▼目次
- ■はじめに
- ■懐疑的だった新規事業
- ■予想できた新規事業の内容
- ■POSCOについて
- ■POSCOの強み
- ●W-SCOPE(ダブルスコープ)のパートナーPOSCOの歴史_2000年位まで
- ●ダブルスコープのイオン交換膜事業の分析-POSCOの苦境とリストラの歴史
- ■POSCOの正極材・負極材事業
- ■POSCOのリチウム採掘精製事業
- ■ダブルスコープのPOSCO向け事業の将来性
- ■ダブルスコープのイオン交換膜事業の将来性
■はじめに
2022年12月06日付に『新規事業の経過』というタイトルの開示されました。
POSCO(新規事業のイオン交換膜の販売先)の強みとダブルスコープのイオン交換膜事業の将来性について調べた記事です。
まず、開示の内容を確認してみましょう。
▼ダブルスコープの2022年12月06日付開示
(開示事項の経過)新規事業への取り組みに関するお知らせ
2022 年7 月28 日付「新規事業への取り組みに関するお知らせ」で開示いたしました新規事業にあたり、本日、当社100%子会社であるW-SCOPE KOREA CO., LTD.(以下、WSK)は大手鉄鋼メーカーである POSCO HOLDINGS の 100%子会社である POSCO アルゼンチン法人と BPEDSubstack(イオン交換膜スタックモジュール)の供給に関して LOI(基本合意書)を締結しましたのでお知らせします。なお、契約金額は、WSK 来年度売上額の10%以上の規模になる見込みです。
この事業の背景として、すでに報道発表されていますPOSCO グループ(以下、POSCO)による2024 年上半期からのアルゼンチンにある塩湖でのリチウム生産事業を進めるため、WSK はPOSCO と共同で環境に配慮した効率性の高いリチウム抽出用イオン交換膜の開発を行ってまいりました。この度、WSK は競合他社に比べてリチウムの抽出効率が高く、耐久性に優れたBPEDSubstack の開発に成功したため、LOI を締結するに至りました。
WSK は今回のLOI に基づき、塩水用BPED Substack を来年上半期内に完成させ、2024 年第1四半期から供給を開始することとしています。
(今後の見通し)
今後の業績への影響は、確定次第お知らせします。また、開示すべき事項が発生した場合には、速やかに公表いたします。
ご参照
1. POSCO グループ
1965 年設立に設立され、57 年間にわたり韓国の鉄鋼産業を支えてきた有数の企業集団です。2018 年には、POSCO グループは社会の一員とし経済的利益だけではなく、共存、共生の価値を追求する“企業市民”という経営理念を発表し、エコ企業への転換にまい進しています。特に2050 年を目標として、鉄鋼企業として最初にCO2 ゼロに挑戦する目標を提示し、事業構造も鉄鋼中心からエコ未来素材産業(リチウム、ニッケルなど)への転換を図っています。また、POSCO グループは 2 次電池の生産に必須の鉱物であるリチウムを鉱山(塩水含む)か
ら加工・販売までの全てのサプライチェーンを保有し、リチウムを安定的に供給している企
業です。
2. イオン交換膜
機 能 : 溶液の中に溶けている陽イオンもしくは陰イオンを、電気的特性を利用して選
別して抽出する膜です。当社のイオン交換膜は塩水もしくはリチウムが溶解し
ている化合物から水酸化リチウムを直接抽出します。
応用市場 : 鉱物抽出、Green 水素(水電解), 燃料電池、水処理、バイオ等
市場規模 : 2024 年 112 兆円(通常2~3 年毎に交換が必要な消耗性材料)
成 長 率 : 25.45%(年平均)
#ダブスコ
■懐疑的だった新規事業
以前のブログ(関連ブログ参照)でダブルスコープの新製品、新規事業について紹介したことあります。
正直に言うと、ダブルスコープの新規事業、セパレーター以外の事業については私は懐疑的でした。
崔元根社長は強気で、ロマン、夢を感じるような発言が多いく、誇大妄想気味で少し心配にな点があると思っていまいた。
2021年現在も、リチウムイオン電池用セパレータに全経営資源を投入しているダブル・スコープを見ると、純水ろ過用、人工透析用フィルターなど別用途、別市場への進出は、『将来にはそんな可能性があるよ』というレベルの話で、投資家に多少、夢をもってもらうためのリップサービスだと思っていました。
