第7章 品質競争─安全性と信頼性のビジネス-『電池の覇者 EVの命運を決する戦い』を読んで

 

電池の覇者 EVの命運を決する戦い | 佐藤 登 著 を読みました。その要点、所感など紹介したいと思います。今回は「第7章 品質競争─安全性と信頼性のビジネス」についてです。

リチウムイオン電池の品質検査で利用される環境測定機器が主力事業のエスペック(著書の佐藤登氏が顧問を務める)やエスペックが連続で選定された「グローバルニッチトップ(GNT)企業100選」について調べた内容も紹介しています。

 

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第6章 定置型蓄電池の幕開け-『電池の覇者 EVの命運を決する戦い』を読んで - 令和の未来カエルのブログ (hatenablog.com)

の続きとなるブログ記事です。

 

■著者の佐藤登氏が上級顧問を務めるエスペックについて

人命に関わる事故にもなるため、リチウムイオン電池の安全性は大事だと、当然のことをかもしれませんが、強調しています。

中国製リチウムイオン電池やモバイル充電器を導入しようと検討を進めている各社においては自主的に、かつ過酷な試験法の適用で安全性と信頼性を確保するため、最大限の努力をしていただきたい。

安全性にやや難があるとされる中国系リチウムイオン電池を調達する日系企業、特に自動車メーカー以外の業界に対して苦言しているようです。

 

2016年7月から、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)等、いわゆるxEV車に適用される電池に対し、国連欧州経済委員会が定めた国連規則「UN ECE R100-02.Part II」に適合することが義務付けられる。電池の安全性と信頼性を認証するもので、その試験法は多岐に亘るだけでなく、電池パックを主体にした試験も組み込まれている。試験装置の開発、その導入、重厚な試験室の建設と周囲の安全策、試験終了後の電池の扱い方に至るまで、各業界にとって大きな負担となる。
 例えば試験項目は、外部短絡、温度サイクル、圧壊、振動、衝撃、過充電、過放電、加熱、耐火の9種類に関して求められている。これを見ると、試験は大規模、かつ危険性を伴うことがご理解いただけよう。
何故、このような規則が義務付けられたのか。それはxEVの電池にまつわる火災事故等が頻発してきたからで、それを未然に防ぐための施策である。その事故は、現在、中国に偏在している。従って、中国政府もECE R100ベンチマークし、これをベースに中国独自の「GB規格」を形成しつつある。

(中略)
(電池の検査、認証装置について)筆者の在籍するエスペックは環境試験機器メーカーとしてブランド力を発揮し、国内で60%、世界で30%のシェアを握っている。評価試験設備の先端開発にも力を注ぎ、顧客ニーズにタイムリーに応えることで各業界に貢献してきた実績がある。評価試験機器自体の信頼性も要求されるが、競合製品に比較しての強みは、信頼性の高さ、故障率の小ささ、きめ細かなアフターサービスなどが挙げられる。

 

環境試験装置は、温度や湿度、圧力などの環境因子を人工的に再現し、さまざまな工業製品の信頼性を試験できる装置です。
国内で60%、世界で30%のシェアということで、強い競争力や今後、車載用電池向けの試験機器としての需要も伸びそうで、今後有望なのかなと思って、エスペックという会社について調べてみました。

 

エスペックの社名の由来

 

まず、気になったのがエスペックという社名です。

会社のホームページに社名の由来が記載されていました。

1980年(昭和55年)にスタートしたCI計画(コーポレート・アイデンティティ計画)の一環として、後に現在の社名となる「ESPEC」を1982年(昭和57年)に策定しました。
将来のあるべき姿として3つのイメージ目標「プログレッシブ」「インターナショナル」「インテリジェント」を掲げ、「ESPEC」は3つのイメージ目標を語感的に感じられる言葉として開発した造語です。世界十数か国の方々に調査を実施し、最もイメージに合致する言葉として選ばれました。

とのことです。
「ESPEC」は3つのイメージ目標を語感的に感じられる言葉として開発した造語。
世界十数か国の方々に調査を実施し、最もイメージに合致する言葉。
ということで、社名にあまり意味はないようです。

簡単いうと『なんとなくイメージがよさそう社名にした。』ということですね。

1947年    初代社長田葉井五郎、専務田葉井敏雄、2代目社長小山栄一らが、科学機器の製造を目的として、現本社所在地にて創業。
1954年    株式会社田葉井製作所に改組。
1983年 タバイエスペック株式会社に社名変更(旧社名:株式会社田葉井製作所)
2002年 エスペック株式会社に社名変更。あわせて現在のシンボルマークに変更

と会社の沿革にある通り、もともとは、創業者の名前から来た田葉井製作所という会社名でした。

 

■2014年・2020年と経済産業省の「グローバルニッチトップ(GNT)企業100選」を連続受賞

●グローバルニッチトップ(GNT)企業100選とは

2014年と2020年と経済産業省の「グローバルニッチトップ(GNT)企業100選」を連続受賞しています。

世界シェアと利益の両立、技術の独自性と自立性、サプライチェーン上の重要性など以下のような項目に着目し選定されるようです。

収益性
 従業員あたり売上高
 営業利益率
戦略性
 技術の独自性・唯一性・展開可能性
 納⼊先企業数(国内・海外)
 従業員増加⼈数
競争優位性
サプライチェーン上の重要性
 世界市場シェアとその将来予測
 市場規模とその将来予測
国際性
 海外売上高比率
 販売国数、海外との取引実績

 

高成長が続くグローバルニッチトップ企業に注目| 日興フロッギー

グローバルニッチトップ企業に投資しよう~最先端技術を武器に世界で活躍する企業~【投資コラム】 | マネカツ~女性のための資産運用入門セミナー~

「グローバルニッチ」株を徹底マーク、高成長性と割安さ持つ厳選6銘柄 <株探トップ特集> - ニュース・コラム - Yahoo!ファイナンス

といった記事の通り、「グローバルニッチトップ(GNT)企業100選」に選ばれた企業は評価されてるようで、2回連続とは本当にすごい。と思いました。

ただよく調べると、そんなにすごくないように思えます。

 

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●グローバルニッチトップ(GNT)企業100選の倍率

まず、「グローバルニッチトップ(GNT)企業100選」は、応募した企業の2.4社に1社程度は選ばれます。

なお、ぴったし100社選定されるのでなく、だいたい100社ぐらい選定されるという意味みたいです。

 

2014年(2013年度)のときは、281社が応募して、107社が選定されていました。2.6社に1社、倍率は約2.6倍です。2020年のときは、249社が応募して、113社が選定されていまいた。
2.2社に1社、倍率は約2.2倍です。
両方足すと、2.4社に1社、倍率は約2.4倍です。

もちろん、応募した企業も、「グローバルニッチトップ(GNT)企業100選」に選定される可能性が高いから応募しているわけで、
優秀な企業の中で、特に優秀とされたと思いますが、2.4社に1社が選ばれると聞くと、とそんなにすごくないような気がします。

●グローバルニッチトップ(GNT)企業100選連続選定企業の株価

2014年・2020年の「グローバルニッチトップ(GNT)企業100選」に連続受賞した企業は17社ありましたが、その中で上場企業は、4社あります。
エスペック(6859) 小森コーポレーション(6349) NITTOKU(6145)フルヤ金属(7826)
といった企業です。

直近5年の株価を見ると、市場平均といわれるTOPIX東証株価指数)の騰落率(+27%)をアウトパフォームしているのは2社、エスペック(+58%)とフルヤ金属(+364%)だけでした。アンダーパフォームしているのは、小森コーポレーション(−54%)とNITTOKU(+24%)という数字でした。

当たり前ですが、「グローバルニッチトップ(GNT)企業100選」だから、株式投資でも有望な会社ともいえないようです。

 

▼GNT企業100選」連続受賞企業の5年間の株価パフォーマンス

5年前2017年2月17日時点の株価と現在2021年2月10日の株価の比較

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「グローバルニッチトップ(GNT)企業100選」連続受賞企業の5年間の株価パフォーマンス

 

 

エスペックの営業利益率

選定企業は、単純平均で、営業利益率 12.7%、ということですが、エスペックの2021年3月期の営業利益率は6.6%(2022年4月期の会社予想は5.6%)
は、他と比べて高くありません。

エスペックは環境試験機器メーカーとしてブランド力を発揮し、国内で60%、世界で30%のシェアを握っている。評価試験設備の先端開発にも力を注ぎ、顧客ニーズにタイムリーに応えることで各業界に貢献してきた実績
ということなら、そのブランド力、技術力、高いシェアをもった環境試験機器が主力事業なのであれば、もっと営業利益が高くてもいいのにと思いました。

