ダブル・スコープ崔元根社長 『電気自動車は津波(逆らえない大きな波)』と語る。

ダブル・スコープ崔元根社長 が『電気自動車は津波(逆らえない大きな波)、津波が防げないように、電気自動車への流れは逆らえない大きな波である。』語っていた個人投資家セミナーでの話を紹介します。2017年と少し古い話ですが、事業の展望に強い自信、根拠があったこと、2021年から見ると、電気自動車化の流れなどは嘘でなかったことがわかります。

  

 の記事に続けて、

[2017年10月18日撮影]ダブル・スコープ(株)(6619) 野村IR合同 個人投資家セミナー - YouTube

にて、ダブル・スコープの崔 元根 (チェ ウォングン)社長が登壇した個人投資家セミナーでの話を紹介します。

▼目次

 

崔 元根 (チェ ウォングン)社長の説明は櫻井英明氏の質問に答えるような形で進めらえれています。 
これから記載する内容は、動画の内容(崔社長の発言)の文字起こしというより、要約であり、一部表現を伝わりやすいように修正しています。

 

櫻井英明氏:1980年明治大学卒。日興証券での機関投資家の運用トレーダー、「株式新聞Weekly編集長」などを経て、2008年7月からストックウェザー「兜町カタリスト」編集長。櫻井英明の株式透視論2019 など株式投資に関係する著書も多い。

電気自動車の流れは逆らえない津波である(14分位後)

櫻井氏:社会の変化に対応している企業という印象だが、アナログからデジタルになった変化についてはどう考えているか

崔氏:私は最後のアナログ世代で、私より下(2017年時点)の40代の方は、インターネットを利用したデジタル世代となる。
馬車は3000年間利用されたが、馬車から自動車に十数年で置き換わった。
アナログ形式の電話からからデジタル形式の携帯電話になるのに10年かからなかった。
最後のアナログなものは自動車だが、必ずデジタル化された電気自動車の時代がくる。

 

櫻井氏 電気自動車の流れは変わらないか。

崔氏:津波が防げないように、電気自動車への流れは逆らえない大きな波である。
2020年基準に全世界で1億台自動車が販売されうがその300万台が電気自動車になるが、 2030年代に1000万台、2040年代に3000万台、2050年代には7000万台となる見込みである。
 ヨーロッパは2040年代にガソリン・ディーゼル自動車 スウェーデンなど北欧は2050年代にインドも2030年代にガソリン・ディーゼル自動車に販売できなくなる。
温暖化、気候変動の原因となる二酸化炭素の原因は、40%がガソリン・ディーゼル自動車で、温暖化を防ぐためには、電気自動車へ流れは変わらない。

 

櫻井氏:ガソリン・ディーゼル自動車は、人類のためによくないのか。

崔氏:ディーゼルガソリンの排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)は体に悪い。
フランクフルトモーターショーで、ディーゼルエンジン反対のストライキも行われていた。排気ガスは、タバコ以上に人体により悪い。

自動車の自動運転が当たり前の時代に(20分位後)

 
櫻井氏:電気自動車のその先の自動運転車については。

崔氏:自動運転は安全か不安が多いが、Googleが自動運転がテストして発生した事故は2件であるが、自動運転車の原因でなく、2件とも巻き込まれた事故であった。
自動運転車の方が、人の運転より、100分の1ぐらい事故が少なく、安全だといわれている。エレベータも自動運転だが、誰も不安に思っていない。
今は自動車の自動運転は開発段階が、高齢化社会で、年をとると運転が危険になるので、今後、普及する。2030年に電気自動車の半分は、自動運転になるだろう。

そして、スマホを利用して、シェアーサービスの自動車が必要に時に迎えるようになるだろう。ウーバーが成長する理由もそういう時代がくるからであり、日本の自動車シェアーサービスも成長するだろう。

2040年台になると運転免許が法律が禁止されるかもしれない。運転する人の数、車の数が制限されるであろう。

 

櫻井氏:自動運転は自動車だけか。

崔氏:自動車以外でも、船についても、自動運転になる。30年後には飛行機も自動運転になるといわれている。サハラ砂漠太陽電池にすれば、全人類の電気を発電できるといわれれいるが、船も(動力源を電気にすれば)太陽光で発電しながら、移動できるようになる飛行機も今後、電気が普及するであろう。

 カーナビゲーションは、人工衛星が利用されているが人口衛星のコストは200億円から400億円である。リチウムイオン電池でプロペラ飛行機で飛ばせる上空の浮遊物ができたら10億円から20億円で、人工衛星の代わりのものがつくれる。

 空港も、出入りする飛行機、自動車が自動で制御され、センサー検知技術で、テロ防止になる。

電気自動車はドラム式洗濯機と同じ(28分位後)

 

櫻井氏:電気自動車は、洗濯機は似ているか(28分)

崔氏:ベンチャーキャピタルに投資をおねがいするおきに、電気自動車はドラム式洗濯機と似ていて、ドラム式洗濯機が製造できる技術があれば、電気自動車も製造できると説明した。
ドラム式洗濯機には、モーター ブレーキ、フライウィール(回転エネルギーを制御する装置)、インバーター(コンセントからの交流電流を任意の周波数や電圧に変更する)もある。電気がリチウムイオン電池ではないが、ドラム式洗濯機が製造できる技術があればば、電気自動車はが製造できる

電気自動車は技術的難易度は高くない。安全性も、家電が製造できるレベルであれば、電気自動車も十分である。家電にないのは電池、家電と自動車の違いはリチウムイオン電池の有無ぐらいで、自動車はリチウムイオン電池が必要である。

 (注記:電気自動車の参入障壁の低さとリチウムイオン電池の重要性の両方を語りたかったとも割れる。参入障壁が低い電気自動車で重要部材はリチウムイオン電池で、その中で最も参入障壁が高く技術的難易度が高いのはリチウムイオン電池のセパレーターであると言いたかったと思われる。)

 

海千山千の経営者の話は要注意

創業者と言われる経営者というのは、多くの経験を積み、物事の裏表を見抜き、したたかであり、悪く言えばずるがしこい、海千山千の人物が多いです。
そういった人は魅力的で話も面白いのですが、中には、虚実織り交ぜた話もあるからある程度割り引いて聞く必要があるでしょう。
ただ、ダブル・スコープの崔元根社長の話は割り引いたとしても面白いので、また、個人投資家説明会などで多くの人の前で話をしてもらいたいものです。

 

講演の続きは、↓のブログをご参照ください。

chanmabo.hatenablog.com

 