ただ、2022年7月28日付の開示(新規事業への取り組みに関するお知らせ)から、その懐疑的な考えは変わりました。
開示の内容が、自治体との協定も実施された量産目的で、投資額も決定された具体的な投資計画であり、かつ、業績への影響が軽微でなく、未定と記載されいたいことです。
通常、このような新規事業の発表は軽微と公表されることが多いと思います。
▼2022年7月28日付の開示
新規事業への取り組みに関するお知らせ
当社では、当社の持つメンブレンフィルムの開発・製造技術により、これまでリチウムイオン2 次電池用セパレータ事業に特化してまいりました。今後は、さらにこの技術を応用し新規事業として、当社連結子会社であるW-SCOPE KOREA CO., LTD.(以下、WSK)でイオン交換膜の製造・販売に取り組むこととなりました。また、日本の市場においても、販売活動を行っていくことといたします。
その準備として、WSK は 7 月 25 日に忠清北道及び陰城郡(Eumseong-gun)と合意書(MOU)を締結しました。この合意により、WSK は陰城城本(eumseong-seongbon)産業団地外国人投資地域3 万3058 ㎡の敷地に600 億ウォン(約60 億円)を投資し、陽·陰イオン交換膜生産工場を新設する予定です。すでにWSK では製品開発を終えプロトタイプの生産が始まっておりますが、今後の量産販売時期及び事業規模に関しては交渉中であり、確定次第開示いたします。
(今後の見通し)
現時点で今後の業績への影響は未定であり、確定次第、お知らせします。また、開示すべき事項が発生した場合には、速やかに公表いたします。
下記のブログで紹介している通り、
イオン交換膜用の新規工場の投資額:約600億ウォン(約60億円)で、量産目的の投資です。
ROIC15%を目指すなら年間9億円から12億円程度の利益回収が目標でしょうか。
といった期待のできる内容であると確信しました。
■予想できた新規事業の内容
私は『自慢じゃないけど』と前置きして、自慢に近い話をする人は嫌いです。
ですので、自慢、自慢に近い話をするときは、『自慢ですけど』と前置きするべきだと思います。
自慢ですけど、ダブルスコープの新規事業の製品は、ポスコ向のリチウム生産用のイオン交換膜と私は予想していました。
2019年3月29日金属鉱物資源機構のレポート
— 令和の未来カエル (@chanmabou) 2022年9月3日
リチウム生産技術概略https://t.co/y7byZWEMRW
POSCO(リン酸塩沈殿-膜電解)法
アルゼンチンで塩湖からのリチウム開発を目指しているPOSCO社(韓国の製鉄大手)が開発した製法、イオン交換膜を利用。
というのが気になる。
2022/7/25付のダブルスコープの新規事業、イオン交換膜量産を報道する記事。https://t.co/x9XVC48Y0J
— 令和の未来カエル (@chanmabou) 2022年9月3日
特に、水処理工程でイオンを選択的に濃縮する技術は、海洋や湖沼からリチウムなどの主要鉱物を取り出すキーテクノロジーとして、国産化の最初の例となることが期待。
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リチウムの話がが気になる。
https://t.co/1kQhOvhO9G
— 令和の未来カエル (@chanmabou) 2022年9月3日
ポスコ リチウム
で検索すると60件の特許がヒット。
ダブルスコープの新規事業は、競合の特許の壁をどう乗り越えるか不明な点も多い。
ポスコなど有力企業と提携しているのかな。
9月3日に上記の投稿をしていました。ただ、買い煽りと思われるのも嫌だったので、詳しくは記載しませんでした。ただ、POSCO(ポスコ)向けのリチウム生産用イオン交換膜の可能性が極めて高いと思っていました。
イオン交換膜は旭化成、東レ、富士フィルム、日東電工など日本の大手化学メーカーが付加価値、利益率が高い事業として虎の子のように大事にしている事業で、関連特許もたくさん保有してます。ダブルスコープの特許はなく、POSCOの特許を利用して製造するものと予想していました。
特許がなくても、製造は可能です。他社が特許を保有し、その特許で類似製品を製造している場合は話が違います。特許侵害を回避するためには、自社で保有する特許の技術(国から模倣でない独自の技術と認定された技術)で製造することが確実です。
