように考えると、売り禁規制解除後、空売りが増え、4カ月程度、株価は下落低迷する可能性もあります。
今回は、2022年6月22日から7月21日に売り禁規制になっています。
株価日付 株価 信用残高日付 売り残株数 売り残比率
2022年6月22日 1,780円 6月24日 4,812,800 8.83% 売り禁規制開始
2022年7月21日 1,690円 7月21日 4,274,300株7.75% 売り禁規制終了
2022年7月29日 1,870円 7月28日 5,613,300株 10.18%
(発行済株式数 55,140,600)
東京証券取引所が毎週第2営業日(火曜日)の16:30を目安に掲載する
「銘柄別信用取引週末残高」の残高を利用しています(株式投資情報サイトなどが利用しているものと同じです)。
●2022年4月の終値958円から、5月終値1,125円を経て、2倍程度上昇して、1,780円の時、2022年6月22日に売り禁規制の対象となりました。
ここまでは前回と似ています。
●売り禁規制対象になった6月22日の株価は1,780円で、売り残比率は8.33%です。
●売り禁規制解除になった7月21日の株価は1,690円で、売り残比率は7.75%です。
売り残の比率は減っておらず、売り禁規制中も株価が下落しています。
●2022年7月29日には株価は1,870円と売り禁規制解除の株価を大きく超えています。
●2022年7月28日 5,613,300株 10.18%と売り残も増えていますが、空売り勢がかなり苦戦していることがわかります。
●上昇すれば空売りを増やして、株価に蓋をする。
●株価が下げていき、悪材料で株価が下がったときに、さらに空売りを増やす。
●短期の投資家が損切を売る、もしくは、パニック売りで大きく値を下げたときに、買い戻す戦略だと思います。
2022年7月27日のWCP上場延期の報道で一時ストップ安で下げたときは、まさに大口の機関投資家の戦略通りだったと思います。
ただ、上場延期について、「8月でなく、WCPの業績(予想)の発表後の9月に」という正式な開示がでて必ずしも悪材料でないことが確認されました。
その後、買い戻しのせいか、サムスンSDIの良好な決算が好感されたのか、株価は1,870円と先週比で+124円、+7.1%と堅調です。
現状の空売り残の比率から考えると、さらに空売りを増やして、株価の下落を誘発させるのは難しいでしょう。いわゆる踏み上げ、ショートスクイーズが起こる可能性がありそうです。
空売りは、理論的には発行済み株式数100%も可能ですが、実際には株を借りて、買い戻す形になるので、貸株の数だけしか売れません。後述する三井松島の例も考えると、空売り残の比率 10%程度が限界なのかもしれません。
■Integrated Core Strategies (Asia) Pte. Ltd.について
ダブルスコープの空売りの最大の残高を持つのは、Integrated Core Strategies (Asia) Pte. Ltd.という会社です。2022年6月24日 2.2% の空売り残を報告し、その後2022年7月21日で最大5.37%と空売り残を増やし、7月27日に、5.16%(-0.21%)と減らしています。
2022年7月21日時点で、25日移動平均価格が1823円のため、平均すると、このぐらいの価格で空売りしていると思います。
空売り残が減ったのは、2022年7月27日の一時ストップ安(安値1,594円)まで下げたときに、買い戻した可能性が高そうです。
ただ、これ以上、空売り残を増やすことが難しいことも示してそうです。
Integrated Core Strategies (Asia) Pte. Ltd.は、現物株の在庫のヘッジで空売りしているのでなく、純粋に収益目的で空売りしている機関投資家のようです。
以下のサイトで会社の概要や空売り手法を解説しています。
●上昇すれば空売りを増やして、株価に蓋をする。
●株価が下げていき、悪材料で株価が下がったときに、さらに空売りを増やす。
●短期の投資家が損切で売る、もしくは、パニック売りで大きく値を下げたときに、買い戻す手法のように、
インテグレイテッド・コア・ストラテジーズの空売り手法とは?|投資の知識 | 株の本を100冊読んでみた
Integrated Core Strategies (Asia) Pte. Ltd.
空売り残は以下のサイトを参考にしています。
6619 ダブル・スコープ | 空売り残高 - Integrated Core Strategies (Asia) Pte. Ltd.
