W-SCOPE インサイダーが買う株を狙え

■はじめに

『インサイダーが買う株を狙え』といったピーター・リンチの投資手法やダブル・スコープ崔社長の新株予約権の発行、行使についての解説し、崔社長が新株予約権の行使で株式取得を急いだ理由(実際には急いでいませんでしたが)、復配の可能性など考察したブログ記事です。

↓のブログに続く、W-SCOPEに関係する記事です。

▼目次

 

 

 

■ピーター・リンチの『インサイダーが買う株を狙え』

「テンバガー(10倍株)」という言葉を世に広めたのは、伝説的な米国のファンドマネジャーのピーター・リンチです。

ピーター・リンチは、米運用大手フィデリティの「マゼランファンド」を1977年から13年間運用。平均で年率29%のリターンを出し、純資産総額を700倍に増やしました。

個人投資家向けに株式投資のノウハウを解説した著書『ピーター・リンチの株で勝つ』などは、世界的なベストセラーになりました。

 

ピーター・リンチは、13項目に及ぶ自らの投資手法、投資哲学を自著などで公開していますが、その12番目に挙げられているのが「インサイダーが買う株を狙え」というものです。

ここでいうインサイダーは主に経営者です。

経営者が自腹で自社株を買う動きを見せるのは、
自社の情報を一番把握しているはずの経営者が、今後の経営による企業の成長と株価上昇に確信をもっているからこそできる行為といえるからです。

■W-SCOPEの究極のインサイダーは崔元根氏

崔元根氏は、創業者で信託銀行の持分を除ければ、筆頭株主です。そして、現在の代表取締役社長でCEO(最高経営責任者)で、W-SCOPEの経営状況な内部情報が一番わかる立場であり、究極のインサイダーといえますが、その崔元根氏が株を買いまいた。

 

2022年6月2日付に提出された株式大量保有 変更報告書によると、
崔元根氏のWSCOPE株式保有比率は9.01%→13.69%に増加させています。

保有株式は4,972,000株→7,972,000株と増え、ちょうど3,000,000株取得しました。

この取得は第三者からの取得、市場での取引でなく、新株予約権の行使により新規発行されたものです。

■訂正 新株予約権は行使されていない

崔社長の保有株式は4,972,000株(うち潜在株705,000株)→7,972,000株(同3,705,000株)で増えたのは潜在株でした。

潜在株式とは、普通株式を取得することができる権利や、普通株式への転換請求権等が付された証券又は契約をいい、新株予約権転換社債型新株予約権付社債転換予約権付株式などをいいます。

つまり、今回報告されたのは、新株予約権が発行されたというだけで行使されていませんでした。

 

 

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新株予約権とは

 2022 年5月 12 日付で開示された
『募集新株予約権(株価コミットメント型有償ストック・オプション)』の発行に関するお知らせ』の内容を解説します。

勝手に想像して創作した崔社長とその奥さんの会話風で、解説したいと思います。

会話はもちろんすべてフィクションです。

 

崔社長『今月、会社から新株予約権1個2400円の3万個で買うから。
1個は株式100株分ね。口座から会社の口座に7,200万円振り込んで。』

 

奥さん『なに、その新株予約権って。よくわからないけど、そんなに会社の経営が厳しいの。あまり、無理しないで、そろそろ会社をたためば。会社が倒産しても、私はあなたについていくわ。』

 

崔社長『別に会社にお金がないわけじゃないよ。新株予約権を買って、株を取得したいんだよ。』

 

奥さん『あなた、もうたくさん株を持っているじゃない。でも、100株 2400円で変えるならいいわね。いま、買ったら10万円ぐらいするもの。1個100株ですぐ売っても9万円ぐらいの利益ね。300万株なら、30億円ぐらいの利益。社長ってそんな美味しいことできるのね。今まで頑張ってくれてありがとう!』

 

崔社長『違う。違う。買うのは新株予約権新株予約権は株でなく、あくまで株を買う権利だよ。』

 

奥さん『そうなの。じゃ、普通に市場で買ってもいいじゃない。』

 

崔社長『それは、いろいろ規制があって難しいから。あと、浮動株が少なくなって、流動性も悪くなるし、新株発行してもらったほういいし。』

 

奥さん『当然、安く株価は買えるのよね。』

 

崔社長『新株予約権をもらった日の終値だよ。例えばその終値1000円で、株価が上がって3000円になれば1株2000円の儲けだね。』

 

奥さん『逆に500円に下がっていれば、その時は新株予約権を行使しなければいいのね。市場で500円で変えるのに、1000円で買う馬鹿いないものね。』

 

崔社長『いやそれがさ、違うんだ。

割当日から本新株予約権の行使期間の終期に至るまでの間に金融商品取引所に
おける当社普通株式の普通取引終値が一度でも行使価額に 50%を乗じた価格を
下回った場合、新株予約権者は残存するすべての本新株予約権を行使期間の満期
日までに行使しなければならないものとする。

と開示されてるだろ。』

 

奥さん『どういう意味?』

 

崔社長『500円に下がったら1000円で買わないといけないという意味だよ』

 

奥さん『あなた、さらっというけど、300万株だから、そうなったら15億円の損じゃない。そういえば、令和の未来カエルさんのブログ(↓)

で、そんな話が紹介されていたわよ。

KeyHolderという日本の会社で、秋元康さんは、新株予約権 約2500万株分、これを1株当たり125円で強制行使して、約31億円出資したみたい。行使価格の半分62円以下まで下がった場合、強制行使する契約だったみたい。』

 

奥さん『何のために、そんなことするの?』

 

崔社長『だから、開示にある通り、

中長期的な業績拡大を目指すための大きな転換期を迎えており、当社グループの結束力をさらに高めるためのリーダーシップの発揮及び企業価値増加に対するコミットメント

が目的だよ。』

 

奥さん『株価、企業価値があがったら、あなたが儲かるようにすれば、そして、下がったら損するなら、あなたも頑張るということね。』

 

崔社長『まあ、そんなことだね。株主総会でも株価の下落、低迷について、質問をもらったしね。損している株主も多いから、先ず隗より始めよという感じかな。』

 

奥さん『そこまでして、株価が上げたい理由があるの?』

 

崔社長『コロナも収束していきたから、そろそろ日本に行きたいし。日本は損をしている株主が多いし、知り合いにもいるから、会いずらいじゃん。それに、やはり、株主総会は、晴れの場だから、ドヤ顔でのぞみたいし。ここ数年の株主総会は、株主の顔見るの怖かったぞ。』

 

奥さん『あなたのドヤ顔のために、7,200万円を使って、15億円損するかもしれないなんて。』

 

 

■『もし』すぐに行使された新株予約権

(もし、仮に新株予約権がすぐに行使されたら、たらればの前提での記載です。

私がすぐに行使されたと勘違いして、記載した内容ですが、せっかくなのでそのまま残してしておきます。)

 

2022年5月31日 付で開示された
『募集新株予約権(株価コミットメント型有償ストック・オプション)の発行内容確定に関するお知らせ』や先に紹介した株式大量保有報告書の内容を考察したいと思います。

前の章と同じく、できるだけわかりやすく、イメージできるように
勝手に想像して創作した崔社長とその奥さんの会話で解説しています。

 

奥さん『そういえば、この前の新株予約権の行使価格の株価、昨日5月31日の終値だから1,125円ね。それより、上がったら行使すればいいのね。』

 

崔社長『ごめん、言っていなかったけど、もう行使した。会社に33億円7500万円払ったよ。』

 

奥さん『えー。あなた、馬鹿じゃない。借りたお金だと思うけど、金利だってすごい額だよね。3%の金利でも、1億円よ。仮にへそくりからだしたとしても、それを1%で運用すれば、3300万円毎年収入が増えるのに。最近、金利も上がってるわ。』

 

奥さん『行使期間は、2022年 6 月 1 日から 2032 年 5 月 31 日までだから、急いで行使する必要あったの? しかも、今日6月1日の株価は終値で1140円だから、行使価格より下がっていて損しているわよ。』

 

奥さん『なんで、そんなに急いで行使する必要があったの』

 

崔社長『その理由は。。。』

W-SCOPEの直近1カ月の株価チャート

 

新株予約権をすぐに行使した理由は(実際には行使していない)

(もし、仮に新株予約権がすぐに行使されたら、たらればの前提での記載です。

私がすぐに行使されたと勘違いして、記載した内容ですが、せっかくなのでそのまま残してしておきます。)

 

崔社長が新株予約権を引き受け後、直ちに行使して、株式を取得したのは、なぜでしょうか。


行使期間は、2032年5月31日まであるので、約34億円の資金負担をしてまで、急いで株式を取得(購入)した理由は正直、よくわかりません。

 

W-SCOPEは無配ですし、仮に復配したとても、今期末2022年12月末時点の保有者が対象になると思われるので、急いで買う理由もないでしょう。

 