予想の通り、POSCO向の売上が100%であるような記載なので、POSCOからの製造受託事業、もしくはPOSCOへのOEM製品供給事業で、ダブルスコープの独自製品をPOSCO以外に販売することは難しそうです。
■POSCOについて
ポスコ(POSCO)は、旧社名 浦項(ポハン)総合製鉄株式会社の英文社名、Pohang iron and Steel Companyの略称を利用した社名(2002年に変更)です。
日韓基本条約に伴う対日請求権資金などによる資本をもとに、朴正煕大統領の肝いりで1968年に設立、1973年に浦項市にて操業開始。八幡製鐵と富士製鐵(両社とも日本製鉄の源流企業)、日本鋼管(JFEの源流企業)の技術供与で発展した企業です。
日本との関係も深いせいかで、Wikipediaの記載も詳細になっています。
によると、日本製鉄 4,946万トン、POSCO 4,296万トンと、生産「量」は日本製鉄が1割ほど多いです。
日本でいうと日本製鉄のような企業ですが、売上、利益、時価総額は2割程POSCOの方が多いです。
売上・営業利益・時価総額
(売上、営業利益は、POSCOは2021年12月度、日本製鉄は2022年3月度、時価総額は来直近2022/12/23 1韓国ウォン=0.1円で計算)
POSCO:7.6兆円・9238億円・2.4兆円
日本製鉄:6.8兆円・8498億円・2.1兆円
と売上、営業利益、時価総額という数字では1割程、POSCOが多いです。
つまり、POSCOの方が、日本製鉄より、生産性が高く、付加価値のある利益率が高い製品を多いことを示しています。
上記記事の通り、世界で一番競争力がある鉄鋼企業と評価されているようです。
●W-SCOPE(ダブルスコープ) - イオン交換膜新規事業の販売先 POSCOについて
↑のリンクにて、ブログに紹介したPOSCOについて深堀して解説したYoutube動画アップししています。
■POSCOの強み
https://bta1380.secure.jp/~bta1380002/metal/2017/steel_news_20171020_3.html
鉄鋼新聞 「韓・ポスコ支える2大製鉄所」2017/10/20付の記事で
稼ぎ出す競争力の源泉となるのが、単一製鉄所として粗鋼生産量が世界第1位の光陽(カンヤン)製鉄所であり、それに次ぐ規模の浦項(ポハン)製鉄所だ。
といった内容があります。
日本製鉄は、製鉄所は室蘭・鹿島・君津・名古屋・和歌山・八幡・大分の7か所にありますが、POSCOは2か所だけです。光陽(カンヤン)製鉄所だけでも、日本のJFEと同じぐらいの生産能力がありまうが、JEFの場合、倉敷、福山・千葉と3拠点に分かれています。
韓国ポスコ光陽5号高炉、炉容積5500立方メートルに拡大改修
上記は2016年2月の記事ですが、光陽製鉄所は5基の高炉を持つ粗鋼生産規模2千万トンの一貫製鉄所と紹介さています。
なお、2021年のJFEの製鉄所(高炉)は千葉1基、福山2基、倉敷3基の各6期の2685万トンです。
大規模な製鉄所での低コストでの製造が強みです。
ポスコの光陽製鉄所(粗鋼キャパ2,650万トン)は世界最大。
— SIX (@sieiri3) 2019年4月24日
中国最大の河北江蘇の2,400万に続いて浦項(1,900万トン)は3位。規模がモノを言う鉄鋼業界でPOSCOは間違いなく世界最強。稼げないのがおかしい。 https://t.co/rYdWYHooJj
といった投稿も紹介しておきます。
https://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/opac_download_md/4059979/econ0247.pdf
韓国鉄鋼業のキャッチアップ過程という九州大学経済学部の論文ですが、
大規模な低コスト・高効率な製鉄所と徹底した少品種大量生産志向がポスコの強みと紹介されています。製鉄所の規模で勝負するだけなく、品種を少なくして、勝てる製品、付加価値・利益率が高い製品を大量に生産する戦略が得意な企業といえそうです。
●W-SCOPE(ダブルスコープ)のパートナーPOSCOの歴史_2000年位まで
↑の動画でPOSCOの設立、発展の歴史を紹介しています。今回は、PASCOでなく、POSCOの話を真面目にしています。
●ダブルスコープのイオン交換膜事業の分析-POSCOの苦境とリストラの歴史
