『歴史は「べき乗則」で動く』 を読んで 第14章 「クレオパトラの鼻」が歴史を変えるのか


『歴史は「べき乗則」で動く』 は難解な本だったので、一章ずつ、要約や感想を書いています。

 今回は、『「クレオパトラの鼻」が歴史を変えるのか』というタイトルの章に関する話です。人類の歴史は、クレオパトラの鼻の高低、彼女の美貌など関係なく、個人の意思や経験に左右されずに動いているという話です。

第14章 「クレオパトラの鼻」が歴史を変えるの

 

 歴史は偶然でなく、必然で動く。砂山の平衡的臨界状態が突然崩れるように、人事の歴史も長い間、平衡的臨界状態の後に、戦争、革命など大変動がが突然起こるが、それは予測不可能なので偶然に思えるが、歴史の必然と考えた方がいいようです。

 

 クレオパトらの鼻が低く、それほどの美貌でなければ、ローマの政治家、軍人マルクス・アントニウスは、クレオパトラに魅了されず、クレオパトラと同盟して、ローマで内乱など発生しなかったという人がいます。歴史が偶然で動く。という話です。

 

クレオパトの鼻

クレオパトの鼻


 ローマ帝国の歴史は、クレオパトらの鼻、クレオトラの美貌、存在に関係なく、内乱、統一、発展といった経過があり、大きな流れは、クレオパトラなど個人の存在は関係ない。という話が紹介されています。

 また、第一次世界大戦後、ナチスドイツの台頭はヒットラーの登場に関係なく、ナチスドイツ的な政治(軍備の拡張、周辺諸国への領土的要求の実現など)、戦争は、ドイツで発生するのが、歴史の必然だったという話も述べられています。

 ローマ帝国の話は、大昔すぎてわかりませんが、ナチスドイツの話は、第二次世界大戦前の日本の話に置き換えても分かる気がします。

 戦前の政府、内閣は、1年から2年で交代する短命な内閣が続きましたが、どの内閣も、米国との戦争は望んでないし、多くの人が、米国との戦争を回避するために努力し、いや、対米戦争の原因となった中国との紛争も終結させようと努力しましたが、誰も成功しませんでした。こんな話を考えると、当時の世界情勢で、日中、日米の対立は歴史の必然だったとも思えてしまいます。

 

 力の均衡、平衡的臨界状態を一定期間保った後は、大きな変動、例えば、戦争などが発生し、そういった並行的臨界状態、カオス的な変動といった人類の歴史の流れは避けられないという話のようです。

  2020年8月31日、安倍総理の辞任が予定され、次の総理大臣の候補が報道されていますが、誰がなっても変わらないかもしれません。  

本の紹介 

歴史は「べき乗則」で動く――種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ) (日本語) 文庫 – 2009/8/25
マーク・ブキャナン (著), Mark Buchanan (原著), 水谷 淳 (翻訳)

 

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以 上