 

 

■佐藤登氏の著書

佐藤 登氏 の著作を、アマゾンのリンクで紹介します。

 

 

 

 

 

■改めて本の紹介

 

 

●佐藤 登氏 の経歴

名古屋大学未来社会創造機構客員教授エスペック上席顧問
1953年秋田県生まれ。1978年横浜国立大学大学院工学研究科修士課程修了。同年本田技研工業入社。自動車の腐食制御技術開発に従事した後,1990年本田技術研究所基礎研究部門へ異動。1991年電気自動車用の電池研究開発部門を築く。チーフエンジニアであった2004年に韓国サムスンSDIに常務として移籍。中央研究所と経営戦略部門で技術経営を担当,2012年退社。2013年より現職。工学博士(東京大学,1988年)。論文,講演,コラム等多数。
主な著書に『危機を生き抜くリーダーシップ(国際文化会館新渡戸国際塾講義録3)』(共著,2013年,アイハウス・プレス),『人材を育てるホンダ 競わせるサムスン』(2014年,日経BP),『リチウムイオン電池の高安全・評価技術の最前線』(共監修,2014年,シーエムシー出版),『車載用リチウムイオン電池の高安全・評価技術』(共監修,2017年,シーエムシー出版)など。

●内容について

製造業の頂上決戦!
巨額投資で市場を席巻する中国、韓国企業。世界をリードしてた日本企業は勝機を見出せるか--。
パナソニックGSユアサ村田製作所、ATL、
サムスンSDI、LG化学、CATL、BYD……。
次世代革新電池を視野に入れた競争の最前線を徹底解説。

1887年に屋井先蔵が世界に先駆けて乾電池を発明して以来、日本の電池産業は長く世界をリードしてきた。とりわけ1960年代以降は隆盛期を迎え、次々と新たな電池を開発、生産を開始した。さらに1983年には旭化成の吉野彰氏らが経済社会を大きく変えることとなるリチウムイオン電池の原型を確立。1991年にソニーが世界初の製品化を実現した。
日本電池産業の輝かしい歴史も、21世紀に入ると様相が変わる。韓国企業が日本勢を追い上げ、2010年にはサムスンSDIがモバイル用リチウムイオン電池で世界シェアトップに立った。近年は、さらに高い性能を要求される自動車搭載用の大型リチウムイオン電池の世界で、中国勢が急速にシェアを伸ばしている。高性能電池の開発、製造の行方は、製造業の頂点に立つ自動車産業の未来をも左右する。世界の環境規制、中国の産業政策などもあいまって、日本の牙城だった電池産業が大きく変貌しようとしている。

 

●目 次

まえがき-まえがき-を読んで - 令和の未来カエルのブログ

 

第1章 日本の牙城

-第1章 日本の牙城-を読んで - 令和の未来カエルのブログ 1

1日本の底力

2 電池の基本的仕組み
3 車載用へと電池の用途広がる
4 日本の強み

 

第2章 モバイル用電池の明暗

第2章 モバイル用電池の明暗-『電池の覇者 EVの命運を決する戦い』を読んで - 令和の未来カエルのブログ

1 電池革命を起こしたリチウムイオン電池
2 戦略の欠如
3 ソニーの電池事業撤退
4 ハイエンド偏重の日本、ローエンドも重視する韓国

 

第3章 EV開発の思惑と電池戦略

第3章 EV開発の思惑と電池戦略-『電池の覇者 EVの命運を決する戦い』を読んで - 令和の未来カエルのブログ (hatenablog.com)


1 環境規制が主導する自動車の電動化
2 トヨタがEVを投入せざるを得ない事情
3 選ばれるEVとは?
4 テスラの巨額投資とリスク
5 急加速のEVシフトに潜む5つの課題
6 元素戦略と資源争奪戦
7 トップブランド参入で競争激化
8 環境対応車における日本のリード

 

第4章 中国市場の変化と欧米、インド

第4章 中国市場の変化と欧米、インド-『電池の覇者 EVの命運を決する戦い』を読んで - 令和の未来カエルのブログ

1 環境改善か下剋上か─EVシフトの先
2 翻弄される日韓企業
3 中国NEV規制への対応
4 驀進する中国EV、電池業界の異変
5 中国のEV政策変化は外資に追い風?
6 EVが減速する中国、加速する欧州
7 2020年、車載電池業界の勢力図が明確に
8 揺れる米国のルール
9 台頭するインドの電動化と矛盾

 

第5章 車載用電池の攻防

第5章 車載用電池の攻防-『電池の覇者 EVの命運を決する戦い』を読んで - 令和の未来カエルのブログ

1 合弁が難しい電池事業--韓国勢はフリーを選ぶ
2 R&D投資でも激突する日中韓
3 戦略は随時見直してこそ生きる

 

第6章 定置型蓄電池の幕開け

第6章 定置型蓄電池の幕開け-『電池の覇者 EVの命運を決する戦い』を読んで - 令和の未来カエルのブログ (hatenablog.com)

1 定置用電池業界に第三勢力参入
2 韓国企業の火災事故
3 2019年からのFIT問題

 

第7章 品質競争─安全性と信頼性のビジネス
1 なぜサムスンの最新スマホは爆発したのか?
2 電池の安全性を要求する国連規則
3 中国製リチウム電池が信頼できない理由

 

第8章 成長への戦略
1 加速する次世代電池開発
2 次世代革新電池はいつ実現するか?
3 日本を取り巻く状況
4 日本勢の命運
5 ノーベル化学賞の栄誉

あとがきに代えて
参考文献・資料

 

 

以上

銘柄メモ

エスペック(6859) 小森コーポレーション(6349) NITTOKU(6145)フルヤ金属(7826)
6859 6349 6145 7826

W-SCOPE 決算前の株価傾向

■はじめに

ダブルスコープ(6619)の『いい決算の前は株価が下がり、悪い決算の前は株価が上がる説』が本当か検証したブログ記事です。

 

 

 

 

■決算前の株価について

決算前に株価が下がっている場合は、悪い決算の場合が多いと言われます。
これは、一部の投資家は、決算が推測できる情報を入手し、予測できるので、決算前に株を売っている場合が多いからです。

 

ただし、機関投資家は大口の投資家は、『振り落とし』という言葉があります。今後上昇を見込める株を大量に空売りして、個人投資家が投げ売りして、株価が下げたところで、大量の買いを入れて、上昇相場に備える投資手法が『振り落とし』です。
そのため、一概には、決算前に株価が下がったら売りとはいえません。

 

■いい決算の前は株価が下がり、悪い決算の前は株価が上がる説

W-SCOPEの2021年12月期業績予想の修正(2022/2/10付) - 令和の未来カエルのブログ

のブログ記事から引用

いままでのダブルスコープの決算前後の株価の動きを見ると、決算前に株価が上がっている場合は決算後下がり、決算前に株価が下がっている場合は決算後上がるように
決算前後で逆の動きが多かった印象です。

 

この印象があったっているのか、『いい決算の前は株価が下がり、悪い決算の前は株価が上がる説』が本当か、検証しました。

 

 

■いい決算か、悪い決算か決めるのは株価

いい決算か、悪い決算かは、株式市場の関係者の期待値を超えるか、超えないかでしょうか。
期待値を超えれば、例え減収減益、業績の下方修正でも株価は下がり、
期待値を超えなければ、例え増収増益、業績の上昇修正でも株価は上がります。
市場の期待値は簡単にはわかりませんが、
株価が上がればいい決算、株価が下がれば悪い決算といえます。

過去39回の決算のうち、決算発表から1週間で株価で10%上昇した時は6回ありました。
これをいい決算とします。

過去39回の決算のうち、決算発表から1週間で株価で10%下落した時は13回ありました。
少し多すぎますね。

 

ダブル・スコープの業績予想は信頼できないし、8月12日(木)の中間決算発表は期待しない - 令和の未来カエルのブログ

↑の過去の記事で、紹介してる通り、今まで、ダブル・スコープEの業績予想は信頼できないし、決算は期待できないことが多かったのが改めてわかります。

 

■いい決算の前に株価が下がる説の検証

 

決算発表から1週間で株価で10%上昇した時をいい決算として、このいい決算の6回ありました。
6回のうち4回(66%)で、決算当日の終値は、その1週間前の終値と比較して、下落していました。

