SKIETとW-SCOPE、勝者はどちらか。

このブログでは、ダブル・スコープと、そのコンペ (競合)でもあり、韓国市場でIPOしたSKアイイーテクノロジー(SKIET)の安全性に関わる財務指標や企業規模を比較するとともに、最終的に生き残る勝者、倒産せずに残存者利益謳歌するのはどちらか検討します。 

 

 

 

財務の健全性と企業規模が重要な理由

 

に続けて、ダブル・スコープ(W-SCOPE)とSKアイイーテクノロジー(SKIET)に続いて比較したいと思います。

 

で記載した通り、リチウムイオン電池のセパレータ(分離膜)事業のような、

  • 市場が急拡大している。
  • 最先端の製品を大量に供給する必要。
  • 売上を急拡大させて、生産コストを下げるために巨額な設備投資が必要。

といった性格な事業では、設備投資をしても倒産しない財務体質、いわば財務の健全性が重要になってきます。エルピーダメモリのように倒産し、負け組にならなければ、勝ち組になり、巨額な残存者利益を確保できる可能性が高いです。

また、シェアを確保し生き残るためには企業規模も大事ですから、売上高、総資産、株主資本、従業員数も比較したいと思います。

 

SKIETとW-SCOPEの財務健全性を比較する

それでは、株主資本比率流動比率といった指標で、SKIETとW-SCOPEの財務健全性を比較してみます。

1円=0.096ウォン(2021年7月23日時点の為替相場)で計算しています。なお、SKIETの決算は、

Financial Status < Investors < Company < SK ie technology

といったSKIETのコーポレートサイトで確認しています。

 

株主資本比率(株主資本÷総資産×100(%))

SKIET:1兆2028億ウォン÷1兆9916億ウォン × 100 = 約60.3%

W-SCOPE: 99億円 ÷ 702億円 × 100 = 約14.1%

 

製造業では40%を超えていれば安全で、30%を下がると危険水域と言われますから、

W-SCOPEは危険水域と呼ばれる水準まで、低下しています。

この比率は収益変動のバッファの保有状況も意味しており、業績変動の大きい企業の場合、この比率が低いと、業績変動によって債務超過となりやすく、倒産の可能性も高まります。

 

株主資本比率は株主資本÷総資産×100(%)
の計算式で総資産の額に対する株主資本の割合を計算したものです。負債(=他人資本)によって資金調達している企業はこの割合が低くなります。

 

流動比率流動資産÷流動負債×100(%))

SKIET:5668億ウォン ÷ 2727億ウォン × 100 = 約207%

W-SCOPE :165億円 ÷ 231億円 × 100 = 約71%

流動資産は、キャッシュ、1年以内にキャッシュできる資産で、

流動負債は、1年以内にキャッシュでの支払いが必要になる負債ですから、

W-SCOPEは、流動資産をすべてキャッシュして、流動負債を支払えない資金繰りが非常に苦しい状態です。

一般的には120%を超えていれば安全とされます。

 

流動比率は、流動資産÷流動負債×100(%)の計算式で算出します。

企業の資産には、内容が常に変動していくものと、長期間に渡って固定するものがあります。流動性の高いもの、および、1年以内に受け取り・支払いが可能な資産・負債を流動資産・流動負債といいます。流動資産の流動負債に対する比率を示す指標を流動比率といい、短期的な企業の資金繰り状況を示す指標とされています。流動比率は100%以上であることが必須とされており、その割合が崩れていると、資金の回収・支出のタイミング次第では、資金ショート、つまり倒産の可能性が懸念されます。

 

SKIETとW-SCOPEの企業規模を比較する

財務健全性と同じく、いずれも、2020年12月末決算の数字を利用しています。

1円=0.096ウォン(2021年7月23日時点の為替相場)で計算しています。

売上高

SKアイイーテクノロジーの売上は4,693億ウォン、日本円で換算すると約450億円です。

対してダブル・スコープの売上は約184億円です。

総資産

SKアイイーテクノロジーの売上は1兆9916億ウォン、日本円で換算すると約1911億円です。対してダブル・スコープの総資産は約702億円です。

従業員数

SKアイイーテクノロジー218名、W-SCOPEは1092名です。親会社の日本のW-SCOPE本体には、9名しか在籍しておらず、ぼぼ社内取締役の数だと思います。W-SCOPE-KOREA に、643名、W-SCOPE CHUNGJU PLANTに437名在籍しており、W-SCOPEの従業員の99%は韓国国内で雇用されています。

 

SKアイイーテクノロジーの従業員数が少ないのは、SKイノベーションなどグループ会社の出向社員が含まれていないせいかもしれません。

ただ、少なくとも従業員数という意味で企業規模では、W-SCOPE は、SKアイイーテクノロジーに対して、劣っていることはなさそうです。

W-SCOPEが、設備投資だけでなく、採用など人材投資にも注力していたことがわかります。

 

SKIETとW-SCOPE、どちらが勝者として生き残るか

 

財務健全性や企業規模といった点では、勝者として生き残るのは、SKIETと思われるでしょう。SKIETは、韓国の第3位の財閥グループ、W-SCOPEは、継続企業の疑義注記企業ですが、当然かもしれません。

ただし、民間企業の一社の企業体力や経営努力以上に、国策による影響が、その会社が勝者として生き残れるかは大きいと思います。

つまり、『国策に売りなし』の会社になるか、『国策に売られる』会社になるか、どちらかですが、以前のブログで記載しましたが、SKIETも、W-SCOPEも、『国策に売りなし』と会社となる可能性が高いす。仮にどちらが、『国策に売られる』会社となる場合、意外にも売られる銘柄は、SKIETの可能性が高い、つまりW-SCOPEの方が、韓政府の支援、保護を受けて、勝者として生き残る可能性が高いと私は想像しています。この想像は、希望的な妄想かも知れませんが、理由はまた、別のブログで紹介したいと思います。

 

SKIETのコーポレートサイト抜粋-CEOのメッセージ-

SKIETのコーポレートサイト抜粋-CEOのメッセージ-

『SKIETは、特徴的な技術的な競争力を有して、トップクラスの先端機能材料のプロバイダーとなります。』

 

参考書籍の紹介

このブログで読んでいただいた方が興味を持ちそうな本を紹介します。

 

 

 

 

 

 

銘柄メモ ダブル・スコープ6619 東レ3042 旭化成3407 住友化学4005 帝人3401 トヨタ7203 マツダ7261

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