関連書籍の紹介

 このブログを読んでいただいた方が興味を持っていただけそうな本を紹介させてください。

 

2018年に書かれた本ですが、2021年8月時点から見ると、的確な予測がされていることがわかります。『日本勢はどうすれば勝ち残れるのか。』という視点が大事にされている本ですが、百年の一度の変化期の勝者がだれになるのか、参考になる本です。

 

 2018年に出版された本です。EV化に慎重な日本企業、EV化に積極的な中国企業、その理由や業界や企業の状況を全体的に広く簡潔に知れる本です。

 

自動運転に関する本も2冊ほど紹介します。

 EVと自動運転の関係、EV化と自動運転化に伴う産業、生活の変化などわかりやすく解説されれいます。  2018年に出版された本ですが、EV化、自動運転化の産業、生活に大変化を与える未来を知るには適当な本かもしれません。

 

 

著者のローレンス・D・バーンズ(LAWRENCE D. BURNS)氏はゼネラルモーターズ(GM)の研究開発・計画部門の元副社長を務め、GMでは先端技術やイノベーションプログラム、起業戦略を統括し、2011年からグーグルの自動運転車プロジェクト(現在のウェイモ)の顧問となっている方です。2020年に出版された本なので、比較的最新の技術動向が把握できると思います。

 以上です。

 

以 上 です。


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ダブル・スコープ崔 元根 社長から学ぶ『つかみはOK』な話し方と『ハマちゃん』流経営

このブログは、 ダブル・スコープ 崔 元根 (チェ ウォングン)社長から学べる『つかみはOK』な話し方と『ハマちゃん』流経営について解説しています。

 

 ▼目次

 

  

 

[2017年10月18日撮影]ダブル・スコープ(株)(6619) 野村IR合同 個人投資家セミナー - YouTube

にて、ダブル・スコープの大内秀雄取締役と崔 元根 (チェ ウォングン)社長が登壇した説明会を実施している。

 

最初は大内取締役から、会社概要や事業計画の説明があり、13分位後から、崔社長の説明が始まります。

崔 元根 (チェ ウォングン)社長の説明は櫻井英明氏の質問に答えるような形で進めらえれています。

 

櫻井英明氏:1980年明治大学卒。日興証券での機関投資家の運用トレーダー、「株式新聞Weekly編集長」などを経て、2008年7月からストックウェザー「兜町カタリスト」編集長。櫻井英明の株式透視論2019 など株式投資に関係する著書も多い。

 

  崔社長から学ぶ『つかみはOK』の話し方

 

冒頭(動画の13分位後)で崔社長は、

日本語が下手で、ペラペラない。

日本語は、釣りバカ日誌で浜ちゃんとすーさんのビデオ見ながら熱心に、勉強しました。

私と比べて、大先輩がたくさんいるいっらしゃるので、

と冒頭で語っています。

ツカミはOKという感じで、聴衆に興味を持たせ、好感をもってもらうのに長じた方だなという印象です。

 

日本語が下手です。

「日本語が下手です。」で始まるが、人は、他人の弱点を愛することが多く、最初に弱点をさらけ出すことで好感を持たれることがあるし、謙虚な方だという印象も持たれるであろう。

 

釣りバカ日誌の浜ちゃんとすーさんで学んだ日本語

釣りバカ日誌の浜ちゃんとすーさんで」のくだりは、単に「日本の映画を見て、日本語を勉強した」というより、「釣りバカ日誌を見て日本語を勉強した」という方が、10倍印象、記憶に残るであろう。さらに、「釣りバカ日誌のハマちゃんとスーさんを見て」というと、映画を知っている人なら、ハマちゃんとスーさんがイメージされ、崔さ社長もハマちゃんとスーさんのようないい人なのかと思ってしまう人もいるかも知れない。

釣りバカ日誌のエピソードは別の崔社長のインタビュー記事でも読んだことがあるから、崔社長の鉄板ネタなのであろう。

 

 

 

大先輩がたくさん

聴衆(セミナーの参加者)を大先輩と呼んでいるが、先輩という親しみやすい敬称で、かつ「大」先輩とよんで、敬意を表しています。話の中で、『大先輩が現役だった日本企業は強かったが』と大先輩を持ち上げるような話もしています。

聴衆(セミナーの参加者)の方も、気持ちよく、崔社長の話が聞けたでしょうし、きっと崔社長に好感をもったでしょう。

 

ダブル・スコープ崔 元根 社長の続きは↓をご参照ください。

chanmabo.hatenablog.com

 

『ハマちゃん』流経営

セミナーで、従業員との人間関係を経営でも重視するような話を崔社長がしていますが、崔社長のモデルはハマちゃんなのかもしれません。

ハマちゃんこと釣りバカ日誌の主人公の鈴木建設の浜崎 伝助(はまさき でんすけ)は

ただの釣りバカでなく、スーパーサラリーマンです。

〇情に厚く曲がったことは決して許さない性格、誰に対しても対等に接するため、多くの人から信頼される

〇社内では、釣りクラブの会長についており、伝助の人柄で総勢300人を超す大所帯になっており経営陣からは最大派閥と見られている。

〇趣味である釣りと行動力や人柄を活かして数々の問題を影でハッピーエンドで解決に導く。

〇 鈴木建設の鈴木社長が釣りの弟子であり、政財界の大物が釣り友達で深いパイプがある。

という人です。

 

寅さんとハマちゃんに学ぶ助け方・助けられ方の心理学:やわらかく生きるための六つのレッスン といった本が出版されるぐらい、人を助けるのがうまい方みたいです。

 ハマちゃんは「百人に対して一つの顔で公平に接する」「相手の世界と自分の世界をきちんとわけて、お互いの世界を尊重する」のが人を助ける時のポイントみたいで、きっと、取引先や社内なども、ハマちゃんのように接しし、崔社長は信頼を得ているのかも知れません。

 

 映画の原作はちなみに漫画です。Kindleで無料で読めるサービスがあったり、古本だと1円(送料別)で売られたします。

 

 

話術や話し方に興味持った方に向けて、関連する本を二冊ほど紹介します。

 

 

 

 以上です。

 

以 上 です。


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ダブル・スコープ崔 元根 社長はヨン様ペ・ヨンジュンの〇〇だった

このブログは、 ダブル・スコープ創業者崔 元根 (チェ ウォングン)社長の卒業大学  成均館(ソンギュンガン)大学について、紹介します。

崔 元根 社長の出身大学、成均館(ソンギュンガン)大学に興味を持っていただき、 成均館大学サムスンとの関係、韓国の産官学の関係の深さなど知っていただければと思います。