いい決算の前は株価が下がる説は、本当とも、本当でないともいえない結果でした。


以下の表が調べるときに利用したデータです。

決算 決算発表日 株価 1週間後 株価 騰落率 1週間前 株価 騰落率
2013年3Q 2013/11/11 181.5 2013/11/19 230.5 27.00% 2013/11/12 198 -8.33%
2015年3Q 2015/11/10 1,242.5 2015/11/18 1,553 24.95% 2015/11/11 1,370 -9.31%
2016年3Q 2016/11/9 1,675 2016/11/17 1,950 16.42% 2016/11/10 1,606 4.30%
2017年2Q 2017/5/11 1,750 2017/8/17 2,133 21.89% 2017/8/10 1,956 -10.53%
2018年4Q 2019/2/14 1,212 2019/2/22 1,420 17.16% 2019/2/15 1,150 5.39%
2021年1Q 2021/5/13 616 2021/5/21 689 11.85% 2021/5/14 671 -8.20%

 

 

 

■悪い決算の前に株価が上がる説の検証


決算発表から1週間で株価で10%下落した時を悪い決算として、この悪い決算の13回ありました。
13回のうち8回(61%)で、決算当日の終値は、その1週間前の終値と比較して、下落していました。

悪い決算の前は株価が上がる説は、本当とも、本当でないともいえない結果でした。

以下の表が調べるときに利用したデータです。

決算 決算発表日 株価 1週間後 株価 騰落率 1週間前 株価 騰落率
2012年1Q 2012/5/10 753.5 2012/5/18 549.5 -27.07% 2012/5/2 855 -11.87%
2012年3Q 2012/11/9 312.5 2012/11/19 246.5 -21.12% 2012/11/2 330.5 -5.45%
2012年4Q 2013/2/12 210 2013/2/20 185.5 -11.67% 2013/2/5 209.5 0.24%
2013年4Q 2014/2/13 343 2014/2/21 291 -15.16% 2014/2/6 317.5 8.03%
2014年2Q 2014/8/6 420.5 2014/8/14 372.5 -11.41% 2014/7/30 449.5 -6.45%
2014年4Q 2015/2/12 355 2014/2/19 288.5 -18.73% 2015/2/5 399.5 -11.14%
2016年2Q 2016/8/9 1,948 2016/8/17 1646 -15.50% 2016/8/2 2,226 -12.49%
2017年4Q 2018/2/13 1,808 2018/2/21 1,537 -14.99% 2018/2/6 1,917 -5.69%
2018年2Q 2018/8/8 1,329 2018/8/10 984 -25.96% 2018/8/1 1,413 -5.94%
2019年2Q 2019/8/13 1,062 2019/8/21 721 -32.11% 2019/8/6 1073 -1.03%
2020年2Q 2020/8/13 963 2020/8/21 830 -13.81% 2020/8/6 935 2.99%
2020年4Q 2021/2/15 1,046 2021/2/24 749 -28.39% 2021/2/8 767 36.38%
2021年2Q 2021/8/12 813 2021/8/20 731 -10.09% 2021/8/5 793 2.52%

 

■2021年通期決算の前の株価で考える今後

2月7日(月)の終値は784円でした。
2月10日(木)の終値は779円で、わずかに下落しています。
私は、下落しているから、決算後は上がるかもと考えていました。

 

ところが、2月10日(木)の業績予想の修正がありました。
2月14日(月)の株価はわかりませんが、2月10日(木)の時間外のPTSの終値は875円なので、1週間前の2月7日の株価より上昇するのは確実でしょう。

 

逆に株価が上がっているので、決算後、下がるのでは不安になります。
でも考えすぎで、単純に2月10日(木)の業績予想の修正が、実質的な決算日と考えれば、
株価が下がって、決算がいいので、株価が上がるケースに該当するのかなと考えています。

 

今回は2021年の業績の決算発表と2022年の業績予想の発表で2日に分かれると考えたほうがよさそうです。
2月14日(月)の業績予想が、2月10日(木)の業績予想の修正から期待できる以上のものかが、注目できそうです。

 

 

■成長株投資の本の紹介

W-SCOPEのような成長株投資は、アノマリーやチャートなどあまり関係ないかもしれません。
WCPの上場でバリュー株と評価されるかもしれませんが、今後も売上が年10%を超えて拡大し、利益率も年々高くなることを考えると私は成長株投資と考えています。

成長株投資の場合、多少割高に思えて、会社の強い成長が続くまで、成長が鈍化するまで、保有するというのが大事だと思います。
何をもって強い成長とするか、何をもって成長の鈍化とするかは解説されている本をアマゾンのリンクでいくつか紹介します。

 

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以上

 

 

 

以上

W-SCOPEの2021年12月期業績予想の修正(2022/2/10付)

■はじめに

ダブルスコープ(6619)の『2021 年 12 月期通期連結業績予想の修正(2022年 2月10日付)』に決算直前に開示した理由や株価への影響などについて考察したブログ記事です。

 

 

 

■業績予想修正の内容

まず、開示された業績予想修正の内容をそのまま引用します。

各 位                                                                           2022 年 2 月 10 日

会 社 名 ダブル・スコープ株式会社

                                代表者名 代表取締役社長 崔 元 根(コ ー ド 番 号 6619 東 証 第 一 部 )

                             問 合 せ 先 取 締 役 大 内 秀 雄

 

     2021 年 12 月期通期連結業績予想の修正に関するお知らせ

 

2021 年 11 月 15 日公表の 2021 年 12 月期連結累計期間(2021 年1月1日~2021 年 12 月 31 日)の連結業績予想を下記のとおり修正することとなりましたのでお知らせいたします。

           記

2021 年 12 月期通期連結業績予想数値の修正(2021 年1月1日~2021 年 12 月 31 日)

 

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業績予想の修正

【通期業績予想修正の理由】

連結会計年度の売上高は、当第 4 四半期連結会計期間の海運事情が比較的落ち着いて推移したため、出荷がおお むね順調に進んだことから、28,000 百万円の見込みに対し 1,900 百万円上回り 29,900 百万円となる見通しです。営 業利益についても、出荷量が増加したことに加え、製品輸送のコスト負担が前回公表時より軽減されたことで、600 百 万円改善し 1,800 百万円の見通しとなりました。

また、子会社が発行した転換社債新株予約権のオプション評価額が確定し、子会社価値上昇に伴うデリバティブ 損失額が確定したことにより、通期の経常利益は△3,400 百万円、親会社株式に帰属する当期純利益は△3,000 百万円 となる見通しです。

なお、このデリバティブ転換社債を発行している間、転換社債発行会社の評価価値が上昇した 場合に損失が発生します。 以上の要因から、2021 年 11 月 15 日付の公表数値を修正いたします。

 

【業績予想に関する留意事項】

業績予想につきましては、現時点において入手可能な情報に基づき作成したものであり、実際の業績は、今後様々な要因によって予想値と異なる場合があります。

 

以 上

■決算発表直前の業績予想修正について

決算発表の前営業日の2月10日の業績予想修正について、『2月14日の決算発表と同時でもよかったのでは』と思いますが、別に珍しくないようです。

東京証券取引所東証)は、上場会社に対して、

新たに算出した予想値又は当連結会計年度の決算における数値を公表がされた直近の予想値(当該予想値がない場合は、公表がされた前連結会計年度の実績値)で除して得た数値が
a.連結売上高にあっては1.1以上又は0.9以下
b.連結営業利益にあっては1.3以上又は0.7以下
c.連結経常利益にあっては1.3以上又は0.7以下
d.親会社株主に帰属する当期純利益にあっては1.3以上又は0.7以下
のいずれかの場合は、
上場会社は、「上場会社の属する企業集団の売上高、営業利益、経常利益又は純利益について、公表がされた直近の予想値(当該予想値がない場合は、公表がされた前連結会計年度の実績値)に比較して、新たに算出した予想値又は決算において差異が生じた場合」は、直ちにその内容を開示することを義務としています。

 

https://faq.jpx.co.jp/disclo/tse/web/knowledge6851.html

東証のサイト上場会社向けナビゲーションシステム​>業績予想、配当予想の修正等 >業績予想の修正等 >業績予想の修正、予想値と決算値との差異等 より

 

今回は、連結営業利益が、直近の予想数値12億円から、18億円と50%の増加、1.5倍となったため、修正が必要になったケースです。
こういった規則があるため、決算発表の直前に業績の予想修正をする必要もあるようです。
「直ちにその内容を開示」の「直ちに」の定義は細かく決まっていないようですが、1日ぐらい待って、決算発表(イコール業績の予想修正)をすればいいのにという疑問は残ります。あえて、決算発表より別の日に開示したい理由があったのかもしれません。