取得した株式を機動的に売却して、キャピタルゲインを狙うことも考えていたのかもしれませんが、すでに大量の株式を保有しており、株価・株主対策を考えると、株式の売却も考えにくいです。

 

あえて探すと、税金対策(節税、課税の繰り延べ)の可能性もあります。

No.1543 税制非適格ストック・オプションに係る課税関係について|国税庁

といった国税庁の解説によると、ストックオプションは、新株予約権の権利行使時に
(権利行使時株価 - 権利行使価格) × 株式数 = 所得金額
とみなされ、課税される場合もあります。


仮に1,625円まで株価が上昇して行使すると、
(1,625 - 1,125) × 300万株 = 500 × 300万株 = 15億円の所得とみなされ、課税対象になります。
給与所得となれば、40%程度の実効税率のため、6億円の税金を支払う必要があります。

 

崔社長の居住地は韓国のため、適用されるのは韓国の所得税法ですが、日本と同じような制度だった場合、税金対策(節税、課税の繰り延べ)で、あえて、株価がまだ本格的に上昇する前に、行使価格で株式を取得した可能性があります。

 

実際に、5月31日の新株予約権発行 行使価格1,125円から、わずか半月で6月17日終値1,555円と株価は38%上昇してます。

株価が安いときに行使をしたいという目的なら、行使のタイミングは間違っていなかったようです。

新株予約権の発行、そしてその行使から、2022年5月には、崔社長は、株価上昇に確信に近い強い自信があったのでしょう。

 

なお、オーナー経営者が筆頭株主の会社は、株価の上昇が期待できるといわれます。

そんな話のブログ記事↓です。

■復配も近いかも

(もし、仮に新株予約権がすぐに行使されたら、たらればの前提での記載です。私がすぐに行使されたと勘違いした記載ですが、せっかくなのでそのまま残してしておきます。ただ、新株予約権を行使し、株式取得、保有を続けるのであれば、税金支払も含めて、相当の資金負担が必要で、借入も必要だと思われ、そのための金利負担を考慮して、復配される可能性もあると思います。)

 

新株予約権行使で必要な約34億円は、崔社長は、どこから調達したのか、気になります。

 

創業時もベンチャーキャピタルから出資を受けていますので、崔社長個人のキャピタルゲインもそれほど多くないでしょう。

2021年期の役員報酬は総額1.83億円で、社外取締役を除く取締役は3名です。

崔社長の役員報酬は1億円※なさそうで、株式取得に必要な約34億円と比べると、少なく、役員報酬だけだと明らかに不足しそうです。

※2021年度の有価証券報告書で 連結(グループ)の役員報酬総額だと1.83億円 単体の役員報酬総額だと0.44億円でした。 WCP等から役員報酬があったとても、崔社長の役員報酬は、もらっていても1億円超えないぐらいでしょう。

 

おそらく自己資金でなく、銀行などからの借入で調達したものと思われます。

仮に3%の金利負担だとすると約1億円の金利負担で、現状の役員報酬の中から支払うのは厳しいでしょう。

もしかしたら、この金利の支払に、ダブルスコープの配当を期待しているのかもしれません。

 

2015年12月期には、1株5円(2016年7月に1株から2株への分割を実施しているので、分割前なら1株当たり配当額10円です。1株当たり配当額10円には、創立10周年記念配当5円を含んでいます)の配当を実施しています。

2016年12月から2018年12月までは2.5円の配当も実施しています。

当時の株価で、配当利回りは1%以下で、決して高い配当ではないですが、今後、業績回復、復配、増配も期待できるように思えます。

崔社長のふところ事情からも、復配が期待できるかも知れません。

 

なお、崔社長の持ち株数7,972,000株(新株予約権が行使された場合)で、

1株10円の配当だと、0.79億円

1株15円の配当だと、1.19億円

1株20円の配当だと、1.59億円

1株30円の配当だと、2.39億円

と崔社長の配当収入(税抜き)です。

 

ちなみに、崔社長の持ち株数4,267,000株(新株予約権が行使されない場合)で、

1株10円の配当だと、0.43億円

1株15円の配当だと、0.64億円

1株20円の配当だと、0.85億円

1株30円の配当だと、1.28億円

と崔社長の配当収入(税抜き)です。

 

崔社長の株式取得資金(約34億円)が借入でその金利負担を考えた場合、一株20円ぐらいの配当(復配)も可能性が高いと考えています。

 

 

■本の紹介

ピータリンチ氏の投資手法、投資哲学が解説している本をいくつか紹介します。

アマゾンのレビューや解説(概要)を読むだけでも参考になること、示唆を受けること、勉強になることがあることがあると思います。

 

 

 

 

 

 

 


誤字脱字すいません。この記事は、正確性を保証するものでもなく、投資を推奨、勧誘するものでもなく、筆者の個人的な見解を述べているものです。

以上

Mazarsに監査法人を変更した企業の株は上がる説

■はじめに

とある本に、『監査法人(会計監査人)を変更した企業の株は上がる説』が紹介されていました。

ダブルスコープもMazarsに監査法人を変更し、その後の株価は上昇していますが、Mazarsに監査法人を変更した企業は買いかもとそんな思い付きの考えを紹介したブログ記事です。

↓のブログに続く、W-SCOPEに関係する記事です。

▼目次

 

 

 

■とある本の紹介

とある本とは
東大金融研究会のお金超講義――超一流の投資のプロが東大生に教えている「お金の教養と人生戦略」伊藤 潤一著 2022年3月発売 という本です。

 

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その中の一説を紹介します。

第1章東大金融研究会で学ぶ お金の授業 57ページから58ページより

私は、誰にでも使えるデータの中にも有効なものがまだあると思っています。
たとえば「監査法人の変更」に着目してみましょう。
運用者はこれを「企業側が会計上、無理なことを通そうとしたのではないか」
監査法人が面倒を見切れなかったのでは」などネガティブな情報とみなすことが多いはずです。
そのうえで実際はどうなのか、監査法人を変更してから30週後の株価を調べて検証しました。結果はどうなったと思いますか。
なんと、勝率80%という高い数値が出たのです。

なぜ、このような結果になったのでしょう?
おそらく、監査法人の変更で「膿が出る」のでアナリストの予測水準より利益が下がります。しかし、次の期には「膿が出し切った効果」が現れはじめ、当初のアナリストの予測に近い利益が出ます。ところが、前期の利益が予測より下がったので、アナリストの「次の期の予想水準」は当初より下がっています。
 このメカニズムにより、アナリストの目線と実際の利益のギャップが生じたため、勝率80%という数字が出たのではないかと思います。

 

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■単なる偶然か

監査法人(監査人)を変更してから30週後に株価が上がる確率が高いというのは単なる偶然の可能性が高いかもしれません。

30週後でなく、10週後、1年後など別の基準で比較した場合は、株価が下がっていたかもしれず、30週後というの期間の取り方自体、期間の取り方が一つという恣意性も少し感じます。また、そもそもどのような期間で抽出した企業で対象にしたのかも詳しくはわかりません。

もちろんたとえ、恣意性があったとしても著者に悪気はなく、使われていないが、誰にでも使えるデータの中にも有効なものがあるという主張の一つの例えに用いただけでしょう。

 

 

監査法人の変更はコスト意識の高さか

単なる偶然でないとしたら、監査法人(会計監査人)の変更は、コスト意識の高さが理由かもしれません。コスト意識の高い企業は株価の上昇も期待できるかもしれません。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000433.000043465.html

2021年は監査法人の異動が急増 トレンドは「大手から中小」|TDBのプレスリリース

2021年に監査法人の異動を発表した上場企業は、219社と前年(142社)を大きく上回った。2015年の東芝の不適切会計問題をきっかけに監査の厳格化が求められるようになったことに加え、リスク情報の開示など開示情報量の拡充による監査作業負担の増加に伴い、昨今、監査費用は増加基調で推移している。それに伴い、事業規模に応じて監査費用を抑えたい企業側の意向により、大手から中小規模への異動が多くみられた。

こういった記事をみると、監査費用の削減というのも監査法人の変更の大きな理由であることがわかります。

コスト意識の高さというより、監査費用の削減が必要なほど経営状態が厳しいことが会計監査人の変更の理由となる企業もあると思います。
そういった企業で、株価は底値圏で、今後株価の上昇が期待できるかもしれません。

 

 

■ダブルスコープの監査法人の変更

2022 年2月14 日に開示があり、3月25日(株主総会の決議日)から、あずさ監査法人から、Mazars 有限責任監査法人へ変更すると報告され、実際に株主総会の決議を経て変更されています。