 ▼目次

 

 

チェ ウォングン氏は生年月日 1963年5月30日生まれで、
1990年2月 韓国・成均館(ソンギュンガン)大学 工学部 電子工学科卒業で、
1900年6月 韓国 サムスンン電子に入社して、2005年にを退社し、
医療機器モニターを作る会社(韓国ワイド社)を立上げ、その後、2005年10月にダブル・スコープを創業しています。成均館(ソンギュンガン)大学の特徴について紹介します。 

① 成均館は東アジア最古の大学

 西暦1398年に設立された李氏朝鮮(朝鮮王朝)の最高教育機関である成均館を母体とし、東アジアで最古の大学といわれています。

 『トキメキ☆成均館スキャンダル』(トキメキ ソンギュンガン スキャンダル)は、2010年に韓国KBSで放送されたテレビドラマでも日本でも放送されました。このドラマの原作はチョン・ウングォルの小説『成均館儒生たちの日々』で、ドラマも原作も、成均館大学の前身が舞台になっています。

 皇族、貴族の教育機関だったという意味では、日本の学習院大学とその出自が似ているかもしれません。

 

 

② ヨン様ペ・ヨンジュンも在学

日本で韓国ブーム、韓流ブームといった社会現象を引き起こした「冬のソナタ」主演したヨン様ことペ・ヨンジュン氏(1972年8月29日生まれ)も在学していました。

2000年に成均館大学芸術学部 演劇映画学科に入学し、2005年中退しており、ペ・ヨンジュン氏の最終学歴は成均館大学中退と紹介されることが多いようです。

ダブル・スコープ社長 崔 元根氏は、在学期間は重複していませんが、ヨン様ペ・ヨンジュン氏の同じ大学の先輩になります。

 

医学部や芸術学部もある総合大学という意味では、日本では、規模や学部の多様さという意味では、 日本大学がイメージに近いかもしれません。

 

③ 韓国の私立大学ランキングでは、3位クラス

 韓国の私立大学では、高麗(コリョ)大学、延世(ヨンセ)大学

が有名で偏差値も高く、この二つが日本の早慶早稲田大学・慶応大学)のイメージです。偏差値や人気などで、私立大学では、高麗大学延世大学の次のランクとなることが多い大学のようです。偏差値、人気などの点では、日本では、上智大学のイメージが近いでしょうか。

 ちなみに韓国は、日本以上の学歴社会で受験戦争が激しいと言われていますが、そんな学歴社会が韓国の国際競争力を支えているという見方もあるようです。

 

 

④ サムスングループが運営、投資する大学

 この点が、今回のブログで強調したいことなんですが、成均館大学は、サムスングループがその運営をして、サムスングループが巨額の投資をしている大学として有名なんです。サムスングループが成均館大学の運営する財団に出資し、本格的に運営に関与したのは1996年です。ただ、1965年に、サムスン財閥の創業者李 秉喆(イ・ビョンチョル、1910年2月12日 - 1987年11月19日)が成均館大学理事長に就任していますので、崔社長の在学時、卒業時にもサムスングループと成均館大学は今ほどの強い関係はないと思いますが、強い関係があったようです。

 

トヨタ自動車会長豊田喜一郎氏の意思で1981年(昭和56年)にトヨタ自動車の社会貢献活動の一環として設立された豊田工業大学や、初代理事長が三菱財閥の当時の総帥岩崎小弥太氏で、三菱金曜会三菱金曜会は、三菱グループ各社の会長、社長を会員とする親睦会です)のトップが成蹊学園の理事長を務めている成蹊大学のようなイメージでしょうか。

 

李健煕(イ・ゴンヒ) ──サムスンの孤独な帝王

李健煕(イ・ゴンヒ) ──サムスンの孤独な帝王

  • 作者:李慶植
  • 東洋経済新報社
  • サムソン財閥の創業者李 秉喆の息子で、李健煕(イ・ゴンヒ)氏の伝記です。

    サムソンの創業者李 秉喆(イ・ビョンチョル)氏の話とサムソンを世界的大企業にした李健煕(イ・ゴンヒ)氏の話が記載あれています。

Amazon

 

 ただ、もともとサムソン電子での勤務経験に加えて、成均館大学のコネクションもあり、サムソングループと深い関係を構築しているのかも知れません。

 ダブル・スコープの販売先1位のサムソンSDIですが、サムソンSDIの業績は絶好調です。ダブル・スコープの直近(8月)発表される四半期決算にも、注目したいです。

 

サムスンSDIの純利益6倍 4~6月、車載電池初の黒字化: 日本経済新聞

 

サムソングループと成均館大学との関係が知れる記事をいくつか紹介します。



 

成均館大学だけの話ではないですが、

こんな記事を読むと、韓国が半導体で世界のシェアを制したように、リチウムイオン電池やその重要部材のセパレーター(分離膜・絶縁材)でも、国策による産官学一体となった研究開発で、日本の技術力に追いつき、それを超えるのはそう遠くない将来に思えます。2020年代には、セパレーターを始めリチウムイオン電池の技術は、両国の政策や企業の投資額などをみると、韓国が日本を超えるのは確実かもしれないと思えます。

 

 

 

以 上 です。


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ダブル・スコープが日本で創業した理由-その技術は本物か-

このブログは、  ダブル・スコープが日本で創業した理由や、ベンチャーキャピタルの出資の決め手となった技術の価値について考察しています。また、ソニーとダブル・スコープの意外な関係が知れます。

 

にて解説したように特許侵害を旭化成から訴えれているダブル・スコープですが、日本で創業した理由を調べると、その技術は独自性、革新性が強く、他のセパレータ(セパレーター・分離膜・絶縁材)のメーカーと比べても、十分、優位性があるものが感じられます。

 

 ▼目次

 

 

 上場直後(2011年12月にマザーズ市場に上場)の2012年3月1日付の週刊ダイヤモンド記事を紹介されている崔社長の発言を引用しながら、解説していきます。 

韓国で破れた夢、日本で咲かせるリチウムイオン電池の部材で急成長ダブル・スコープ社長 崔 元根 | 起業人 | ダイヤモンド・オンライン

当初は韓国で創業

2000年、サムスン電子を退社すると旧知の化学メーカーの技術者らと共同で、高機能フィルムの開発に乗り出す。そして03年、リチウムイオン電池に使うセパレーターの生産に成功したのだ。

