塚澤 健二 著の暴落はまだ終わっていない!を読みました。
暴落はまだ終わっていない!の中で、『政府が発表する経済の統計は、国内総生産(GDP)の数字を含めて信頼できるものはほとんどないのですが、
「景気ウォッチャー調査」の数字だけは唯一信頼に値します。』
と景気ウォッチャー調査を評価しています。
また、『景気ウォッチャー調査の先行きDI関東 マイナス 全国で、TOPIXの10か月先の株価を見えてくる』と主張しています。
この主張について、2021年のTOPIXの価格で検証してみました。
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先行きDI関東から、東京を中心としたこの地域には外資系の金融機関も多く「世界の金融の景況感」がわかり、先行きDI関東の悪化は、金融危機の可能性が示唆されるらしい。
悪化の判断として、全国のDIとの差を利用して、プラスであれば、関東がよければ良好、マイナスであれば、関東が悪ければ悪化と考えるらしい。
実際に景気ウォッチャー調査の先行き判断DI(関東-全国)の値と10か月後のTOPIXを比較すると、
2020年3月に-2.3と大きく-の値になっているが、10か月後の2021年1月の数字は、前月比、前前月比と比べて+で下落しておらず、
11か月後の2021年2月の数字も、前月比、前前月比と比べて+で下落していない。
外資系の金融機関も多く「世界の金融の景況感」が反映されうのは地域では東京がより適切ではと考えて、
東京-全国の値で検証しても、2020年10月では-3.8と大きくマイナスになり、関東-東京も-3.5と大きくマイナスであり、10か月後は下落が予測されますが、実際の10か月後の2021年8月は、前月比でプラスだし、その翌月2021年10月には、年初来の高値、2000年以降の高値に到達しています。
少なくとも2021年のTOPIXの価格を見る限り、
先行きDI関東 マイナス 全国で、TOPIXの10か月先の株価を見えてくることはなさそうでした。
▼利用したデータ
先行き判断DI
2020年1月 2月 3月 4月 5月 6月
東京 45.7 25.5 23.3 21.5 39.5 46.2
関東 44.2 25.3 16.5 16.1 35.7 42.7
全国 41.8 24.6 18.8 16.6 36.5 44.0
差東 3.1 0.9 4.5 4.9 3 2.2
差関 3.4 0.7 -2.3 0.5 -0.8 2.7
※差東は、東京-全国の値、差関は、関東-全国の値である。
TOPIX月終値()は前月比
2020年11月 12月 2021年1月 2月 3月 4月
1754(+175) 1804(+50) 1808(+4) 1864(+56) 1954(+90) 1898(-56)
2020年7月 8月 9月 10月 11月 12月
東京 35.9 47.7 51.2 46.9 34.1 34.9
関東 36.1 42.9 48.0 46.6 34.5 33.8
全国 36.0 42.4 48.3 49.1 36.5 37.1
差東 -0.1 5.3 2.9 -3.8 -2.4 -3.8
差関 0.1 0.5 -0.3 -3.5 -2.0 -4.7
TOPIX月終値
2021年5月 6月 7月 8月 9月 10月
1922(+24) 1943(+21) 1901(-42) 1960(+59) 2030(+69) 2001(-29)
先行き判断DI
2021年1月 2月 3月 4月 5月 6月
東京 42.7 53.4 53.5 45.3 50.6 50.1
関東 36.8 48.7 48.7 41.9 47.8 50.8
全国 39.9 51.3 49.8 41.7 47.6 52.4
差東 2.8 2.1 3.7 3.6 3.0 -2.3
差関 -3.1 -2.6 -0.9 2.0 0.2 1.6
TOPIX月終値
2021年11月 12月
1928(-73) 1992(+63)
先行き判断DI
2021年7月 8月 9月 10月 11月
東京 50.8 49.6 62.4 60.7 57.6
関東 46.1 44.0 56.3 56.4 53.0
全国 48.4 43.7 56.6 57.5 53.4
差東 2.4 5.9 5.8 3.2 4.2
差関 -2.3 0.3 -0.3 -0.9 -0.4
この本によると、2021年6月、7月は、関東-全国の先行きDIが、マイナス2.3となっていますので、10か月後の2022年4月、5月頃は、TOPIX、つまり日本株全体の下落、軟調な展開が予想されますが、実際はどうなんでしょうか、あまり、気にすることはなさそうです。
景気ウォッチャー調査については、以下のブログでも取り上げているので参考にしてください。
関連する本のリンクも紹介します。
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