変更となった理由は開示資料に以下の通り、報告されています。

異動の決定または異動に至った理由及び経緯
当社の現任会計監査人であります有限責任 あずさ監査法人は、2022 年3月開催予定の第 17期定時株主総会終結の時をもって任期満了になりますが、監査法人をめぐる環境が厳しい中、監査工数が増加する傾向にあるとして契約更新の辞退の申し出がありました。これを受け、当社といたしましても、当社の規模に適した監査費用の相当性やグローバル対応能力を考慮し、複数の監査法人と協議を行い、当社の事業規模や近年の経営環境等を踏まえて総合的に勘案し、上記3の理由により、Mazars 有限責任監査法人を新たに会計監査人として選任することといたしました。

 

「契約更新の辞退の申し出」というのが、何か悪い予感を感じさせるような内容ですが、「監査工数」に見合う「監査報酬(監査費用)」について合意されず、つまり、監査報酬が安すぎるということで、最終的に監査法人から監査契約の辞退となったのかと察しています。

 

■Mazars 有限責任監査法人とは

ダブル・スコープの会計監査人となったMazars 有限責任監査法人について調べてみました。
Mazars 有限責任監査法人は、フランスに本拠を持つ国際的な会計監査、コンサル事業を展開するMazars グループの日本拠点です。

Mazarsの概要 - Mazars - 日本

Mazarsの日本拠点のサイトを見ると、    

Mazarsは、クライアントが自信を持ってビジネスを構築し、成長するのを支援することを約束する、国際的な監査、税務、アドバイザリー・ファームです。
1945年に、ロバート・マザーがフランスのルーアンに会計事務所を設立して以来、私たちは長い道のりを歩んできました。これらのささやかな始まりから、現在ではMazarsは、Mazars North America Allianceを通じた 16,000 人のプロフェッショナルを含む 90 以上の国と地域で、 44,000 人以上のプロフェッショナルで構成される国際的なグループに成長しました。
監査は、70年以上にわたり我々の専門知識の中核をなしてきました。コンサルティングとファイナンシャル・アドバイザリーのバランスの取れたポートフォリオ、税務、コンプライアンス、法務サービスによって補完され、クライアントの進化するニーズをサポートし続けています。

と紹介されており、老舗の国際的には大手の監査法人のネットワークであることがわかります。

グローバル会計ネットワークのランキングと日本での提携状況 | 汐留で働く公認会計士のブログ

によると、世界的には14位ぐらいの規模となる国際的な大手の監査法人のネットワークのようです。このサイトによると、、Mazarsはマザーと読むらしい。

Mazarsは、日本の監査法人としての知名度はほとんどないです。監査法人知名度といっても、ほとんど人は、EY新日本、トーマツ、あずさ、PwCといった大手の監査法人程度しか知らないし、名前を聞いたことがあると程度で知られているのが
仰星監査法人、京都監査法人、三優監査法人、太陽有限責任監査法人、東陽監査法人、優成監査法人といった準大手の監査法人でしょう。
国際的な規模と比べて、日本において知名度が低い理由としては、上場企業に対する監査業務を開始したのが、2020/2021年度(2020年9月1日~2021年8月31日)と比較的直近であることがあると思います。

 

■Mazarsに監査法人を変更した企業

おそらくMazarsは、監査報酬の高さを問題視する企業に営業している可能性があります。
Mazarsに監査法人を変更している企業は、特にコスト意識の高く、そういう企業は株価の上昇も期待できるかもしれません。
試しにMazarsに監査法人を変更した企業の株価を調べてみました。
インターネットで、「Mazars 監査人 異動」と言いたキーワードで検索して調べてだけなので、他にあるかも知れません。

 

コード

社名

前監査人

開示日と株価

決議日と株価

直近株価

開示日からの上昇率

7758

セコニック

EY 新日本

2021/5/25

895円

2021/6/28

871円

※3395円

2022/3/15に上場廃止

+ 279 %

7999

MUTOH

EY 新日本

2021/5/27

1598円

2021/6/25

1578円

2127円

+ 33%

3739

コムシード

太陽

2021/5/25

229円

2021/6/23

234円

410円

+ 79%

6444

サンデン

あずさ

2021/6/25

361円

2021/6/25

361円

208円

- 42%

6619

W-SCOPE

あずさ

2022/2/14

1046円

2022/3/25

726円

1380円

+ 32%

7859

アルメディオ

アーク

2022/5/23

166円

2022/6/24

163円

- 2%

※セコニックはTCSホールディングス(東京)の子会社がセコニック株に対しTOB(株式公開買い付け)を実施し、上場廃止になった。TOB価格は1株につき3400円。

 

↑の表のように、アルメディオは期間が短いので集計対象外とすると、サンデン以外は、ダブルスコープをはじめ、大きく上昇しています。

また、セコニックはTOBの対象となりましたが、監査法人を変更する企業は、買収する企業と監査法人を合わせたほうが都合がよく、監査法人の変更はTOBも含めたM&Aの予兆になることもあるように思います。


サンデン、アルメディオともに経営不振が続き、経営再建中という企業なので、
コスト意識の高さというより、監査費用の削減が必要なほど経営状態が厳しいことが会計監査人の変更の理由となる企業かも知れません。株価は底値圏といえ、今後株価の上昇が期待できるかもしれません。

 

 

■本の紹介

監査法人(会計監査人)を変更した企業の株は上がる説』が紹介している伊藤潤一さんの他の本を紹介します。

伊藤潤一さんは、

1993年東京大学卒業後、三和銀行(現・三菱UFJ銀行)入行。その後、モルガン・スタンレー・アセット・マネジメント(現モルガン・スタンレー・インベスト・マネジメント)、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントを経て、2002年にヘッジファンドの世界へ。グローバル大手のミレニアム・キャピタル・マネジメントなどを経て現在はダイモン・キャピタル・マネジメント・ジャパン。一貫して日本株のロング/ショートのポートフォリオ・マネージャー。約20年間ヘッジファンド在籍は日本人では稀有。
2019年12月に東大金融研究会を創設。発足時の10人足らずから、2年で約1000名が参加し、東大新入生の20人に1人が入る大人気研究会となり、注目を集める。
Twitterでは大空翔(@ozorakakeru)として投資情報を投稿中。

といった経歴の方で、投資、金融の世界では、プロ中のプロと呼んでもおかしくない方です。

 

 

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以上

インフレの悪影響-W-SCOPE 2022年12月期1Q決算より

■はじめに

ダブルスコープの2022年1Q決算から原材料高などインフレの影響を調べたブログです。
結論からいうと、ダブル・スコープの2022年1Q決算を見る限り、原材料高などインフレの悪影響はは、それほど心配しなくてよさそうです。#6619

 

ロシアへの経済制裁や中国のゼロコロナ政策による上海地域のロックダウンなどサプライチェーンの混乱などで、燃料高、電気高、原材料高が話題です。米国では景気過熱から人手不足で、人件費も上昇し、昨今は景気抑制から金利があがり、株式市場全体も下落傾向です。まさに世界はインフレの時代という印象です。

 

ダブルスコープは、2022年05月12日に2022年12月期1Q(第1四半期)決算が開示されました。Wスコープ株価は、決算翌日5月13日は、前日の終値838円からストップ高の988円と高騰し、5月20日終値で1,208円と、決算前から44.15%も上昇しています。

株価も、原材料高などインフレはそれほど心配していないのでしょうか。

に続けてのダブルスコープに関するブログ記事です。

 

 

■2022年1Q決算から考えるインフレの影響

● 2022年1Q決算説明資料から考える原材料費率など

2022年1Q決算説明資料の営業利益増減要因から、
それぞれのコストの増加分 を売上増加分で割って、それぞれ費用が売上高に占める比率を計算しまいた。
()内の記載は、2021年12月通期との比較です。

2022年12月期1Q(1月から3月分)

  • 原材料費503百万円 ÷ 売上高2,811百万円 = 17.89%(マイナス2.62%)
  • 人件費 252百万円 ÷ 売上高2,811百万円=8.96%(マイナス2.74%)
  • 水道光熱費 568百万円 ÷ 売上高2,811百万円 = 20.20%(プラス12.1%)
  • 運送費※ 313百万円 ÷ 売上高2,811百万円 =11.13%(プラス0.24%)

 ※決算説明資料によると、梱包費と表現されています。
 ()内は、2021年通期の比率と比較です。

 

● 原材料費率は低くなっている

2021年通期の原材料費率の推計と比べると、マイナス2.62%と原材料費は低くなっています。

ポリエチレン・ポリプロピレン値上げ表明相次ぐ : 日本経済新聞

こういった記事から、
セパレーターの主原料となるポリエチレンとポリプロピレンの価格が1割から2割程度は上昇していることはうかがえます。

生産性の向上が原因か、長期契約で原材料費の購入価格はまだ上がっていないのかはわかりませんが、すくなくともダブルスコープの2022年1Q決算を見ると、原材料高の影響はないようです。

 

