『日本のITコストはなぜ高いのか? 』を読んで。

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という本を読んだなど感想などです。

 

〇著者は、『日本のITコストが高い。その理由に、ベンダーロックインされた保守、特定の製造・購入先しか選択できない有償保守契約にあるということです。その解決には、サービス報告書、保守コストの調査票、保守の監査報告書、SLA:Serice Level Agreementによる保守範囲の明文化をして、有償保守契約を特定の製造・購入先以外にも選択できるようにすること(著者はこれを保守契約のオープン化といっている)、利用者、保守サービス提供者ともに、コスト意識を持ち、保守の契約内容、サービスの実績を分析をして、コスト削減努力をするべきだ。』と主張しています。

 

〇 『日本のITコストが高い。』という根拠に、世界経済フォーラムが2008年-2009年版のIT国際競争ランキングに、世界134か国中17位であることをあげているが、17位が低いという根拠が自分は不明でした。フランスやドイツより高く、先進国の中で平均的というのが、妥当だと思います。
 2016年版では、最もIT競争力が高い国はシンガポールで、日本のIT競争力は前年と同じく10位です。 過去20位付近だったが、ここ最近日本の順位は上がっていて、韓国より上になっています。 韓国は13位。 最近のランキングでは、世界の上位といえる。1位シンガポール 2位 フィンファンド 3位スウェーデン比較的人口が少ない国が上位にランキングされていて、人口が1億を超える国では、日本は、アメリカについで2位でした。

 

〇 著者がいっているITの保守コストは、サーバーなどのIT機器、いわゆるハードウェアの保守コストである。『ハードウェアの保守は、パーツの交換がほとんど全てだから、製造・購入先以外の保守契約、保守契約のオープン化は可能。』と主張しているが、ソフトウェアについては、ライセンス契約や開発ベンダーの仕様・設計に依存する部分が多いので、保守契約のオープン化は難しいと思いました。

 

〇 受益者負担の原則で、利用者もコスト意識も。という主張は一般論としては賛成です。ただ、企業のコストが自分の財布に影響が与えないようであれば、従業員がコスト意識は働くのは難しいです。

 ITコストが、部門の収益、個人の報酬に直結するような評価制度が必要だと思いますが、こういった評価制度を実施するのは、その制度を実施するための管理コストも大きいという問題もあるように思います。

 

 

○改めて本の紹介です。
日本のITコストはなぜ高いのか? (日本語) 単行本 – 2009/9/10
森 和昭 (著)

 

内容(「BOOK」データベースより)
日本の「常識」は世界の「非常識」!?日本のコンピューター業界を40年見てきた著者が闇に包まれたITコストの仕組み解明に挑む意欲作。

著者について
森 和昭 (もり・かずあき)
日本サード・パーティ株式会社 代表取締役
1940年1月生まれ。日本IBM伊藤忠データシステム、立石技術サービス(現オムロン関連会社)などを経て、1987年10月日本サード・パーティ(株)を設立し、代表取締役社長に就任。主に、外資IT企業のアウトソーサーとしてシステム保守やソフト開発、コールセンター等の技術サポートを提供し、順調に業容を拡大する。現在は国内10拠点のほか、中国をはじめ、韓国、米国など海外3カ所に関連子会社を展開。休日は自宅近くの陶芸教室に通って茶碗を焼き、ヤマト運輸の故・小倉昌男氏の勧めで始めた常盤津、清元を楽しむ。自身が掲げる一番の健康法は「とにかくよく働くこと」。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)森/和昭日本サード・パーティ株式会社代表取締役。1940年1月生まれ。日本IBM伊藤忠データシステム、立石技術サービス(現オムロン関連会社)などを経て、1987年10月日本サード・パーティ(株)を設立し、代表取締役社長に就任。主に、外資IT企業のアウトソーサーとしてシステム保守やソフト開発、コールセンター等の技術サポートを提供し、順調に業容を拡大する。現在は国内10拠点のほか、中国をはじめ、韓国、米国など海外3カ所に関連子会社を展開(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

以上