貧困対策はペイする投資だ

 

『ニッポンの貧困 必要なのは「慈善」より「投 資」』 単行本 – 2015/8/27 中川雅之 (著) という本を読みました。

 

『あなたの生活が苦しいこと、 あなたのせいにされてませんか。これまでの政治による間違った経済政策と、 構造上の問題です。』
は、れいわ新選組の山本 太郎氏の政見放送(2019年7月参議院選挙)の一説です。

生活が苦しいのは社会だけでなく、自分にも原因が少なからずある場合も多いはず。
国や政治家、大企業のせいにするのをやめ、どうすれば改善するのか、自問するところから始めることが適当なケースも多いはずです。

ただし、貧困対策について、国、政治家が政策として、十分な責任を果たしていない、努力が足りないと私も思います。


国や政治家は、貧困対策は、割に合う、ペイする事業だ。と認識する必要があります。
20歳から65歳まで生活保護を受給した場合、そのコスト約5000万円です。
逆に、20歳から65歳まで正規雇用で場合、納める税金、社会保険を5000万円です。
それ以外の経済効果(勤労、消費、貯金、投資することへの経済の拡大)を考えなくても、1人あたり1億円の経済効果を生みます。

そんな主張を著者はしています。

 

貧困者の支援は、途上国の支援と似ています。
両者とも、必要な支援が、支援される側の発展が、支援する側のメリットとなります。
支援された途上国が、製造拠点、有望なマーケットなれば、支援した国、企業の利益になります。
支援された貧困者が、納税者になり、労働者、消費者になれば、国、企業の利益になります。

そんな感想を自分は持ちました。

 

企業は雇用を生み、賃金を上げ、働きやすい環境を実現することが大事だと筆者は説いているが、その方法については説明が不十分です。

そのためには、売上、利益を伸ばすことが大事で、十分な利益のあり、売上も増えている優良企業だからこそ、働きやすい環境に投資して、
理由があって働けない人のその理由を取り除くことができるのかも知れません。

高齢化、精神疾患、非正規雇用などで貧困のリスクは減っていはません。
そんな社会だからこそ、十分な利益のあり、売上も増えている優良企業を増やすような施策、財政出動による公共投資による経済の活性化、規制緩和などによる新産業の創設などが必要なのかもしれません。

 

改めて、本の紹介です。

『ニッポンの貧困 必要なのは「慈善」より「投 資」』 単行本 – 2015/8/27 中川雅之 (著) 

【内容紹介】
日本の相対的貧困は、およそ2000万人――。75歳以上の後期高齢者よりも多いこの国の貧困層は、
この先3000万人まで増えるとも言われています。そしてこの病巣は静かに、けれども急速に、
日本に暮らすあらゆる人々の生活を蝕み始めています。

ひとり親、女性、子供…。これまで貧困は、社会的弱者の課題として語られることが多かったはずです。
けれど貧困は今や「一部の弱者の問題」として片付けられる存在ではなくなっています。

困窮者の増加が消費を減退させ、人材不足を進め、ひいては国力を衰退させる――。

経済記者が正面から取り組んで見えてきたのは、貧困問題が日本経済や日本社会に及ぼす影響の大きさでした。
「かわいそう論」はもう通用しません。求められるのは、貧困を「慈善」でなく「投資」ととらえ直す視点の転換です。企業やビジネスパーソンにできることは何か。
貧困を巡る日本の現状と課題、そして解決の糸口を「経済的観点」から分析した初のルポルタージュ

 

≪主な内容≫

――課題編――
【1章】統計データが示す現状 普遍化した生活困窮
ネットカフェに6年超 都心に生まれた新しいイエ/介護と非正規雇用で困窮 ほか

【2章】貧困を生みだすもの――(1)“教育ゲーム"が将来を奪う
子供の希望を壊したくない/高い教育費の私的負担/奨学金で自己破産 ほか
日本学生支援機構 遠藤勝裕理事長インタビュー

【3章】貧困を生みだすもの――(2)女性と家族を巡る軋み
託児所なんて、ずっと前から当たり前/シングルマザーの専用シェアハウス ほか
・一般社団法人「Colabo」 仁藤夢乃代表インタビュー

――改革編――
【4章】“貧困地区"の挑戦 日本最大の「ドヤ街」が「先進地域」に
「1周遅れで先頭を走る」/貧困地区が培った支援力/生まれ変わる街、全国のモデルへ ほか
滋賀県野洲市 山仲善彰市長インタビュー

【5章】企業ができること 「貧困投資」はペイする
“最強外資"ゴールドマン・サックスが貧困に投資するワケ/厳密に効果を測定 ほか
首都大学東京 阿部彩教授インタビュー

【終章】映画『子宮に沈める』が示すもの 「見えないものを見る」意味
密室がもたらす「死」/川崎中1殺害に思う ほか

内容(「BOOK」データベースより)
後期高齢者よりも多い日本の貧困層。もう、すべての人が貧困問題と無関係ではいられなくなる―。日本の貧困問題を経済記者がレポート。

 

【著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)】
中川/雅之
日本経済新聞社記者。1982年生まれ。千葉県出身。2006年神戸大学文学部卒業、同年日本経済新聞社に入社。消費産業部で流通・サービス業などを担当。2012年から2015年3月まで日経BP社に出向、『日経ビジネス』記者として主に流通業界を担当。2015年4月から日本経済新聞社企業報道部(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)