● 気になる水道光熱費(ガス代)の上昇

2022年12月期第1四半期報告書によると
営業利益に関しては、売上高が前年同期比2,811百万円の増収となりました。一方、製造原価及び販管費に関しては、販売数量の増加に伴い原材料費503百万円、減価償却費413百万円、人件費252百万円などの増加となりました。これらに加え世界的な燃料高騰の影響を受け、当社の製造子会社2社を運営する韓国でも当第1四半期連結累計期間にはガス代が期中平均で前年同期比70%以上上昇したことから 水道光熱費が前年同期比568百万円の増加となりました。これらの結果、営業利益は前年同期比277百万円増加し、439百万円(同171.1%増)となりました。
とあります。

という記載があり、ガス代の上昇が気になります。

韓国の場合、原子量発電の比率が高く、かつ、政策的に電気料金が安いため、水道光熱費の上昇もそれほど心配はしていませんでしたが、ガス代の上昇による水道光熱費の大幅な増加が想定外でした。


おそらく、ガス価格はその時の市場価格を参考に購入するような契約になっており、ロシアのウクライナ侵攻によるロシアへの経済制裁の影響で、天然ガスが高騰したことが影響したのかもしれません。

化学プラント工場ではボイラーがよく利用されます。
化学プラント工場では大規模した蒸留技術が使用されており、原油を加熱し、蒸気を冷却することで重油軽油、灯油などの石油製品を作っているからです。
ダブルスコープのセパレーター工場でも、蒸留、加熱、乾燥などの用途でボイラーが利用され、その燃料がガスなのかもしれません。

 

天然ガスLNG液化天然ガス)価格動向(直近2年)(直近2年)

天然ガスLNG液化天然ガス)価格動向(直近2年)

上記の天然ガスLNG液化天然ガス)価格動向(直近2年)を示すチャートは

2022年4月|JOGMEC石油・天然ガス資源情報ウェブサイト

から取得したものです。
北東アジアのアセスメントされたスポットLNG価格JKM(期近分)USD100万Btu※は、2021年代は10米ドル台で推移して、2022年1月と2月は20米ドル台で推移し、3月にはロシア産パイプラインガス供給中断の懸念に伴って一時急騰し80米ドルを上回り急騰、その後30米ドル台で推移しています。当初30米ドル台で推移したが、後半にかけ24-26米ドル台まで下落しています。
こういったガス価格の推移から、
おそらく、1Qのガス代の高騰は、2月に発生したロシア産パイプラインガス供給中断の懸念で、一時的なものと考えてもいいかもしれません。

2022年12月期 第1四半期決算説明資料にも、

営業利益の通期見込み として、

□1Qには燃料費高騰の影響を受けたが、(特にガス代単価が前年同期比70%以上に高騰)2Q以降光熱費削減への取組み等により使用量が減少し改善する見込み

という説明があります。

 

ダブルスコープも生産方式の改良や契約方式の見直しで、ガス代の高騰に対する対策も実施するでしょうから、その点も期待したいです。

ちなみに、Btu は、標準気圧下において質量 1 ポンド(約4.53リットル)の水の温度を 60.5°F から 61.5°F まで上昇させるのに必要な熱量を示す、ガスの量を表す単位です。

 

● 運送費のピークアウトか

運送費の売上に対する比率(推定)は、11.13%(プラス0.24%)とわずかに上昇しています。
ただ、
https://www.nyk.com/ir/financial/shipping/

海運市況 | 日本郵船株式会社

で確認されている日本郵船の海運市況の動向や

BDIY 銘柄 - バルチック海運指数 名称 - Bloomberg Markets

で確認できるバルチック海運指数(世界的な海運市況の参考指数)の動向をみると、
2021年の10月頃がピークで、その後は大幅に下落、調整していることがわかります。

 

↑のブログで、2022年業績予想の説明内容を文字起こししていますが、

営業利益のところでは先ほど申し上げました通り、まだ運賃の高止まりというのは、おりこまざるを得ない状況でございます。

といった説明があります。

 

2022年12月期 第1四半期決算説明資料にも、

営業利益の通期見込み として、

□ 輸送費用の高値は継続しているが予算折り込み済み

という説明があります。

 

去年の高騰時の海運市況を参考に計画していることもあり、これについても、今期の決算では心配しなくてもよさそうです。

● 人件費率は低下傾向

米国にように、景気過熱、人手不足による賃金上昇、人件費の上昇も気になりますが、
人件費は、先行投資的な意味が強いので、売上の増加より前に上がる傾向が強いです。
ダブルスコープの場合は、実際に、
対売上人件費率(推計)8.96%(対前年通期 マイナス2.74% 対前年1Q マイナス2.2%)と下がっています。

ただ、人件費は固定費ですから、固定費の比率が下がるということは、限界利益率が下がっていることになります。

● 限界利益率は下がっている

2022年12月期1Q決算説明資料より

人件費率の低下や水道光熱費、運送費(梱包費)の上昇の影響で、
2021年第1四半期 限界利益率 61.41%→ 2022年第1四半期 限界利益率 55.38%
限界利益率はややさがっています。
限界利益率は
限界利益(売上高 - 変動費) ÷ 売上高 

で計算できます。

売上高が分母ですから、売上高が増えれば、限界利益率も下がります。

ただ、水道光熱費、運送費の上昇で変動費が増えたことも、限界利益率が減った要因でしょう。
限界利益率が高いということは、変動比率が低く、売上増にともなう利益増加率が高いということです。

 

例えば、

売上高300億円の時は利益はゼロの会社が売上高 300円→400億円と増収になった場合を考えます。

限界利益率 60%であれば、固定費は180億円、変動費120億円です。

売上高400億円の場合、固定費は変わらず180億円、変動費160億円ですから、60億円の利益、利益率は15%になります。

限界利益率 50%であれば、固定費は150億円、変動費150億円です。

売上高400億円の場合、固定費は変わらず150億円、変動費200億円ですから、50億円の利益、利益率は12.5%になります。利益の差は10億円、利益率の差は2.5%です。

 

上記のケースで、売上高 300円→500億円と増収になった場合を考えます。

限界利益率60% 売上高500億円の場合、固定費は変わらず180億円、変動費200億円ですから、120億円の利益で利益率は24%です。

限界利益率 50%であれば、固定費は150億円、変動費250億円で、100億円の利益に利益率は20%なります。利益の差は20億円、利益率の差は4%です。

このように、

限界利益率が高いと、売上の増加に伴う利益の増加、利益率の改善割合が高くなります。

ダブルスコープの場合、売上の成長も見込めるだけに、限界利益率が下がっていることは少し残念に思いました。

限界利益率については、以下のブログでやや詳細に説明しています。

私がダブルスコープに注目したきっかけの一つが、ダブルスコープの限界利益率の高さでした。

 

 

■本の紹介

株式投資に有益だと思われる本も紹介します。

●次はこうなる

 

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 2021年12月に発刊された本で、過去の週刊エコノミストの記事をまとめている本ですが、2022年以降の金利上昇や金、穀物価格の上昇なども的確に予想されています。

今後10年、20年という長期スパンで、経済、投資を考えるのに有用な本といえそうです。貨幣の価値が下がり、モノの価値が上がるのがインフレですが、今後10年、20年はインフレの時代となるかもしれません。

インフレの時代に強いのは、価格が上がる商品を生産、販売する企業、もしくは商品の価格を上げる価格競争力の強い企業でしょう。

ダブルスコープもそういった点で、インフレに強い企業といえるかも知れません。

 

『次はこうなる』著者の 相場研究家 市岡繁男さんが出演しているストックボイスの動画(2022年3月10日)こ の中で金鉱株への投資を紹介していました。

 

↓の画像はアメリカの金鉱株の指数に連動するETF(コード:GDX)のチャートです

3月10日は38ドル台でしたが、4月中旬に40ドルをつけましたが、5月には35ドルまでさがっています。円安ドル高効果で、円建てなら、3月中旬と比べても上昇していると思いますが、今後の金鉱株も楽しみです。

金鉱株ETFのチャート


▼金鉱株に関するブログ

金鉱株に関しては私も前から注目しています。

過去の金鉱株に関するブログも紹介します。

 

 

 

●決算に関する本

決算に関して面白くてためになると思う本をいくつか紹介します。

決算を見るポイントは、たくさんの企業の決算を見ることで、学ぶことが多いと思います。そういった意味で実例がたくさん記載された本がよく、自分が読んで面白かった本を紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

誤字脱字すいません。この記事は、正確性を保証するものでもなく、投資を推奨、勧誘するものでもなく、筆者の個人的な見解を述べているものです。

 

 

 

 

 

 

#ダブルスコープ  #6619

W-SCOPEのドル高メリット 2022年12月期1Q決算より

■はじめに

ダブルスコープは、2022年05月12日に2022年12月期1Q(第1四半期)決算が開示されました。

Wスコープ株価は、決算翌日5月13日は、前日の終値838円からストップ高の988円と高騰しています。

高騰の原因は、SBI証券との株価予約取引契約の影響かもしれませんが、株価が下がるような悪い決算ではなかったようです。

2022年12月期1Q決算説明資料に以前より詳しく記載があったドル高メリット(為替感応度)を考察しました。#6619

 