 

【業績予想に関する留意事項】 業績予想につきましては、現時点において入手可能な情報に基づき作成したものであり、実際の業績は、今後様々 な要因によって予想値と異なる場合があります。

という内容はさすがに休日明けの2月14日に発表する決算も確定しているでしょうから、余計かなと思います。ただ、業績予想のお作法、お約束の文言ですので、気にする必要はなく、今回の業績予想の数字 イコール 決算での業績と考えていいでしょう。

 

 

■取引時間外のPTS(私設取引市場)の株価の急騰

業績予想の修正を受けて、取引時間外のPTS(私設取引市場)の株価は急騰しています。
2月10日のPTSの終値は875円と取引時間終値 789円からプラス96円 約12%の上昇です。出来高も上位ランキング26位と結構な数ですので、誤発注や特定の少数の投資家の取引で付けた株価でもないようです。

SBI証券でのPTSでの株価と出来高ランキング(2022年2月10日)

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SBI証券でのPTSでの株価と出来高ランキング(2022年2月10日)

発行済株式数は、54,471,600株ですから、時価総額が52億円増えた計算です。

経常利益、当期純利益は大幅な赤字の予想で、営業利益が6億円増えただけで、株価がここまで急騰するのか疑問に思うかもしれません。

 

■今期の業績予想比較

まず、今期の業績予想ですが、四季報予想などと比べて、今回の業績予想のインパクトを考えたいです。

 

▼2021年12月期の業績予想

【業績】 売上高  営業利益 経常利益 純利益 1株益(円)            

四季報        28,000   1,200     -2,500     -2,100         -38.6     

SBI証券       29,000   1,500     -2,800     -2,300         -42.2

会社修正前   28,000   1,200   ―    ―    ― 

会社修正後  29,900  1,800    -3,400   -3,000     -55.08 

 

四季報SBI証券の予想と比べて、売上高、営業利益は改善していますが、経常利益、純利益は悪化しています。

ただ、2022年4Qの売上は96億円、営業利益率は14億円と営業利益は約15%、3Qの営業利益率約2%から大きく改善しています。

直近の業績予想では4Qの売上77億円、営業利益は8億円でしたから、営業利益率は約10%でした。

 

売上がさらに増える来期には、20%以上の営業利益率も可能になるでしょう。

営業利益率の改善の見込みについては、↓のブログ記事でも解説しています。

 

W-SCOPE 2021年12月期第3四半期決算のプラス面とマイナス面 - 令和の未来カエルのブログ

 

今回の業績修正で、

2021年3Qの売上は69億円でしたから、対同年3Q比 11%から39%の増収率に

2020年4Qの売上は52億円でしたから、対前年4Q比で、48%から52%の増収率に変化します。

一般的に売上成長が続いている会社は高いPER(株価収益率)、高い株価が許容されます。

この点については、↓のブログ記事も参考にしてください。

W-SCOPEの2021年度3Q決算と今後の株価について(速報版) - 令和の未来カエルのブログ

株価は、先行指標的な要素があり、過去の業績より、将来の業績で株価は大きく変動します。今回の業績の予想修正で、来期以降のダブルスコープの強い業績に確信が持て、それが株価急騰した原因だと思います。

 

 

■来期の業績予想から株価を見積もる

まず、今期の業績予想ですが、四季報予想などと比べて、今回の業績予想のインパクトを考えたいです。

 

▼2022年12月期の業績予想

    売上高    営業利益    経常利益    純利益    1株益(円)    
四季報     34,000    2,000      2,000     1,400     25.7   (営業利益率8%)

SBI証券    39,000    8,000      7,000     6,200     113.8(営業利益率20%)

 

 

2022年2月10日時点で、東証1部全銘柄の来季予想PERは平均で14.88倍です。
過去3年間で毎年40%以上の年平均売上成長率を達成し、来期以降も20%から30%の売上成長をを達成している会社です。
保守的に見ても市場平均程度のPERの評価はされるでしょう。

仮にSBI証券の業績予想の数字を採用して、市場平均のPERで株価を計算すると
113.8 × 14.88=1693円

 

控えめな四季報予想の数字を利用した場合は
25.7 ×14.88 =約382円となります。

ただ、限界利益率が60%以上の固定費の高い事業で、15%の営業利益は達成しているので、売上が30%程度増えて、四季報予想の営業利益率は考えられません。

保守的な数字として四季報予想の売上を340億円を採用して、保守的な数字として直近の今期4Qの15%の営業利益率から営業利益を計算し、その60%程度が純利益だとすると
営業利益は51億円、純利益は30億円、一株益は56.1円です。
56.1 ×14.88 =835円となります。

この835円ぐらいが、控えめに、保守的に来期の業績から見積もった時の株価といえるのではにでしょうか。

つまり、弱気な人は、四季報の予想ぐらいの業績で株価は382円ぐらいまで下がるかもと考えていた。そんな人も下がっても835円ぐらいと考えるようになった。700円台の株価は安すぎると思って買っているのが、2月10日のPTS市場だと思います。

 

■2022年2月14日の決算発表は期待できるか

業績予想修正の内容から、2021年12月期の決算の内容はほぼ決まりました。
そのため、2月14日に発表される来期の業績予想の数字がより重要になってきます。

いままでのダブルスコープの決算前後の株価の動きを見ると、決算前に株価が上がっている場合は決算後下がり、決算前に株価が下がっている場合は決算後上がるように
決算前後で逆の動きが多かった印象です。

今回の業績予想修正を受けて、2月14日の株価は2月10日のPTSでの株価と同程度の860円から890円ぐらいの株価が予想されます。
決算前に株価が上がるパターンになるので、決算後に下がるのではとやや心配になります。

 

といった著書もある公認会計士でもある足立武志氏のコラム記事

株価急変動も!最も怖い「業績予想修正」と「決算発表」のパターンとは? | トウシル 楽天証券の投資情報メディア

より引用です。

最も怖い「業績予想修正」と「決算発表」のパターンとは
3月決算の会社の本決算が発表されるこの時期、最も怖いパターンがあります。それが「2021年3月期の業績は絶好調。でも2022年3月期は失速」というものです。


2月14日の決算発表が、『最も怖いパターン』でないことを期待したいです。
株価の反応したように、今期の業績上方修正から、来期の業績予想も期待できる可能性が高いと私は思っています。
2月10日に好材料の開示だけして、2月14日に悪材料が待っている可能性もゼロではありません。
その場合、2月14日に業績予想で好反応した高値で株価を売れた人は、ラッキーかもしれません。

2月14日にどのような株価になるかまだわかりませんが、今後の株価は、決算発表で来期の業績予想次第ですから、
急いで慌てて買うのでなく、2月14日の決算発表後の反応を見て、買うのが安全だと思います。

↓のブログ記事に説明していますが、決算での業績予想がよくても、決算後に急騰してもても1か月後には下がっていることも多いので、

 

W-SCOPE 決算後の株価の動き - 令和の未来カエルのブログ

↑のブログ記事にある通り、決算での業績予想がよくても、決算後に急騰してもても1か月後には下がっていることも多いです。
急いで買う必要はなさそうです。目安として5日、25日など比較的短期の移動平均線近くまで、もしくは下回るぐらいまで待って買うのがいいかもしれません。
なお、↑のブログ記事にある通り、決算での業績予想が悪く一時的に下がった場合は、絶好の買い場かもしれません。

ただ、2月14日に急騰した場合でも、決算発表前のリスクもありますが、根拠もない感覚で恐縮ですが、25日の移動平均線861円ぐらいまでは、積極的に買っていい株価のような感じています。

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2022年2月10日W-SCOPEの移動平均価格

 

 

■足立武志氏の著書の紹介

公認会計士でもある足立武志氏の著書は、『低PER株の落とし穴』『高成長株の落とし穴』など株式投資で成功するためのノウハウというより、失敗しないためのノウハウがよくまとまっているのでおすすめです。記事の中では楽天のリンクで紹介しましたが、アマゾンのリンクでも紹介しておきます。

ああ

 

公認会計士でもある足立氏の視線で、チャートの先見性を解説している本です。

以上

 

 

 

以上

第6章 定置型蓄電池の幕開け-『電池の覇者 EVの命運を決する戦い』を読んで

 