 ポイントは、生産効率とコスト力に的を絞った、独自の材料と生産工程にあった。「行ける」。05年に起業を決断した。

ところが、韓国の電池メーカー、ベンチャーキャピタルを訪ねても、誰からも見向きもされなかったのだ。

「これ、(業界トップメーカーの)旭化成のフィルムじゃないの」。サンプル品を手渡し、ていねいに技術の説明をしても、自分たちで作ったことすら信じてもらえない始末だった。「あの人は詐欺師だ」。心ない陰口をたたかれて、泣いた。

 当時、サムスンやLGを筆頭にした韓国の電池メーカーは、重要な部材については、日本の材料メーカーに頼っているのが実情だった。

「できるわけがない」。門前払いの連続に、夢は頓挫しかかっていた。

最初から日本で創業したのでなく、最初は韓国で創業していました。

創業した2005年当時は、リチウムイオン電池リチウムイオンバッテリー)自体が日本企業が圧倒的に強い状況でした

 

リチウムイオン電池の世界シェアの推移(2000年⇒2005年⇒2012年)出典:2014年9月19日 経済産業省商務情報政策局

リチウムイオン電池の世界シェアの推移(2000年⇒2005年⇒2012年)出典:2014年9月19日 経済産業省商務情報政策局

上記にリチウムイオン電池の世界シェアの推移(2000年⇒2005年⇒2012年)を記載していますが、2005年当時は、世界ランキングの1位から5位まで日本企業で、日本のシェアは72%です。

2005年は三洋電機が世界シェア1位です。

2011年に、経営破綻した三洋電機パナソニックが買収した理由は、三洋電機が持つリチウムイオン電池事業が獲得しかかったからだとと言われています。

リチウムイオン電池自体の製造技術自体が、韓国は日本より劣っているような時代で、そのリチウムイオン電池の主要部材で最も技術的難易度が高いと言われるセパレータを、

リチウムイオン電池が開発し、売上が2兆円近い旭化成が製造し、世界シェア1位となっている部材を、財閥や大手メーカーの何も技術支援を受けない中小企業が開発に成功したといわれてもにわかに信じられなかった状況は想像できます。

化学業界韓国最大手で財閥の中核企業のLG化学すら、セパレータの開発・製造は軌道に乗らず、2015年にその設備を東レに売却しています。

 

日本で創業した理由 

そこで目をつけたのが、リチウムイオン電池の材料の8割を生産していた日本だった。ベンチャー支援に注力する知人を頼みに、技術を売り込んだのだ。

 反応は早かった。元ソニー幹部などが運営するベンチャーキャピタル、TNPパートナーズが、早々に出資を約束し、すぐに10社計10億円の資金が集まった。「石、金、ダイヤモンドを見分ける“目”があった」。唯一の条件は、日本企業として起業することだった。

日本のベンチャーキャピタルの出資について、日本企業として起業することが条件だったようで、その条件で日本で創業したそうです。

裁判管轄の問題やベンチャーキャピタル(投資組合)と出資者(投資組合の構成員)との契約などで、韓国企業に投資することが難しいベンチャーキャピタルが多かったのでしょう。

 

ベンチャー支援に注力する知人」とは、どのような人物か興味があります。

ダブル・スコープの崔社長は、サムスン電子時代に、液晶事業に従事して、日本企業との取引で訪問する機会もあったそうです。サムスン電子ソニーは、液晶事業で韓国で合弁で液晶パネル製造会社を設立しており(現在はソニーは撤退)、ソニーに知人が多かったと考えられます。この「ベンチャー支援に注力する知人」もソニーOBなどソニーの関係者だった可能性が高いと思います(妄想レベルの勝手な想像です)。

 

ダブル・スコープに出資したベンチャーキャピタル

 ダブル・スコープに出資を最初に決めたTNPパートナーズとは、どんなベンチャーキャピタルなのでしょうか。

 ビーマップ(2002年上場)、アップガレージ(2004年上場、2011年MBOにより上場橋)、エフオーアイ(2009年上場、2010年上場廃止、その後は破産)、シンバイオ製薬(2011年 上場)などに投資していたい独立系のベンチャーキャピタルです。

 2013年には、独立行政法人中小企業基盤整備機構が、TNPパートナーズのベンチャーキャピタルに24 億円を出資しているので、社会的信用のあるベンチャーキャピタルのようです。

 当時のTNPパートナーズのソニー出身の元幹部が誰かはわかりません。

 ただ、TNPパートナーズの子会社、ベンチャーキャピタルのファンド(投資組合)毎に会社が分かれているようので、実質同一会社に近い、TNPスレッズオブライトの取締役に、現在、ソニー 元執行役副社長の吉岡 浩氏が就任していることは注目したいです。

 吉岡氏は、現ソニー社長の平井氏とともにソニー社長候補といわれ、ソニーのテレビなどのエレキ部門(ハード部門)の統括役員だった方です。ダブル・スコープ出資時にはソニーの役員で、TNPパートナーズには在籍していなかったと思いますが、ソニーとTNPパートナーズの関係の深さがわかります。

 

ソニー次期社長レースの号砲、平井SCE社長が最右翼、吉岡浩副社長の声も | 企業戦略 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース

 

 ソニーは、リチウムイオン電池の商業化(実用化)を1991年に世界で初めて成功しています。旭化成リチウムイオン電池の開発で2019年ノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏が在籍)が商業化(実用化)したのは1993年で、ノーベル賞旭化成より2年早く商業化(実用化)したわけですから、リチウムイオン電池の技術は相当蓄積したものがあったようです。

 そういった蓄積した技術を背景に深い知見のあるソニーの出身者が、ダブル・スコープの技術が出資に値する評価したのでしょう。

 

 なお、ソニーは、出資をした2005年当時のリチウムイオン電池の世界シェアは7%で、2位でした。2017年にリチウムイオン電池事業を村田製作所に売却して撤退しています。

 

 ダブル・スコープの主要販売先の東北村田製作所の前身はソニーエナジー・デバイスです。日本国内ではリチウムイオン電池のシェアは3位(1位パナソニック、2位TDK)です。東北村田製作所は、電動工具のマキタも主要販売先ですが、近年マキタ製の人気のコードレス充電池型掃除機は人気ですが、その電池も東北村田製作所で製造しているのかもしれません。

 東北村田製作所が製造している日本製の高品質・高価格と言われる電池にも、ダブル・スコープの製品が利用されているので、ダブル・スコープのセパレータも高品質なのでしょう。 

 