 

 

 

に続けてのダブルスコープに関するブログ記事です。

 

 

 

 

■2022年1Q決算説明資料でみる大きいドル高効果

● 決算説明資料の紹介

↓の画像の通り、2022年12月期1Q決算説明資料では、以前の2021年12月期通期説明資料より、詳しく為替感応度(ドル高)の影響が説明されています。

決算説明資料より為替感応度(ドル高メリット)

なお、前回の2021年通期決算説明資料の『KRW/y→ 10ウオン ウオン高で営業利益約40百万円減少』という記載が以前のブログ(↓)で説明した通り、理解が難しかったのですが、今回改めて開示された情報

  • ▼計画為替レート(想定為替レート)
  • JPY 113/USD
  • KRW 1,100/USD
  • ▼2022年1Q為替感応度(年額):
  • JPY/USD → 1円の円安で、売上高約333百万円増加,営業利益50百万円増加
  • KRW/USD →10ウォン安で、営業利益約290百万円増加

がより直近の情報を反映して、正確だと考えたいと思います。

▼以前のブログ

 

 

● 第1四半期の平均為替レートだと

2022年12月期 第1四半期報告書によると、

当第1四半期連結累計期間の平均為替レートにつきましては1米ドルが116.32円、1,000韓国ウォンが96.6円となりました。

といった報告がされています。

円ドルでの増益効果ですが、1ドル116円で計算した場合、

想定為替レート113円より、3円円安なので、

50百万円(0.5億円)×3=1.5億円です。

 

第1四半期連結累計期間の平均為替レートでウォンドルでの増益効果で計算してみます。

1000KRW(韓国ウォン) 96.6円を1ドル116.32でわると

(96.6 ÷ 116.32) = 0.83となります。

1000KRW = 116.32円=0.83USDとなり、決算説明資料の表現に合わせると

1204KRW=1USDとなります。

想定より104ウォン安ということで、

『10ウォン安で、営業利益約290百万円増加』という計算すると

290百万円(2.9億円)×(104÷10)=30.16億円となります。

 

為替レートによる増益見込額

円ドルでの増益 1.5億円 + ウォンドルでの増益 30.16億円

=約31.66億円

計画上の営業利益は、50億円なので、プラス約63%の結構な上振れ額となります。

 

 

● 直近(2022年5月15日)の為替レート

直近2022年5月15日の為替レートでは
JPY 129/USD(想定より16円円安)
KRW 1,278/USD(想定より178ウォン安)
となっています。

円ドルでの増益効果ですが、1ドル129円で計算した場合、
想定為替レート113円より、16円円安なので、
50百万円(0.5億円)×16=8億円です。

ウォンドルでの増益効果ですが、KRW 1,278=1ドルで計算した場合、
想定より178ウォン安ということで、
『10ウォン安で、営業利益約290百万円増加』という計算すると
290百万円(2.9億円)×(178÷10)=51.62億円となります。

 

為替レートによる増益見込額
円ドルでの増益 8億円 + ウォンドルでの増益 51.62億円
=約59.62億円
計画上の営業利益は、50億円なので、プラス約119%の結構な上振れ額となります。
計画上の営業利益の2倍になる計算です。

 

今後の為替レートの動きはわかりません。行き過ぎたドル高が訂正されるかもしれません。ただし、直近の1ドル130円近いドル高の状況を考えると、通期の平均為替レートが、第1四半期連結累計期間の平均為替レートより、ドル安になることは考えにくいので、大幅な増益要因になる可能性が高そうです。

■売上はほとんどドル建てで、経費はほとんどウォン建てか

ダブル・スコープの円建てでの業績は、良くも悪くも為替レートの影響が大きすぎるようです。
売上はほとんどすべてドル建てで、経費はほとんどすべてウォン建てと考えると、決算は円建てと考えると、納得できます。

● 売上のほとんどすべてドル建

まず、売上面ですが、今期の計画上の売上 380億円を想定為替レート1ドル113円で割り円→ドルに換算して計算すると、約3.36億ドルです。


これを想定為替レートより1円円安になったとして、1ドル114円でドル→円に換算する
約383.36億円となり、1円の円安で売上高が3.36億円増えることになります。

1円の円安で、売上高約333百万円増加
という会社の計算とほぼ同じ金額になります。

 

相手先も韓国企業のサムスンSDI、出荷先もサムスンSDIの韓国工場という取引も多く、こういった取引もドル建てというのは、日本国内の取引は円建てという日本人の一般的感覚から違和感がありますが、輸出の比率が大きい韓国内で珍しくないのでしょうか。

 

 

● 経費のほとんどすべてウォン建て

会社の今期計画上の売上380億円 から同じく計画上の営業利益 50億円を差し引いた330億円が経費だと考えます。

 

ウォンが1%下がれば、経費は円換算で、3.3億円減り、3.3億円増益要因となります。

『KRW 1,100/USD ・KRW/USD →10ウォン安で、営業利益約290百万円増加』
という計算だと、0.9%ウォン安で290百万円(2.9億円)となります。

 

330億円が経費、すべてウォン建てという前提で、
1%のウォン安で3.3億円増益という計算だと、0.9%のウォン安で、約2.9億円となり、会社側の試算している数字とも一致します。

 

 

■気になるウォン相場は

最近、ここ3カ月間ぐらいのドル高は、↓の画像に示した通り、円、ウォン、ユーロの対ドル相場のチャートのように、ほとんどすべての通貨に対して、ドルが高くなっています。対円では比較的大きなドル高となっていますが。

そのため、ダブルスコープもドル高の増収増益で、期待できる可能性は高そうです。

 

▼直近6カ月(11月16日から5月15日)の円、ウォン、ユーロの対ドル相場

直近6カ月(11月16日から5月15日)の円、ウォン、ユーロの対ドル相場

 

直近2022年5月15日の為替レートでは
JPY 129/USD(想定より16円円安)
KRW 1,278/USD(想定より178ウォン安)
ということで、想定はかなり保守的な為替となっていますので、少なくとも計画よりウォン高になる可能性は低そうです。

ただ、ウォンがドル・円両方に対して高くなるような事象が発生すると、大幅な減益要因となる可能性が高いので、今期は心配が不要ですが、リスクとしては考慮しておいたほうがよさそうです。

また、ドル高による増益をどの程度の株式市場が評価するかはわかりません。

ドル高が一時的、短期的で、会社の実力を伴わない一時的な利益という評価がされれば、それほど評価はされないでしょう。

 

 

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インフレの時代に強いのは、価格が上がる商品を生産、販売する企業、もしくは商品の価格を上げる価格競争力の強い企業でしょう。

ダブルスコープもそういった点で、インフレに強い企業といえるかも知れません。

 

『次はこうなる』著者の 相場研究家 市岡繁男さんが出演しているストックボイスの動画(2022年3月10日)で、金鉱株への投資を紹介していました。

↓の画像はアメリカの金鉱株の指数に連動するETF(コード:GDX)のチャートです

3月10日は38ドル台でしたが、4月中旬に40ドルをつけましたが、5月には35ドルまでさがっています。円安ドル高効果で、円建てなら、3月中旬と比べても上昇していると思いますが、今後の金鉱株も楽しみです。

金鉱株ETFのチャート


▼金鉱株に関するブログ

金鉱株に関しては私も前から注目しています。

過去の金鉱株に関するブログも紹介します。

 

 

 

●決算に関する本

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決算を見るポイントは、たくさんの企業の決算を見ることで、学ぶことが多いと思います。そういった意味で実例がたくさん記載された本がよく、自分が読んで面白かった本を紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

誤字脱字すいません。この記事は、正確性を保証するものでもなく、投資を推奨、勧誘するものでもなく、筆者の個人的な見解を述べているものです。

 

 

 

 

 

 

#ダブルスコープ  #6619

オウケイウェイブ回収不能債権49億円失った後の株価は

■はじめに

オウケイウェイブ(3808)49億円債権回収不能と株価への影響について解説したブログ記事です。
債権額、債券の弁済率(予想損失額)、時価総額、発行済株式数などから、現在の株価について考察しています。

 

 

 

■関連ブログ

 

■以前から注目して私も投資していたオウケイウェイブ

関連ブログで紹介している通り、主力事業を売却する以前より注目していました。

初めてのブログで取り上げたのは2020年8月8日 直近終値420円の頃でした。

 

その後、2021年5月にオウケイウェイブは2売上の9割程度を占める主力事業を売却して、前年度の2021年6月期末決算で、60億円の特別利益、40億円の税引き後の当期最終利益を計上しました。

2021年10月25日に終値で506円の高値を付けています。

 