電池の覇者 EVの命運を決する戦い | 佐藤 登 著 を読みました。その要点、所感など紹介したいと思います。今回は「第6章 定置型蓄電池の幕開け」についてです。

拡大する定置型蓄電池(電力貯蔵システム ESS:Energy Storage System)の市場、その参入企業、ダブルスコープの新製品の情報など紹介しているブログ記事です。

 

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第5章 車載用電池の攻防-『電池の覇者 EVの命運を決する戦い』を読んで - 令和の未来カエルのブログ

の続きとなるブログ記事です。

 

■拡大する定置型蓄電池(ESS)の市場

これまで、モバイル機器向けや車載用電池を中心に説明してきたが、近年では定置型蓄電池のビジネスが、日本市場で活発になってきている。日本においては家庭用蓄電池として、さらには産業用蓄電池や電力貯蔵用蓄電池としても需要が拡大しつつある。

 

車載用途で開発されてきたリチウムイオン電池は、性能、安全性、価格低減も進み、導入しやすい状況が形成されている。電動車の増加に連動して必要とされるリチウムイオン電池は、今後も性能や価格低減が進むことでエネルギー社会の一翼を担う。

 

生産量拡大に向けた投資力、価格コントロール力が競争の原動力となっている。

といった記載があります。

 

定置型蓄電池(電力貯蔵システム ESS:Energy Storage System)が注目されています。

 

太陽光、風力発電は、発電が不安定で、需要がない時に発電して、需要があるときに発電できない状況が発生します。この問題は発電した電気を貯める蓄電池があれば解消できますが、問題はコストです。蓄電池に電気を貯蔵より、新たに発電した方がコストが安い状況であれば、普及しません。

 

例えば、テスラは、蓄電池としてPowerwll(パワーウォール)を販売しいてます。

テスラ パワーウォールの価格の目安は
 ・商品のみの価格:99万円(税抜)
 ・設置費用総額:160万円前後(税抜)

と言われています。4人家族の電気代は年間12万円ぐらいだとすると、10年分の電気代は120万円です。仮に10年間の電気が無料になったとしても、設置するコストは回収できません。なお、Powerwll(パワーウォール)の保証期間は10年とされているので、寿命もその程度でしょう。

仮に需要がない時に発電された電気(家庭での太陽光発電なども含む)が格安で利用でき、これをテスラのPowerwllに貯蔵し利用して、電気代が実質半額になったとしても、10年で60万円しか節約できません。

テスラのPowerwll(パワーウォール)を160万円で投資して、10年利用しても、100万円損する計算になります。

 

仮に、需要がない時に発電された電気(家庭での太陽光発電なども含む)の利用が無料になって(太陽光発電も設備の新設、維持のコストがあり、ありえない話ですが)、それを蓄電池に貯蔵して、必要な時に使ったとしても、10年間では、120万円しか節約できず、この場合でも40万円損することになります。つまり、元をとる、投資を回収するのは無理です。

もちろん、災害などでの停電のバックアップなどの用途も考えれば、単純に節約できる電気代で効果測定はできませんが。

 

今後、電気代が現状の倍程度に上昇したり、蓄電池の価格が低下(蓄電池の寿命の長期化も含む)すれば、費用対効果から、普及が進むかもしれませんが、現状は、費用対効果、経済合理性から普及が進むことは難しそうです。

 

テスラの蓄電池は13.5kwhと容量が大きい商品(一般的な5人家族の1日の電気利用量と同等か)です。

国内で普及している家庭用蓄電池は1 kwh につき20万円が相場ですが、テスラの蓄電池は1 kwh あたりおよそ7万円と価格破壊というレベルの非常に価格が安いことが特徴です。

それでも、投資回収が困難な価格ですから、まだまだ普及は難しそうです。

 

とはいえ、家庭用の蓄電池も含めたESSの市場は拡大は予想されています。

ESS市場 7.5B$ 見通し(YoY +31%) ソース: IHS、BNEF、Woodmackenzie、SDI Marketing

主要国別の再生可能エネルギー政策の強化電力用市場の成長を継続- 自然災害、電力需給不安定対応のためUPS・家庭用需要拡大⇒当社、UPS・家庭用販売比重拡大で収益性を向上

サムスンSDIの決算説明資料によると、

と前年比31%増と大幅な成長が、2022年は予想されています。

ESSとは、電力貯蔵システム(Energy Storage System)または二次電池電力貯蔵システム(Battery Energy Storage System)の略称です。
蓄電池(二次電池)とPCS(Power Conditioning System電力制御システム)を組み合わせて電力系統に連系し、状況に応じて電力の貯蔵や放出を行うシステムのことです。

家庭用、産業用の蓄電池というより、電力会社が利用する蓄電池といえます。

 

定置用蓄電池(ESS)世界市場に関する調査を実施(2021年) | ニュース・トピックス | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所

といった記事を見ると出荷容量ベースで、2020年の市場規模から、2030年には3倍になると予想されています。

 

●脱炭素の流れから、化石燃料の生産が減り、化石燃料が上昇し、現在の発電の出力である火力発電のコストが高まり、電気代が高くなる。

●再生エネルギーの普及で、電池の貯蔵ニーズが高まる。

●車載用電池の普及で、電池がコストが下がる。

●再生エネルギーの普及で、電力供給が不安定になり、停電時のバックアップ用電源の重要性も増す。

といった理由で、今後の市場の拡大は確かなようです。

 

■定置型蓄電池(ESS)の参入企業

第1グループは、モバイル用途事業、車載用途事業、そこに定置型用途と3本立てでシナジーを出すグループだ。パナソニック、マクセルグループ、サムスンSDI、LG化学がこのグループに入る。第2グループは、車載用事業の延長上に定置型蓄電ビジネスを構えるグループで、東芝、GSユアサ、エンビジョンAESCジャパン、CATL、テスラが該当する。

第3グループは、モバイル用事業の延長上に定置型蓄電ビジネスを構える企業で、村田製作所だ。最後の第4グループが定置型事業に特化する企業で、エリーパワー、日本ガイシ、それに加えて住友電工がここに属する。

といった内容で、定置型蓄電池(ESS)の参入企業が紹介されています。

筆者も同様のことを述べていますが、車載用電池の単セルは、そのまま定置型蓄電池として使えますから、量産効果、製造コストの削減、安全技術の確立という意味で、第一グループ、第二グループが優位なようです。

NAS電池でビジネスを減らした日本ガイシは、ニッケル亜鉛電池で巻き返しを狙っているが、信頼性の確立が鍵になる。レドックスフロー式の住友電工は価格面での課題は非常に大きく、今後の期待感はリチウムイオン電池の市場拡大とは逆に薄らいでいる。

NAS電池やレドックスフロー電池の将来に少し否定的な見解が述べられています。

 

定置型蓄電池(ESS)もリチウムイオン電池リチウムイオンバッテリー)が中心となりそうです。コストは大事で、その点、NAS電池やレドックスフロー電池は高価なレアメタルが少なく、リチウムイオン電池より価格的に有利と言われている(いた)そうです。

 

ただ、

NAS電池:温度は300度を維持しないといけない(火災事故を誘発しやすい)、ナトリウムや硫黄など危険物が使用されているということで安全面で課題があります。

レドックスフロー電池:小型化できない(LiBの1/5くらいエネルギー密度が低い)。大規模な電力用設備と用途が限られる。

といったデメリットがあり、結局はEV用の電池としてはリチウムイオン電池しか選択肢がなくなったように、ESSでもリチウムイオン電池しか現実的な選択肢はなくなるかもしれません。

■W-SCOPEのサイトから新技術・新製品の情報が消えた?