設立前、売上0円でも出資に値した技術

 ベンチャーキャピタルは、設立直後、成長初期に投資するのが通例ですから、設立前、つまり売上0円の状態で、出資を決めるのは極めて異例です。それだけ、ダブル・スコープの技術に、独自性、革新性があり、市場で相当なシェアがとれ確実な成長が見込めると、自信をもって評価、判断したことがわかります。

 実際に、2005年10月に創業後、旭化成東レなど日本の大企業のシェアを奪い、設立15年で2020年12月決算では売上184億円と、世界シェアを5%ほどのセパレータの主要企業となっているので、TNPパートナーズの評価は間違いがなかったのでしょう。

 

TNPパートナーズ以外の出資者は

「早々に出資を約束し、すぐに10社計10億円の資金」を提供したベンチャーキャピタル(VC)が、TNPパートナーズ以外にどこだったかはわかりません。

ただ、上場時の株主を見ると

TNPパートナーズ系のVCに加えて、

伊藤忠商事やSVIC NEW TECHNOLOGY BUSINESS INVESTMENT(韓国サムスングループ系のVC)の名前があります。

他にも以下のような日本の有力ベンチャーキャピタルの名前があります。

----------------------
ニッセイ・キャピタル(日本生命系)
ジャフコ野村証券系)
三井ベンチャーズ三井物産系)
KSP投資事業組合(神奈川県や川崎市も出資する神奈川サイエンスパークを運営するKSP系)
SMBCキャピタル(SMBC系)
大和企業投資(大和証券系)
NIFベンチャーSMBC系)
エーシーベンチャーズ三菱UFJグループのアコム系)
安田企業投資(明治安田生命

-------------------

セパレータのような大企業が既にシェアの過半を占める市場にゼロから新規進出する会社で、これだけ多くのVCから出資を受けるのは異例です。

 ソニー関係者が、出資するベンチャーキャピタルにダブル・スコープの技術が将来性や収益性が抜群であるという、『保証』に近い評価をした

 または、ソニー(現東北村田製作所)のセパレータに採用予定(の内示)であった

なんていう話があったのかもしれません。

 

関連書籍

 このブログを読んだ方が興味がありそうな本を紹介します。

 

 

 

 

 

 

以 上 です。


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W-SCOPEは、『国策に売りなし』か『国策に売られる』か。

このブログでは、ダブル・スコープが韓国の政策の支援で業績向上が確実視される『国策に売りなし』の銘柄となるか、逆に韓国の政策で業績が阻害される『国策に売られる』銘柄となるか、予測しています。

 ▼目次

 

国策に左右されるリチウムイオン電池(バッテリー)産業

 上記のブログにて、エルピーダメモリの破綻、サムスン電子やSKハイニックスの成功、日韓のDRAM産業の逆転劇を例に『国策』の重要性については説明しています。

企業の経営努力以上に、国の政策が、その国の産業の盛衰、企業業績に影響を与える産業は少なくありません。

技術進歩が激しく、かつ需要が毎年急激に増える市場で、多額の設備投資(固定費)が必要なリチウムイオン電池のセパレータ(分離膜・絶縁体)のような事業は、国の政策、国家の直接、間接的な支援が重要となります。

 

リチウムイオン電池産業は、温暖化対策の脱炭素化(二酸化炭素の排出抑制)、自動車のEV化といった世界的な潮流、国際公約があり、成長が確実視され、現時点でも需要に対して十分な供給ができていない状況です。

そういった理由から日中韓ともに東アジア主要参加国とも、リチウムイオン電池産業の振興は、主要な産業政策の一つとなっています。

 

リチウムイオン電池、日本は中韓に苦戦 「川下」商売下手、弱み象徴 - SankeiBiz(サンケイビズ):自分を磨く経済情報サイト

 【独自】EV次世代電池、開発促進へ…国内拠点支援で中国に対抗 : 経済 : ニュース : 読売新聞オンライン

 [特集]韓国大統領がバッテリー戦略について報告 「第二の半導体に」(全文) - コリア・エレクトロニクス

 

上記に関連するニュースを紹介しています。

まさに『国策に売りなし』か『国策に売られる』かが重要となるわけです。 

政府支援も受け、EV市場が急成長(ハンガリー) | 地域・分析レポート - 海外ビジネス情報 - ジェトロ

最近では、ハンガリーのEV市場、EV用電池(リチウムイオン電池)も『国策に売り』なしとなっているようでうす。

ダブル・スコープの売上地域は、1位は韓国ですが、2位はハンガリーです。

ダブル・スコープ2020年12月期有価証券報告書より抜粋 

ダブル・スコープ2020年12月期有価証券報告書より抜粋 


『国策に売りなし』となる企業は

国策に売りなしのリチウムイオン電池大手韓国三社

ムン・ジェイン文在寅)大統領が

2021年7月8日に「K-バッテリー発展戦略報告」に発表しています。

[特集]韓国大統領がバッテリー戦略について報告 「第二の半導体に」(全文) - コリア・エレクトロニクス

 で全文を確認できますが、重要な部分について、抜粋、紹介します。

企業がまず果敢に立ち上がりました。
LGエナジーソリューションは、工場を増設し、今日梧倉2工場を着工します。
LGエナジーソリューション、サムスンSDI、SKイノベーションが中小企業と力を合わせて、2030年までに計40兆ウォン以上を投資します。
いつも一足先に挑戦する企業の皆さんの勇気に敬意と応援の拍手を送ります。

 

韓国政府がLGエナジーソリューション(LG化学グループ)、サムスンSDI、SKイノベーションの活動を評価しています。

韓国のいずれもリチウムイオン電池大手で、この三社が韓国政府の支援の中心になりそうです。

2020年度の車載電池向の市場は

LG化学:世界2位 世界シェア約23%

サムスンSDK:世界5位 世界シェア約6%

SKイノベーション:世界6位 世界シェア約5%

といった状況で、この三社は世界的にも大手に名を連ね、世界市場で十分な競争力のある会社といえそうです。

 

補足:車載電池向の市場世界1位(世界シェア約25%)は、CATL(寧徳時代新能源科技)であり、創業者は日本のTDKの香港法人出身で、日本のTDKと縁が深いです。まさに中国の『国策に売りなし』で急成長した会社で、中国市場が中心でしたが、最近では欧米日本など先進国にも販売が広がっています。2019年は、パナソニックが2位であったが、LG化学に抜かれ、2020年はパナソニックが3位となっています。今後も中国企業や韓国企業の躍進が続けば、パナソニックなど日本のリチウムイオン電池DRAMのように駆逐される可能性がありそうです。

 