ブログで取り上げたPOSCOについて深堀しています。
ポスコのリチウム事業は相当、期待できるし、ダブルスコープのイオン交換膜事業も相当、期待できそうです。
https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/rim/pdf/9645.pdf
↑は、Youtube動画で紹介している日本総研 向山氏のレポートのリンクです。
■POSCOの正極材・負極材事業
韓国ポスコ、2021年連結営業利益が過去最高 需要増で | ロイター
上記は2022年1月の記事ですが、
ポスコの株主はきょう、鉄鋼事業を分離し、持ち株会社「ポスコホールディングス」を設立する計画を承認した。新たな持ち株会社が鉄鋼事業を100%保有する。
とあります。
ポスコ、3月から持ち株会社体制へ - NNA ASIA・韓国・鉄鋼
韓国鉄鋼大手のポスコグループはこのほど開催した臨時株主総会で、持ち株会社体制への移行に関する案件を議決した。持ち株会社のポスコホールディングスを中心に、主力の鉄鋼だけでなく新事業も発展させてグループ全体の企業価値を高めたい考えだ。
ポスコは3月2日をもって、上場企業の持ち株会社ポスコホールディングスと、同社が全株式を保有する鉄鋼事業の子会社ポスコに分割される予定。その際、◇ポスコケミカル◇ポスコインターナショナル◇ポスコ建設◇ポスコエナジー――も、ポスコホールディングスにぶら下がる形となる。
■7分野中心に成長目指す
持ち株会社体制への移行により、ポスコグループは今後、◇鉄鋼◇2次電池素材◇ニッケル・リチウム◇水素◇エネルギー◇建築・インフラ◇食糧――の7分野を中心に成長を目指す。
ポスコのチョン・ジュンソン代表取締役社長は「グループは2030年を目標に、環境配慮型事業を中心に均衡がとれた事業ポートフォリオを構築する。そうなれば、企業価値は約3倍に成長するだろう」と述べた。
2022年3月の記事ですが、今年から製鉄以外の事業、電池の素材事業など強化を加速していることがわかります。
POSCOケミカルはコスダックに上場しているPOSCOの上場子会社で、
時価総額15兆 KRW(WCPの10倍程度)あります。
このPOSCOケミカルが電池事業(正極材・負極材事業)を担っています。
▼POSCOのサイト
https://posco.co.kr/homepage/docs/eng6/jsp/s91a0000001i.jsp
▼POSCOケミカルのサイト
ポスコケミカル、「インフレ削減法」の恩恵を享受…正極材シェア20%狙う(コリア・エレクトロニクス) - goo ニュース
2022年9月のポスコケミカル、「インフレ削減法」の恩恵を享受…正極材シェア20%狙というタイトルの記事ですが、
ポスコケミカルの親会社であるポスコホールディングスはポスコアルゼンチン(リチウム)、SNNC(ニッケル)などの子会社を通じて2030年までにリチウム30万トン、ニッケル22万トン生産予定。
といった内容が紹介されています。
ポスコケミカル、陽極材工場増設、EV年100万台分(韓国経済新聞) - Yahoo!ニュース
2022年11月の記事ですが、
陽極材(正極材のこと)を年間9万トンほど生産する基盤を整えた。陽極材9万トンは、高性能EV100万台分のバッテリーを製造できる量で、単一工場基準では世界最大規模だ。
といった内容が紹介されています。
ポスコケミカル、負極材「中国独占」を破る…次世代製品の準備は順調 | コリア・エレクトロニクス
2022年8月の記事ですが、
現在、ポスコケミカル負極材キャパは年間6万9000トン規模だ。世界シェアは約11%だ。速いスピードでキャパを拡大しているだけに、シェアも引き続き上昇するものと見られる。人工黒鉛原料の針状コークスは子会社のピーエムシーテックで生産、負極材コーティング用素材はOCIとの合弁会社であるピーアンドオーケミカルで製作、中国のシヌオ社(負極材会社)および青島重石(旧型黒鉛会社)に投資するなど垂直系列化作業も行われている。
ポスコケミカル、負極材事業拡大で市場攻略に乗り出す | コリア・エレクトロニクス
2022年11月の記事ですが、
負極材事業の拡大を準備する理由は、負極材の状況が変わった。米インフレ削減法(IRA)で中国産負極材を使用できなくなり、ポスコケミカルの価値が高くなった。現在全世界の負極材の70%以上を中国企業が占めている