↑のブログで紹介しましたが、ダブルスコープは、レドックスフロー電池のセパレータの開発も検討しているようでした。

そういえば、以前見たときには、ホームページにも写真で開発予定の新技術・新製品を紹介していたと思いますが、今日(2022年2月6日)見たら、その情報に飛ぶリンクが消えいました。

 

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W-SCOPEの会社サイトの製品技術情報より

 

リンクを消した(無効にした)理由はわかりませんが、『ここ数年は、リチウムイオン電池のセパレータ市場で勝負する。』という会社の姿勢の表れでしょうか。

 

 

■佐藤登氏の著書

佐藤 登氏 の著作を、アマゾンのリンクで紹介します。

 

 

 

 

 

■改めて本の紹介

 

 

●佐藤 登氏 の経歴

名古屋大学未来社会創造機構客員教授エスペック上席顧問
1953年秋田県生まれ。1978年横浜国立大学大学院工学研究科修士課程修了。同年本田技研工業入社。自動車の腐食制御技術開発に従事した後,1990年本田技術研究所基礎研究部門へ異動。1991年電気自動車用の電池研究開発部門を築く。チーフエンジニアであった2004年に韓国サムスンSDIに常務として移籍。中央研究所と経営戦略部門で技術経営を担当,2012年退社。2013年より現職。工学博士(東京大学,1988年)。論文,講演,コラム等多数。
主な著書に『危機を生き抜くリーダーシップ(国際文化会館新渡戸国際塾講義録3)』(共著,2013年,アイハウス・プレス),『人材を育てるホンダ 競わせるサムスン』(2014年,日経BP),『リチウムイオン電池の高安全・評価技術の最前線』(共監修,2014年,シーエムシー出版),『車載用リチウムイオン電池の高安全・評価技術』(共監修,2017年,シーエムシー出版)など。

●内容について

製造業の頂上決戦!
巨額投資で市場を席巻する中国、韓国企業。世界をリードしてた日本企業は勝機を見出せるか--。
パナソニックGSユアサ村田製作所、ATL、
サムスンSDI、LG化学、CATL、BYD……。
次世代革新電池を視野に入れた競争の最前線を徹底解説。

1887年に屋井先蔵が世界に先駆けて乾電池を発明して以来、日本の電池産業は長く世界をリードしてきた。とりわけ1960年代以降は隆盛期を迎え、次々と新たな電池を開発、生産を開始した。さらに1983年には旭化成の吉野彰氏らが経済社会を大きく変えることとなるリチウムイオン電池の原型を確立。1991年にソニーが世界初の製品化を実現した。
日本電池産業の輝かしい歴史も、21世紀に入ると様相が変わる。韓国企業が日本勢を追い上げ、2010年にはサムスンSDIがモバイル用リチウムイオン電池で世界シェアトップに立った。近年は、さらに高い性能を要求される自動車搭載用の大型リチウムイオン電池の世界で、中国勢が急速にシェアを伸ばしている。高性能電池の開発、製造の行方は、製造業の頂点に立つ自動車産業の未来をも左右する。世界の環境規制、中国の産業政策などもあいまって、日本の牙城だった電池産業が大きく変貌しようとしている。

 

●目 次

まえがき-まえがき-を読んで - 令和の未来カエルのブログ

 

第1章 日本の牙城

-第1章 日本の牙城-を読んで - 令和の未来カエルのブログ 1

1日本の底力

2 電池の基本的仕組み
3 車載用へと電池の用途広がる
4 日本の強み

 

第2章 モバイル用電池の明暗

第2章 モバイル用電池の明暗-『電池の覇者 EVの命運を決する戦い』を読んで - 令和の未来カエルのブログ

1 電池革命を起こしたリチウムイオン電池
2 戦略の欠如
3 ソニーの電池事業撤退
4 ハイエンド偏重の日本、ローエンドも重視する韓国

 

第3章 EV開発の思惑と電池戦略

第3章 EV開発の思惑と電池戦略-『電池の覇者 EVの命運を決する戦い』を読んで - 令和の未来カエルのブログ (hatenablog.com)


1 環境規制が主導する自動車の電動化
2 トヨタがEVを投入せざるを得ない事情
3 選ばれるEVとは?
4 テスラの巨額投資とリスク
5 急加速のEVシフトに潜む5つの課題
6 元素戦略と資源争奪戦
7 トップブランド参入で競争激化
8 環境対応車における日本のリード

 

第4章 中国市場の変化と欧米、インド

第4章 中国市場の変化と欧米、インド-『電池の覇者 EVの命運を決する戦い』を読んで - 令和の未来カエルのブログ

1 環境改善か下剋上か─EVシフトの先
2 翻弄される日韓企業
3 中国NEV規制への対応
4 驀進する中国EV、電池業界の異変
5 中国のEV政策変化は外資に追い風?
6 EVが減速する中国、加速する欧州
7 2020年、車載電池業界の勢力図が明確に
8 揺れる米国のルール
9 台頭するインドの電動化と矛盾

 

第5章 車載用電池の攻防

第5章 車載用電池の攻防-『電池の覇者 EVの命運を決する戦い』を読んで - 令和の未来カエルのブログ

1 合弁が難しい電池事業--韓国勢はフリーを選ぶ
2 R&D投資でも激突する日中韓
3 戦略は随時見直してこそ生きる

 

第6章 定置型蓄電池の幕開け

1 定置用電池業界に第三勢力参入
2 韓国企業の火災事故
3 2019年からのFIT問題

第7章 品質競争─安全性と信頼性のビジネス
1 なぜサムスンの最新スマホは爆発したのか?
2 電池の安全性を要求する国連規則
3 中国製リチウム電池が信頼できない理由

第8章 成長への戦略
1 加速する次世代電池開発
2 次世代革新電池はいつ実現するか?
3 日本を取り巻く状況
4 日本勢の命運
5 ノーベル化学賞の栄誉

あとがきに代えて
参考文献・資料

 

以上

銘柄メモ

ダブルスコープ,パナソニック,マクセルグループ,東芝,GSユアサ,村田製作所,日本ガイシ,住友電工
6619,6752,6810,6502,6674,6981,5333,5802

W-SCOPEに1月効果はあるか

■はじめに

今年2022年の1月は月間8.5%上昇したダブルスコープ(6619)に、「1月相場が強いとその年の株価は上昇する」(1月効果)というアノマリーが通用するのか検証したブログ記事です。

 

▼関連ブログ記事

 

 

 

■「1月相場が強いとその年の株価は上昇する」(1月効果)のアノマリー

 

1月効果や「1月相場が強いとその年の株価は上昇する」のアノマリーは本当 ? | マネー | おすすめコラム | 大和ネクスト銀行

▼上記の記事の引用

なぜだか理由がはっきりとはしないが、季節や月など、一定の規則に応じて起こることが多い経験則をアノマリーという。1月に関するアノマリーには「1月効果」、「1月の株価が強いとその年の株価は強い」などがある。

「1月効果」は、機関投資家などが年末年始のリスクオフで絞ったポジションを、新年のスタートで改めて買いから入る「新年効果」が一つの原因だと言われている。特に小型株に「1月効果」が強いという。

上記の記事で検証していますが、「1月効果」、「1月の株価が強いとその年の株価は強い」ということは、一般的にはには当てはまらないようです。

■W-SCOPEに1月効果はあるか

私がよくブログで取り上げるW-SCOPEについても、「1月相場が強いとその年の株価は上昇する」(1月効果)のアノマリーがあるか検証しました。
ダブル・スコープの上場以来10年間で、調べました。
結果は、下の表のようになりました。

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W-SCOPEの1月と年間のパフォーマンスの相関

分類
A:1月上昇し、年間でも上昇した年:3回 →相関あり 〇
B:1月下落し、年間でも下落した年:3回 →相関あり 〇
C:1月上昇し、年間では下落した年:3回 →相関なし ×
D:1月下落し、年間では上昇した年:1回 →相関なし ×

 

1月上昇し年間でも上昇、1月下落して年間でも下落と、相関があったのは、10回中6回でした。10回中6回という数字では、「1月効果」、「1月の株価が強いとその年の株価は強い」というアノマリーは、W-SCOPEに通用しないようです。

ただ、1月下落し、年間で上昇した年は10年間で1回しかありません。

今年2022年には、1月に月初796円 月末864円と8.5%上昇したので、下落する可能性は低いかも知れません。そういい意味では幸先のいい1月といえるかもしれません。

 

 

■成長株投資に関する本の紹介

W-SCOPEのような成長株投資は、アノマリーやチャートなどあまり関係ないかもしれません。
WCPの上場でバリュー株と評価されるかもしれませんが、今後も売上が年10%を超えて拡大し、利益率も年々高くなることを考えると私は成長株投資と考えています。

成長株投資の場合、多少割高に思えて、会社の強い成長が続くまで、成長が鈍化するまで、保有するというのが大事だと思います。
何をもって強い成長とするか、何をもって成長の鈍化とするかは解説されている本をアマゾンのリンクでいくつか紹介します。

 

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以上

日経統合報告書アワード(旧 日経アニュアルリポートアウォード)グランプリ企業の投資成績

■はじめに

藤野英人氏の著書を読み、日経統合報告書アワード(旧 日経アニュアルリポートアウォード)に興味を持ちました。
日経統合報告書アワードグランプリ企業へ投資した場合のパフォーマンスについて調べてみたブログ記事です。

 