2020年世界上位車載電池メーカーの出荷量(搭載ベース)

2020年世界上位車載電池メーカーの出荷量(搭載ベース)


コロナ禍で加速する新エネルギー車市場(中国) | 地域・分析レポート - 海外ビジネス情報 - ジェトロ
 より上記画像は抜粋しています。

 

リチウムイオン電池大手韓国三社のセパレータ

素材・部品・装置技術の海外依存と人材不足の問題も確実に解決します。
バッテリー製造大企業と当該中小・中堅企業がともに重要な技術の開発に乗り出すことができるように協力し、R&D事業を集中的に支援します。

ムン・ジェイン文在寅)大統領が2021年7月8日に発表した「K-バッテリー発展戦略報告」の抜粋ですが、韓国政府がリチウムイオン電池の素材、部品、装置技術にも支援することもわかります。

セパレータは、リチウムイオン電池のコストの1割から2割程度を占める重要素材で、かつ、原材料が韓国でも世界的な競争力を石油化学製品であることあから、間違いなく、政府支援の対象となりそうです。

 

LG化学は、セパレータを製造していましたが、最終的に設備を東レに売却して、2015年に撤退しています。察するに製造コストを下げる技術的難易度が高く、日本企業のセパレータに、価格、品質ともに勝つのが難しかったのでしょう。

東レ、LG化学の工場買収 エコカー向け電池材料生産: 日本経済新聞

 また、2020年に東レとセパレータの合弁企業を検討しているようです。

LG化学、東レと分離膜合弁会社設立へ - 韓国経済新聞国際版

こんな記事から東レと縁が深いようです。また、ダブル・スコープからも供給を受けていますが、量はそれほど多くないようです。 

 

サムスンSDIは、主にダブル・スコープがセパレータを供給しています。

以下は、2020年12月末決算でのダブル・スコープの有価証券報告書の抜粋ですが、 ダブル・スコープの販売先1位は、サムスンSDIで、売上の77%近くを締めています。

ダブル・スコープ有価証券報告書2020年12月末決算の抜粋

ダブル・スコープ有価証券報告書2020年12月末決算の抜粋

SKイノベーションは、グループ会社にSKアイイーテクノロジー(SKIET)があり、SKIETからセパレータの供給をうけているようです。

LG化学、サムスンSDI、SKイノベーションが韓国政府の支援を受けるのであれば、

そこにセパレータを製造、提供している東レ、W-SCOPE、SKIETが、韓国政府の支援を受けて、『国策に売りなし』となる可能性が高いです。

 

仮に1社に絞られた場合

セパレータ事業の国際的競争力の確保のため、仮に韓国政府が、韓国内でのセパレータ製造事業を一社に絞り、支援した場合、支援する先は、東レ、W-SCOPE、SKIETのいずれかになるでしょう。

その場合、東レは、研究開発部門を日本に置く、日本の伝統的案大企業ですから、反日感情の強い韓国で、東レのみを支援して、W-SCOPE、SKIETを支援しないのはあり得ないでしょう。

そうなると支援先となるのはW-SCOPEか、SKIETのどちらかになるでしょう。

SKIETのみを支援した場合、LG化学、サムスンSDIに不利に働くことから難しいであろう。

また、富を独占していると財閥に対する反感も韓国内には根強く、中小企業や韓国内のベンチャー企業を積極的に支援しようとする最近の韓国の政策から、財閥グループでないW-SCOPEを捨てて(W-SCOPEに不利な政策を実施し)、SKIETのみを支援することは難しいでしょう。

 

W-SCOPEは、日本の証券市場に上場している日本法人が親会社ですが、筆頭株主の崔元根社長も韓国国籍の韓国育ちの韓国人であり、主要技術も、日本企業からライセンスを受けず、韓国人が開発したものです。製造研究拠点も韓国内のみで、韓国内の設備投資、採用に積極的ですので、日本の証券市場に上場している日本法人が親会社であることはそれほど問題視されないでしょう。

 

私が韓国の国民であれば、財閥のグループ会社と徒手空拳・裸一貫といった状態から操業したベンチャー企業であれば、韓国政府に後者を応援してほしいです。

そんな韓国国民を多いと願いたいです。

 

国民情緒法国民感情法)が憲法に優先する』と国民世論次第で司法判断が決まるなど罪刑法定主義法治主義・法の支配が崩れがちな大韓民国の政治・社会体質を皮肉った言葉があるように、国民世論、国民感情が大事な国のようで、その点、ダブル・スコープの崔社長はPR活動も上手なように思え、崔社長の手腕を期待しています。おそらく、サムスン電子時代にIR(投資家向け広報)の仕事に従事していたことも関係しているのでしょう。

 

結論からいうと、リチウムイオン電池産業を保護、育成に国策として掲げる韓国が保護、育成する企業は、ダブル・スコープは、SKIETの両方になるでしょうし、もし1社に絞られる場合は、ダブル・スコープの可能性が高いと考えています。

 

2021.03.11 適時開示 韓国連結子会社の株式上場準備開始に関するお知らせ W-SCOPE

にてニュースリリースされた

 W-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.(以下、WCP)の上場計画は、韓国政府から支援を受けやすくするという目的もあるのかもしれない。

 

参考書籍の紹介

このブログで読んでいただいた方が興味を持ちそうな本を紹介します。

 

 

 

 

 

銘柄メモ ダブル・スコープ6619 東レ3042 旭化成3407 住友化学4005 帝人3401 宇部興産4208 パナソニック6752 TDK6762

タグメモ  ダブル・スコープ ダブルスコープ WSCOPE 崔元根 W-SCOPE
W-SCOPE Corporation ダブル・スコープ株式会社 

 

SKIETとW-SCOPE、勝者はどちらか。

このブログでは、ダブル・スコープと、そのコンペ (競合)でもあり、韓国市場でIPOしたSKアイイーテクノロジー(SKIET)の安全性に関わる財務指標や企業規模を比較するとともに、最終的に生き残る勝者、倒産せずに残存者利益謳歌するのはどちらか検討します。 

 

 

 

財務の健全性と企業規模が重要な理由

 

に続けて、ダブル・スコープ(W-SCOPE)とSKアイイーテクノロジー(SKIET)に続いて比較したいと思います。

 

で記載した通り、リチウムイオン電池のセパレータ(分離膜)事業のような、

  • 市場が急拡大している。
  • 最先端の製品を大量に供給する必要。
  • 売上を急拡大させて、生産コストを下げるために巨額な設備投資が必要。

といった性格な事業では、設備投資をしても倒産しない財務体質、いわば財務の健全性が重要になってきます。エルピーダメモリのように倒産し、負け組にならなければ、勝ち組になり、巨額な残存者利益を確保できる可能性が高いです。