といった内容が紹介されています。
上記記事の通り、正極材、負極材ともに、米国インフレ抑制法が追い風となり、中国企
業からシェアを奪う形でシェア向上が期待されています。
現在、正極材・負極在ともに、世界シェア10位・5%ぐらいですが、5位・10%ぐらいまで上がるイメージでしょうか。
また、正極材・負極材とも生産効率の高い大規模な工場で少品種大量生産で、高いコスト競争力を発揮するという鉄鋼と同じような強みを発揮できそうです。
■POSCOのリチウム採掘精製事業
ポスコが買収のアルゼンチン塩湖、リチウム埋蔵量「電気自動車3億台分」 | Joongang Ilbo | 中央日報
ポスコが買収のオンブレ・ムエルト塩湖、リチウム埋蔵量、電気自動車3.7億台分という2020年12月の記事です。
2018年に2.9億万ドルで買収した当時に推算した220万トンの6倍を超える1350万トンと確認され、世界の塩湖のうちリチウム埋蔵量、濃度ともに最高水準ということです。
ポスコ得意の大規模・低コストのリチウム採掘が期待できそうです。
ポスコ2022年1月IR資料
— 令和の未来カエル (@chanmabou) 2022年12月11日
持株会社への移行と2030年に向けた事業戦略
POSCO Lithium Solution, POSCO-Argentina,etcがリチウム事業を担う。 pic.twitter.com/8a0ZJaVa8a
ポスコ2022年1月IR資料
— 令和の未来カエル (@chanmabou) 2022年12月11日
持株会社への移行と2030年に向けた事業戦略より。
Lithium : Become a global top 3 player by building
capacity of 220 K ton by 2030
ポスコリチウム生産規模:'21年 3千トン ⇒'30年 22万トン pic.twitter.com/yiU95jXQmm
ポスコ、アルゼンチン塩湖リチウム生産事業に1500億円追加投入(韓国経済新聞) - Yahoo!ニュース
2022年10月の記事ですが、
投資は今年末、アルゼンチン4000メートルの高地帯に位置する塩湖に炭酸リチウム生産工場を着工することを柱とする。炭酸リチウムをEV用バッテリーに入る水酸化リチウムに加工する設備は、来年上半期に国内で着工し、2025年下半期に竣工する。このような投資で年産2万5000トン規模の水酸化リチウム設備を構築する予定だ。ポスコホールディングスは、ここで生産したリチウムを系列会社のポスコケミカルと国内正極材メーカーに供給する。
とあり、今年はPOSCOがアルゼンチンへのリチウム採掘事業に巨額の投資をしています。
●ダブルスコープのイオン交換膜事業の分析-POSCOの苦境とリストラの歴史
↑の動画にて、ポスコのリチウム事業は相当、期待できるし、ダブルスコープのイオン交換膜事業も相当、期待できそうといった話をしています。
■ダブルスコープのPOSCO向け事業の将来性
https://www.thelec.kr/news/articleView.html?idxno=19056
2022年12月6日の記事(ダブルスコープの開示直後)で「W-ScopeはPOSCOにリチウム抽出用交換膜供給」という記事で、2024年の新製品の売上が200億ウォンの水準になる見込みであることが紹介されています。
上記の記事から、ポスコの2025年リチウム生産規模2.5万トンから、ポスコ2030年リチウム生産規模22万トンと8.8倍に拡大することが予想されます。
ポスコ向新規製品のWSK2030年も、2024年の売上予想20億円から8.8倍になると単純に考えると176億円です。ダブルスコープは15%のROICを目標としており、そのためには10%程度の営業利益は必要ですから、10%程度の営業利益として2030年には約17億円の営業利益がPOSCO向新製品だけで期待できます。EPSに加算される当期利益が、17億円ンの4割だとして、約7億円で、PER10倍で約70億円です。
ダブルスコープの株価は1500円で時価総額約900億円ぐらいですが、時価総額に70億円程度の価値のある新事業(株価がプラス100円程度上昇)とえいます。
ただ、残念ながら、12月7日に1,800円の終値をつけ、その後、12月23日に1,339円まで下がっています。この下落の理由は別のブログで分析したいと思います。