オウケイウェブの1年間の日足チャート

しかし、2022年4月に会社から開示があった通り、資金運用を委託したRaging Bull合同会社が自己破産を申し立て、ちょうど前年度2022年の最終利益40億円とほぼ同じ金額39億円が回収不能(おそらく損失)となりそうです。

 

私も投資していました。結果は以下の通りです。
税抜きで42,300円の利益で、利回りにすると11.9%と投資期間は約1年なので、
特別配当の金額が大きかったこともあり、悪くない成績でした。

▼購入
時期:2020年10月から2021年2月 取得株数 1000株 平均取得単価 353.5円

理由:

FAQシステムの事業の価値から考えて、格安に考えたため。

 

▼売却
時期:2021年10月から2022年1月 取得株数 1000株 平均取得単価 365.8円

理由:

FAQシステムの主力事業を売却して得た資金の価値については、あまり反映されていない株価だったこともあり、将来の不透明さを感じたため、売却。


▼投資成績

売却益:12,300円 配当:30,000 (2021年6月期末特別配当 1株 30円)
税抜き利益:42,300円(売却益と配当の合計)

 

英語では「Soon gotten soon spent.(早く儲けた金は早く無くなる)」という慣用句があるそうです。「たやすい稼ぎはすぐ消える」といった意味もあるかと思いますが、オウケイウェブの事件は、株式投資ではM&Aで得たキャッシュを当てにした投資は危険といった教訓になるかもしれません。

 

 

■回収不能49億円の株価への影響

本題の回収不能の債権 49億円の株価への影響についての話となります。

 

投資話で資金を集めていたRaging Bull合同会社が破産へ(帝国データバンク) - Yahoo!ニュース

50億円取立不能のOKWAVE、問題発覚前に元社長が大量の株式を売却 - M&A Online - M&Aをもっと身近に。

といった記事があり、49億円の債権は回収不能となり、ほぼ全額損失となりそうです。

 

破産の場合、債権の弁済率は、悪い場合は0円の可能性もりますし、良い場合でも20%程度でないかと思われます。

会社の清算が目的の破産ではなく、同じ法的な債務整理で、会社の再建を目的とした会社更生の平均弁済率は11.4% 全体の7割が10%未満 といわれるので、20%でも弁済されればいいほうだと推測できます。

 

発行済み株式は、1313万株です。

  1円の株価の変動で、    0.1313億円
 10円の株価の変動で、   1.313億円
100円の株価の変動で、13.13億円の時価総額が変動します。

回収不能債権 49.33億円ですから、この金額を時価総額から引くと約375円の株価が下がる計算です。

開示前の株価は300円付近ですから、株価が0円になってもおかしくありません。


回収不能債権 49.33億円のうち2割が回収できた場合、損失額39.46億円で、この金額を時価総額から引くと約300円の株価が下がる計算です。

2022年4月19日に
債権(39億円)の取立不能または取立遅延のおそれに関するお知らせ
を開示後、株価は、前日の終値278円(時価総額36億円)から終値198円と80円安とストップ安となりました。

その後も株価は下げ続けて、現在5月6日の終値で115円(時価総額約15億円)です。
時価総額で約21億円分、下がった計算になります。

 

▼オウケイウェブの株価の推移(回収不能債権の開示前後)

オウケイウェブの株価の推移(回収不能債権の開示前後)

債権の2割が回収できたとしても、損失額は39.46億円で、開示前の時価総額36億円を考えると、株価は0円になってもおかしくない水準だと考えています。

 

 

■株価は100円でも高い、0円になってもおかしくない

繰り返しとなりますが、回収不能債権 49.33億円ですから、この金額を時価総額から引くと約375円の株価が下がる計算です。開示前の株価は300円付近ですから、株価が0円になってもおかしくありません。

 

逆にまだ115円の株価、15億円相当の時価総額があるというのが、意外に高く思えます。

運用資金を除いた、オウケイウェブの事業に15億円相当の企業価値があるということでしょうか。

そうであれば、今回の事件以前の300円程度の株価(時価総額 39億円)は、未収債権49.33億円(運用資金)とそれを除いた現在の企業価値15億円の合計 約65億円に対して、40%と大幅に割引(ディスカウント)されていたように思えます。

 

「株価は100円でも高い、0円になってもおかしくない」というのは回収できないであろう債権の金額(損失)と時価総額との関係からの個人的な意見ですが、仕手株化している株の場合は、損失と時価総額との関係なく、株価は上下するから関係ないかもしれません。

 

 

 

 

■本の紹介

株式投資に有益だと思われる本も紹介します。

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今後10年、20年という長期スパンで、経済、投資を考えるのに有用な本といえそうです。貨幣の価値が下がり、モノの価値が上がるのがインフレですが、今後10年、20年はインフレの時代となるかもしれません。

インフレの時代に強いのは、価格が上がる商品を保有、生産、販売する企業、もしくは商品の価格を上げる価格競争力の強い企業でしょう。

現預金や運用資金が多い会社はリスクが逆に高くなるのかもしれません。

 

 

 

www.youtube.com

『次はこうなる』著者の 相場研究家 市岡繁男さんが出演している動画(2022年3月10日)も紹介しています。この動画の中で金鉱株への投資を紹介していました。

 

↓の画像はアメリカの金鉱株の指数に連動するETF(コード:GDX)のチャートです

3月10日は38ドル台でしたが、4月中旬に40ドルをつけましたが、5月には35ドルまでさがっています。円安ドル高効果で、円建てなら、3月中旬と比べても上昇していると思いますが、今後の金鉱株も楽しみです。

金鉱株ETFのチャート


▼金鉱株に関するブログ

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過去の金鉱株に関するブログも紹介します。

 

 

 

●決算に関する本

決算書でどのような資産が保有、管理し、利益を上げている分析できれば、オウケイウェブのリスクも気づいたかもしれません。

 

結果論かも知れませんが、オウケイウェブの2022年6月期第2四半期決算短信(会計期間2021年6月から12月)に

PL(損益計算書)で、投資有価証券売却益 10億円 投資有価証券売却損 2億円を計上しており、また、BS(貸借対照表)48億円の長期未収金を計上しており、少しリスクを感じるような内容です。

 

決算に関して面白くてためになると思う本をいくつか紹介します。

決算を見るポイントは、たくさんの企業の決算を見ることで、学ぶことが多いと思います。そういった意味で実例がたくさん記載された本がよく、自分が読んで面白かった本を紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

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#オウケイウェブ #3808

サムスンSDIは三元系オワコン疑惑を払拭できたか

■はじめに

サムスンSDI(ダブルスコープの主要販売先)の2022年1Q決算発表、そのテレカンファレンスによる決算説明会(2022年4月28日実施)は、『これからのリチウムイオン電池の主流はLFP、三元系はオワコン』といった疑惑を払拭する内容と考えています。そんな内容を紹介しているブログ記事です。#6619

 


 

続けてのダブルスコープに関するブログ記事です。

 

 

 

■主流はLFP、三元系はオワコン?

サムスンSDI、ダブルスコープなど韓国企業は三元系(エネルギー密度が高くコンパクトで出力電圧も高いが製造コストは高い、高温低温への耐性など安全性は低い)が主力で得意、中国系がリン酸鉄リチウム(LFP)電池(製造コストは安いが、エネルギー密度が低くコンパクトなものに不向きで出力電圧も低い、安全性は高い)が主力で得意という棲み分けです。

 

最近、テスラがLFP電池を積極的に採用し、コバルトが産地がコンゴ一国に集中し供給リスクがあり希少性から価格が高く、またロシアの主要な産地でもある三元系の主要な材料であるニッケル価格が高騰するなど、リン酸鉄リチウム(LFP)電池が注目され、今後の主流となるような報道があります。

 

↑は、2021年1月25日付のテレビ東京の動画です。LFP電池(リン酸鉄系)がコストだけでも性能でも三元系の電池を優位になるような技術が開発されたことを紹介しています。

 

EV用電池、中国で「リン酸鉄系」が躍進する背景 | 「財新」中国Biz&Tech | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース (toyokeizai.net)

↑は2021年10月28日付の記事ですが、中国企業やテスラを中心にLFP電池の採用が続き、LFP(リン酸鉄系)電池のシェアが拡大していることが報じられています。

 

LiB正極材 省ニッケル課題が急浮上 | 鉄鋼・非鉄金属業界の専門紙「日刊産業新聞」

2022年3月11日付の記事です。

ニッケル相場急騰の影響がリチウムイオン電池(LiB)にも及びそうだ。車載用電池市場ではここ数年、高ニッケル仕様の正極材が主に採用されているが、ウクライナ危機後に約2倍に暴騰したニッケル相場を受け、電池メーカーなどで材料見直しの課題が急浮上。ニッケル不使用のリン酸鉄系へのシフトを後押しする可能性もあり、ニッケル離れが模索されそうだ。

こういった報道に接すると、『これからの主流はLFP、三元系はオワコンか』とも思えます。

 