また、シェアを確保し生き残るためには企業規模も大事ですから、売上高、総資産、株主資本、従業員数も比較したいと思います。

 

SKIETとW-SCOPEの財務健全性を比較する

それでは、株主資本比率流動比率といった指標で、SKIETとW-SCOPEの財務健全性を比較してみます。

1円=0.096ウォン(2021年7月23日時点の為替相場)で計算しています。なお、SKIETの決算は、

Financial Status < Investors < Company < SK ie technology

といったSKIETのコーポレートサイトで確認しています。

 

株主資本比率(株主資本÷総資産×100(%))

SKIET:1兆2028億ウォン÷1兆9916億ウォン × 100 = 約60.3%

W-SCOPE: 99億円 ÷ 702億円 × 100 = 約14.1%

 

製造業では40%を超えていれば安全で、30%を下がると危険水域と言われますから、

W-SCOPEは危険水域と呼ばれる水準まで、低下しています。

この比率は収益変動のバッファの保有状況も意味しており、業績変動の大きい企業の場合、この比率が低いと、業績変動によって債務超過となりやすく、倒産の可能性も高まります。

 

株主資本比率は株主資本÷総資産×100(%)
の計算式で総資産の額に対する株主資本の割合を計算したものです。負債(=他人資本)によって資金調達している企業はこの割合が低くなります。

 

流動比率流動資産÷流動負債×100(%))

SKIET:5668億ウォン ÷ 2727億ウォン × 100 = 約207%

W-SCOPE :165億円 ÷ 231億円 × 100 = 約71%

流動資産は、キャッシュ、1年以内にキャッシュできる資産で、

流動負債は、1年以内にキャッシュでの支払いが必要になる負債ですから、

W-SCOPEは、流動資産をすべてキャッシュして、流動負債を支払えない資金繰りが非常に苦しい状態です。

一般的には120%を超えていれば安全とされます。

 

流動比率は、流動資産÷流動負債×100(%)の計算式で算出します。

企業の資産には、内容が常に変動していくものと、長期間に渡って固定するものがあります。流動性の高いもの、および、1年以内に受け取り・支払いが可能な資産・負債を流動資産・流動負債といいます。流動資産の流動負債に対する比率を示す指標を流動比率といい、短期的な企業の資金繰り状況を示す指標とされています。流動比率は100%以上であることが必須とされており、その割合が崩れていると、資金の回収・支出のタイミング次第では、資金ショート、つまり倒産の可能性が懸念されます。

 

SKIETとW-SCOPEの企業規模を比較する

財務健全性と同じく、いずれも、2020年12月末決算の数字を利用しています。

1円=0.096ウォン(2021年7月23日時点の為替相場)で計算しています。

売上高

SKアイイーテクノロジーの売上は4,693億ウォン、日本円で換算すると約450億円です。

対してダブル・スコープの売上は約184億円です。

総資産

SKアイイーテクノロジーの売上は1兆9916億ウォン、日本円で換算すると約1911億円です。対してダブル・スコープの総資産は約702億円です。

従業員数

SKアイイーテクノロジー218名、W-SCOPEは1092名です。親会社の日本のW-SCOPE本体には、9名しか在籍しておらず、ぼぼ社内取締役の数だと思います。W-SCOPE-KOREA に、643名、W-SCOPE CHUNGJU PLANTに437名在籍しており、W-SCOPEの従業員の99%は韓国国内で雇用されています。

 

SKアイイーテクノロジーの従業員数が少ないのは、SKイノベーションなどグループ会社の出向社員が含まれていないせいかもしれません。

ただ、少なくとも従業員数という意味で企業規模では、W-SCOPE は、SKアイイーテクノロジーに対して、劣っていることはなさそうです。

W-SCOPEが、設備投資だけでなく、採用など人材投資にも注力していたことがわかります。

 

SKIETとW-SCOPE、どちらが勝者として生き残るか

 

財務健全性や企業規模といった点では、勝者として生き残るのは、SKIETと思われるでしょう。SKIETは、韓国の第3位の財閥グループ、W-SCOPEは、継続企業の疑義注記企業ですが、当然かもしれません。

ただし、民間企業の一社の企業体力や経営努力以上に、国策による影響が、その会社が勝者として生き残れるかは大きいと思います。

つまり、『国策に売りなし』の会社になるか、『国策に売られる』会社になるか、どちらかですが、以前のブログで記載しましたが、SKIETも、W-SCOPEも、『国策に売りなし』と会社となる可能性が高いす。仮にどちらが、『国策に売られる』会社となる場合、意外にも売られる銘柄は、SKIETの可能性が高い、つまりW-SCOPEの方が、韓政府の支援、保護を受けて、勝者として生き残る可能性が高いと私は想像しています。この想像は、希望的な妄想かも知れませんが、理由はまた、別のブログで紹介したいと思います。

 

SKIETのコーポレートサイト抜粋-CEOのメッセージ-

SKIETのコーポレートサイト抜粋-CEOのメッセージ-

『SKIETは、特徴的な技術的な競争力を有して、トップクラスの先端機能材料のプロバイダーとなります。』

 

参考書籍の紹介

このブログで読んでいただいた方が興味を持ちそうな本を紹介します。

 

 

 

 

 

 

銘柄メモ ダブル・スコープ6619 東レ3042 旭化成3407 住友化学4005 帝人3401 トヨタ7203 マツダ7261

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SKアイイーテクノロジー(SKIET)の時価総額が高すぎるのか、ダブル・スコープは安すぎるのか

  このブログでは、ダブル・スコープのコンペ でもあり、韓国市場でIPOしたSKIETについて取り上げます。『SKアイイーテクノロジー(SKIET)の時価総額(株価)が高すぎて笑う 。ダブル・スコープの時価総額(株価)が割安すぎて、悲しいです!』といった記事です。

 

で記載した通り、SKイノベーション子会社でリチウムイオン電池用セパレータ事業のSKアイイーテクノロジー(SKIET)が、2021年5月11日に上場している、その財務内容、業績なども公開されており、ダブル・スコープとの有益な比較ができそうです。

今回は、PSR、PBRといった指標でダブル・スコープの株価が割安か簡単な検証をしたいと思います。 

 

 