■アニュアルレポート(統合報告書)の社員の写真があるか。

藤野英人氏著の投資家が「お金」よりも大切にしていること

という本の一部を紹介します。

『利益が成長する会社は株価も上がる。』
『真面目に世の中のために努力している会社しか成長し続けられない。』
『会社が真面目であるためには、お客様だけでなく、従業員のことも真剣に、そして誠実に考えなければならない。』
『「その会社が真面目かどうか」を判断するために、一つの基準としているものがあります。それが「アニュアルレポート」です。』
として、真面目な会社の一つの判断基準として、
アニュアルレポートに、社員の写真が利用されているかという基準があるそうです。

採用向けの資料やサイトには社員の顔は多く、どの企業も載せているが、アニュアルレポート(統合報告書)には社員(の顔)の写真が少なく、相手によって、「顔」を使い分ける二面性にものすごく不真面目さを感じる。
本当に社員を大事にしているなら、どちらにも等しく載せてしかるべきである。
といった主張をされています。

この本の中で、藤野氏も審査員を務めたこともある「日経統合報告書アワード」(旧 日経アニュアルリポートアウォード)について紹介されていまいた。

 

 

■アニュアルレポートと統合報告書のそれぞれの意味

最近ではアニュアルレポート(年次報告書)にかわって、統合報告書が増えているようです。


野村證券の証券用語集から引用です。

アニュアルレポート:
英語表記はAnnual Report。株式を上場している企業が、事業年度終了後に作成する報告書で年次報告書ともいう。

統合報告書:
統合報告書とは、企業の売上や資産など法的に開示が定められた財務情報に加え、企業統治や社会的責任(CSR)、知的財産などの非財務情報をまとめたもの。
欧米を中心とした海外機関投資家が投資の際、企業の社会的責任を重要視し始めたことを契機に、海外の企業で財務情報と非財務情報をまとめて発行するようになった。
日本でも金融庁東証が策定したコーポレートガバナンス・コードにおいて、企業側に対し、非財務情報の開示を主体的に取り組むことを促しており、統合報告書を発行する企業が増加している。

 

投資家向けだったアニュアルレポートが進化して、投資家以外の従業員や取引先など様々な利害関係者(ステークホルダー)を対象に、中長期的視点に立った企業価値をアピールするため報告書が、統合報告書のようです。

両社とも法定の開示情報でなく、法規制などで要件はありません。
企業が、アニュアルレポート(年次報告書)として報告すれば、それはアニュアルレポート(年次報告書)ですし、統合報告書として報告すれば、それは統合報告書になるため、厳密な違いはないようです。


個人情報保護の潮流もあり写真の写真の公開も控える企業も予想され、
社員の写真を載せているから、真面目な会社で成長するとは言えないとは私は思います。
ただ、統合報告書(アニュアルレポート)に力を入れている会社は、
『IR業務のような会社の間接部門にも経費や人を投入する余裕がある会社で、利益率も高く、株主還元にも積極的になる可能性がある』という考え方はできるかなと思います。

 

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 ■日経統合報告書アワード(旧 日経アニュアルリポートアウォード)とは

統合報告書やアニュアルレポートを審査、表彰する「日経統合報告書アワード」(旧 日経アニュアルリポートアウォード)という日本経済新聞社のサービスがあります。

2021年の企画概要 | NIKKEI Annual Report Awards 2020

上記のサイトにて、その内容が紹介されています。
今年から、「日経アニュアルリポートアウォード」を、「日経統合報告書アワード」に改称しています。

本アワードの特長として、
機関投資家監査法人コンサルティング、学識経験者などが議論を尽くします
② 「統合報告書」を評価します。企業そのもの(業績など)の評価ではありません
③ 比較的低コストでの外部評価。450,000円(税別)
④ 高いPR効果(会期中、日本経済新聞日経ヴェリタスほか多様なメディアで複数回、露出します)
とある通り、45万円を払って応募すれば、宣伝、評価してあげるという有償サービスという内容です。


45万円をはらって、日経統合報告書アワードに申し込み、その中でグランプリ(一等賞)を受賞する会社、
『統合報告書やアニュアルレポートに力を入れている会社で、会社の成長を真面目に考えている』
『IR業務のような会社の間接部門にも経費や人を投入する余裕がある会社で、利益率も高く、
株主還元にも積極的になり、株価可能性がある』という考え方はできるといえそうです。

2020年度の日経アニュアルリポートアウォード
132社の応募があり、グランプリ企業となったのは中外製薬でした。
ちなみに、中外製薬には写真の顔写真入りで仕事の内容などの紹介がありました。

過去のグランプリ受賞企業も確認できます。

日経アニュアルリポートアウォード
歴代本賞最高受賞発行体一覧
 第1回 1998年 ソニー
 第2回 1999年 ソニー
 第3回 2000年 大和証券グループ本社
 第4回 2001年 帝人
 第5回 2002年 伊藤忠商事
 第6回 2003年 伊藤忠商事
 第7回 2004年 商船三井
 第8回 2005年 エヌ・ティ・ティ・データ
 第9回 2006年 住友商事
 第10回 2007年 トヨタ自動車
 第11回 2008年 ソフトバンク
 第12回 2009年 ベネッセコーポレーション
 第13回 2010年 三菱商事
 第14回 2011年 国際石油開発帝石
 第15回 2012年 カプコン
 第16回 2013年 伊藤忠商事
 第17回 2014年 三菱重工業
 第18回 2015年 中外製薬
 第19回 2016年 中外製薬
 第20回 2017年 オムロン
 第21回 2018年 MS&AD インシュアランスグループホールディングス
 第22回 2019年 日立製作所
 第23回 2020年 中外製薬

参考URL :https://www.nks.co.jp/wp_nks/wp-content/uploads/2021/03/IR2021_5.pdf

日本を代表する優良企業、大企業が受賞されていますね。

 

 

 

■日経統合報告書アワード(旧 日経アニュアルリポートアウォード)グランプリ企業の投資成績

 

日経統合報告書アワード(旧 日経アニュアルリポートアウォード)のグランプリ企業の株価が上がるか、受賞した年の12月の終値と直近2022年2月4日の終値の騰落率を、TOPIX東証株価指数)との比較で調査してみました。

受賞時の株価は、受賞した年の12月の終値を利用して、最新の株価は2022年2月4日の終値を利用しています。

 

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日経統合報告書アワードグランプリ受賞企業の株価の騰落率とTOPIXとの比較を表した表

黄色で着色した企業が、TOPIXの騰落率を上回っていた企業です。

受賞した企業23社のうち、11社がTOPIXの騰落率を上回った、つまり、市場平均より良好な株価パフォーマンスだったのは48%、約半分しかなかったといことです。

つまり、日経統合報告書アワード(旧 日経アニュアルリポートアウォード)のグランプリを受賞企業だからといって、株価は上がらないということです。


たた、複数回受賞している伊藤忠商事中外製薬(ともに3回)はTOPXの年平均騰落率で10%を超えるケースが6回中5回ありました。

 

会社として株価が低迷してという意識があり、IR、株主還元に注力して、株価を上昇させようと企業は、統合報告書にも注力すると思います。
日経アワードにも応募して、受賞するということであれば、株価が低迷している企業で、日経アワードで受賞した企業は投資対象の判断材料にしてもいいのかもしれません。

日経アワードには、グランプリは1社ですが、準グランプリに3社、特別賞は3社、優秀賞には14社と結構な数の企業が何らかの賞を受賞しいてます。

日立製作所には注目したいです。
2019年 グランプリだった日立製作所は、2022年は準グランプリでした。
日立製作所の2000年からの株価チャート(↓)ですが、2000年時の株価をまだ超えておらず、10年、20年というチャート長期では低迷、横ばいという印象です。

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日立製作所の長期株価チャート


2020年3月のコロナショックの前の2019年12月の高値4626円を超えて、2022年2月4日終値で5910円とここ2年ぐらい上昇基調ですが、今後も期待できるかもしれません。

 

 

■藤野 英人氏の著書

藤野 英人(ふじの ひでと)氏:レオス・キャピタルワークス株式会社代表取締役社長・最高投資責任者は、会社のホームページで、「社長の顔写真」が載っている会社」、「社長による代表挨拶の主語が「当社」「弊社」ではなく、「私」や「私たち」となっている会社」に投資が有望だと、個人投資家でも簡単に調べられる方法で、有望な企業か否か調べる方法をいくつか紹介しています。

 

そんな藤野氏の著書をいくつか紹介します。↑のブログ中で楽天のリンクも記載しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

