SKアイイーテクノロジー(SKIET)の時価総額が高すぎるのか、ダブル・スコープは安すぎるのか
このブログでは、ダブル・スコープのコンペ でもあり、韓国市場でIPOしたSKIETについて取り上げます。『SKアイイーテクノロジー(SKIET)の時価総額(株価)が高すぎて笑う 。ダブル・スコープの時価総額(株価)が割安すぎて、悲しいです!』といった記事です。
で記載した通り、SKイノベーション子会社でリチウムイオン電池用セパレータ事業のSKアイイーテクノロジー(SKIET)が、2021年5月11日に上場している、その財務内容、業績なども公開されており、ダブル・スコープとの有益な比較ができそうです。
今回は、PSR、PBRといった指標でダブル・スコープの株価が割安か簡単な検証をしたいと思います。
SKアイイーテクノロジー(SKIET)の時価総額が高すぎて笑う
二次電池分離膜製造会社の公募株に歴代最多8兆円 - 韓国経済新聞国際版
の記事の通り、SKイノベーションの子会社でセパレータ事業がメインのSKアイテクノロージズの株式が、が2021年5月に韓国証券市場に公開されました。
上記の記事の通り、日本のバブル経済の象徴と1987年のNTT上場のように、SKアイテクノロジーの上場は、韓国ではSKアイテクノロジーの株式が、『全国民宝くじ』と呼ばれるなど、社会現象となっているようです。
上場初日のSKアイイーテクノロジー株、高騰の後に下落 - 韓国経済新聞国際版
の記事の通り、上場直後は乱高下しましたが、上記のチャートのようにその後は堅調に株価は上昇しています。
SKアイイーテクノロジーの時価総額は、 約16兆4300億ウォン(2021年7月22日終値216ウォンで計算)で、1円=0.096ウォンで換算すると、日本円で約1兆5700億円です。
対して、ダブル・スコープの時価総額は、約389億円(2021年7月21日終値725円で計算)です。時価総額でSKアイイーテクノロジーは、ダブル・スコープの40倍という状況です。
SKIETとW-SCOPEスコープをPSRとPBRで比較
時価総額40倍というのはものすごい差です。
トヨタの時価総額が約31兆円7300億円 マツダの時価総額が約6300億円で、約50倍の差がついています。それぐらいSKアイテクノロジーとダブル・スコープの時価総額の差のイメージになるかと思い紹介します。
トヨタの直近の売上高は27兆2千億円でPSRは1.16倍、マツダの直近の売上は2兆8千億円でPSR0.22倍です。PBRはトヨタは1.16倍、マツダは0.56倍です。
トヨタが高いのか、マツダが安いのかは簡単に結論はつきませんが、指標から見るとマツダは割安に放置されているようです。
しかし、マツダ以上に割安に放置されているのが、ダブル・スコープのようです。
SKアイイーテクノロジーの2020年12月末期決算の売上は4,693億ウォン(日本円で換算すると約450億円)です。PSRは、約35倍です。
対してダブル・スコープの売上は184億円で、SKアイイーテクノロジーの4割程度の規模(トヨタとマツダのような大きな差はない)で、PSRは約2.1倍です。
SKアイテクノロジーの株主資本(2020年12月末期決算)は1兆2000億ウォン(日本円で換算すると1152億円)なので、この数字を利用してPBRを計算すると、約13.7倍です。
ダブル・スコープの株主資本(2020年12月末期決算)は105億円なので、この数字を利用してPBRを計算すると、約3.7倍です。
PSRとはPrice Sales Ratioの略で、株価売上倍率と訳されます。 時価総額を年間売上で割って、算出されます。 PSRが低いほど、株価が割安と判断することができます。
PBRとはPrice Book-value Ratioの略で、株価が1株当たり純資産(BPS:Book-value Per Share)の何倍まで買われているか、すなわち1株当たり純資産の何倍の値段が付けられているかを見る投資尺度です。現在の株価が企業の資産価値(解散価値)に対して割高か割安かを判断する目安として利用されます。PBRの数値は、低いほうが割安と判断されます。
PERは、企業価値の妥当性を図る場合よく利用されますが、時期的な変動、特殊要因による変動が大きく、新興企業でかつ市場、売上が急拡大にしているSKアイテクノロジーダブル・スコープのような会社の場合は、PSR、PBRによる比較が妥当だと思っています。PSRは、新興企業でかつ市場、売上が急拡大にしている会社で計画的な赤字(もしくは単年度、今年度の利益を考慮しないで)で設備投資をしている会社に有効な指標と言われています。
PBRは、設備投資に耐える株主資本があるか、設備投資をし、売上、収益を伸ばせる余地があるか、という点を検討するために、競合に打ち勝つ設備投資が必要なSKアイテクノロジーダブル・スコープのような会社でも参考になる指標と考えています。
ダブル・スコープの株価は安すぎる
ダブル・スコープは売上の規模が4割程度ですが、競争力や成長力といった点で、SKアイテクノロジーにそれほど見劣りする会社とは思えないので、やはりダブル・スコープの株価、企業価値は、SKアイテクノロジーに比べて、評価が低すぎる、割安すぎるように思えます。
SKアイテクノロジーは、韓国の4大財閥の一つSKグループの会社であること、それに対して、ダブル・スコープは継続企業の疑義注記とされていて信用力に不安があること。
SKアイテクノロジーはすでに営業利益も純利益も単年度で黒字の会社であること(2020年度の営業利益は1,252億ウォンで日本円で約120億、純利益は882億ウォンで日本円で84億円)、対して、ダブル・スコープは3期連続で営業利益、純利益も赤字の会社であること。
こういった理由がダブル・スコープの株価を割安にさせていると思いますが、
- 2021年度の黒字決算
- 韓国の製造子会社の上場
が確実視され始めたら、現状の株価700円台、時価総額300億円台は割安さに多くの投資家が気付き、SKアイイーテクノロジーのように株価の上昇が期待できると思います。
ダブル・スコープの予想株価の自分の見解は
を参考にしていただきたいですが、SKアイテクノロジーのPER164倍(直近決算の実績の利益)と100倍を大きく超えるPERも市場が認めているなら、ダブル・スコープのPERは30倍程度まで評価されても高くはないので、4320円ぐらいまでの株価上昇も、現時点で予想されるようなリチウムイオン電池市場の拡大が見込めるならば、ありえそうです。
ただ、日本のセパレータ事業の会社は、旭化成、東レ、帝人、住友化学、宇部興産など、セパレータ事業以外の売上が大きく、コングロマリットディスカウントといった状況にあるので、PERは10倍台です。ダブル・スコープの株価も、日本の競合のセパレータ事業の会社のPERなどと比較され、それほど高い株価になりませんでした。しかし、今後、SKアイテクノロジーと比較されることが増えれば、株価の上昇はさらに期待できるかも知れません。
参考書籍の紹介
このブログで読んでいただいた方が興味を持ちそうな本を紹介します。
銘柄メモ ダブル・スコープ6619 東レ3042 旭化成3407 住友化学4005 帝人3401 トヨタ7203 マツダ7261
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W-SCOPE Corporation ダブル・スコープ株式会社