SKアイイーテクノロジー(SKIET)の時価総額が高すぎて笑う 

二次電池分離膜製造会社の公募株に歴代最多8兆円 - 韓国経済新聞国際版

の記事の通り、SKイノベーションの子会社でセパレータ事業がメインのSKアイテクノロージズの株式が、が2021年5月に韓国証券市場に公開されました。

 上記の記事の通り、日本のバブル経済の象徴と1987年のNTT上場のように、SKアイテクノロジーの上場は、韓国ではSKアイテクノロジーの株式が、『全国民宝くじ』と呼ばれるなど、社会現象となっているようです。

上場したSKアイイーテクノロジー(SKIET)の株価

上場したSKアイイーテクノロジー(SKIET)の株価

 

上場初日のSKアイイーテクノロジー株、高騰の後に下落 - 韓国経済新聞国際版

の記事の通り、上場直後は乱高下しましたが、上記のチャートのようにその後は堅調に株価は上昇しています。

 

SKアイイーテクノロジー時価総額は、 約16兆4300億ウォン(2021年7月22日終値216ウォンで計算)で、1円=0.096ウォンで換算すると、日本円で約1兆5700億円です。

対して、ダブル・スコープの時価総額は、約389億円(2021年7月21日終値725円で計算)です。時価総額でSKアイイーテクノロジーは、ダブル・スコープの40倍という状況です。

 

ダブル・スコープの株価(6カ月チャートなど)

ダブル・スコープの株価(6カ月チャートなど)

 

SKIETとW-SCOPEスコープをPSRとPBRで比較

 時価総額40倍というのはものすごい差です。

 トヨタ時価総額が約31兆円7300億円 マツダ時価総額が約6300億円で、約50倍の差がついています。それぐらいSKアイテクノロジーとダブル・スコープの時価総額の差のイメージになるかと思い紹介します。

 トヨタの直近の売上高は27兆2千億円でPSRは1.16倍、マツダの直近の売上は2兆8千億円でPSR0.22倍です。PBRはトヨタは1.16倍、マツダは0.56倍です。

 トヨタが高いのか、マツダが安いのかは簡単に結論はつきませんが、指標から見るとマツダは割安に放置されているようです。

 しかし、マツダ以上に割安に放置されているのが、ダブル・スコープのようです。

 

SKアイイーテクノロジーの2020年12月末期決算の売上は4,693億ウォン(日本円で換算すると約450億円)です。PSRは、約35倍です

対してダブル・スコープの売上は184億円で、SKアイイーテクノロジーの4割程度の規模(トヨタマツダのような大きな差はない)で、PSRは約2.1倍です。

 

SKアイテクノロジーの株主資本(2020年12月末期決算)は1兆2000億ウォン(日本円で換算すると1152億円)なので、この数字を利用してPBRを計算すると、約13.7倍です。

ダブル・スコープの株主資本(2020年12月末期決算)は105億円なので、この数字を利用してPBRを計算すると、約3.7倍です。

 

 PSRとはPrice Sales Ratioの略で、株価売上倍率と訳されます。 時価総額を年間売上で割って、算出されます。 PSRが低いほど、株価が割安と判断することができます。

 PBRとはPrice Book-value Ratioの略で、株価が1株当たり純資産(BPS:Book-value Per Share)の何倍まで買われているか、すなわち1株当たり純資産の何倍の値段が付けられているかを見る投資尺度です。現在の株価が企業の資産価値(解散価値)に対して割高か割安かを判断する目安として利用されます。PBRの数値は、低いほうが割安と判断されます。

 

 PERは、企業価値の妥当性を図る場合よく利用されますが、時期的な変動、特殊要因による変動が大きく、新興企業でかつ市場、売上が急拡大にしているSKアイテクノロジーダブル・スコープのような会社の場合は、PSR、PBRによる比較が妥当だと思っています。PSRは、新興企業でかつ市場、売上が急拡大にしている会社で計画的な赤字(もしくは単年度、今年度の利益を考慮しないで)で設備投資をしている会社に有効な指標と言われています。

 PBRは、設備投資に耐える株主資本があるか、設備投資をし、売上、収益を伸ばせる余地があるか、という点を検討するために、競合に打ち勝つ設備投資が必要なSKアイテクノロジーダブル・スコープのような会社でも参考になる指標と考えています。

 

ダブル・スコープの株価は安すぎる

 ダブル・スコープは売上の規模が4割程度ですが、競争力や成長力といった点で、SKアイテクノロジーにそれほど見劣りする会社とは思えないので、やはりダブル・スコープの株価、企業価値は、SKアイテクノロジーに比べて、評価が低すぎる、割安すぎるように思えます。

 SKアイテクノロジーは、韓国の4大財閥の一つSKグループの会社であること、それに対して、ダブル・スコープは継続企業の疑義注記とされていて信用力に不安があること。

 SKアイテクノロジーはすでに営業利益も純利益も単年度で黒字の会社であること(2020年度の営業利益は1,252億ウォンで日本円で約120億、純利益は882億ウォンで日本円で84億円)、対して、ダブル・スコープは3期連続で営業利益、純利益も赤字の会社であること。

こういった理由がダブル・スコープの株価を割安にさせていると思いますが、

- 2021年度の黒字決算

- 韓国の製造子会社の上場

が確実視され始めたら、現状の株価700円台、時価総額300億円台は割安さに多くの投資家が気付き、SKアイイーテクノロジーのように株価の上昇が期待できると思います。

 

ダブル・スコープの予想株価の自分の見解は

 を参考にしていただきたいですが、SKアイテクノロジーPER164倍(直近決算の実績の利益)と100倍を大きく超えるPERも市場が認めているなら、ダブル・スコープのPERは30倍程度まで評価されても高くはないので、4320円ぐらいまでの株価上昇も、現時点で予想されるようなリチウムイオン電池市場の拡大が見込めるならば、ありえそうです。

 

ただ、日本のセパレータ事業の会社は、旭化成東レ帝人住友化学宇部興産など、セパレータ事業以外の売上が大きく、コングロマリットディスカウントといった状況にあるので、PERは10倍台です。ダブル・スコープの株価も、日本の競合のセパレータ事業の会社のPERなどと比較され、それほど高い株価になりませんでした。しかし、今後、SKアイテクノロジーと比較されることが増えれば、株価の上昇はさらに期待できるかも知れません。

 

参考書籍の紹介

このブログで読んでいただいた方が興味を持ちそうな本を紹介します。

 

 

 

 

 

 

銘柄メモ ダブル・スコープ6619 東レ3042 旭化成3407 住友化学4005 帝人3401 トヨタ7203 マツダ7261

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