■ダブルスコープのイオン交換膜事業の将来性
将来的に当社の製品を使用して、今までイオン交換膜を使用していない鉱物抽出、Green水素(水電解), 燃料電池、水処理、バイオ等の分野への参入を視野に入れています。そのため、調査会社の試算に基づき、参入可能である市場規模を
— mona (@monado60175640) 2022年12月8日
集計して112兆円と見積もっています。
IR問い合わせ回答より☆
(^ω^)
とIRに確認した方がいて、
2. イオン交換膜
機 能 : 溶液の中に溶けている陽イオンもしくは陰イオンを、電気的特性を利用して選
別して抽出する膜です。当社のイオン交換膜は塩水もしくはリチウムが溶解し
ている化合物から水酸化リチウムを直接抽出します。
応用市場 : 鉱物抽出、Green 水素(水電解), 燃料電池、水処理、バイオ等
市場規模 : 2024 年 112 兆円(通常2~3 年毎に交換が必要な消耗性材料)
成 長 率 : 25.45%(年平均)
の112兆円という数字は間違いではないようです。
イオン交換膜は、濾過用、純水精製用、人工透析用フィルター、塩、水素、薬品、鉱物採取の精製など非常に用途が広く、既にそれぞれの市場で強い企業があるので、簡単に参入して成功できる市場とは思えません。
塩湖からリチウムざくざく、原子だけ3倍通す東レの超フィルター | 日経クロステック(xTECH)
上記の記事では東レのイオン交換膜について紹介しています。
孔の大きさにより、小 RO膜・NF膜・UF膜・MF膜 大といった様々な種類があり、
透水性を高めようと膜の孔径を大きくすると、透過するイオンなどの選択分離性が低くなるというトレードオフの関係があるなど、製造ノウハウなど蓄積している既存企業が強みを発揮しそうです。ダブルスコープのセパレーターの技術がそのまま応用できる分野も少ないように思えます。
強い競合企業が存在して、参入障壁の壁が高いことは、ダブルスコープの崔元根社長をはじめ関係者も百も承知でしょう。
ただ、112兆円という数字を出してきたことに、ダブルスコープの自信を私は感じました。根拠のない自信でしょうか。
既に技術を確立している会社(今回のPOSCOのような会社)から製造受託事業をするなら、ダブルスコープの生産技術の強みも生かせて、新規参入も容易かと思います。
半導体業界のTSMCのような受託製造企業のイメージで、ダブルスコープがイオン交換膜の受託製造企業として、世界の製造シェアの1%程度を確保することも可能かも知れません。
112兆円のシェア1%、営業利益10%確保できたとして、営業利益 1120億円です。
当期利益が4割出してい448億円という計算で、PER10倍なら4480億円です。
こういった将来性を考えると、今のダブルスコープの時価総額(12/23時点 739億円 終値1339円)は安すぎるように思います。
2022/12/23 #ダブスコ
— 令和の未来カエル (@chanmabou) 2022年12月23日
今日のダブルスコープ株価
終値 1,339 -76(-5.37%) 前日終値 1,415
始値 1,381 高値 1,389(9:03) 安値 1,336(12:30)
移動平均・乖離率
5日 1,418 -5.62%
25日 1,672 -19.96%
75日 1,806 -25.89%
出来高 385万株
売買代金 52億円
時価総額 738億円
イオン交換膜の新規事業の価値で、現状の株価の時価総額の6.06倍の価値、株価でいうと8114円の価値が加算される可能性も
あくまで将来性を上記のような目論見で妄想すると、安いという話です。
私は『買い煽りじゃないけど』と前置きして、買い煽りに近い話をする人は嫌いです。
ですので、買い煽りに近い話をするときは、『買い煽りですけど』と前置きするべきだと思います。
買い煽りですけど、ダブルスコープの新規事業イオン交換膜の将来性を考えると、今の株価は安すぎると思います。
ただ、『甘い、甘すぎるよ、ダブルスコープのイオン交換膜の将来性に期待して、ダブルスコープの株価が8000円を超えると思った人ぐらい甘い』
とスピードワゴンのネタで、使用されるぐらい甘い話なのかも知れません。
読んで頂き、ありがとうございました。
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#ダブル・スコープ6619