 

■ダブルスコープは三元系のセパレーターが得意

 

 ↑は2021年12月3Qの決算説明会の内容を文字起こししたものですが、

一方、中国のお客様、まあ、中国ではマーケットがまた少し状況が変わってきておりまして私共の得意とする三元系用のコーティングセパレーターというよりも、自動車案件においてもコスト重視ということでまたリン酸鉄系の電池に回帰をしてきている、そんな状況が伺えるようになってきました。

といった内容の説明がされています。

ダブルスコープは三元系用のセパレーターが主力、得意であることがわかります。

 

サムスンSDI、三元系への自信をしめす

Samsung SDI Developing Cobalt-free Battery to Secure Price Competitiveness - Businesskorea

↑の記事(英語)は2022年4月29日に、決算発表のテレカンファレンスの内容が報道されています。

LFPバッテリーの市場シェアは、バッテリー市場のミッドエンドからローエンドのセグメントで上昇しています」サムスンSDIの関係者は決算のテレカンファレンスで述べました。

「私たちは現在、正極材料に高価なコバルトを使用しないマンガンが豊富な電池を開発しています。コスト競争力に基づいて市場シェアを拡大していきます。」

といった内容があり、LFPサムスンSDIが得意とする三元系が、LFPに対して、充分な対策をとっていること、その自信が感じられる内容です。

 

http://www.thelec.kr/news/articleView.html?idxno=16810

↑の記事(韓国語)も、2022年04月28日付で、決算発表のテレカンファレンスの内容が報道されています。質疑内容も含めた詳しい記事となっています。

 

Q. まずはコバルトフリー開発してプレミアム市場に加え、ボリューム市場までビジネス拡大推進中だと昨年話していただきましたが、現在の開発状況がどうでしょうか。LFPバッテリーに対する競争力はどのように見ているのか。

A. 最近、LFPバッテリーが低いコストをもとに走行距離の短いエントリー市場でシェアを高めていますが、低いエネルギー密度によってボリューム市場までの需要が拡大するには制約があると見ています。当社は、既存の30個の陽極材からコスト負担の大きいコバルトを除き、満感比重を高めるNMXバッテリーを通じてコストは大きく下げながら、走行距離は現在量産中のプレミアムモデルレベルで確保する予定です。

現在、LFPが性能上カバーできない上位市場で対応できるコスト競争力をもとに、新規プロジェクト受注を推進しており、お客様から肯定的なフィードバックを受けています。今後も4年間蓄積された三元系基準自動車電池量産技術を活用し、お客様が求める性能と価格に合った製品を発売し、市場を拡大していきます。

(同じ質問の中で全固体電池の話もありましたが省略しています。)

 

 

サムスンSDIは、LFPにも注力するSK・LGより好決算

自信だけでなく、L三元系に集中するサムスンSDIは、LFPの開発を計画している韓国同業のSKオンやLGエネルギーソリューションよりもいい決算でした。

https://www.upinews.kr/newsView/upi202204290044

↑は『「合格成績表」を受けたK-バッテリービッグ3… 成長戦略は3色』というタイトルの2022年04月29日付の記事(韓国語)です。

 

▼記事の表を日本語化したもの

韓国バッテリー3社の2022年1Q業績

 

  • LGエネルギーソリューションの売上は4兆3423億ウォン、営業利益は2589億ウォンだった。売上高は前年同期比2.1%増加し、営業営業利益は24.1%減少した。
  • サムスンSDIは今年第1四半期の売上4兆494億ウォン、営業利益3223億ウォンを記録した。前年同期比売上は36.7%、営業利益は142%増えた。
  • SKオンは売上1兆2599億ウォン、営業損失2743億ウォンを出した。売上は139.3%増えたが、赤字幅は大きくなった。昨年第1四半期の営業損失額は1766億ウォンだった。 

といった内容で、一時的な要因もあり、バッテリー(リチウムイオン電池)以外の事業もあるので、一概にはいえませんが、サムスンSDIが突出したいい数字になっています。

 

市場の関心は中国企業が強みを持った「リン酸鉄電池(LFP)」に集まった。主要完成車メーカーがLFPバッテリーの比重を高めると明らかにしたためだ。LGエネルギーソリューションとSKオンは第1四半期の実績発表カンファレンスコールで「LFPバッテリーを開発している」と明らかにした。

サムスンSDIは状況が異なる。サムスンSDIは「コバルトフリー(NMX)」バッテリーでLFPを置き換えるという。

といった内容もあり、サムスンSDIは、他の2社と違いLFPの開発をせずに、三元系で、コバルトの使用量を減らし、コスト削減を図る計画であることがわかります。

 

 

■リサイクル、中古車の再販価格も考えると

今後のことはわかりませんが、『三元系がオワコン』『LFPがオワコン』といった極端のことはなく、それぞれが性能向上、コスト削減され、用途に応じて、使い分けされ、一定のシェアを確保していくことになりそうです。

実際に、テスラのEV車のバッテリーはまだ、三元系が主流のようで、LFPのものは価格が安いグレードなどに一部に採用されているだけのようです。

 

第3章 EV開発の思惑と電池戦略-『電池の覇者 EVの命運を決する戦い』を読んで - 令和の未来カエルのブログ

上記ブログの抜粋です。

現状、EVのリチウムイオン電池リチウムイオンバッテリー)は、
三元系とリン酸鉄系の2種類が利用されています。前者には正極材にニッケル・コバルト・マンガン酸リチウムが、後者にはリン酸鉄リチウムが使われます。

両者にはそれぞれ一長一短があり、三元系はエネルギー密度が高く、低温時にも比較的安定した出力が得られる半面、希少金属のコバルトを使うためにコストが高いという特徴です。一方、リン酸鉄系はエネルギー密度が三元系よりも低く、低温時には出力が低下しやすい。しかし希少金属を使わないためコスト面では有利です。

ただ、リサイクル技術、静脈産業が発達すれば、素材コストが高い三元系は、その貴重な素材を回収するうえで、リサイクルに有利といえます。

また、リサイクル技術、静脈産業が発達すれば、中古車の販売価格も上がるでしょう。「安い」リン酸鉄系(リサイクルには不向き、リサイクルしてもペイしないといわれる)も注目されますが、主流になるのは、「高い」けど中古車の販売価格も「高い」三元系に回帰していくのではないでしょうか。

 

自動車の取得するときは、中古のリセールバリューも意識されるでしょうから、その意味でもリサイクル(再利用)に向いている三元系が有利になるかもしれません。

 

 

■本の紹介

株式投資に有益だと思われる本も紹介します。

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 2021年12月に発刊された本で、過去の週刊エコノミストの記事をまとめている本ですが、2022年以降の金利上昇や金、穀物価格の上昇なども的確に予想されています。

今後10年、20年という長期スパンで、経済、投資を考えるのに有用な本といえそうです。貨幣の価値が下がり、モノの価値が上がるのがインフレですが、今後10年、20年はインフレの時代となるかもしれません。

インフレの時代に強いのは、価格が上がる商品を生産、販売する企業、もしくは商品の価格を上げる価格競争力の強い企業でしょう。

ダブルスコープもそういった点で、インフレに強い企業といえるかも知れません。

 

 

↓の画像はアメリカの金鉱株の指数に連動するETF(コード:GDX)のチャートです

3月10日は38ドル台でしたが、4月中旬に40ドルをつけましたが、5月には35ドルまでさがっています。円安ドル高効果で、円建てなら、3月中旬と比べても上昇していると思いますが、今後の金鉱株も楽しみです。

金鉱株ETFのチャート


▼金鉱株に関するブログ

金鉱株に関しては私も前から注目しています。

過去の金鉱株に関するブログも紹介します。

 

 

 

●決算に関する本

決算に関して面白くてためになると思う本をいくつか紹介します。

決算を見るポイントは、たくさんの企業の決算を見ることで、学ぶことが多いと思います。そういった意味で実例がたくさん記載された本がよく、自分が読んで面白かった本を紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

誤字脱字すいません。この記事は、正確性を保証するものでもなく、投資を推奨、勧誘するものでもなく、筆者の個人的な見解を述べているものです。

 

 

 

 

 

 

#ダブルスコープ  #6619

W-SCOPE 2021年度1Q決算でサムスンSDI集中戦略、成功が証明されるか

■はじめに

ダブル・スコープは、2022年05月12日(木)に2022年度1Qの決算発表予定です。 

決算の注目点としては、売上9割を占めるサムスンSDIが非常に良好な決算でした。サムスンSDIの業績に連動、もしくはサムスンSDIの業績以上にダブルスコープが決算が非常に良好となるかが注目されます。

つまり、W-SCOPEが、2021年度1Q決算でサムスンSDI集中戦略が成功していると証明されるかもしれません。

今回は、サムスンSDIの好決算の理由からダブルスコープの業績、株価を考えたブログ記事です。

#6619

 