■三井松島HDの踏み上げ相場の再来も
「踏む」とは、信用取引で売った人が、株価が上昇している状態であるにも関わらず、損を覚悟で買い戻すことをいいますが、「踏み上げ」とは、この買戻しにより株価がさらに上昇することを意味します。踏み上げは、ショートスクイズ(英: short squeeze)とも呼ばれます。
三井松島HDが急反発、石炭火力発電見直しで外資経由のショートカバー誘発 投稿日時: 2022/07/19 10:08[みんかぶ] - みんかぶ
といった記事のように、最近では三井松島に踏み上げ相場が発生しています。
空売りする機関投資家も絶対でもないので、失敗することもあります。
株価日付 株価 信用残高日付 売り残株数 売り残比率
2022年3月7日 2,169円 3月4日 1,342,800株 10.27%
2022年4月6日 1,892円 4月8日 545,700株 4.17%
2022年6月3日 2,899円 6月3日 292,400株 2.23%
2022年7月29日 3,215円 7月22日 1,410,200株 10.79%
上記データは三井松島HDの株価や売り残の推移です。
2022年3月7日 から4月6日と2022年5月17日から6月3日、売り禁規制となり、最近7月22日から再び売り禁規制になっています。
今年の3月の売り禁規制解除後から69%、6月の売り禁規制解除後から10%も株価は上昇しています。
3月の売り禁規制発動時には、空売り残の比率は10%を超えていましたが、その後、6月3日の2.23%まで下げています。
ダブル・スコープも空売り残の比率も10%を超えています。三井松島HDの踏み上げのような相場が再来するかもしれません。
▼三井松島HDの6カ月日足チャート
テスラ株の空売り投資家に1380億円超の損失か、好決算受けた上昇で - Bloomberg
21日の米株式市場で米電気自動車(EV)メーカー、テスラの株価は好決算を受けて約10%上昇したが、これによって一つの注目すべき負け組が生まれた。同社株の下落に賭けるトレーダーだ。
テスラは世界で最も空売りされている株式で、浮動株の3%近くを空売りポジションが占める。S3パートナーズは空売り投資家の21日のテスラ株上昇に伴う損失が時価評価で10億ドル(約1380億円)余りに上ると推定。S3によると、今月に入ってからの損失は26億7000万ドルとなる。
ダブルスコープも、日本で最も空売りされている株式の一つといえます。
テスラに空売りしている投資家の戦略はわかりませんが、EV、電池関連の企業の業績を過小評価している人が多いのかもしれません。
■買いは家まで、売りは命まで
『買いは家まで、売りは命まで』という格言があります。
信用取引で買って失敗すると、家を売らざるを得なくなるほど大損する、そして信用売り(空売り)で失敗すると、家どころか命まで奪われるほどの損失を被る危険性があると説いています。
信用買いの場合、最大損失はレバレッジを着させているとはいえ、投資総額が最大です。 一方の空売りの場合、株価に天井はないため、投資総額以上の損失が出るリスクも多々あります。
実際に命まで奪われることはないと思います。
ただ、余計なお世話だと思いますが、ダブルスコープに空売りしている人がいたら、今が損でも早めに買い戻し(損切り)した方がいいように思います。
■8月以降の株価の動きについて
できればもう少し理由など示したいですが、
2022年8月:2,000~2,500円
2022年9月:2,500~3,000円
と7月上旬時の予想と変わっておらず、8月に2500円付近ぐらいまで株価は上昇すると考えています。
■ 2023年1月1日追記
▼ダブルスコープの売り禁規制解除の解説-令和の未来カエルのチャンネル(Youtube)
令和の未来カエルのチャンネル(Youtube)
で、このブログ記事の解説や2022年12月30日からの売り禁規制解除で、株価は上がるのか、下がるのか、過去の事例や空売り機関の手口などを紹介しています。
■ 2023年1月2日追記
▼ダブルスコープの売り禁規制解除の解説その2-令和の未来カエルのチャンネル(Youtube)
● 空売り残の分析
● 空売り機関の戦略
● 株価が下がる要素 VS 上がる要素
売り禁:空売りの多さ VS 空売りの買戻し(が発生する株価)
株価の先行性:Li電池の悪材料・逆風 VS 織り込み済み・悪材料出尽くし
-悪そうなやつはだいたい友達-
買い残:買い残の多さ・信用売りの再開 VS 制度信用の現引き可能に
といった話をしています。
#ダブスコ
■本の紹介
このブログを読んだ方(ブログの中で紹介し本も含む)が興味を持ちそうな本をいくつか紹介します。
■このブログの記事に興味を持った方へ
ダブル・スコープに興味を持った方が興味がありそうな本や株式投資で自分の投資成績を上げたい人のための本をいくつか紹介します。
新取引ルール対応 信用取引の基本と儲け方ズバリ! | 福永 博之 著|
は、アマゾンのレビューコメントに
「信用取引は、現物取引と比べても売買そのものの必要スキルは大して変わりません。覚えるべきはその仕組みだと思います。その仕組みを学ぶには本書はかなりの良書と思います。」
「信用取引を始める前には必読だと思う。読めば勝てるようになるコツは載ってないが、読まずに取引するのは危険。」
とあり、信用取引の仕組み、用語など基本を理解して、リスクを小さくしたい人には、良書のようです。
株を買うなら最低限知っておきたい ファンダメンタル投資の教科書 改訂版 足立 武志 著
は、低PERの株の危険性など、文字通り『株を買うなら最低限知っておきたいこと』がコンパクトにまとまっている良本だと思います。
著者の足立武志さんは公認会計士の方で、公認会計士のような硬い職業の方がチャート分析の本を書いています。移動平均などチャート、テクニカル的な株価の分析で有用かもと思われる本を紹介します。
日本人は投資を知らなさすぎる。投資と投機は違う。投資は危険なものではないし、いかがわしいものでもない。資本主義の健全な形態である。投資が盛んになり、優良企業にお金が集まるようになれば、日本の景気もよくなるはずだ。
農林中金バリューインベストメンツで抜群の実績を上げるCIOが、本来の投資のあり方とその哲学、長期投資のコツ、優良企業の見極め方などを、歴史的な背景や実例を交えながらわかりやすく解説する。
読んで頂き、ありがとうございました。
誤字脱字、乱文雑文、すいません。
素人が趣味で書いているブログですので、その点、情報の正確性などご容赦ください。
以 上です。