以上

銘柄メモ

ソニー,大和証券,帝人,伊藤忠商事,商船三井,NTTデータ,住友商事,トヨタ自動車,ソフトバンクG,ベネッセ,三菱商事,INPEX,カプコン,三菱重工業,中外製薬,オムロン,MS&AD,日立製作所
6758,8601,3401,8001,9104,9613,8053,7203,9984,9783,8058,1605,9697,7011,4519,6645,8725,6501

WCP転換社債でテンバガー達成したNOH & PARTNERSの投資戦略

■はじめに

W-SCOPEの韓国子会社W-SCOPE CHUNGJU PLANT CO., LTD.(以下、WCP)の転換社債投資でテンバガー達成したNOH & PARTNERSについて調べた内容(NOHの由来や投資戦略など)を紹介するブログ記事です。

 

■NOHとは

NOH & PARTNERSのNOHは、創業者の名前からとっているようです。
創業者で現CEOの노광근 (盧光根・ノグァングン)氏の苗字 は、盧 NOHです。

盧(ノ)という苗字では、私は、韓国の元大統領(1988年2月– 1993年2月在任)で盧 泰愚(ノ・テウ)氏がいたり、Jリーグサンフレッチェ広島などで活躍した盧 廷潤(ノ・ジョンユン)氏が思い出します。

韓国では、金、李など程多い苗字ではないですが、珍しくない苗字のようです。

 

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NOH & PARTNERSのNOHさん

■NOHさん、노광근 (盧光根・ノグァングン)氏の経歴

韓国産業銀行で25年以上在職し、中国の吉林大学に留学経験があります。
韓国産業銀行ではプライベートエクイティ(未公開株式)の投資部門の経験が長ったそうです。
これぐらいの情報しかわかりませんでした。
ただ、盧氏やNOH & PARTNERSの紹介記事では「(韓国)産業銀行出身の盧氏が」といった内容が多く、韓国産業銀行出身というだけで一目置かれるような存在のようです。


韓国産業銀行 (韓: 한국산업은행; 英: Korea Developement Bank) は、「韓国産業銀行法」に基づき韓国政府が100%出資する特殊銀行です。
設立は1954年で、1960年代は電力、鉄鋼、肥料、セメント、炭鉱などの基幹産業、1970年代以降は機械、電子、石油化学などの重化学産業や海外進出する韓国企業
へ長期的資金を融資するのが主な役割をになっています。

日本でいうとみずほ銀行の前身の一つの日本興業銀行日本政策投資銀行が、韓国産業銀行とイメージが近いかも知れません。

 

https://www.thebell.co.kr/free/content/ArticleView.asp?key=202004291041053840105371&lcode=00

↑のリンクは「元サンウンマン ノウ&パートナーズ、ラストチャンスをつかむ」
というタイトルの記事 (2020年05月04日付)ですが、
設立からの5年以内投資ファンドしか参加できないルーキーリーグという優秀なファンドを認定、表彰する選考会に参加が認められたという記事です。

このルーキーリーグに参加するための審査を突破することが難しく、参加できるだけでも、その価値が認められることになるそうです。

記事には
 〇二次電池分離膜メーカーのWCPに投資を実施した。約2000億ウォン規模だったWCP投資で、ノーアンド・パートナーズは新韓キャピタル、産業銀行などとともにディールを遂行して主導的な役割を果たした。

 〇NOH & PARTNERSは特に△電気自動車・二次電池・新エネルギー△環境・バイオ・ヘルスケア△半導体・次世代ディスプレイ△人工知能・ソフトウェア・スマートファクトリーなど「4次産業革命関連中核分野」へ積極的に投資するとアイデンティティ(他との違い)を明らかにしいる。

といった内容も紹介されています。

 

産業銀行はサノブウネンといった韓国語の発音なので、サンウンマンとあるのは、産業銀行マン、産銀マンといった意味のようです。

 

http://www.manpower.co.kr/_bbs/user_xml_guide/view.asp?mcd=mj030101&page=46&cmd=view&sid=2071&

↑のリンクに、キム・スジェ韓国産業銀行人事チーム長が、採用応募者向に選考試験情報のような内容の記事があります。
『韓国の経済発展の歴史を一緒に導く人材を待つ。
産業銀行の歴史が我が国の企業金融発展の歴史であり、経済発展の歴史となる。
それだけにキム・スジェチーム長は韓国産業銀行こそ国内最高の人材に成長させることができる所だと自負する。』
と高いプライド(とそれを裏付ける能力)を持つ人が多いのでしょうか。

 

CEOの盧光根氏が中国の吉林大学に留学経験があるのか経験しているのか中国企業への投資もしているようです。
上記の記事にも電気自動車バッテリー必須部品である銅箔(Copper Foil)のワトソンにはSKグループとともに投資した記事があります。

▼はNOH & PARTNERSのサイトです。

http://www.nohnpartners.com/kr/index.html

▼英語版のサイトもあります。

http://www.nohnpartners.com/en/index.html

 

 

■WCPの投資でテンバーガー達成

https://www.hankyung.com/finance/article/2021092279981

は「2年で転換社債の価格が10倍以上になったWCP」といったタイトルの記事(2021年09月22日付)です。

『1490億ウォン分のCBを買い入れた2019年、WCPの企業価値は2500億ウォンと評価されていた。しかし、2021年9月にはWCPが企業価値を2兆3000億ウォンと評価された。
NOHは転換社債の10%をDS資産運用、サムスン証券、ハンファ投資証券、漢陽証券、KB証券など計9社の機関投資家と2300億ウォン規模の転換社債(CB)売却契約を最近締結したと9月22日明らかにした。』
といった内容です。
1490億ウォン分のCBの10%を2300億ウォン相当で販売したということは、取得価格の15.4倍で販売し、2年間で9.2倍の利益を上げたそうで、2年でテンバガー以上の収益(10倍になったら、利益は9倍なので9.2倍ということはテンバガー以上です)があったようです。

 

https://www.hankyung.com/finance/article/2022020269901

↑は『どこまであがるか… 売上0円の会社に投資して驚くべき結果』
というタイトルの記事(2022年02月02日付)ですが、 

●売上高0ウォン、営業損失109億ウォンのWCPへの投資が大成功した。

●投資業界では時価総額が5兆ウォンの6兆ウォンになると予想している。

●NOH & PARTNERSの投資戦略は、成長可能性と技術的参入障壁を持つ業界の中核企業を見つけ、早い時期から投資し、それらの企業の価値を最大限に引き上げること。

などが説明されています。

 

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■漢拏(ハンラ、ハラとも呼ばれる)グループとも提携

https://paxnetnews.com/articles/78375

↑は、NOH & PARTNERSが、WCPの株式を10%程取得とした漢拏(ハンラ、ハラとも呼ばれる)グループとも提携し、ハンラグループが出資する投資ファンドの運営するという内容の記事(2021年9月10日付)です。
ハンラグループが、NOHの電気自動車分野の投資実績を評価したのが提携の理由とされています。

https://news.v.daum.net/v/20210916114704866

↑は2021年09月16日付のハンラホールディングスが電気自動車バッテリー分離膜メーカーのダブルコープ(実際にはWCP)に1000億ウォンを投資するという記事です。

 

漢拏(ハンラ、ハラとも呼ばれる)グループについては、↓のブログも参考にしてください。

 

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■NOH & PARTNERSの投資戦略でも大事な参入障壁

NOH & PARTNERSの投資戦略は、成長可能性と技術的参入障壁を持つ業界の中核企業を見つけ、早い時期から投資し、それらの企業の価値を最大限に引き上げることです。
とある通り、株式投資には、その企業の事業に強い参入障壁があるかが重要なようです。
なお、これから紹介する本の楽天のリンクは、ブログの中でも記載しています。

参入障壁の大事さは、奥野 一成氏(農林中金バリューインベストメンツ株式会社の常務取締役・最高投資責任者)のの本で力説されていました。

 

 

ウォーレン・バフェットが投資先の条件として掲げるのが「経済の堀」(economic moat)とを持っていることですが、
これも高い参入障壁と同じ意味でしょう。

 

「競争戦略」の理論で著名なマイケル・E・ポーター氏は、参入障壁の要素として

①規模の経済性が必要
②製品の差別化
③巨額投資の必要
④スイッチングコスト(購入先を変更するコスト)が高い
⑤流通チャネルの確保(新規の流通チャンネルの開発がほぼ不可能)
⑥規模と無関係なコストが高い(特許の存在など)
⑦政府の規制で守られている
の7つがあると考察しています。

これから投資先を検討するときに、参入障壁が高いか、考える材料になりそうです。

 

 

 

 

 

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