 

続けてのダブルスコープに関するブログ記事です。

 

 

 

サムスンSDI業績をけん引した高付加価値製品

サムスンSDI、今年1四半期の営業利益3223億ウォン…前年同期比142%↑ (ajunews.com)

サムスンSDIが今年1四半期にすべての事業で実績改善を成し遂げ、初めて四半期の売上4兆ウォンの大台を踏んだ。営業利益も歴代1四半期のうち、最大値を記録した。 
  
サムスンSDIは今年1四半期の売上高4兆494億ウォン、営業利益3223億ウォンを記録したと28日、公示した。これは前年同期比それぞれ36.7%、142.0%増えた数値だ。 
(中略) 

エネルギー・その他の部門は3兆3190億ウォンの売上と1650億ウォンの営業利益を収めた。前年同期比それぞれ39.0%、251.8%拡大された規模だ。  
原材料価格の高騰にも、販売価格連動などを通じ、影響を最小化したのが特に功を奏した。 
 自動車電池は高付加製品の「Gen.5製品を中心に売上を拡大し、中大型電池も売上と収益性ともに改善された。 
エネルギー貯蔵装置(ESS)事業は、オフシーズンの影響で売り上げが減少したが、やはり家庭用と無停電電源装置(UPS)など高付加製品の販売比重を拡大した。

 

 

 

サムスンSDIの高付加価値製品にダブルスコープのセパレーターが

紹介した記事で言う自動車電池、ESSの「高付加製品」、高付加価値の製品にダブルスコープのセパレータが利用さている可能性が高いです。

Samsung SDI to apply more heat resistant separator in Gen5 battery - THE ELEC, Korea Electronics Industry Media

↑のリンクは「サムスンSDIがGen5バッテリーにさらに耐熱性のセパレーターを利用』といったタイトルの2020年11月30日の記事になります。

その中で、

●新しいセパレーターを備えたバッテリーがいつ生産を開始するかは未定です。開発スケジュールにもよりますが、2021年末頃に生産を開始する可能性があります。

●セパレーター自体は、W-Scopeから提供される可能性があります。同社は昨年、サムスンSDI西安工場にセパレーターの供給を開始した。サムスンSDIはそれ以前に旭化成東レのセパレーターを使用していました。

と記事があります。

 

 

在庫はどこへ消えた-W-SCOPE 2021年12月度中間決算の解説(速報版) - 令和の未来カエルのブログ (hatenablog.com)

↑の記事の通り、2021年度1Qと2Q(2021年1月から6月)では量産化が遅れ、生産量(期末在庫)が増えないことが主な要因で赤字となりました。

 

W-SCOPEの2021年12月期第3四半期決算説明会の文字起こし(前半の実績説明) - 令和の未来カエルのブログ (hatenablog.com)

↑の記事の通り、2021年3Q(7月から9月)では量産化も成功している旨の説明があります。

えーまあ、設備の稼働状況に関しましては、今少し触れさせていただきましたけれども、需要増に伴い車載案件用の既存ラインこれは WSK 、WCPともにフル稼働を継続している状況です 。WCPの新しい ライン の据え付けも完了し、またあの10月以降には少し遅れていたところですけれども量産稼働開始ということで、出荷も始まっている状況でございます。 

2021年10月以降には新しいラインの量産開始できたとうことです。

 

↑の記事は、2021年10月6日の記事ですが、

サムスンSDIが価格を下げ走行距離を伸ばした次世代リチウムイオン電池「Gen(ジェン)5」の量産を本格的に始めた。

(中略)

サムスンSDIは今年9月からハンガリー工場で角形バッテリー「Gen5」の量産を始めた。ハンガリー工場で生産されるGen5は今年秋、BMWが発売する電気自動車「iX」と「i4」に搭載されるという。Gen5は1回の充電で600キロ以上走行が可能な電池だ。走行距離は従来比20%ほど伸ばし、材料コストは20%減らした。

 

と記事あり、2021年9月からハンガリー工場で量産が開始されていることから、

ダブルスコープが「2021年10月以降には新しいラインの量産開始できた」という内容を考えても、2021年に稼働した新しいラインはGen5向けの製品の可能性が高いです。

 

 

W-SCOPE 2021年度の決算と株価の復習 - 令和の未来カエルのブログ (hatenablog.com)

と前回のブログで、2021年度の売上は、サムスンSDI向け、ハンガリー向けの売上比率が増えていることを紹介しています。

サムスンSDIへの売上(77.5%→87.5%)が増え、サムスンSDIのEV用バッテリーのハンガリー工場向の出荷と思われるハンガリー向の売上(30.4%→41.9%)が増えています。

地域別販売実績

Gen5用のセパレーターの売上が増えたと考えられます。

 

 

■株価と業績は連動しない

株価と過去の業績は連動しないこともあります。

株価は先見性があるので、過去の業績より、将来の業績予想を重視するからでしょう。

ただ、サムスンSDIの決算は、株式市場も非常に評価していて、実際に株価は上昇しているようです。

https://n.news.naver.com/article/001/0013147514

↑は韓国語の記事(2022年04月29日付)ですが、

●(2022年4月)29日、有価証券市場サムスンSDIは4日連続の上昇を続け、前日(決算発表日)より2.17%上がった61万1千ウォンで取引を終えた。

●キム・チョルジュン未来資産証券研究員は「サムスンSDIが第1四半期に予想値を上回る実績を出した」とし、「第2四半期の売上と営業利益をそれぞれ4兆7千億ウォン、3千851億ウォンで前四半期より17%、20%増えると予想と年間実績推定値も上方調整した」と話した。キム研究員はサムスンSDI目標株価を終戦130万ウォンから110万ウォンに下げたが、上昇余力が86.4%ある"とし"どこにもない今年株価収益比率( PER ) 20倍バッテリー株式や深刻に低評価されている"と強調した。キム・

●ドンジン現代車証券研究員も「サムスンSDIが第1四半期にエネルギーソリューションと電子材料事業の両方の見通しを上回るなど好実的だった」とし、目標株が 100万ウォンを提示した。%増加した1兆4千900億ウォンで提示 し、目標株式が85万ウォンを維持した。

といった内容が紹介されています。

 

「4日連続の上昇」とあり、決算発表日(2022年4月28日)より前に上昇を始めていたようですが、好決算は期待はされていたが、決算日以降も上昇しているので、期待以上の内容だったこともがわかります。

 

サムスンSDIの直近1カ月の株価チャート

2022年4月28日 決算発表前 598,000ウォン 、2022年5月4日の直近の終値の株価は、612,000ウォンと、決算発表後1週間経過して、約2.3%上昇しています。

 

決算発表から3日前の4月25日の株価 578,000ウォンと比べても、約5.8%の上昇です。

米国の株式市場の下落など全体の弱気な相場の影響を受けているようですが、急上昇、大幅上昇、爆上げといったほど上昇はしていないようです。

 

W-SCOPEの2022年1Qが好決算だとしても、それほど決算前後に、急いで買う必要もないように私は感じます。

 

 

■本の紹介

株式投資に有益だと思われる本も紹介します。

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 2021年12月に発刊された本で、過去の週刊エコノミストの記事をまとめている本ですが、2022年以降の金利上昇や金、穀物価格の上昇なども的確に予想されています。

今後10年、20年という長期スパンで、経済、投資を考えるのに有用な本といえそうです。貨幣の価値が下がり、モノの価値が上がるのがインフレですが、今後10年、20年はインフレの時代となるかもしれません。

インフレの時代に強いのは、価格が上がる商品を生産、販売する企業、もしくは商品の価格を上げる価格競争力の強い企業でしょう。

ダブルスコープもそういった点で、インフレに強い企業といえるかも知れません。

 

www.youtube.com

『次はこうなる』著者の 相場研究家 市岡繁男さんが出演している動画(2022年3月10日)も紹介しています。この動画の中で金鉱株への投資を紹介していました。

 

↓の画像はアメリカの金鉱株の指数に連動するETF(コード:GDX)のチャートです

3月10日は38ドル台でしたが、4月中旬に40ドルをつけましたが、5月には35ドルまでさがっています。円安ドル高効果で、円建てなら、3月中旬と比べても上昇していると思いますが、今後の金鉱株も楽しみです。

金鉱株ETFのチャート


▼金鉱株に関するブログ

金鉱株に関しては私も前から注目しています。

過去の金鉱株に関するブログも紹介します。

 

 

 

●決算に関する本

決算に関して面白くてためになると思う本をいくつか紹介します。

決算を見るポイントは、たくさんの企業の決算を見ることで、学ぶことが多いと思います。そういった意味で実例がたくさん記載された本がよく、自分が読んで面白かった本を紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

誤字脱字すいません。この記事は、正確性を保証するものでもなく、投資を推奨、勧誘するものでもなく、筆者の個人的な見解を述べているものです。

 

 

 

 

 

 

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